【本編完結】原作に関わりたくない系オリ主(笑) IN ダンまち   作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)

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本編執筆中に書いて忘れていたエピソードをサイドストーリーとして投稿してみるテスト
時系列的には春姫関連の後くらい?

「(ギャグは)ねぇよ、んなもん」


愛にはエロスとアガペーと言う物がございまして

 深夜の西地区の大通りを歩く。

 こんな時間には誰も歩いてなんかない。

 だからあたしの足音だけが響いて気持ちがいい。

 

 でもそれと同時に何かとても煩い音も聞こえるんだ。

 どこだろう? 凄く近い。

 周りは静かなのに凄く煩い。

 嗚呼、そうか。

 あたしの胸の中からだ。

 

 あの人とちゃんと話す様になったのはどんなきっかけだったかな?

 そうだ、あの遠征に向かう道中で、その仮面はどうしてつけているの?

 何となく気になってそう問いかけた。

 だからきっかけなんて他愛も無い話だ。

 

 評判は知っていた。

 というかミア母さんの所で初めて見かけた時は強烈だったしね。

 あのミア母さんが固まるってよっぽどだよ。

 色んな意味で皆から一目置かれる女傑だもん。

 ······あ、そっか。そこから目が離せなくなったんだ。

 

 彼、ライトは仮面の事を言うと、「ん? これ? いや別に取れるけど」と普通に外してみんなが爆笑してたな。

 綺麗な顔してるなーって思ったけど、強そうな感じはしなかった気がする。

 大きな荷物を背負って、のしのし歩いている。

 

 でもあの時、いつもの悪い癖で先走っちゃったあたしを護ってくれた。

 驚くほどに強かったけれど、そうじゃなくって……。

 いつも笑っていなきゃいけないあたしが真顔になって、頭も真っ白になって、ライトが身代わりになって。

 でもその後、何もなかったようにあいつは笑ってた。

 

「経験値ウマー」

 

 そんな事を叫んでた。

 それを見ていたらなんだか全部どうでもよくなった。

 あのピンチの後、あいつはあたしに駆け寄り、あたしの身体中を顔から外した赤い布で拭いてた。

 

 何してるの? って聞いたら、触手や粘液はまずい。怪我はないか? って。

 もう大丈夫って言っても傷があったらまずいって慌ててたな。

 冒険者だもん怪我なんて慣れてるのに。

 お母さんかな?

 

 ライトはあの本のアルゴノゥトとは違うけれど、何だかとっても気になっちゃう。

 ティオネに聞いたら呆れたように溜息をついてた。

 分らなければあの男の傍にいてみなさい。きっとわかるわ。

 そんなアドバイスをくれたけど、その5倍くらい団長の話を聞かされて疲れちゃった。

 

 だからあたしは傍にいてみる事にした。

 次の遠征まで時間は結構あるし。

 だから夜なんだよね。

 だってさ、面と向かったら何話していいかわかんないもん。

 

 靴はぽーい。

 ひたひた。

 よーし足音は大丈夫。

 

 あとはそろりそろりと忍び込む。

 ライトの部屋は地下にある。

 なんか落ち着くんだってさ。

 ヘスティア様とリリルカは上だから、ここまで来ればもう安心。

 

 そしてドアを開ける。

 いた。

 口をあけて寝ている。

 綺麗な顔なのにおじさんみたい。

 

 そっと横に滑り込んで。

 ライトの腕に自分の腕を絡める。

 女の子みたいなすべすべの肌だなあ。

 ひんやりとしたライトの体温が火照ったあたしの肌に触れるとゾクゾクするほど気持ちがいい。

 

 ああ、このままこうしていたいなぁ。

 ティオネが言っていた気持ちはよく分かんない。

 けどあたしはこの場所が好きかも。

 なんでだろう。

 

 わかんないから、繰り返しここに来てみればいいよね。

 うん、そうしよう。

 ここはあたしの場所、それでいいじゃん。

 うんうん、それがいい。

 

 だからライト、起きちゃダメだからね。

 

 

 

 ☆

 

 

 

(まーたあの痴女が来てたみたいですね……)

 

 沸き立つ言い知れない黒い何かを必死で押し込める。

 あの女が帰っただろう朝方、ここからが漸くリリの時間なのだ。

 

 ライト様は陽が昇るまでは絶対に起きない。

 だってリリがそうしたから。

 

 彼は寝る前に必ずココアを飲む。

 それだってリリがそうしたからだ。

 

