【本編完結】原作に関わりたくない系オリ主(笑) IN ダンまち   作:朧月夜
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何も無い草原。茂みの中に突如虹色の光が立ち昇った。
その横にある木の上では、何かがぴくりと動いた。

ベル「…………僕はいったいどうしちゃったんだろう。それにここはどこかな? 見たことも無い平原だな。えっ、何!? 怖いっ逃げよう!」ガサガサ

すると木の上から何かが飛び降りて来た。

ベル「えっなに?! うわああああっ……」
???「うひひひひ!あははー!あーはー! 狩りごっこだねー? 負けないんだからー!」オッカケオッカケ
ベル「うわーー! うわーーー! どこだよここー!」




原作に関わりたくない系オリ主、まさかの覚醒? 序

「お~……ええやん」

 

 往来の人間を眺めながら、ぼーっとしているライト。

 その姿は完全に隠居後の爺さんである。

 

 最近何かと周囲が騒がしかったライトは、主神であるヘスティアや、何かと世話を焼いてくるヘファイストスから「暫くのんびりした方が良い」と言われ、休暇を取っていた。

 もちろんこれは相当にオブラートに包まれた言い方に過ぎない。

 本音を意訳するならば、”お前はやりすぎた。少し謹慎してろ”と言ったところだろうか。

 特にヘファイストスは、ライトから送られてくる山の様なオリハルコンを見つめ、鍛冶師としての探究心よりも胃痛の方が勝るのだ。

 

 そんなライトは神様たちの心労などどこ吹く風よとばかりに、散歩がてらカジノに行ったり、大人の遊園地こと歓楽街に足を伸ばしては、適当に金を落として帰ってくるという、道楽めいた生活を送っていた。

 今はもう夕日も沈み、夜のとばりに包まれたオラリオだが、通りの両側にある遊郭の張り見世にならぶ娘達を眺めながら辻売りの立て茶をのんでいる。

 

 遊郭とはつまり娼婦を買うある種の風俗だが、娼館とは違い、雰囲気をも楽しむという雅な側面もある。

 当然遊女もまた、床での手管だけではなく、教養を持ち合わせている者も多い。

 

 とは言ってもライトは別に女を買いに来た訳じゃない。

 家に帰ってもやる事がないので退屈なだけなのだ。

 というのもリリルカはミアハファミリアのナァーザとオラリオの外に出かけているのだ。

 ついでに言うとティオナもまた、ロキファミリアの遠征でダンジョンの中だ。

 

 リリルカ達は港町メレンに2泊3日ほど宿泊する。これには両ファミリアの主神と、その神友のファミリアも参加しているので、結構な人数である。

 故に宿の上層階はヘスティア様ご一行で貸し切り状態だ。

 

 リリルカとナァーザは、例のソーマファミリアでの一件から親密になり、最近では親友とも呼べる間柄だ。

 それを見ていたライトが、オレも休めと言われたし、お前もナァーザと遊びに行けば? ついでに神様も知り合いの神を集めて観光旅行を主催しなよと勧めたのだ。

 ミアハとナァーザは直ぐに乗った。なにせミアハファミリアも最近では借金が落ち着き、全額返済とはいかぬが、生活を圧迫するほどでも無くなったのだから。

 

 因みに遠慮がちなヘスティアにライトはこう言い含めている。

 「現実、うちには金があるんだ。それは周囲も知っている。なら金のあるやつは使わないと。じゃなけりゃケチ臭い守銭奴としか思われない。だから金は使え。ただばら撒くな。施すな。有効に使うならどれだけ使っても構わない。それはきちんと信用という財産となって後に幸福をもたらしてくれるのだ」――と。

 

 けだし至言だとは思うが、自分の事を棚に上げ過ぎでは? ヘスティアは訝しんだ。

 けれどそれを言うとお小遣いが少なくなっておっぱいを揉まれる為、彼女は口をつぐんだ。

 最近のヘスティアの神様ムーブは凄いのだ。

 気絶したライトを勝手に神の血で眷属にした過去は無かった、いいね?

