【本編完結】原作に関わりたくない系オリ主(笑) IN ダンまち   作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)

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微エロ入るので苦手な人は回避推奨


誰か感想でロキがデレると云々とか書いたでしょ。
全部そいつが悪い。私は悪くない。


地味な眼鏡っ子が素顔になると可愛い的なアトモスフィア

 ◇◆悪神ロキ被害者の会。トリックスターに正義の鉄槌を◆◇

 

「ま、また他のファミリアがうちに集まってるよ……しかもロキのとこの……」

 

 ヘスティアが朝起きてくると、リビングにはあの忌々しいロキファミリアの幹部たちがいた。

 しかも綺麗どころが集まり、ライトを囲んでいる。

 結構な頻度でやってくるフレイヤファミリアも中々にアレだが、ヘスティアはあの胡散臭い女神とまともに舌戦しても胃がもたれると学習し、スルースキルを覚えた。

 が、また増えるとか聞いていない。勘弁してよと天を仰ぐ。

 

「あ、神様。今回は気にしなくてもいいと思いますよ?」

「おやリリルカ君おはよう。つまりどういうことだい?」

「ま、聞いてれば分かりますよ。むしろ面白いですっ」

「へ、へえ……リリルカ君、その笑顔はや、止めた方がいいかなぁ……?」

 

 物陰から眺めていたらしいリリルカがダイニングテーブルの下から現れヘスティアを諭す。

 しかしゲス笑いにドン引きするヘスティアであった。

 

「だからライトにも力を貸してほしいのだ。正直女性陣は辟易している。だがロキは我々にとっては母親も同然。なので無下にするのも心が痛む」

「……ロキは好きだけどステイタス更新のたびに変な所を触られるのは嫌」

「うんうん、あたしはライトだけにしか触られたくないもん」

「同じく。団長以外に触れさせるなんて虫唾が走るわ」

「わ、私はアイズさんのなら触っ、いえロキはけしからん、それ一番言われてますからっ!」

 

 おいガチレズは座ってろ。

 百合はホモ、はっきりわかんだね。

 

 それはそれとして、ロキファミリアの華とも言えるリヴェリアを筆頭にアイズ、ティオネ、ティオナ、レフィーヤが真剣な顔でライトに相談している。

 そもそも彼が何故この件で頼られているかと言えば、偏に神をも恐れぬ傍若無人なキャラと認識されているからだ。

 

 ライトの狡猾な所は、ただ神をぞんざいに扱うだけではなく、きちんと方々の神の信頼を勝ち取る行動もしている所だ。

 故にロキやフレイヤと言った割と悪名の方が多い女神を少々弄った所で”あの神ならしゃあねえわ。自業自得、インガオホーよな”と周囲も納得するのである。

 

 実際イシュタル相手などは扱いが違うのだ。

 あの騒動の後からライトは、ちょくちょくイシュタルと情報交換がてら飲んでいる。

 一応あの件に関しては、元々彼女がフレイヤに嫉妬し、仕掛けた構図だが、それでも吐いたツバを無理やり飲ませた様な結果に収まっている。

 

 ただ諫めたのが同じ神では無く、ただの人間と言う事であれば話は違う。

 メンツの問題があるのだ。

 故にあの件の真実については緘口令が敷かれており、ライトも2柱とギルドに対して口を開かない旨の誓約書を提出している。

 これはライト側から提案した事で、小さな憂いを残さない為の配慮だ。

 

 とは言えきちんと筋を通す姿勢にイシュタルも軟化し、ライトに目をかける様になった。

 そう言う流れから時間があればサシで呑む様な関係になっていた。

 しかしイシュタルは奔放で淫蕩な神だが、ライトとは歓楽街を見下ろしながら雰囲気を楽しむのみにとどまり、大人ないい関係と言えるだろう。

 これには彼女の配下たちも目を瞠る程だ。

 

 そしてイシュタルは神会などでその事を自慢気に話す物だから、自然と彼は他の神からも知らないうちに一目置かれる結果となり、それらを差し引きすると、悪評よりもそっちが上回るという事なのだ。

 何とも憎たらしい男である。

 

