【本編完結】原作に関わりたくない系オリ主(笑) IN ダンまち   作:朧月夜
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くっそどうでもいい日常話会


勝つ秘訣、それは期待を裏切る事である

 ライトは息を飲んでいた。

 ごくり、そんな音が聞こえそうな程に。

 

「や、やーーーーーーっ!」

 

 そしてタスキを掛けて気合いを入れた春姫の手が一閃ッ!!!

 が駄目っ…………!!

 憐れ円盤状のそれは爆発四散。

 食材は無駄になったのである。

 

 一瞬で辺りはアビ・インフェルノ・ジゴクと化した。

 ショッギョムッジョ。

 

「ああ…………」

「駄目でしたぁ…………」

「ええい、もう一回だ。やれるな、ハル」

「はい教官っ。私はドジでノロマな狐ですが、やって見せますっ」

「よし、最初からだ。リリ、腹の隙間はどうだ?」

「も、もう……無理です……というか振動で出そうですぅ……」

「ティオナはどうだ? 最強のアマゾネスのお前ならっ!!」

「む、無理だよー……アマゾネスそんな便利じゃない……」

「くっ……ならば2周目だっ! オレが行くっ」

「はわわ……」

 

 はわわじゃないが。可愛ければ何でも許されると思うなよ。

 一同の気持ちが一つになる。

 

 さていつもの様にグダグダなヘスティアファミリアだが、一同はホーム裏手の庭にいた。

 因みにここにロキファミリア所属のティオナもいる。

 今朝方ライトが目覚めると、いつの間にかベッドに潜り込んでいた。

 ここではもう半ばチャメシインシデントであるゆえ、誰も特に気にしていない。

 

 ────ふわぁ……おっはよぉ……ご飯まだー?

 

 図々しくもこんな事を宣うアマゾネスを咎める物はここにはいない。

 というか諦めた。

 言って聞くならまだいうさとはライトの言。

 忍びこんだ所でネチョい行為をする訳でも無いのだ。

 このアマゾネス、ライトすきー等と公言するも発情期にならなければ大人しいのだ。

 発情期でなければ……。

 

 話を戻そう。

 庭で行われているのは新型の屋台での実験だ。

 屋台はヘスティアのアルバイト先であるじゃが丸くんのオーナーにライトがジュージュー苑をおごり、制作した工房を聞きだし、そこに注文したものだ。

 

 中は分厚い鉄板が鎮座する鉄板焼きスタイル。

 そしてのれんには”へすてぃあ名物おこのみやき”の文字。

 何故かタコの絵がある。

 そう、日本のお祭りでは定番のお好み焼きの屋台である。

 

 その中でコテを振るっているのが新メンバーである春姫だ。

 何故かメイド服姿だが。

 ただし、いま彼女が引っ繰り返したお好みは、投げっぱなしジャーマンを喰らったかのように飛び散っている。

 ちなみにこうなった回数は21回目である。

 

 そして金がある癖に無駄な浪費は絶対許さないマンであるライトの”お残しは許しません”宣言により、無残な姿になったお好み焼きは居合わせた面々の腹に収まっている。

 とは言えそれも限界だ。

 お好み焼きとは中々にパンチの効いたボリュームがあり、一枚でも充分ダメージがあるのだ。

 それを21枚である。皆の胃は限界だ。

 

 ふと横を見れば、いつもヘソ出しスタイルがデフォルトのティオナが芝生の上に寝ており、その腹は妊婦の様にパンパンだ。

 さらにその横にいるリリルカは、ラフなチュニックを着ていたが、女の尊厳を投げ捨て、首元までたくし上げており、ティオナと同じレベルの腹を晒している。

 ただ虚無の目で空中を見つめている異様さで、それを咎める者はいない。

 

「グフェ……味はうめえんだ味は……ゴフォッ……あ、無理トイレいく……」

 

 デデーン♪ ライト~アウト~

 

 とは言えケツバットをされる事も無く、トイレで解脱の境地に辿り着くのみ。

 だが誰もそれを揶揄する者はいない。

 次は我が身なのだ。

 

「では行きますっ…………むむむむっ」

 

 春姫、22枚目の挑戦スタート。

 細かく刻まれたキャベツと各種具材、山芋入りのもったりとしたタネをボウルの中で念入りに混ぜ混ぜし、たっぷりと空気を含ませたところで熱々の鉄板にドバー!