 そんな訳でライトは少なくない小遣いをリリルカに渡し、美味いもんでも喰って来いと言ったのだ。

 

 行先はメレンのニョルズ・ファミリアが出す宿だ。

 これも実はライトがかかわったコンサルタント業の結果なのだが、この世界における漁協の様な集団がニョルズファミリアである。

 そして彼らが毎日水揚げする魚は、市場を介してオラリオに供給されている。

 

 そこでライトは彼らに「その日獲れた魚を食べられる宿があれば、女性客が集まる名所になるんでは?」とプレゼンしたのだ。

 宿は柔らかい雰囲気のお洒落な感じにまとめ、部屋の内装や寝具も同じコンセプトにし、館内の有料サービスとして美容マッサージなんかも出来たりする。

 で、食事が美肌と脂肪のつかないヘルシーかつ満足できる魚介系料理が楽しめると。

 

 要はじゃ〇んとかに乗っている、季節ごとの企画もの。

 OL同士で旅行に行こう的なアレである。

 ライトが考えたのは、オラリオという都市の特異性である。

 つまり冒険者と言う特殊な人種の事だ。

 

 神の恩恵を受ける事は、ジェンダーの壁を曖昧にするのだ。

 つまり性別によるデメリットを無視できる。

 簡単に言えば、小柄な小人族であるリリルカが、スキルによりとんでもない質量の荷物を持つ事が出来たり、或いは細身の女性であるアイズが第一級冒険者として君臨している事。

 そう、強さは性別や体格に依存せず、ステイタスに依存するのだ。

 

 結果、金をわんさか持っている女性が多い。

 これを見逃す手はないとライトは考えたのだ。

 冒険者はある種、個人事業主とも言える。

 地球の職業で例えるなら、プロゴルファーだ。

 

 プロゴルファーは大会に登録する費用も、移動や宿泊にかかる経費も、キャディーとの契約も、とにかく全て自分で賄っている。

 そこにスポンサーなどのパトロンの要素はあるにしても、基本的には全て自腹だ。

 

 冒険者もそれと同じで、装備や消耗品は全部自前だ。

 ゲームとは違い、装備品は摩耗劣化し、メンテナンスも必要。

 なので女性冒険者は女としての自覚をあまり持つ余裕が無い場合も多い。

 ただ金はある。普通の女性よりは。

 ならそれを取り込めよ、と言うのがライトの目論みだ。

 

 ニョルズは男神だが、決断力のある気持ちの良い男だ。

 ライトのプレゼンに対し豪快に笑うと、お前に任せる。

 せいぜいニョルズの魚を皆に知らしめてくれとライトに丸投げしたのだ。

 

 そして彼はソーマファミリアの時と同様に、ニョルズファミリアの団員の奥さま連中を抱き込み、女性層をターゲットとした”船宿 海神”のオープンにこぎつけた。

 結果、ただの港街だったメレンに新しい観光スポットが産まれた。

 

 海神は宿泊だけではなく、客が希望すれば船での遊覧も可能だ。

 ニョルズが持つ漁船の中で大型な物が遊んでいたので、ライトがそれを改造したのだ。

 なので宿泊以外の価値も産まれた訳だ。

 

 そうなると周囲の者もこれに便乗し、若い女性が求めるだろうサービスを開始。

 これはライトがメレンの自治体に働きかけた結果なのだが、魚を取引するだけの市場では無く、観光客に金を落とさせる目的の観光市場の開設だ。

 新鮮な魚介類を安くはないが高くも無い額で売り、ついで試食なんかもさせる。

 美肌効果に抜群! コラーゲンが云々とか言いながら。

 簡単に言えば函館や石巻、金沢なんかをイメージしたものだ。

 

 それに遠くから来た客でも心配ない。

 観光市場の中に作られた炭焼きコーナーがある。

 そこは天幕の下にはいくつもテーブルがあり、10ヴァリスで燃えている炭を入れて貰える。

 それで市場で買ってきた魚介類を自分で焼いて食べることが出来るのだ。

 

 結果、メレンは今、中々に熱い観光スポットとなったのである。

 因みにライトは、この功績を讃えられ、ニョルズ直々に巨大なマグロを一本贈られたのであった。

 ついでに言えば、これでメレンの役場のお偉いさんと懇意になったライトは、次なる手としてメレンに温泉を掘れと言ってある。

 

 曰く、温泉に浸からせ、美味い飯を食わせとけば観光客はガンガン金を落とすから(笑)

 メレンの上層部は本気である。

 特にギルドの支部。本気である。

 

「…………ん?」

 

 そんな訳でロンリーナイトを過ごしていたライトであるが、ふと張り見世のひとつが気になった。

 高そうな着物を着たキツネ耳の遊女がいる。

 

 単純に美しいのだが、その美しさに気後れするのか、いつまで経っても客が付かない。

 それに本人もぼーっと虚空を見上げており上の空だ。

 他の遊女はギラギラと通りかかる殿方に必死に声をかけているのに。

 

(ん~……なんか原作のキャラにいなかったっけ?)