「うーん……まあ無理じゃね? あの神の性癖っつーかさ。言ってしまえばオッサンじゃんロキって。具体的な行為を迫るでもなく、ただ乳揉んだりするだけだろう? そんなの言って聞くならとっくに反省してるだろ」

 

 皆なるほどと押し黙る。凄い説得力だからだ。

 当たり前だ。偉そうに言っているこの男もまた、行為未満のセクハラをこよなく愛する腐れ外道なのだから。

 おい、お前ら騙されてるぞ。ヘスティアは訝しんだ。

 

「だがなライト、最近はかなりエスカレートしているのだ。それに種族の思想もあってか、どうしてもこの件では我慢ならぬのだ、先日など────

 

 

 

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 CASE.1 リヴェリア・リヨス・アールヴの場合

 

「ふう、今日も中々ハードだったな。明日は若手の指導もあるしそろそろ寝るか……」

 

 深夜、リヴェリアは自室でそう呟いた。

 だが言葉の内容とは裏腹に、その顔は満足気である。

 それは若手が最近やる気を見せ、着実に力をつけているからだ。

 

 神々にも劣らない美貌を持つと言われる、ハイエルフの王族であるリヴェリアは、世界中を旅がしたいという目的で故郷を出た。

 それを叶える為の手段として、彼女は冒険者になったのだが、その夢を諦めた訳ではない。

 故に後継者としてレフィーヤに目をかけており、いずれは自分の地位に彼女を据え、また旅に出ようと考えている。

 

 ただ気質はやはり王族であり、責任感は誰よりも強い。

 だからこそ目的はあれど、副団長として団員達には強くなってほしいと誰よりも願っている。

 強くなるというのは、逆に言うと死に辛いという意味だ。

 ダンジョンは一つの油断で簡単に命を落とす。

 

 なので彼らを鍛えるのは、ロキファミリアとしての成長と言うよりも、彼らに死んでほしくないと言う想いの方が強いのかもしれない。

 それが口で言わずとも周囲に伝わっているからか、彼女はロキファミリアのお母さんと思われている。

 そんなリヴェリアが寝間着に着替えてベッドに入り、灯りを消した……。

 

「むっ、だ、誰だっ……」

「ひひっ、うちや。リヴェリアママに添い寝してほしい思て来たんや」

「なっ!? ロキ、いつの間に!? ええい自分の部屋に戻れっ」

「ああ^~ママの肌すべすべで気持ちいいんじゃ^~」

「やめろぉ!? 肌着の中に顔を突っ込むなっ!!!」

「暴れんなや、暴れんなや……ええやん、一緒に寝るだけやん……」

「ちょ、そこを舐めるんじゃあないっ……はぅっ……」

「いひひひ、ええ声で鳴くやんママ」

「ママ言うなっ……ひぅっ」

 

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「こ れ は ひ ど い」

 

 一同絶句である。

 乳を揉むだけなんてレベルでは無かった。

 入ってないだけで実質入ってるやん。

 後ろで潜んでいるヘスティアとリリルカが草を生やしまくっている。

 因みに春姫はカレーの探究にデメテルの所だ。

 

 一同が溜息をつく中、そう言えばとティオネも参戦してきた。

 

「リヴェリアも結構苦労してるのね、でも私なんか────

 

 

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 CASE.2 ティオネ・ヒリュテの場合

 

「ふー今日も疲れたな~後でライトの所に行こうかな~! んじゃティオネ、先に上がってるね」

「ええ、私はもう少しここにいるわ」

 

 黄昏の館のシャワールーム。

 ティオナが先に出ていくと、そこにはティオネ一人のみ。

 既に他の女性団員達は引き上げている。

 

「はぁ……それにしても団長は全然振り向いてくれないわね……」

 

 熱いシャワーを浴びながら彼女はそうボヤいた。

 強い男の子種を無意識に欲するアマゾネスだが誰でもいいという訳ではない。

 惚れたら一途となり、他が目に入らなくなる。

 ヒュリテ姉妹も同様で、それぞれ愛しい男がいる訳だが、如何せん彼女の場合は旗色が良くない。

 

 どれだけフィンに惚れようが、向こうは飄々としてそんな雰囲気には一向にならない。

 妹のティオナが、あんな子供っぽいのにしっかりと相手を射止めている事を考えると、彼女はどうも焦りを覚えてしまうのだ。

 

「んっ……ここだって、結構自慢なのになぁ……」

 

 何となく豊満な胸を持ちあげてみる。

 ティオナと違って彼女は抜群にスタイルが良い。

 褐色の肌に整った顔。細いウエストに健康的なヒップ。

 グラマーな美人と言う感じだろうか?

