魔法日本皇国召喚   作:たむろする猫

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パーパルディアの竜母艦載数に関して。
web版を読み返していたら、アルタラス侵攻艦隊で240騎となっているのを普通に見落としていたので、「アルタラス沖大海戦・2/3」での竜騎士の数を変更しました。


アルタラス島沖大海戦・4

「第4艦隊はまだ降伏する様子をみせないのか!?」

「は、未だその様な動きはありません」

 

第3艦隊司令アルカオンは徐々に焦りの気持ちが大きくなって行くのを感じていた。

第4艦隊は旗艦が既に沈み、どうにも第4艦隊のみならず第6艦隊辺りから増援を得ていたようだが、それも含めて殆どが轟沈。

残っている艦も無傷と言えるようなものは最早1隻も無かった。

 

だと言うのに、勝手に逃げ出した一部の水兵を除き第4艦隊全体としても、戦列艦1隻単位ですら未だに降伏しようとする動きを見せていない。

どころかアルタラス王国領海が最早目と鼻の先となった事ここに至って、更に増速しようとする動きを見せている。

 

「何故だ!何故降伏しないッ!?連中の勝ち目など既に有りはしないというのにッ!!」

 

アルカオンは思わず声を荒げる。

このままであれば時間が経てば第3艦隊は最初の航空戦の後、後方に下がって回復した竜騎士達を再び投入できるようになるし、第4艦隊の退路を断つような形でこちらに向かっている第2艦隊が到着する。

そうなれば第4艦隊はもう終わりだ。

 

そうでなくとも、このまま進み続ければもう間も無くアルタラスの領海を侵犯する。

アルタラス王国はパーパルディア皇国船籍の艦船に対する強行姿勢を撤回してはおらず、領海侵犯を行えば容赦無く攻撃してくるものと思われる。

それも、日本皇国から購入した兵器を使って。

 

従来通りのアルタラス海軍の装備であれば、死に体とは言え第4艦隊からすれば大した事のない敵であったかも知れないが、第3外務局経由で入って来た情報によれば、アルタラス海軍は日本皇国海軍の軍艦を購入していると言う。

 

「一方的に殲滅される」と言う可能性もあった。

 

「提督!先頭艦が限界点に近付きますッ!!」

「くっ!」

 

現在第4艦隊と同航戦を行なっており、このまま進み続ければ第3艦隊もまた、領海侵犯を行なってしまう事になる。

限界点はアルタラス領海にギリギリ入らず進路変更できる位置だ、ここを超えると進路の変更にはどうしてもアルタラス領海に入る事になってしまう。

 

「提督......」

「ッ全艦に転進命令、取り舵をーー」

 

アルカオンが進路変更の命令を出そうとしたその時、第3艦隊・第4艦隊問わず、全ての通信用魔法具が声を発した。

 

〈〈接近中のパーパルディア皇国海軍艦隊、皇帝派艦隊及び反乱艦隊両艦隊に通達する!こちらはアルタラス王国海軍である!!現在我がアルタラス王国はパーパルディア皇国船籍の艦船の領海入りを認めてい無い!直ちに戦闘行動を中止し、当海域より離脱せよ!!〉〉

 

「「アルタラス王国海軍!!」」

 

アルタラス王国海軍航空艦隊旗艦【エルム・アルタラス】からの警告だ。

 

〈〈繰り返す、アルタラス王国はパーパルディア船が領海内に入る事を認めてい無い!直ちに戦闘行動を中止して当海域より離脱せよ!!なお離脱に伴う転進での一時的な領海侵入を特例にて認める。正し進路変更せず領海を侵犯し続けた場合、実力を持って排除する!!〉〉

 

その言葉と共に

 

➖ドドォォォン!!➖

 

轟音と共に水柱が立ち昇る。

 

「撃ってきたか!!」

「全艦に転進命令!!取舵!!先頭艦からでなくて構わんッ!急ぎ転進せよ!!」

 

アルカオンの命令はすぐ様伝達され、第3艦隊各艦は衝突に気を付けながら各個に転舵を開始する。

しかし

 

「第4艦隊転進の様を見せずッ!」

 

第4艦隊は変わらず、そのまま突き進んで行く。

いや、中には数隻ほど離脱しようとする動きを見せているが、あろう事か進み続ける艦からの砲撃に晒され沈んで行く。

 

「馬鹿なっ!?何をッ一体何を考えている貴様らァァ!!」

 

 

 

「皇帝派艦隊の転進を確認、全艦我が国の領海への進入経路から外れつつあります」

「反乱艦隊動きを見せず!尚もこちらへ向け進行中!!」

 

レーダー要員の報告を受け即座に命令が下される。

 

「主砲撃ち方ハジメッ!今度は外さんでいいッ望み通り沈めてやれっッ!!」

「航空戦列艦に命令!敵艦隊側面に付き砲撃せよ!」

「うちーかたはじめっ!てぇッー!!」

 