 そして片面が焼ける。つまりコテの出番だ!

 

(お願いします。今度こそ、今度こそ成功を)

(無理、次は絶対無理。というか起きただけで出そう。ハルちゃん頑張れ、超頑張って)

 

 不敵に笑う春姫、どうやら極意に通じたか!?

 それを見守る乙女たちの祈りが重なる。

 結果の如何によっては乙女から”映す価値なし”に降格する。

 頼む、ぽんこつ狐、頼む……リリルカとティオナが食い入るように見つめたその瞬間っ!

 

「やーーーーーっ! あっ、駄目でしたぁ……」

「「ああああああああああああっ……」」

 

 神などいない。

 いてもあまり役に立たないっ!

 結果は22枚目の残骸が出来上がったのである。

 しかもテヘペロって感じで可愛く片目をつぶる春姫である。

 これには普段は温厚なリリルカも殺意が沸いた。

 

 ────この新参のあざと狐め……

 

 思わず暗黒面に落ちかかったリリルカは悪くない。

 そもそも何故こんな事になったか。

 それは春姫にライトのビジネスを覚えるセンスが無かったからだ。

 基本のんびりとした春姫は、ビジネスの最前線で求められる高度の柔軟性を維持して臨機応変に立ちまわる事が出来ないのだ!

 

 ライトは頑張った。

 覚えてくれればオレが楽になるんだと必死に。

 でも駄目であった。この娘、ヘスティアと同系統のポンコツさを感じる……。

 ライトは早々に見切った。

 この諦める判断も優れたビジネスメンが求められる資質であろう。

 タイムイズマネー、そう言う事だ。

 

 そうなると春姫の存在意義が無くなるではないか。

 これには本人もショボンとして涙目の上目遣いでライトを見た。

 ライトは悶絶した。

 

 これが原作の様にベルのパーティメンバーとしてダンジョンに行くならいいのだ。

 なにせ春姫は、レベルアップさせるウチデノコヅチの他に、増えた尻尾の数だけ魔法を連続使用できるスキルがある。

 この尻尾はハンドガンの弾倉にある弾の様に、装填されている限り発射できるというイメージが近い。

 つまり魔法系の冒険者としてヤベー奴なのである。

 

 だがしかし、このヘスティアファミリアは今更ダンジョンなど行かない。

 一応アタッカー&前衛としてライト、遊撃としてリリルカという編成でやれなくはない。

 リリルカは純粋なアタッカーにはなれないが、例の重い物を持てるスキルを活かしてライトがトールハンマー辺りを渡せばいいのだから。

 

 しかしだ。身体を張って深層まで潜ったとしよう。

 苦労してデカい魔石やドロップ品を拾ったとしよう。

 その換金額など、ライトとリリルカが抱える現在の商売における数日の利益以下だ。

 ならダンジョンに行く意味が無い。

 

 なので春姫の役割となれば売り子とかそう言うビジュアルが役立つポジションだろうとライトは考えた。

 じゃ何故お好み焼きかである。

 これはライトのホームシックが関係する。

 

 ホームシックとは何か。

 それは自分が住んでいる場所とは別の場所に行った際、不意に襲ってくる得も言えない悲しみの感情だ。

 小学生の子供などが夏休みに田舎の祖父の家に一人で泊まりに行き、夜に泣いちゃうアレである。

 

 しかしライトの場合は異世界に急きょやってきたという事情がある。

 ライトとしてこの地に生を受けたならまだ違っただろう。

 けれども彼の場合、ある時から急にここに移動した様な物だ。

 体こそ若返っている物の、精神は32歳くらいのオッサンなのだから。

 

 オラリオは彼にとって異世界である。

 と言う事は彼に関わる人、土地、記憶、リンクする物が何一つないのだ。

 ミアの店の食事は美味いが、和食は無い。

 タケミカヅチの眷属たちに彼らの国の料理を食べさせてもらった事もあるが、それっぽいがライトからすれば似て非なる物だった。

 

 これらがライトをじわじわと苦しめている。

 今は漸く、家族と言える者も増え、仕事を含めた彼の立ち位置は確立できている。

 それでもどこか拭えないお客様感はあるのだ。

 他人の家に泊まって完璧な熟睡が出来るだろうか?