 

 冒険者たちの間での人気はアイズが圧倒的だ。

 美しく強い。凛とした雰囲気。だがそれは主に格好良い女性像というイメージだ。

 しかし逆にティオネは男性が求めるセックスアピールを高い次元で持つ女性と言うイメージで、実は密かな人気を誇っている。

 

 ただフィンにはフィンの目的があり、中々色恋に意識を向けないのだ。

 とは言えティオネは、そんなフィンだからこそ愛しているのであり、結果ジレンマに苦しむ。

 

「むう、団長ならここを好きにしてもいいのに────」

「せやなぁ……こんなん弄らずにおれんわ。ああ^~ティオネのお山に登りたいんじゃ^~」

「ちょロキ!? どこから現れたのっ!? って止めなさいっさ、触るなぁ~」

 

 どこからかロキが現れ、石鹸でぬるぬるの手でティオネを鷲掴みである。

 もがくティオネだが、本気で暴れたらロキがヤバい。

 それだけに抵抗もあまりできず、ロキの指が食い込んでいく……そしていつしか────

 

────────────────────────────

 

「と て も え ろ い」

 

 一同絶句である。

 レフィーヤがここは今後の為に、その後どうなったかを詳しく話すべきと主張したがスルーされた。

 ただここまで酷いとは思わず、ライトも思わず顔を顰めた。

 そのせいか、膝の上にいるティオナの尻をつい撫でてしまったのも仕方ないだろう。

 

 重苦しい雰囲気に包まれるリビング。

 だがそんな中、アイズが名乗りを挙げる。

 

「ライト、聞いて。私も困っている────

 

 

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 CASE.3 アイズ・ヴァレンシュタインの場合

 

「ロキ、更新をお願い」

「おっ、アイズたん。今回も頑張ったんやな。ええよ、ほな脱いでベッドに横になり」

「……うん」

 

 夜、ロキの部屋を訪れたアイズは、いつもの様にステイタスの更新を頼む。

 そんな彼女を母親の様な慈愛の目でロキは受け入れた。

 目に入れても痛くない、そんな風にロキはアイズを可愛がっている。

 

 アイズがロキの眷属になったのは7歳ころの事だ。

 姿を消した両親。

 いくつも事情があり、彼女は強くなりたいと願った。

 それはある種の強迫観念とも言えるレベルで、結果無茶をして8歳でレベル2に昇格している。

 

 普通の人間の子供ならとっくに死んでいただろう。

 要は努力でどうにかなる話じゃないのだ。

 それに関してはアイズ自身の資質や流れる血の恩恵だろう。

 とは言え、才能があれど凶悪なモンスターと対峙して尻込みしない7歳児などいる訳がない。

 だからこその強迫観念なのだろう。

 

「ほな更新するで。楽にしとき」

「わかった」

 

 部屋着を脱ぎ去り上半身を露わにしたアイズがベッドにうつぶせになり、その上にロキが跨った。

 これは特別な事では無く、神の血を持って背中に神聖文字を刻むのだ。

 

「うーん……ま、この前レベル6になったばかりやし、それほどアビリティの数値も変わっとらんな。ま、書きだすさかいじっくり見とき」

「うん、ありがとロキ。じゃあ降りて」

「いや待ちいなアイズたん。む、これはなんや。ちょっと読まれへんわぁ……ちゃーんと確認するしもうちょい待ってな?」

「……うん」

 

 アイズの背中でごそごそ音がする。

 彼女は不審に思ったが、大事な自分のステイタスの事だ。

 とりあえずは静観する事にした。

 だが、

 