【エルム・アルタラス】以下、アルタラス王国海軍の航空艦隊が砲撃を開始する。

【エルム・アルタラス】の54口径127mm単装魔力砲が第4艦隊の頭を押さえる様に撃ち込まれ、海上を行くパーパルディアの魔導戦列艦とは比べ物にならない速度で側面に回り込んだ航空戦列艦5隻60門の105mm実()魔導砲が火を噴き被弾した艦は呆気なく沈んで行く。

 

 

「アルタラス王国海軍、第4艦隊への攻撃を開始しました......」

「なんと、なんと言う......」

 

その光景は目にした第3艦隊全員の心に重くのしかかった。

第三文明圏最大最強であった筈のパーパルディア皇国が生み出した魔導艦が、ワイバーンによる空襲と同格の相手との撃ち合いによって消耗していたとしてもなお呆気なく沈んで行く。

 

それを行なっている相手は、同格の列強国レイフォル国や格上である神聖ミリシアル帝国やムー国では無い。

見下し、文明圏外の蛮族にしてはそれなり、程度としか評価していなかったアルタラス王国だ。

彼らが使っている兵器は彼ら自身が作り出した物ではなく、日本皇国から輸入されたもので、アルタラス王国自身がパーパルディア皇国を上回る技術力を手に入れたというわけではない。

だがしかし「購入し運用出来るだけの資金力」をアルタラスが持っていると言う事は間違いない。

 

「......アルタラスの艦は全てあの巨大艦か?」

「いえ、日本のものと同等の巨大艦は1隻だけの様です。残りの5隻は例の航空戦列艦かと」

「......慰めにもなん、な」

「は.......」

 

【航空戦列艦】第2外務局が掴んだ情報によれば、性能としては日本の巨大艦には遥かに劣る様ではあるが、しかし「空に浮かんでいる」という事実は如何ともし難い。

アレを相手にする場合、艦載魔導砲ではどうやっても狙えない以上、攻撃はワイバーンで行う事になるであろうが、果たしてワイバーンの攻撃で沈むのか怪しい所だ。

 

第三文明圏のパワーバランスが変わる。

パーパルディア皇国が頂点に君臨していたその力関係が変わってしまう。

そう言う確信を抱いてしまう光景がアルカオンの眼前に広がっていた。

 

 

 

「本艦の砲撃、問題なく敵艦に命中!!」

「【ディバイン】以下航空戦列艦各艦も順調に砲撃中!」

「敵艦隊残り数隻のみです!」

 

それらの報告にボルドやイグノア達幹部達はホッと胸を撫で下ろす。

性能的には自分たちの乗る【エルム・アルタラス】や【ディバイン】以下の航空戦列艦はパーパルディアの魔導戦列艦とは隔絶した性能と、高位置を取れるという優位性を持っている事に加え、現在の「装備が充足されていない」航空戦列艦にとって重大な脅威となり得るワイバーンが存在しないとは言え、この航空艦隊は訓練未了で実戦を迎えているのだ、不安が無い訳ではなかった。

 

「敵が、既に幾らかすり減らされていた事を踏まえても、及第点と言った所かな?」

「はい。とは言え性能差は歴然ですから、出るべき結果が出た、というのが実際の所かと」

 

ボルド達の声音に安堵が混ざる。

練度に不安はあったものの、水兵達は問題なく船を操って見せ敵艦隊こと、パーパルディアの反乱艦隊は間も無く掃討される。

ボルド達の心が軽くなるのも仕方が無かった、が。

 

「ボルド提督」

「ッ!何でしょう大高教官殿」

 

それに水を刺すかの様に、日本海軍から出向している教官が声をかけてきた。

 

「情報にあったもう2個艦隊の動向はどうなりましたかな?」

「あッ!!」

 

完全に忘れていた。

それ程までに眼前の敵に集中していたというか、航空艦隊としての初の実践を迎えるに当たっての緊張が大きかったというか。

 

「通信!!【神通】に連絡して情報を!それからパーパルディアの皇帝派艦隊にも通信を繋げろ!!」

 

ボルドは慌てて同じ様にアルタラスを目指している筈の艦隊について、邦人保護の名目で出張って来ている日本海軍の旗艦と、反乱艦隊を抑える為にと出撃したパーパルディアの皇帝派艦隊に対し、情報が無いかと問い合わせる指示を出すが。

 

「ッ!?待って下さい!!【神通】より緊急伝!!」

「何だと?」

「読み上げます!『急!【神通】ヨリ【エルム・アルタラス】ヘ。アルタラス島西方ヲ周リ港湾都市マ・ハーコヨ*1ヲ目指スモノト思ワレル艦隊ヲ確認。現在総数計測中ナルモ、パーパルディア皇国海軍1個艦隊並ビ多数ノ輸送艦ヲ含ム艦隊ト認ム!!』」

 

 

 

*1
王都ル・ブリアスの南方、アルタラス島のくびれの様な部分の南部に存在する港湾都市

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