魔法日本皇国召喚   作:たむろする猫

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ロデニウス

日本皇国との国交の樹立、技術の獲得による発展具合において、最も進んでいると言えるのはやはりロデニウス大陸諸国だろう。

 

最も最初に日本と接触し、幾らロウリア王国の脅威が迫っていたからと言って、側から見れば異様な速さで国交の樹立や技術の導入を行なったクワ・トイネ公国。

そのクワ・トイネの仲介で日本と結んだクイラ王国。

両国はそれぞれクワ・トイネは食料をクイラは地下資源をカードに、上手く日本と交渉を行う事によって、他国と比べ日本からの技術提供で有利な立場にあり、この世界の国家向けに新規設計された航空戦列艦とは違う、地球仕様の航空艦を有しているのはこの2国だけである。

最近そこに魔石と言うカードを持つアルタラス王国も加わったが、アルタラスの航空艦が1隻なのに対し、クワ・トイネとクイラは3隻ずつ保有している点も両国の優位性示している。

もっとも、クワ・トイネとクイラが「提供を受けた」のに対し、アルタラスは「購入した」と言う違いはあるのだが。

 

区画毎に設置された魔力炉から供給される魔力によって、街は夜でも明るく照らされ、各家庭でも家庭用魔道具によってその生活はとても便利になっており、国民の殆どが「以前の生活には戻れない」と言っている。

他にも彼らの暮らしを便利にしている物に自動車がある。

エネルギー源に魔力を使っている事以外、科学製の自動車と変わらないコレは値段や未だ自動車が走る為の道路の整備や、法の整備が整っていない事もあって、両国共街中では普及していないが、どちらの国でも農作物や鉱石を運搬するのに大活躍している。

また、クワ・トイネでは農耕の為の機材を導入する事によって、畑を耕したりできたものを刈り取るのが楽になり、クイラでは掘削の為の機材導入で、鉱員の安全性を向上させる事が出来た。

 

軍事面においては、目に見えて脅威であったロウリアが一時的にとは言え牙を抜かれ、この先10年間は日本皇国軍が文字通り睨みを効かせるとあって、そうそうに再侵攻を企てる事も無いだろうと判断され、戦前程の急いだ軍拡ではなく、ゆっくりとでも着実な軍拡へとシフトチェンジしている。

とは言えロウリア王国は国家が解体された訳では無く、現状は大規模な武装解除と軍縮を行なっているものの、クワ・トイネやクイラが配備を進めるものと比べて型落ちではあるものの、日本皇国製の武装で身を固めた「国防軍」が小規模ながらも存在している。

国防軍の指揮権は現状日本皇国軍が有する形となっているものの、ゆくゆくはロウリア王国政府へと返還される予定となっている。

つまり、ロウリアの牙は一時的に抜かれた状態ではあるが、いずれは復活するのだ。

そしてその時の指導者が再び「ロデニウス統一」とまでは行かなくとも、現在非武装地帯とされているクワ・トイネ-ロウリア国境の西側20kmの奪還に動かないとも限らない。

 

ロウリアに対しても日本の開発援助が行われている以上、その時の力関係がどうなっているかは分からないし、仮にロウリアが再侵攻を行なった時、今回の戦争程日本が助力してくれるとも限らない。

だからこそ両国ともに軍拡に勤め、クワ・トイネは避難のため人が1人もいなくなったギムの要塞化を進め、クイラは山岳要塞の建設を行なっている。

 

 

軍民共に成長著しいクワ・トイネ公国とクイラ王国、それに対して成長率という点では劣るものの、ロウリア王国も又日本皇国の援助等も有って全体的に成長傾向にある。

 

クワ・トイネとクイラではせっかくロウリアの脅威が減ったのに、日本が援助することによって再び勢いづく可能性がある事を問題視する声もあったが、日本としては海戦以外で大きな敗北をしていないのにも関わらず、実質的には降伏とされる様な条件で終戦した事。

和平の条件として大多数の亜人奴隷を手放す事になった事--コレには多くの国民、特に奴隷を扱っている商人の反発が強かったが、新王は編成されたばかりの国防軍の動員を要請し、強引に奴隷解放を行なった--や、他国の軍が我が物顔で王都近郊に居座っている事。