 ライトが馬車馬の様に働くのは、そう言ういらんことを考える何も無い時間を嫌ったからというのもあるのだ。

 

 そこでライトは考えた。

 無いなら作るべ。

 シンプルなたった一つの答えである。

 そうなるとライトの動きは早い。

 

 翌日ヘスティアを伴って向かったのはデメテルファミリアのホーム「麦の館」である。

 デメテルファミリアはオラリオの台所を支える農業系ファミリアだ。

 広大な農地を持ち、そのシェアは恐ろしい程だ。

 主神であるデメテルとヘスティアは友好的な関係であり、ライトは主神を通して顔つなぎをしたのだ。

 その際には「ひとつよしなに……」とハイポーションの詰め合わせを渡すという周到さである。

 

 農作業では怪我も多いでしょう? 善意の人全開で。

 まあその後、気に入ったならミアハかディアンケヒトの所で手にはいりますぜ^^

 等と宣伝は怠らない。商売人は逞しいのである。

 

 ライトはデメテルと相談し、何が出来て何が出来ないのかを整理する。

 そも和食とは何か。

 定義は難しいが、シンプルに言うなら、旅館の和朝食に並ぶラインナップが無難な所か。

 味噌汁、白飯、香の物、納豆や焼鮭……そんな所か。

 

 すると味噌、醤油、出汁、これらが根幹にある事が解る。

 これらを基本に味付けしたなら、大概は和食感はあるだろう。

 しかしだ。

 素人が味噌や醤油は作れない。

 

 発酵食品はそんな甘い物じゃないのだ。

 WIKIで見た程度で出来る筈も無い。

 ましてライトの中の人はそんな都合の良いWIKIなど見る訳も無い。

 詰みである。

 

 ならば次善策だ。

 現代日本におけるという広義的な意味ではどうか。

 そう考えるとB級グルメと呼ばれるメニューはある意味で和食ではないか。

 

 ラーメン、餃子、チャーハン、ナポリタン。

 これらは皆、全部海外から伝わったメニューを、日本人が好む形に姿を変えた物だ。

 特にラーメンなどは海外からは日本食と認識されている。

 

 さらにはお好み焼き、焼きそば、タコヤキ。

 この辺も大豆系調味料が無くともいけるB級グルメだ。

 そうやって熟慮した結果、ライトが決めたメニューがお好み焼きである。

 

 さてお好み焼きとは何か。

 ベースは小麦粉だ。これは簡単に手に入る。

 出汁は魚粉で賄える。魚粉はニョルズに頼めばいい。

 イカやエビなんかも同じだ。

 

 山芋もライトが特徴を伝えると似た様な物もあるというし、当然の様にニンニクやショウガに該当する物も存在した。

 一番大事なキャベツなどは当たり前に売られている。

 なるほど、出来るじゃないかと言う結論に至ったライトである。

 つまり消去法の結果、残ったのがお好み焼きなのだ。

 

 次点で焼きそばも候補に挙がったが、麺の部分で断念。

 パスタはあれど、中華麺に相当する物が無いのだ。

 かと言って製麺を生業としている職人になんと注文していいかもわからないというのが決定的である。

 

 さてそうなると一番のキモはソースとマヨネーズだろう。

 マヨネーズは材料こそシンプルだが、工程が手動でやると厳しい。

 家庭で食べる分には出来なくも無いが、商売となると難しい。

 最終的にライトは、ソースのみでまずはやってみると決めた。

 