 

 いますよライトさん。

 

(まいっか。思い出せねェ……でもあの耳……行くかっ)

 

 行くのか。リリルカ達がいないからと遊女を買うのか。

 買ったのである。

 このライト、一切悪びれる事無く突進し、キツネを買った。

 

 ────おうこの娘、一晩買うでぇ~ナンボや!

 

 いちいち下品である。

 ただライトの中で成金キャラムーブは結構楽しいらしい。

 

 

 ★

 

 

「わっちは主さんのことがいっち好きでありんす」

「ああ^~いいっすねえ^~」

 

 座敷に上がったライトだったが、キツネ耳こと狐人のサンジョウノ春姫に膝枕をさせ、彼が知る胡散臭い廓ことばを春姫に言わせては悦に入っていた。

 とは言えやらされている春姫も実に楽しそうである。

 

 というのも春姫、遊女の癖に客をとっていないしまさかの生娘である。

 要は美しすぎる姿で張り見世に立つ事で集客を狙っているのだ。

 まあ他にもいくつかの大人の事情があっての事だが、そんなものライトの知った事ではない。

 

 なので最初はひと悶着あったのだ。

 春姫を過保護に見守る世話係のアマゾネス・アイシャが噛みついて来たが、別におぼこでも構わねえから一晩話相手になってくれやとライトは言い、ならいいかと許可をしたのだ。

 アマゾネスの情の深さと直情さは色んな意味で理解しているライトは別に気分を害した風でも無い。

 

 そして部屋で二人きりになったライトと春姫だが、まごまごしている彼女など気にせず、アイシャにずしりとした金袋を渡すと、酒と食い物をじゃんじゃん持ってこいと言い放つ。

 あまりの金額に目を白黒させたアイシャだったが、釣りはチップでいいぞと言われ猛ダッシュで出ていった。

 ライトとしては春姫の周囲にも金を撒く事で鬱陶しい声を黙らせたかったのだ。

 

 店の事情などそもそもライトにはどうでもいい。

 張り見世に出てる以上、春姫は商品なのだ。

 嫌なら引っ込めておけばいい。

 ただそれだけだ。

 

 と言っても無体なマネをする訳でも無い。

 卓を埋め尽くす贅沢な料理や酒を春姫にあーんさせて貰い、ライトもまた真っ赤な顔で硬直する春姫にお返しをする。

 いい感じに酔ってきた所で、ライトは春姫と向かい合って”金比羅船々”を唄いながらゲームを始める。

 ヴァリス金貨を1枚つかって唄に合わせて取り合う遊びだが、負けたらしっぺをされるという小さな罰ゲームを交えつつ。

 

 この意外な客に春姫は愉しくなってきた。

 こういう座敷だと、男たちは遊女に何故堕ちたのか等と事情を聞きたがる者が多い。

 特に遊び慣れていない男に多いのだが、見た目の可愛さもあり小さな独占欲が生まれ、相手がそうなった事情に怒りを覚えるのだ。

 

 しかしそれは所謂”余計なお世話”という物であり、ただの野暮である。

 そもそも事情があるのは当然なのだ。

 遊女とは明け透けに言えばその店に軟禁されているのと同義。

 女衒に売られた際の金額がそのまま彼女達の借金である。

 それを売り上げから返せば自由になれる……訳はない。

 売られた女そのものを所有する権利を店は買ったのだから。

 なので抜ける方法はひとつしかない。当然それは身請けである。

 

 しかしライトは一切春姫の事を聞きはせず、ただただ阿呆に興じて遊ぶのみ。

 実はこの男、相当に遊び慣れている。

 以前のエピソードで彼が酒に造詣が深いと言ったが、その延長戦上で、料亭や芸妓をあげての茶屋遊びなんてものも嗜んでいたからだ。

 実際それを接待で求める相手も多かったという事情もあり。

 