更には奴隷解放に動員された国防軍の指揮権が、ロウリア王政府では無くその駐留軍にある事。

それらに対する持つ貴族や民衆の不満を逸らすのが目的だ。

 

実際貴族の、特に今回の戦争に殆ど参加していなかった西部方面の貴族や、現在は小身ながらもクワ・トイネ公国とクイラ王国制圧の後、加増が確実視されていた貴族の反発が大きい。

だからと言って彼らの声を尊重して再び東征を行う訳にもいかない。

そんな事をすれば今度はクワ・トイネ公国軍では無く日本皇国軍が出張って来るだろうし、“支援を受けた”クワ・トイネにすら勝てなかったし、自国の戦力と同等のモノを輸出しているとも思えないし、先ず間違いなく圧倒的に強力な筈だ。

「そんな日本軍と“敗戦後”直ぐに戦ってみろ、今度こそ国が残らないだろう」と言うのが、退位したハーク・ロウリア34世に代わり王位に就いたアーク王の意見だ。

--アーク王は前王ハークの弟で、まだ幼く立太子も終えていないハークの嫡男に代わり、繋ぎとして即位した王だ。

ハークの嫡男が成人した暁には譲位を行う予定となっている--

 

「戦争に負けたのに属領含め国のほぼ全てが残っているのは本来あり得ない事だ。その上そこにどんな意図があれど、日本皇国は国を豊かにする為の援助をしてくれると言う。

だと言うのに、負けた事が認められないと兵を起こし、東進する様な事をすれば間違いなく日本を怒らせる事となる。

今、実質的に宗主国となった日本皇国を怒らせて得になる事など何一つ無いのだ」

 

と言うのは即位後最初の御前会議で、日本皇国の開発援助を受け入れるかどうかの話し合いを行なった時の言葉である。

彼のこの言葉で日本皇国の開発援助受け入れが決定した。

結果として言えばこの選択は大正解であったと言える。

何せ、徐々にとは言え生活は豊かに便利になっているのだ、この時点で国民の反発は殆ど消えた。

そうなってしまえば小身で領民との繋がりの強い貴族は彼等の意見を無視できず、更には自分達の生活も向上しているので文句も言えなくなっている。

正直クワ・トイネかクイラで新領地を得て、反抗的な住民を抑えながら自費で開発を行うよりは、旧来の領地でよく知る領民達を使い、更には国からの援助が有る状態での領地開発の方が、はっきり言って楽である。

大身の貴族でも民が戦争を嫌えば、基本小規模な私兵しか常設していない為兵が集まらなくなってしまい、戦争の為の戦力を準備するのが難しい。

 

当然それでも「新王は飼い慣らされている」と反発を強め、「そもそもの譲位すら不当なものである」と、退位したハークを担ぎ上げようとする勢力も居た。

その為「自分が国内にいると余計な混乱を招きかねない」と考えたハークは日本皇国に相談した上で、日本皇国領台湾自治区へと移住を行なった。

 

アーク王はそういった勢力に対し弾圧こそ行わなかったが駐留軍へ依頼を行い、全貴族を集めた上で国防軍の“演習”の視察を行なった。

今まで見たことも無い武器の姿や威力に、さしもの貴族達も閉口せざるを得ず、内心「虎の威を借る狐が」と思いこそすれ、下手な事を言えばこの力が自分に向けられるかも知れないと、表向きは大人しくなった。

 

この時点でロウリア王国内に残った大きな問題は後2つとなった。

1つは敗戦による各属領に於ける独立運動の活発化だ。

コレに関しては日本皇国による開発援助の幾らかを属領に回したり、日本の先例に習った自治区化や経済特区の設立をチラつかせる事により、火種の状態で抑える事に成功している。

 

さて、残るもう一つの問題だが......