 そこでライトはデメテルに協力を要請。

 頼んだのはウスターソースである。

 ウスターソースはお好みソースやとんかつソースと比べると辛目であり、粘性もほとんどない。

 だがその万能さ、或いは汎用性は素晴らしい調味料だ。

 かつそのベースは野菜と香辛料であり、デメテルならば自分の得意な領域だろう。

 

 ライトは完成形の特徴を伝え、デメテルに丸投げした。

 その代わり完成した場合は、名称を”デメテルソース”とし、彼女たちに権利は与えるとした。

 対価としてライトは、ヘスティアファミリアが購入する場合、価格は原価でとの契約である。

 はたしてウスターソースは1週間ほどで完成した。

 

 その試食会でライトは野菜のフライを色々揚げ、串揚げの様にして食べさせると、デメテルがキャラ崩壊して狂喜した。

 

 ────これはっ売れるわっ!!

 

 まあ売れた。

 飲食店はもとより、冒険者にも。

 小瓶に入れて売る事で、味気ないダンジョン飯でもデメテルソースで美味しくなるのだ。

 そりゃあ売れるさ。

 そんな訳で準備は整った。

 

 そしてホームに戻ったライトは、お好み焼きを焼いて皆に振舞った。

 そこでキャラ崩壊を起こしたのが春姫である。

 

 ────これはっ、春姫はこの料理に出会う為に生まれたのですっ

 

 そう言って力強く拳を握ると叫んだものだ。

 お前の人生やっすいの~とライトは思ったが黙っていた。

 何故なら大人だからだ。

 リリルカは草生やし過ぎである。

 

 長くなったがこれをきっかけに、春姫は自分でこの屋台を営業し、人々にお好み焼きの素晴らしさを啓蒙するのだと決意したのである。

 言うなれば、春姫お好み焼き激熱メソッドである。

 どれだけステマしようが1ヴァリスでも売れなさそうだ。

 

 ライトはまあ自分で道を決めたのだと後押しした結果がこの屋台である。

 だがしかし、箱入りドーターである春姫は、壊滅的に不器用であった。

 これがメシマズ女なら目も当てられないが、幸い不器用さのみである。

 

 売り物となれば求められるのは商品に見合った価格で、飲食物なら満足感を得られる事。

 そしていつ購入しても同じ味である事。

 この2点は絶対条件だ。

 

 ま、この価格でいいんじゃね? というベタ過ぎる適正価格では駄目だ。

 んっ、ちょっち高いかな? けど金出してでも食べたいんじゃ^~、この位が理想だ。

 同じ味が云々に関しては、買うたびに味が違う様な不安定な物を誰が買うというのか。

 プロであるイコール安定した味、これは鉄則である。

 なのでまずは実験だ、と味見要員として今日はヒマだったリリルカと、丁度居合わせたティオナを招集したのである。

 

 因みに主神は未だ辞めずに続けているじゃが丸の屋台でいない。

 この危機回避能力にはライトも舌を巻いた。

 くそがっ、逃げやがって……理不尽過ぎである。

 

 結局この日は夕暮れまでお好み焼き実験が行われた。

 そして春姫は五日程かけてどうにか売り物になるクオリティまでは辿り着いた。

 だがしかし、ホームでのお好み焼きは金輪際禁止メニューとなったのである。

 

 不満そうに頬を膨らます春姫だが、ライトをして二度と喰いたくないと言わしめた。

 満腹ではどんな高級料理も不味く感じるとは良く言ったものである。

 付け加えるなら、アマゾネスの優れた嗅覚からか、ティオナはしばらくの間、竃の館には近寄らなかったという。

 

 

 ★

 

 

 ヘスティアはいつになく緊張していた。

 それもそのはず、今日はバベルの30階にある広間で恒例の神会(デナトゥス)が行われようとしているからだ。

 

 いつもの様に神々のしょうもない茶飲み話とレベルアップした子らの二つ名を悪ふざけとしか思えないネーミングを擦り付けるクソみたいなノリだけならまだいい。

 だが歓楽街の一件で眷属筆頭であるライトが動いた関係で、ロキとフレイヤに感謝を伝えるというミッションがあるのだ。

 