 ある日の夜、お手洗いに立ったリリはライト様と鉢合わせた。

 なんだか寝つきが悪いから、温かい物でも飲みたいらしい。

 なのでリリが淹れてあげると、リリの淹れたココアはおいしいとライト様は笑った。

 リリは嬉しくなって次の日もそうした。

 それがいつの間にか毎日の定番になっていた。

 

 だから────ちょっとしたお薬をいれた。

 

 仕事でナァーザさんと話す様になって、想い人への苦労で共感して。

 そしたらぐっすりと眠れるだけの効果しかない薬があるって。

 ライト様は目を離すとすぐにどこかに行ってしまいます。

 だから、リリはちゃんと眠ってほしいと思ったんです。

 

 ほかほかのココアに小瓶の薬を数滴。薬は無味無臭で直ぐ溶けます。

 嗚呼、ライト様がいつもの様に褒めてくれました。

 だからライト様────ごゆっくり夢の世界へ。

 

(……スッ、スウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ…………)

 

 眠っているライト様の胸を肌蹴てその逞しい胸板に縋りつく。

 そして思いっきり息を吸い込むと、頭がくらくらと溶けそうになった。

 

 筋肉の重なる溝をなぞりながら筋張った首筋に辿り着く。

 どくどくと脈打つそれにゆっくりと、絶対に痕が残らない様に甘噛みする。

 

(ああ、ああっ、もしこれを、思いっきり噛むことが出来たなら、リリはどうなってしまうんでしょう)

 

 噛んで、歯形がつけば、ライト様はリリの物ってわかりますよね。

 でも、でもでも、もしそのまま歯を押し込んだなら。

 

 身体の震えが止まりません。

 駄目なのに。

 ちょっとだけ。あと少しだけですから。

 嗚呼、歯にちょっとだけ力を込める。

 

(熱い。押し返されそうだ)

 

 慌てて顔を離して胸に顔を埋める。

 危なかった。

 我慢できなくなりそうでした。

 

 でもこれなら許されますよね?

 薄くて、でも下唇だけ少し厚いライト様の唇。

 寝息に半開きで、舌がぬらりと見えている。

 

 その唇をリリの唇でそっと咥える。

 ただそれだけで何度か頭が真っ白になった。

 ライト様の蠢くそれをちろりと舐めてみる。

 身体が麻痺した様に弾けそう。

 

 だからリリの舌をうんと伸ばして絡めてもみる。

 いけませんリリの唾液が零れてしまいました。

 ぬらりとしたそれは、ライト様のと混ざり合う。

 あそこのカクテルよりも甘美な飲み物。

 

 でも、今日はこれで我慢しましょう。

 リリは、貴方の一番にはきっとなれない。

 でも、貴方が召されるその日まで、リリはお傍にいます。

 だから一番じゃなくても大丈夫なのです。

 

 でも、いつか。

 その熱い血を、リリのと混ぜ合わせたら。

 リリは────きっと我慢が出来なくなるんでしょうね。

 

 ふふっ。

 貴方はリリの人生を変えたんです。

 

 だから、責任を取ってくださいね。ライト様♡

 

 

 ☆

 

 

「なるほど、リリ君もティオナ君もそんな事をしていたんだね……グプッ」

 

 最近ライトがデメテル神のところから仕入れたアロマオイルにハマっているヘスティアが、自室をその香りで満たした所で、呼んでいた相手がやってきた。

 自分の眷属であるリリルカと、ロキファミリアの冒険者であるティオナだ。

 

 二人の共通点はただ一つ。

 どうやらライトにただならぬ感情を抱いている乙女であるという点だ。

 それだけならば別にヘスティアは微笑ましく思うだけだ。

 そして呼んだ理由は事実確認、あるいは事情聴取とも言う。

 

 ティオナは他のファミリア、それも犬猿の仲であるロキ……だとしても、ヘスティアは恋と言う純粋な気持ちを邪魔する様な器では無い。

 おそらく、成就するにはいくつもの壁がある。

 それほどに他ファミリア同士の関係性はデリケートだ。

 けれど本人達が真剣ならば、成る様にしかならないとヘスティアは考えている。

 

 ヘスティアにとってライトという青年には特別な想いがある。

 生きる時間軸がそもそも違う下界の子供たちに抱く気持ちは恋とはまた別の物だろうが、それでもやはり彼は特別だと感じている。

 恋では無いが、ある意味ではそれ以上の何か。

 そう言う自覚はあれど、今はその時ではないとヘスティアはそれ以上の考察を意図的に抑えている。

 