「ああ^~アイズたんの背中めっちゃ気持ちええんじゃ^~」

「なっ、ロキ?! どうして覆いかぶさってきたの?!」

「堪忍やアイズたん。もう我慢でけへんかったんや……アイズたんも悪いんやで。こんな綺麗な背中とかありえんわ。あかんあかん……」

 

 あかんのはお前の所業であろう。

 あろうことかロキは自分も上半身を露わにし、直にアイズに抱きついてる。

 控えめに言って変態そのものだ。

 

「目覚めよっ」

 

 ただし真面目なアイズに冗談は通じなかった模様。

 

 

────────────────────────────

 

「こ れ は ギ ル テ ィ」

 

 一同のセリフがユニゾンした。

 さらに重苦しい雰囲気が周囲を包む。

 これはセクハラレベルでは収まらないのでは? 一同は訝しんだ。

 なぜなら神と言う権力をかさに来たパワーハラスメントでもあるからだ。

 

 ────こんな事、許せないだろッ!!!

 

 義憤に駆られたライトは、怒りのあまり膝の上のティオナの胸を揉んだ。

 

 こうしてロキセクハラ被害者の会は終了した。

 因みにあたしもー! と名乗りを挙げたティオナは、いまいち意味が分かってなかったのか、この前ライトとデートをしたんだと謎の惚気を披露し、何故か対抗心を燃やしたレフィーヤが、アイズとの混浴の際にいかにアイズの身体が美しいのかと自分の見解を披露したが、今回のケースには当てはまらないと判断される。

 その際レフィーヤはアイズに”暫く近づかないで”と真顔で言われ、ギャグマンガみたいな描写で泣いていた。

 そして、

 

「分かった。これは流石に別ファミリアだからとか言っている場合じゃない。なあ神様よ、ここはオレが出張ってもいいだろう?」

 

 ライトが頼もしく拳を握り、ヘスティアも強くうなずいた。

 

「うん、ライト君、これはきちんと叱らないといけないよ。だから君に任せたッ!!」

 

 こうしてライトによるロキ改心作戦が始まったのである。

 

 

 

 ◇◆えくすきゅーしょん~死刑執行~◆◇

 

 

 夜の帳が落ちたオラリオ。

 バベルが放つ妖しい光と、歓楽街から漏れる光線が街並みを照らしている。

 

 既に通りを歩く者は少ない。

 だが、そんな人の気配のない夜の街を歩く男女がいた。

 

「ほ、ほんまにええんか? あの店、結構な値段するって話しやろ?」

「気にしなくてもいいよ。僕が貰ったところで意味がないからね。だってあそこは淑女が集まる店だよ? なら日頃の感謝の意味を込めてロキに権利を譲るって訳さ」

「フィン~アンタ、ほんまええ子やわぁ……ほな、子の好意を無下にしてもあれやし、せいぜい楽しませて貰うわ。いっひっひ」

「ああ、そうすると良い。ロキの好みは事前に話してあるからね。後は店に任せればいいさ」

「なんや恥ずかしいわぁ……」

 

 ロキとフィンである。

 主神をエスコートする小さな騎士と言う感じか。

 ロキは普段のカジュアルな装いとは違い、今日は赤いドレスを着ている。

 何故かと言えば、あのVIP級の淑女しか入れないと言われている話題の店”ソーマ’sシャングリラ”の特別招待券があるからだ。

 

 経緯は今朝の事だった。

 ロキの部屋にやってきたフィンは、次回の遠征の計画について細々とした相談をしたのだが、ふと今夜なにか用事があるかと聞いて来た。

 彼女には特に用はなかった。

 前回の遠征もかなり前の事であるし、ステイタスの更新の順番待ちもいない。

 するとフィンが言ったのだ。

 

 ────実は次回の遠征用の消耗品の発注をした際に、一定の金額に達した事でその店のオーナーから、ソーマの店の招待券を貰ったんだ。

 それによると、どれだけ神酒を飲んでも無料で、人気の高いホストを貸し切っても無料だって言うんだ。

 せっかくだしロキ、行ってみたらどうだい?