 いつもロクな事しかしないライトが珍しく純粋な人助けのために無茶をした。

 その事は心底嬉しいし、主神として誇らしくもある。

 ただそれはそれとして、生理的にあの二人は苦手なのだ。

 

 ヘスティアは煽り耐性が低い。

 そして腹芸をする知恵が無い。

 そう、どっちの神も鬼門なのだ。

 これがゲームなら、彼女たちは処女神特攻を持っているとしか思えない構図なのだ。

 分りやすく言えば特攻の乗る相手に宝具凸した弓ギルにWマーリンで英雄作成を乗せたエヌマ・エリシュと言えばわかるだろうか? その位に刺さる。

 

 しかし恐る恐る会場に来てみればどうか。

 ロキの姿は見える。

 いつもの様に天界の人気競技であるやきうの話で盛り上がっている。

 だがフレイヤの姿は見えない。

 大概は男神を侍らせては女王様ムーブを周囲に見せつけているというのに。

 

「やあミアハ、元気かい?」

「おおヘスティア。君のところの団長のおかげですこぶる元気だ」

「ははっ、それなら良かった。ねえ、それよりフレイヤは見たかい?」

「いやあの女神がいれば目立つが、今日は見てないな」

「ふーん……ま、次の機会でいいか」

 

 ミアハの姿を見つけたヘスティアは横の席に座った。

 それほど仲の良い神が多い訳でもない彼女は、大概はミアハかデメテルと隣り合わせる事が多い。

 しかし彼も今日は見ていないようだ。

 だがヘスティアが今日はロキだけにしとくかと思った時の事だった。

 

 ~~~っ!!♪ ~~~~っ!!♪

 

 会場に凄まじい音量で聞き慣れない音楽が流れた。

 反射的に神々はそっちを見た。

 しかしヘスティアは見なきゃよかったと後悔する。

 それどころか凄まじい勢いで胃液が逆流してきた。

 

「ど~も~ピッカリネットリですっ。よろしくお願いします~」

 

 部屋の奥から黒いスーツ姿のライトが現れ、にこやかにそう言った。

 そしてその後ろからゆっくりと白いドレス姿のフレイヤが現れ、

 

「えー今日もライト&フレイヤで頑張って────

「皆さま、夢でお会いした以来ですわねっ」ドヤァ

「そりゃ皆さまだいぶ冷や汗をおかきになったかと思いますがね」

「────ヘッ」キメガオ

 

(な、なななっ、何やってるんだいライト君!? 何故キミがフレイヤと!? というかフレイヤ、なんでドレスの上からピンク色のベストを着ているの!?)

 

「今日もね、この人と楽しく、漫才をしていければと思います」

「おとめ座かっ」

「いえ、さそり座ですけどね」

「へっ」

「実は私、地下の部屋に寝ているんですけどね、流石に辛気臭いなって思いまして、明るい部屋に移動しようか迷ってるんですよ」

「あらぁそれは早く移動した方がいいわぁ。健康によくないもの」

「……なんでスクワットしてるんですかね。ゼスチャーの意味が分からないですけども」

「あ~↑ あ~↓ あ~↑」

「なんで急に発声練習をしましたか。美の女神だからとかですか? それはさておき、部屋と言えば今日いらっしゃってる神々の皆さまは、そりゃあ素敵な豪邸に住んでるんでしょうねえ~?」

「馬小屋以下よっ!」

「失礼すぎるだろっ。謝んなさいよ。神だから傲慢ですとか許されないから」

「ごめんなさ~い♡」テヘペロ

「軽い。軽すぎて逆に煽りみたいになってるから。それ普段の貴女だから。まあでもフレイヤ様が珍しくごめんなさいしているんだから皆さま、許してあげ下さいねっ」

「ただアポロンだけはどうでもいいわっ主に顔がムカつくしナルシストなのがキモい」

「やめなさいって。別に間違ってはいないけども」

「うい」

「まあ地下の部屋ってね、窓がないもんだからとにかく暗いんですよね」

「貴方のホームの匂いも臭そうよね。乳臭いっていうのかしら? 主神が処女神だけに」

「うちの主神をディスるんじゃないよ。そして上手い事言ったつもりかっ」

 

