魔法日本皇国召喚   作:たむろする猫

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注:連続投稿です。この前に1話あります。


マ・ハーコヨ防衛艦隊

港湾都市マ・ハーコヨ湾内

日本皇国海軍遣アルタラス隊旗艦【神通】

 

遣アルタラス隊と称されるのは巡航艦1隻駆逐艦4隻からなる第3艦隊第18戦隊で、彼らはアルタラス王国とパーパルディア皇国の関係緊張に合わせ、アルタラス王国に滞在する邦人保護を名目に派遣されていた。

日或軍事同盟*1に基づいての派遣ではなく、あくまでも「邦人保護」を名目としているのは現在の緊張事態が、確かにパーパルディア側からのふざけた内容の通達があったからとは言え、強硬策に出たのがアルタラス側であった事から、日或軍事同盟が定める所の参戦要項、つまり「相手側からの宣戦布告」と言う条件を満たしているとは言えない状況に有るからだ。

 

また、アルタラス王国は勿論、パーパルディア皇国も反乱軍に関しても正式な宣戦布告は行っていないので、パーパルディアの反乱艦隊がアルタラスへと侵攻して来ている現状にあっても、同盟に基づく正式な参戦の為の派遣とはなっておらず、未だ邦人保護を目的とした“自衛の為”の戦力と言うなんとも微妙な立場のままで有る。

 

「が、陸上戦力に加え相当数の航空戦力を有する艦隊が向かって来ていると言う以上、自衛の為の戦闘を行なっても怒られんだろう」

「そうですな、相手が撃ってくるまでは大人しくしていろと言われている訳でもありませんから。脅威である以上排除しても問題無いかと」

 

18戦隊隊司令の榊准将は【神通】艦長の玉川大佐の言葉に頷くと続けて

 

「しかし、連中が此方を狙って来るとはな。王都北部の海岸線を目指していた1個艦隊は囮か」

「おそらくそうかと。奴らが囮だとすると皇帝派の艦隊に殴りかかられようが、アルタラス王国の航空艦隊があらわれようと、引こうとしない事に頷けます」

「だとすると、このマ・ハーコヨに我々がいたのは行幸と言った所かな?」

 

何故第18戦隊が王都であるル・ブリアスでは無く、マ・ハーコヨに展開していたのかと言うと、やはり「邦人保護」を名目としているからだった。

というのもこのマ・ハーコヨが元々南方の国々との貿易や、魔導戦列艦の建造を行うドッグを有する都市であったところを、日本皇国からの援助を受けて拡張され、日本の技術によるアルタラス海軍艦艇の改装が行われている事もあって日本人の在留者多い。

その為、在留者の少ないル・ブリアスよりかは派遣の理由に沿った都市であった。

もっとも、ル・ブリアスにも大使館の大使以下職員や、民間からの在留者もマ・ハーコヨに比べれば少ないが居ない訳では無いので、駆逐艦が1隻ル・ブリアスに居る。

 

「司令、そろそろ」

「うむ全艦に通達、直ちに出撃マ・ハーコヨ前面に展開せよ。アルタラス王国軍司令部と王国政府並びマ・ハーコヨ港湾管理局、それから我が国の大使館にも通達を」

「はっ!!出撃する!![アメノトリフネ]抜錨!!浮上航行用意!!」

「[アメノトリフネ]抜錨します!」

「【神通】よりアルタラス軍司令部へ、本艦以下第18戦隊はーー

 

邦人保護の名の下に日本海軍は動き出した。

 

 

 

 

「急げ!!敵は待ってはくれんぞ!!」

「改装が終了していない艦も出られる状況ならば全て出せ!!」

 

マ・ハーコヨのドッグ区画では、アルタラス海軍の水兵達が慌ただしく走り回っていた。

マ・ハーコヨで改装された王国海軍艦艇の内、既に改装の終わっている艦で水兵の訓練が有る程度終わっている艦は戦力集中の為、王都沖合に展開しているが、王国海軍が保有している全ての艦艇を一斉に改装終了出来る筈もなく、まだ半数ほどがマ・ハーコヨに残っている。

もっとも、その内の全てが出撃出来る状態にある訳では無いなので、現在ドッグに入っていない11隻が次々に出撃していく。

 