 現代でも舞妓や芸妓は座敷と言う小さな世界のエンターテイナーだと言える。

 読み物などで描かれる花魁、或いは太夫、例えば勝山や高尾などが有名だろうか。

 そう言った花魁の系譜である芸妓等は、ただ器量が良いだけではなれない。

 男たちの心の機敏に鋭く、空気が読める。そういったスキルが人一倍必要なのだ。

 もちろん殿方を楽しませる芸のスキルはあって当然だが。

 

 その世界を知らない者には古臭い文化としか映らないかもしれないが、そこで遊ぶという事はつまり、客側にもその世界に歩み寄る姿勢が求められるのである。

 そのある種の煩わしさを”粋である”として楽しめる者たちの特殊な世界とも言えるだろう。

 その中で女を張るという強さを、ライトは単純に尊敬しているのだ。

 

 もちろんここは遊郭風の娼館でしかない。

 故にその思想などあるかも分からない。

 ライトにとってここは異世界のオラリオであり、ここにかつての日本の様な長い歴史の中で培われた花街の文化などあるとは思ってもいない。

 ただ、この春姫という女の周囲からの浮き方に、何とも言えない儚さを感じた。

 それゆえに半ば強引に彼女の時間を買ったのである。

 

「ライト様は色々博識なのですね、あっ! ありんすねっ」

「ははっ、無理に話さんでもいいぞ。博識ってより、男は好きなのさ。女って生き物が」

「キャッ! 悪戯は駄目なのです、あっ、おいたは……やめなんし?」

「そうそう、やめなんしやめなんし」

「キャッ!? もう駄目でありんす!」

「春姫が可愛いから悪いんだ」

 

 なんだこれ。

 アイシャは部屋の隅で口からダバーっと酒を戻していた。

 おかしいな、この酒は辛口の筈じゃないのか? どうしてこんなに砂糖を大量にブチ込んだ様に甘いんだッ!

 喰い切れないしお前も喰えと入室を許されたアイシャ。

 しめしめ、小腹も空いていたし春姫を監視できると入っては見た物の、目に飛び込んだ光景がコレである。

 

 ライトを膝枕した春姫。

 何が楽しいのかしきりにライトの頭を撫でている。

 見ればピコピコと嬉し気に耳が動いているではないか。

 

 ライトと言えば気だるげに煙管を咥えながらぷかりと煙を吐いている。

 そして聞き慣れない言葉を春姫に教え、彼女もたどたどしくも楽しそうにそれを話しては笑う。

 あまつさえ時折ライトの手が伸びて春姫の尻を撫でるも、やられた春姫は怒るでもなく、仕方のない人ねとばかりに眉尻をさげながら、ぽかぽかとライトの胸を叩くのみ。

 完全に馴染みきった遊女とその間夫(遊女の気に入った客)の仲睦まじい様子だった。

 アイシャは無性にイライラした。

 

 そしてライトは夜明けまでそこにいて、帰っていった。

 またくるよ、と春姫に告げて。

 その時ふと、ライトが春姫に聞いた。

 外の世界が恋しいと感じる事はあるのかい? と。

 春姫は答えた。そんな資格は自分には無いのだと。

 ライトはそうか、と言った。

 

 ライトは翌日も来た。

 そして夜明けまでそこにいて、帰っていった。

 またね、と春姫に告げて。

 

 そしてその翌日、ライトは来なかった。

 春姫は少し寂しいと感じた。

 

 そしてその翌日、ライトは来なかった。

 春姫はとても寂しいと感じた。

 

 翌日も、その翌日も────

 アイシャはそんな春姫に、どう声をかけていいか分からなかった。

 そしてあの男がまた来たらぶん殴ってやろうと決意をしたのである。




ベル「よしまいたかな……? この茂みなら……」シゲミコワイデショウ?
???「そっこだー!」ピョーン
ベル「ううっ……はぁはぁ……」ノシカカラレー
???「はぁはぁ……はぁはぁ……」ヤジュウノガンコウ

ベルは思った。お爺ちゃん、もしかしてコレがモテ期なの?と。
だがそれ以上に……食べられる(物理)

ベル「た、食べないで~!」
???「たべないよー!?」

ちなみになんやかやあって彼女の名前はサーバルと判明。
見事なすしざんまいポーズで名乗ってくれたのだ。
さらになんやかやあって、ベルの帰り道を探すために図書館を目指す事になった二人である。

ちなみにベルがサーバルからつけられた名前は前髪である。
あなたは前髪の長いフレンズなんだね!だそうだ。

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