 こうして突如始まったライトとフレイヤによる謎の漫才により、退屈な神会は普段の三割増しで盛り上がったそうである。

 ライトが色々ネタを仕込んだ様だが、フレイヤのアドリブで大喧嘩からのキスのネタが炸裂し、一同大爆笑だったものの、キレたヘスティアが乱入しあわやキャットファイト寸前。

 

 これは不味いと機転を利かせたライトが、じゃあ私がこの責任を取って謝罪します! いえ私がするわっ! いやボクがするよっ! どうぞどうぞと鉄板ネタが決まり、和やかな雰囲気で神会は終了したのである。

 

 因みにこれは神々に好評で、影の薄いウラノスが強く提案し、毎年年末に各ファミリアの有志を集めて漫才のオラリオいちを決める大会、神ー1グランプリが行われる事になったのは余談である。

 

 さて、フレイヤのご乱心は一体なんなのか。

 それは例の一件まで遡る。

 

 あの日フレイヤはメンツを重視してライトの口車に乗る形で矛を引いた。

 その後ギルドを介してイシュタルより謝罪が届き手打ちとなった。

 イシュタルは約定通り嫌がらせの手を引き、それ以降一切かかわってこない。

 だが問題は、落ちてしまったフレイヤの評判である。

 

 本人は真顔で”去る者に興味はないわ”と切って捨てた。

 けれど割と影響は大きかったようで、本人も実は結構気にしていた。

 

 しかしフレイヤはイシュタルの神殿からの去り際、ライトにこう耳打ちしている。

 

 ────今回は貴方に乗ってあげる。でもこれは貸しよ? いずれ取り立てるから覚悟なさいな。

 

 完璧な女神様ムーブでそう言った。

 その貸しを早速回収したのだ。

 ライト、私の評判をどうにかしなさい、と。

 

 ライトは悩んだ。

 そりゃそうだ。ビジネスならどうにかするが、評判って。

 広告業に馴染は無いし、イベントプランナーの経験も無い。

 どうすんだコレ……と。

 

 追い込まれたライトはだんだん腹が立ってきた。

 そもそも貸しって何だよ。

 むしろお前が自滅しそうだったじゃないか! と。

 

 構図的には正しい。

 だが神とはメンツを重んじる。

 故に丸め込まれたライトが悪いのだ。

 とは言え天下のフレイヤファミリアを敵に回す訳にもいかぬ。

 今のオレには家族が増えたんだと決意したライトが捻りだした答えは……

 

 

 

 

 

  

 

 もうどうにでもな~れ

 

   *゜゜・*+。

   |   ゜*。

  。∩∧∧  *

  + (・ω・`) *+゜

  *。ヽ  つ*゜*

  ゛・+。*・゜⊃ +゜

   ☆ ∪  。*゜

   ゛・+。*・゜

 

 

 

 

 ヤケクソになったライトは、これが人間界における対人関係での最大の特効薬、そう”オワライ”であると言い放ち、オッタルがキャラ崩壊しながら女神よもう止めてくださいと縋りつくレベルで漫才の稽古をした。

 

 しかしフレイヤ、存外この漫才が気にいり、気が付けば毎晩ライトを呼びつけ稽古に励んだ。

 こう別人になったようで気持ちが良かったそうな。

 コンビ名のピッカリネットリは安直過ぎるが、ピッカリがライトでネットリがフレイヤである。

 ライト命名だが、あんた粘着質だしネットリでええやろと大概シツレイである。

 

 これでフレイヤはかつての人気を取りもどし、貸し借りなしとしてヘスティアに感謝を述べさせる必要も無くなったのである。

 

 因みに満面の笑みでホームに帰ってきたライトに、ヘスティアは真顔で”二度とやるな”とマジ切れしたとかしないとか。

 それは彼女の名誉のために語らずにおこうと思う。

 




ライトに関わるとギャグ要員にされる。これ豆な

蒼き鋼のアルペジオにおける従順タカオと同じ様な物です。

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