 

「陛下、先程日本皇国軍より連絡が有りました。クルール城塞に立て籠もって居たパーパルディア皇国兵を乗せた船が飛び立ったとの事です」

 

そう終戦後「敗戦を認められない」と城塞に立て籠もって居たパーパルディア皇国派遣軍約3万の動向であった。

「辺境の蛮地に派遣されたのを略奪や陵辱を楽しみに我慢していたのに、ロウリアが勝手に負けて武装解除して帰れと言うのは認められるか」と主張して籠城を続けて居た彼等であったが、実はそれはあくまでも表向きの理由、より正確には末端の兵士達の理由であった。

指揮官達の懸念は「国の命令では無く国家戦略局の独断による派兵で、なんの戦果も挙げる事無く帰国すれば罰則は免れない」と言うもので、おめおめと帰れば下手をすれば処刑されるかも知れない。

 

ところがそこに、日本皇国と接触したパーパルディア皇国政府から出された「政府が把握していなかった派兵に関して、責任は全て国家戦略局に有り。派遣軍は指揮官から末端に至るまで処分を行わない。直ちに帰国すべし」との命令を受け漸く帰国を受け入れたのである。

最もその事を通達した際、指揮官と兵士の間でイザコザがあったらしく、結果として数百人単位の死者が出る事になってしまった。

 

「漸くか。それで?共に立て籠もって居た我が国の者達はどうなった?」

 

アーク王の質問に報告を行なった文官が返答する。

 

「は、一部のパーパルディア兵と共に開城に断固として反対し、武器を取って司令部を恫喝しようとした為、戦闘の結果全員が死亡したとの事です」

「......そうか」

 

問題が解決した事自体は喜ばしい事だが、戦争で死ななかったロウリアの若者達が、一応は味方であった筈のパーパルディア兵に殺されたと言うのは、あまり好ましいでは無かった。

中には指揮官に命令されるまま籠城を行なった兵士もいただろう、だからこそ開城時の反対派との戦闘で()()()()()()()など、到底信じられなかった。

パーパルディア兵とて賛成派と反対派が居たのだ、ロウリア兵の賛成派が居なかったとは思えない。

そう考えると、籠城が始まって直ぐにあまり乗り気では無い者や、ただ命じられるまま付いてきただけの者は殺されていた可能性も充分有りえる。

とは言えそれを確かめる術は無いし、パーパルディア兵を捕まえて問い詰める訳にも行かない。

とりあえず回収出来て身元のわかる遺体は故郷に返してやるよう指示を出すと、次の政務に取り掛かる。

 

「来週末に予定されている例の式典ですが、クワ・トイネ公国大統領とクイラ王国国王からも、参加すると御返事を頂きました」

「そうかそれは良かった、では出来うる限りの持てなしの用意を。

護衛に関しては両国の兵士を受け入れると伝えてくれ」

「はっ畏まりました。それから式典に関してもう一つご報告が」

「うん?他に何かあったか?」

 

式典への参加に関して、ロデニウス大陸周辺の国家からは既に返答は来ていたし、クワ・トイネ公国とクイラ王国に関しても今しがた参加と報告を受けた。

他に何かあったかと、アーク王は首を傾げる。

 

「はい、日本皇国からの連絡で......皇女殿下が式典にお越しになるとの事です」

「なんだと?」

 

 

 

 

中央歴1639年9月10日、ロウリア王国湾口都市ハルヴェは喧騒に包まれて居た。

ロデニウス大陸諸国のみならず、第三文明圏の外文明圏外国である東方国家群からの使節が多く集まっていた。

彼等の集まる埠頭には各国の政府首脳や王族の姿も見え、更には日本皇国の皇女の姿も有るとあって、周辺には日本皇国軍による厳重な警備が敷かれており、頭上には日本皇国海軍の軍艦が睨みを利かせている。

これから行われるのはとある式典であった。

 

『御集りの皆様、大変長らくお待たせ致しました。ただ今より日本皇国帝国造船、ロウリア王国支社ハルヴェ造船所の落成式を執り行いたいます』

 

拡声器によって会場中に届けられたアナウンスに、あちこちから拍手が起こる。

 

『では先ず帝国造船社長山代よりご挨拶致します』

『えーお集まりの皆様初めまして、帝国造船の山代と申します。えー今回ロウリア王国に造船所の開設をさせて頂くにあたりまして、えー多くの方々に多大なご支援を頂きました事、お礼申し上げます。