 一応うちの女性陣にも聞いては見たが、皆が口をそろえてロキに恩返し代わりに行ってほしいって言うんだよ。

 

 ロキは感激した。涙を流さんばかりに。

 これは二つの意味でだ。

 眷属たちの健気さと、神酒飲み放題と言う事柄で。

 そうしてロキは店についた。

 

「お待ちしておりましたロキ様。本日はフィン様より最高のサービスをと言いつかっております。ではさっそくこちらへ。フロアのVIPエリアでは無く、最高の客の為の個室タイプなVIPルームをご用意してございます」

 

 かなりレベルの高い容姿のダークエルフの黒服がロキに綺麗なおじぎをした。

 一瞬でふわぁ~と舞い上がるロキ。

 初めて味わうホストクラブの雰囲気に思わず上気した。

 見ればフロアでは淑女たちが恋人たちの睦みあいめいたサービスを受けているのが見える。

 

 ────マジかぁ……こんなイケメンにあんな事されるんか? ヤバいやん。うち、お風呂入ったよな? 汗臭くないやろうか?!

 

 完全に舞い上がっている。

 別にここは男娼を買う店では無い。

 そして黒服にエスコートされたロキがやってきたのは、なるほど女神を迎えるにふさわしい豪華な内装の一室であった。

 

 黒服はゴージャスな金色のソファーの上座にロキを座らせると、飲み物や肴が出そろうまで横につき、無言の間でロキを退屈させないようにお喋りを続けた。

 その間彼は、嫌味にならない程度に軽くロキの膝に手を置いており、彼女はまるで心臓が爆発するのでは? という程に緊張をした。

 そこにノックの音がする。

 

「お待たせしてしまって済まないな。こんな綺麗な女性を退屈させた私を許してほしい。横に座っても?」

「あ、ああ、ええよ……」

「ありがとうレディ。私の名前はプラッド・ブット。プラットと呼んでくれ。今日の私の最初で最後の恋人、貴女の名前を聞かせてくれるだろうか?」

「え、えっと、そのな、えっと、ロキ言います。えっと最後の恋人って何?」

「ありがとうロキ。ああ、それはね、今夜は君が帰るまで私はどこにもいかないからね。それに、君との逢瀬が終わった後で、他にどんな女性だろうと私の心は冷えていくだけだ。だから今日、君の時間を全て僕が独占するよ」

「~~~~~っ!!」

「ははっ、赤くなって可愛いな。まずは乾杯をしよう。今日と言う奇跡が起きた事を祝おう」

「うううっ~~っ!! なんや恥ずかしいわぁ……」

 

 いつの間にか黒服はいなくなっており、真っ白なスーツの男が入ってきた。

 ノータイのシャツの胸元は大胆に開かれており、その中に見える筋肉質の胸板が見える。

 プラッドと名乗ったホストは、清潔そうに短くカットした金色の髪で、その整った顔は野性味がある。

 いかにも男の色気と言う雰囲気が全身から出ている。

 

 プラットはごく自然にロキの横に滑り込むと、彼女の手を握り、自己紹介を始めた。

 だが薄く微笑みながら、至近距離で常にロキを見ている。

 普通であれば馴れ馴れしいわ! と拒絶しそうな物だが、慣れない雰囲気と、控えめに言ってもカッコいいだろうプラットが見つめる視線の魔力にぼーっとなってしまった。

 

 ────まるで生娘みたいになってもうた。なんやプラッド。憎たらしいわぁ……

 

 その後プラットは事あるごとにロキを口説いた。

 褒めるという風では無く、文字通り口説いている。

 とは言えそれは下心が見える品の無い物ではなく、とにかくロキのいい部分を褒め、そんな貴女に出会えた自分は幸せなのだと笑う。

 

 気が付けば二人の距離は近くなり、いつもは口数の多いロキが、プラッドの肩に体重を預けながら、静かに指を絡ませていた。

 

「……なあプラッド。うち、今日、帰りたないわ」

「それはいけないな。こんな素敵な女性がそんな事を言ったら、私は君を返したくなくなるじゃないか」

「ええよ、それでも。今日であったばっかりなのに、なんやもう、切ないねん……」

「ふふっ、私も一緒さ。ほらロキ、聞いてごらん?」

「なっ!?」

 