 それはそれとして、ライト本人は勢いだけで周りを巻き込み騒動を起こすのが性癖という、何とも憎たらしい限りだが、それが可愛くて仕方がないのだ。

 なにせ本人はいつだって本気なのだから。

 空回りして痛い目を見て、それを眺めているだけでとても幸せな気持ちになる。

 

 降臨した時はただ退屈を垂れ流すのが嫌で、何か変化が欲しかった。

 家族が欲しい、そうは思っていたけれど、結局は能動的には動かず、天界の時と同じく流れる時間を眺めながらのんびりしていた。ヘファイストスには怒られながら。

 だがそんな停滞した日常を変えてくれたのがライトという男である。

 

 その結果、ヘスティアには小さいけれどファミリアが、家族が出来た。

 だから可愛い子供たちの為ならなんでもしてあげよう。

 今はその想いのみである。

 

 だが少しばかりそうも言っていられない状況になっている。

 ライトの活躍というか暴走により、ファミリアの経済状況が好転した。

 食べたいものを食べたいときに食べられる程度の余裕がある。

 それと共にライトがホームを新築レベルで改築してくれた。

 

 結果、ヘスティアには主神に相応しい個人の部屋が用意された。

 大きな天蓋付きのベッドに、いくらでも入りそうなクローゼット。

 中にはライトが外出するたびに土産だと持ち帰った無数のドレスが吊られている。

 

 身嗜みを整えるための大きな鏡。

 日当たりの良いテラスに面した窓の横には、彼女の為のカウチが置いてある。

 それにマジックアイテムが組み込まれた温水の出る浴室。

 

 当然彼女だけにとどまらず、リリルカにもライトにも個室がある。

 それどころか将来的に家族が増えた際に使える、複数の予備の部屋も含めて。

 因みにライトだけが地下室なのは、その横に金蔵があるから落ち着くという理由で、流石のヘスティアも苦笑いを漏らした。

 

 そう、これだけを見れば順風満帆過ぎるだろう。

 他の零細ファミリアでは、まともなホームを持っていない所だって普通にあるのだから。

 故にヘスティアはこれ以上は望む事も無いと思っている。

 幸せなホーム、それだけで充分だろうと。

 

 しかしだ。

 ある日の夜、ヘスティアは異様な光景を見た。

 見てしまった。

 

 夜な夜な部屋を抜け出すリリルカの姿を。

 それだけならば別にお手洗いにでも行くのかと思うだろう普通は。

 だがリリルカは産まれたままの姿に毛布を羽織っただけなのだ。

 

 彼女には人に言えない露出性癖でもあるのか?

 ヘスティアはふとそう考えたが、慌ててそれを否定する。

 ボクの可愛い子供がそんな訳ないじゃないか!

 そんな風に。

 

 けれどもやはりおかしい。

 ならばと彼女はついていった。

 リリルカは静かに階段を下り、地下フロアに向かう。

 

 なるほど、ライトの部屋か。

 なんだよなんだよ。ボクの知らない所でいい関係になってるのかな?

 ヘスティアは悪戯が成功した子供の様にくふふと笑った。

 だが次の瞬間、その表情を凍りつかせた。

 

 ライトの部屋のドアが少しだけ隙間が開いていた。

 ヘスティアはごくりと唾液を飲みこみ、だが吸い込まれる様にそこを覗いた。

 後悔した。覗かなければ良かったと。

 

 彼女が見た物は異様だった。

 明らかに眠っているライト。

 その腰に馬乗りになるようにリリルカが跨っており、恍惚とした表情でもろ肌を晒したライトの上半身に舌を這わせていたのだ。

 

 まるで何かに憑りつかれたかのように。

 虚ろな目で、何かをぶつぶつと呟きながら。

 何度も何度も。

 

 蛇に睨まれた蛙の様に硬直するヘスティア。

 結局、それ以上に踏み込んだ行為には至らなかった。

 だが満足したリリルカがライトの横で眠りにつくまでの時間まで、およそ1時間以上を要した事を思えば、男女の営みに発展していない事の方がある意味で常軌を逸していると彼女には思える。

 

 リリルカだけじゃない。

 同じような事がティオナでもあった。

 二人は決して友好的な関係では無い。

 少なくとも周囲にはそう見えている。

 それはそうだ。同じ男に懸想しているのだ。

 故に緊張感が混じった会話になるのも当然だろう。

 

 だがヘスティアが目撃する二人の秘め事は、まるで当人同士が示し合わせたように日にちが被らない。

 それだけに異常なのだろう。

 故に主神として、ここは一つ当人同士に話を聞くべきと一念発起したヘスティアである。

 しかし呼びつけてみればどうか。

 