マ・ハーコヨ防衛艦隊臨時旗艦 魔導戦列艦【シディ】

 

「タランド提督!間も無く全艦出撃完了しますっ!!」

「うむ」

 

マ・ハーコヨにある王国海軍艦艇艦長の中で、最も位が高い為に臨時の指揮官となったタランドは副官の報告に頷く。

海を睨み付ける彼の目に映るのは、日本皇国の技術によって強化された魔導戦列艦達だ。

日本製の推進装置を付け、簡易生産された実体魔導砲を載せた彼女達は単艦の性能ならば、パーパルディアの魔導戦列艦に勝るとも劣らない戦船へと生まれ変わっていた。

 

「だが、数の差は如何ともし難い。我が方圧倒的不利に変わりは無い」

「はい、日本艦隊からの情報では純粋な戦闘艦のみで300以上。その中には当然ですが竜母も10隻以上含まれます」

 

数の差は圧倒的で、さらに言えば艦の性能的には戦えるモノとなっていても、つい最近になって漸くその性能の艦に触れた王国海軍の水兵達と、ずっとその性能の鑑で訓練し戦って来たパーパルディアの水兵とでは、その練度に圧倒的な差がある。

艦の性能上は1対1なら間違い無く戦えるものであったとしても、現状ではまともに戦えるか怪しいものだ。

 

「だとしても我等は戦わねばならぬ、我が祖国を守る為に」

 

タランドが決意を固めた所に、通信兵がやって来る。

 

「報告!日本皇国艦隊からです!!」

「なんだ?」

「はっ『ワレ、マ・ハーコヨに滞在スル邦人保護ノ為出撃ス。敵航空戦力ハオ任セヲ』以上です!」

「おおっ!!彼等も動いてくれるか!!」

 

報告を受け日本艦隊が停泊していた方を見ると、4隻の巨大艦が光の翼を拡げながら空に浮かび上がりつつ有るのが見えた。

その姿はとても力強く、頼もしく見える。

無論、彼等はマ・ハーコヨに滞在する日本人を守る為に動いている事は十分承知している。

しかし、主力である航空艦隊に大多数の改装魔導戦列艦が王都側にいる上に、航空戦力であるワイバーンも殆どが王国北西部、敵が上陸して来ると思われる海岸線にて、機巧ゴーレムの部隊である鉄騎兵隊と共に待機している現在、日本艦隊の参戦はこの上なく有難いものであった。

 

また北部での海戦もほぼほぼ終了し、残る敵艦の殲滅や降伏の受け入れは王都沖に最終防衛線として展開していた通常艦隊と、反乱艦隊と戦っていたというパーパルディアの皇帝派艦隊に任せ、航空艦隊は急ぎ南下中であると言う。

 

「司令、勝てます!この戦い!」

「ああ、我等アルタラスの総力を持って我が国を貪らんとするイナゴ共に鉄槌を下すのだ!!」

 

タランドはそう言うと通信兵に通信魔導のマイクを持って来るように指示する。

持ってこられたマイクを手に、艦隊の全てに通信を繋がせると演説を行う。

 

〈〈マ・ハーコヨ防衛艦隊臨時司令官タランドである!我がアルタラス王国は今まさに危機に瀕している!!敵は強大なる列強国の艦隊であり、残念ながら我等の増強された戦力を持ってしても互角とすら言えない程の戦力差がある。

 

だが!隣を見よ!周囲を見渡せ!共に戦う戦友達を!力強く美しい我等の艦隊を!!

 

王国海軍の新たなる力である航空艦隊が大急ぎで此方を目指し、頼もしき友たる日本艦隊も力を貸してくれる。だが!だからと言って!!彼等に任せきりにして良いのだろうか?

否そんな筈はない!!航空艦隊に力で劣ろうと、我等も王国を守る剣であり盾である!!

 

諸君!戦友諸君!!

我等の力で勝って見せようでは無いか!!〉〉

 

ウオォォォ!!!