 伏し目がちに呟くロキを抱き寄せるプラッド。

 目を白黒されるロキだが、露出している彼の胸板に頬が当たった瞬間、頭がスパークする。

 

 ────あかん。うち安い女ちゃうのに……あかんて、プラッドめっちゃええ匂いするわ……

 

「ええんよ。プラッド、うちを攫ってや?」

 

 そしてロキは涙目でプラッドを見上げながら降伏した。

 その瞬間の事だ、

 

「「「「「ドッキリ大成功!!!!」」」」」

 

 リヴェリアを筆頭としたロキファミリア女性陣が入ってきたのは。

 ご丁寧に「大成功!」と書かれたプラカードすら持っている。

 因みに持っているのはアイズだ。よく分かってない顔で。

 

「んじゃタネ明かしだよ! えーい!」

 

 そして手に何かの箱を持ったティオナがプラッドに向けてボタンを押す。

 すると何という事でしょう!

 さっきまでオー〇ャンズ11とかに出ていそうな風貌だった彼が、今はライト・ニンジャではありませんか!

 勿論これは骨ことフェルズ製作のマジックアイテムで、フェイスチェンジの効果がある。

 

「…………………」

 

 だが無言のまま、じーっとライトを見つけ続けるロキ。

 首を傾げる一同。

 

「な、なあロキよ。これはちょっとした悪戯なんだが。普段の素行に対してのちょっとした意趣返しというか……だからもう離れてもいいんだぞ? それどころか怒ってもいいんだぞ?」

 

 恐る恐るそう告げるリヴェリア。

 が、

 

「ライト、あんた、こうしてみると結構ええ男なんやな……騙されたんわ理解したけど、けど、けどな? このまま騙し続けてくれてもええんよ?」

 

 そう言ってロキは目にハートマークを浮かべたまま、ライトに戻っているライトに抱きついた。

 

「「「は~~~~~~~~っ!?」」」

 

 騒然とする室内。

 

「お、おいロキ。冗談は糸目だけにしような?」

 

 慌てるライトだが、

 

「それでもええ言うてくれたやん? うちもな、いっつもセクハラばっかしとったけど、こうして女として愛される喜びっちゅーんかな? 結構憧れててん……せやしライト、逃がさへんよ♡」

「ちょ、おまっ、ちょっ!?」

「だ、駄目だよロキっ! ライトから離れてー!」

 

 ロキはそのままヒシっとライトの腕に身を絡ませたのである。

 あまつさえ控えめな高尾山を押し付けてすらいる。

 

 実はロキ、あまりの緊張でガバガバと神酒を飲んでいた。

 読者の皆様は覚えているだろうか?

 本気を出した神酒はヤバいという事を。

 

 現在のソーマの店では神相手でも希釈して出すルールになっているが、VIPルームと言う事で、ホストが割ってサービスをする様になっている。

 なのでここには原酒があったのだ。

 いつの間にかロキはそれを手酌で呑んでおり、現在に至る。

 

 つまり神酒でやられた頭で延々とライトに口説かれていたのである。

 引きはがしにかかったティオナにキレたロキは、最終的には暴走し、その場で全裸になるとライトにとびかかった。

 

 慌てたライトが反射的にロキの首に手刀をして気絶させ大事には至らなかったが、協議の結果、今日の事はなかった事にしようと言う結論になったのである。

 

 以降、この痴態については緘口令が敷かれ、皆は口を閉ざした。

 それとロキが吐露した切ない思いを聞いてしまった気まずさか、これ以降、女性陣はロキのセクハラに少しだけ寛容になったのである。

 

 それと、

 

「おうライト! 元気やったか? まーたアイズたんが我儘言うてな? ちょっと来てくれへんやろか?」

「お、おう、いいぞ。それよりもロキ、風邪とか引いてないか? 最近寒いし気を付けろよな」

「なんやアンタ、何か変やで? ほら、ノリ悪いて!」

 

 ライトは暫く罪悪感を感じ、ロキに優しくしたという。

 

 

 

 




別の話書いてたのに、これは1時間で書けた。
あれ、もしかして私ってロキ好きなのかしら(錯乱)

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