えーこの造船所ではですね、東方国家群の皆様向けの航空戦列艦の建造が主に行われ、えー工員にはロウリア人の方を多く採用する予定となっております。我が造船所がロウリア王国の更なる発展にですね、えー寄与する事を願っております』

 

山代社長の演説に会場、特にロウリア王国関係者の座る席が沸き立つ。

そうこの式典は日本皇国の造船会社【帝国造船】がロウリアに開設する造船所の完成式典であった。

“敗戦国”であるロウリア王国に造船所を開設する事に、クワ・トイネ公国とクイラ王国で反発が無かった訳では無いが、食料や鉱物を有する両国と違い目立った特産が無く、敢えて言うので有れば人口が多いだけのロウリアが、特産品を求め再び戦争を起こす可能性を出来うる限り減らそうと言うのが、日本の思惑である。

また、この造船所では[アメノマヒトツノカミ]での船体パーツ製造は行われず、日本国内で生産されたパーツを運び込んで組み立てる事になっている。

 

『続いてロウリア王国国王、アーク陛下よりご挨拶頂きます』

 

壇上を降りた山代に代わり今度はロウリア王アークが壇上に上がる。

 

『私はロウリア王国国王アークであります。此度の造船所開設にあたりまして、日本皇国へは感謝してもしきれません。誠に有難うございます』

 

アーク王はそう言って会場で最も警備の厚い場所、即ち日本皇国皇女の座する方へ向き直ると深々と頭を下げる。

その姿に会場にどよめきが起こる、何せ一国の王が頭を下げたのだ。

確かにロウリア王国は敗戦したし、今の発展や造船所の開設は当然日本の力無くしては有り得ないものだ。

とは言え王位にある者が、皇族とは言え皇女へ対し頭を下げた事に驚いたのだ。

 

『また、クワ・トイネ公国クイラ王国の方々には我が国に日本の造船所が出来る事に関して、複雑な思いを抱く方もいるでしょう。建造された軍艦を使い、我が国が再び戦争を起こすのでは無いかと』

 

今度は会場は静まり返る。

今回の話を聞いて、クワ・トイネとクイラならずとも誰もが一度は考えた可能性だ。

今後造船所には各国からの発注が集中し、多くの航空戦列艦が建造される事になる。

完成した戦列艦を発注国へ引き渡さず、ロウリア王国が使用すればたちまち文明圏外国では太刀打ち出来ない、強力な海軍の誕生だ。

 

『その懸念は最もです、我が国は長く侵略を繰り返し領土を拡張してきました。そのような国が一度負けたからと言って、再び力を手にした時絶対に領土拡張へと動かない等誰が言い切れるでしょう?少なくとも私には無理です』

 

ロウリア王国が再び戦争に走るかも知れないと言う、他ならぬロウリア王の言葉にどよめきが起こるが、アーク王は続ける。

 

『故に!我が国は変わらなければなりません。我が国は今後5年を目安に日本皇国に倣い立憲君主制への移行を行い、法整備を進めてまいります。新たに制定される法では戦争に関する規定が、厳しく設けられる事となるでしょう』

 

 




「台湾自治区」
日本皇国領ではあるが、日本皇国籍か中華民国籍を有する者であれば、通行自由な経済特区。
日本皇国人と中華民国人が1.5:1位の割合で在住。
市民権を持つ両国の国民から自治区長が選挙で選ばれ、現在の自治区長は中華民国人。
最近ロウリア王国前王、ハーク・ロウリア34世が内戦を回避する為移住した。

日本皇国は立憲君主制。
君主は帝。

いつも感想を書いて下さっている方ありがとうございます。
連絡事項なのですが、感想返しにて思わずネタバレなんかをしてしまうのを防ぐ為、これからまた暫く感想返しを控えさせて頂きます。
語りたがりなので、質問されれば答えたくなっちゃうんです。
感想返しの復活は第2章終わりから、第3章冒頭の辺りになると思います。
勿論その間も頂いた感想はキチンと目を通しますので、この間も感想を頂ければ幸いです。
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