「あー······バレちゃった」

「ヘスティア様、見てらっしゃったんですねぇ」

 

 一切悪びれもしないでは無いか。

 それどころか、行為そのものと、それに賭ける熱い想いのような物を自慢し合うかのように語り出す二人。

 つまるところ二人にとって大事なのは、自分がライトに恋していると言う事実なのだ。

 故に同じ思いを抱く者がいようと関係ないと言う論調だ。

 

 彼女らは自分の気持ちをぶつける事が出来ている現状、それで満足している。

 だが、とヘスティアは珍しく怒りを見せた。

 それはあくまでも自分の気持ちをライトに押し付けているだけであり、愛の名のもとに何でも許されると言う思い上がりではないのかと。

 

 ティオナもリリルカも、過去に重たい物を抱えている。

 それはヘスティアもよく知るところだ。

 だからこそ女神として言うのだ。

 君たちがしている独り善がりな行為は、かつて君たちを悩ませた側と同じ思考なのでは? と。

 

 そこでハッと悟った二人。

 ヘスティアは大いなる慈愛の眼差しで二人を抱擁すると、まずは自分の気持ちを整理しなさい。

 そして、確かにライトと愛し愛されたいと思うのなら、ただ真っ直ぐに気持ちをぶつけなさい。

 ならばそれは肯定されて然るべきなのだと。

 

 ヘスティアのたまに見せる神々しいバブ味と女神ムーブである。

 二人は少し冷静になりますと宣言し、暫くは行為を控えると約束した。

 さすがは処女神の面目躍如という所か。

 こうしてヘスティアは、自分のホームに淀んでいた黒い雰囲気を取りあえずは取り去る事に成功したのである。

 

 そしてその夜、

 

「ねえライト君」

「んー? どした神様。もしかしてまた眠れないのか?」

 

 沐浴を終えたヘスティアがリビングに行くと、寝酒を呷っていたライトを見つけた。

 濡れた髪をタオルで巻き、裸体にも白いタオルが巻かれている。

 一瞬顔を俯かせたヘスティアは、口角が上がるのを必死に隠すとライトに声をかけた。

 

「そ、そうなんだ。肩が重たくてね······」

 

 困った顔をしながら微笑む。

 

「仕方ないなあ。またマッサージしてやるから部屋で待ってなよ。準備していくから」

「ごめんねライト君。またお願いするよ······」

「そんな顔しなさんな。親孝行くらいさせなさいよ」

「うんっ!」

 

 すまなそうにしながらヘスティアは二階にある自室に向かう。

 その背後で衣擦れが聞こえる。

 どうやらライトは地下の自室に向かったらしい。

 

(ごめんね、リリルカ君、ティオナ君。ライト君に一番に()()()()()のはボクじゃないと駄目なんだ)

 

 マッサージと言う名の行為。

 ヘスティアは処女神だ。

 分け身である今、男性との行為に溺れたとしても、その神性の根源は揺らがないだろう。

 

 だが、敢えて。

 その一線を踏み越えず、ギリギリのそこでせめぎ合うのが何よりも愉悦を覚える。

 だからこそヘスティアは自身の醸す異性への魅力に無関心でいる。

 まるで狡猾に巣を張り巡らせる女郎蜘蛛が如く。

 

(だから、君たちはせいぜいライト君と愛欲に溺れたらいい。でも、このせめぎ合いだけは、君たちにはあげないよ)

 

 ヘスティアの裸体を隠す白い布の向こうで、くちゅりと水音がした。

 そして静かに彼女は自室へ消えるのである。

 

 




これR18じゃないよね?セーフですよね?

どこかの感想でリリのヤンデレかきてーなーとか返した時のノリで書いてみるか~って思って書いてはみたけれど、あ、私にヤンデレの描写無理だわ!と気付いてブン投げていたエピソードです。

オチ的には一番ヤベーのが神様だった的な。

こうなんでしょう? 処女神は基本ヤったらダメだと思うの。
原作でベルきゅん好き好き言うてるけど、本格的にくっつくとなると、多分ヘスティアはいろんなものを投げ捨てるくらいの覚悟とかいるんじゃないのでしょうか?

で、そこから妄想膨らますと、人並みにエロい欲求はあれど女神としての体面は維持しなきゃならん。
結果こじらせてこうなったみたいな。

なんつーかセッ〇スを安易に出来ちゃうお前らと違って、ボクは精神的な愛を交す高尚な愛なんだよねー(上から目線)みたいな。

色々語ったが、結局ヘスティアが一番シコいって事で。


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