 

タランドの演説が終わると、艦隊のあちこちから鬨の声が上がる。

マ・ハーコヨ防衛艦隊の士気は高い。

 

 

 

【神通】CIC

 

「王国海軍のやる気は上々な様だな」

「はい、王国軍はほぼ全ての戦力を持って王都北部の平原に防衛線を構築。近衛である騎士団も王都前面に最終防衛線を構築しており、ここマ・ハーコヨが陥落すれば、時間こそ掛かるものの相当の戦力が上陸を果たす事になります。

既に北部からの敵軍の上陸の可能性は殆ど無くなっているとは言え、陣地転換には時間が掛かります。

彼等も急ぎ南下するでしょうが、それまで王都までの道はガラ空き、途中にある街や村は焼かれる事になるでしょう」

「正に最後の守りといったところか」

 

実際には北部での海戦を終えた航空艦隊が南下しているとの情報が入っているが、マ・ハーコヨ防衛艦隊がまともに抵抗も出来ずにやられてしまえば間違い無くマ・ハーコヨは蹂躙されるだろう。

加えて航空艦での対地攻撃は強力ではあるが、その分人質でも取られようものならばどうしようもない。

航空駆逐艦である【エルム・アルタラス】にしろ航空戦列艦にしろ、その砲撃は敵を人質ごと吹き飛ばして余りある威力がある。

マ・ハーコヨにしろ、王都までの道のりにある街や村にしろ、住人を盾に立て篭もられたら少なくとも海軍では手の出しようも無い。

 

「また、連中がマ・ハーコヨに上陸すれば犠牲になるのはアルタラスの人々だけではありません。アルタラスに滞在する日本人もまた犠牲になるでしょう。いえ、パーパルディアの内戦の起こりを考えると、アルタラス人よりももっと悲惨な目に遭う可能性も......」

「そうだな。我々はそれを断固として防がねばならない」

「はい。では司令」

 

玉川艦長の言葉に榊准将は制帽を被り直すと一つ頷く。

 

「ああ、始めようか艦長」

「はっ!観測!!敵艦隊の竜母は捕捉しているな!」

「はい問題無く」

 

【神通】の対物索敵レーダー、結界魔法[シナツヒコ]は既にパーパルディアの第5艦隊と思わしき艦隊を捉えている。

レーダー画面が埋まりそうな程の大艦隊であるが、[シナツヒコ]はその中から問題無く竜母を見分けていた。

アルタラスのワイバーン戦力など大した事は無いと考えているのか、追撃してきているであろう皇帝派の第1・第2艦隊を警戒してか艦隊後方に八割の竜母を配している様だ。

尚、王国海軍航空艦隊経由でパーパルディアの第3艦隊から齎された情報によると「第5艦隊は第4艦隊からの救援要請に対しそれなりの戦力を差し向けた」と言う話であったが、どうもブラフであったらしく、なんならパーパルディアの通常の艦隊数より多い様だ。

第4艦隊は徹頭徹尾“囮”であったらしい。

当の本人達がそれを承伏していたかどうかは不明だが。

 

「先ずはアルタラスにとって驚異度の高い前衛の竜母と大型戦列艦を撃つ、全艦対艦誘導弾発射用意!砲雷長!」

「はっ。艦首発射管[スサノヲ](火器管制)接続1番から4番攻撃用意!!」

「艦首発射管[スサノヲ]接続、1番から4番攻撃用意ーー用意よし!」

 

【神通】と他の3隻の艦首に配置された対艦誘導弾に目標情報が入力される。

最初の攻撃は3隻の駆逐艦が全力射の4射づつと、【神通】が2発余裕を持たせた同数の4射で合計16発の対艦誘導弾による攻撃。

これにより先ず初撃にて前衛に展開する竜母の全てと大型戦列艦を平らげる。

 

「発射扉開け」

「発射扉開きます」

 

潜水艦の魚雷発射口の様に、艦首の一部が艦内へと沈み込み対艦誘導弾を内包した穴が顔を見せる。

 

「対艦誘導弾攻撃始めます」

「よし」

 

艦長が頷くのを確認すると、砲雷長は力の限り叫んだ。

 

「対艦誘導弾攻撃始め!」

「対艦誘導弾攻撃始め!よぉーい、てぇっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
日本皇国・或多羅洲(アルタラス)王国軍事同盟

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