魔法日本皇国召喚   作:たむろする猫

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戦乱の声・2

在クワ・トイネ公国-日本皇国大使館

 

「間違いないのですね?」

「ええ、情報部が掴んだ確かな情報です。ロウリア王国は戦争の為の行動を開始しています」

 

クワ・トイネとロウリアの国境のロウリア側で王国軍の集結を始めとする大きな動きがある事を掴んだクワ・トイネ公国は、開戦が近いと見て日本皇国への説明の為、日本担当となった外務局員のヤゴウは日本の大使館へ訪れていた。

対応しているのは在クワ・トイネ大使となった田中だ。

 

「事前にお話ししている通り戦争が始まれば、規定量の食料輸出が困難になると考えられます」

「わかりました、直ちに本国へ報告を行います。また事前協定に基づいて現在マイハークに入港している輸送船の徴発を行い、国境付近の住民の方の避難支援を行います」

「貴国の支援に感謝します。こちらに我が国の領空通航許可書を持参しております、ご確認下さい」

 

クワ・トイネ公国と日本皇国は国交を結ぶに当たって、通商条約のみならず軍事同盟条約も結んでおりこのやり取りもその条文の定める規定に従ったものである。

日鍬杭三国同盟が定める所では西方事態、即ちロウリア王国による侵攻もしくはそれに準じる直接的行動(侵攻準備)が確認された場合、日本皇国はクワ・トイネ公国及びクイラ王国に対し速やかに援軍を派遣するとある。

ただし、日本皇国にはクワ・トイネ公国及びクイラ王国に対し宣戦布告ないし、直接的な攻撃が行われ無い場合参戦義務は生じ無い。

クワ・トイネの強い要望もあり、ロウリア王国の攻撃が宣戦布告を無しに行われる可能性を考慮して、人道支援の為大使館の連絡用航空船や食料輸送の為マイハークに入港している輸送船を官民問わず、国境付近の住民の避難支援に当てる事となっている。

その為日本は入港している輸送船が少ない或いは、居ないと言う事態を考慮して大使館の連絡船と言う名目で、海軍の大型輸送艦を1隻マイハークに停泊させている。

現在マイハークには海軍の輸送艦【紀伊】と民間の輸送船団5隻が入港している。

さらに都合のいい事に、民間船団は到着したばかりでまだ積荷の積載作業前でありその船艙は空っぽである。

 

そして、ヤゴウが外務局へ帰る為日本大使館を出たすぐ後、大使館の駐在武官(在クワ・トイネ軍指揮官 海軍大佐)から命令を受けた紀伊が、避難民輸送作戦の第一陣としてマイハーク港より離水、最大船速でギムへと向かい航行を開始した。

 

 

クワ・トイネ-ロウリア国境の街ギム

 

「大板少佐出頭しました」

「どうぞ」

 

日本皇国陸軍西部方面隊機竜飛行隊遣クワ・トイネ教導隊ギム分遣隊隊長の大板少佐は、呼び出しを受けてギムの守将クワ・トイネ公国西部方面騎士団団長モイジの執務室を訪れた。

 

「訓練直前の呼び出し申し訳ない」

「いえ、緊急と伺いました。訓練中隊には待機を命じてあります」

 

促されソファに座った大板に向かいに座ったモイジは書類を手渡す

 

「つい先程総司令部から送られてきた」

「拝見します」

 

その書類には、

先日報告にあったロウリア王国軍の動きに対し、軍務局は近く侵攻が行われると判断した事。

それに対し日本皇国に同盟条約に基づく援軍の派遣要請を出した事。

事前の協定により輸送船による住民の避難作戦が行われる事。

その為に既に日本海軍の輸送艦が第一陣としてギムへと移動中である事。

ギム住民及び周辺の住民に対し避難命令を発令、西部方面騎士団は住民の速やかなる避難に全力を尽くす事。

最後に機竜飛行隊は教官・訓練兵含め全員機体と共にエジェイまで移動する事と書かれていた。

 

「我々に関係が有るのは最後ですか」

「ああ、上は万が一にも貴官らや訓練を受けた竜騎士、訓練用とは言え機竜が破壊されたり敵に鹵獲されたりと言った事態を防ぎたいらしい」

 

他にはそもそも今訓練で使用されている機竜はレース用の物を転用した民間仕様の機体であり、戦闘能力を有していない事も挙げられる。ギムに残っても出来る事と言えば偵察か敢えて敵の前に姿を見せて、その速度を見せつける事によって牽制するかくらいで、そのどちらもモイジが上げたようなリスクが無いとは言えないし、空を飛んでいるだけでその内攻撃して来ないのは「攻撃出来ないからだ」と敵に勘付かれ、完全に無視してくるだろう。

 

「では直ちに移動の用意をさせます」

「ああ、待ってくれ。そこには書かれていないが、機竜隊の移動は住民を乗せた最後の輸送船が出発してからにして欲しいとの事だ」

「ギリギリまで残れと?しかし、それでは」

「少佐の懸念もわかるが、上は早々に機竜隊が移動する事で住民がギムは見捨てられたなどと考える可能性を恐れている」

 

クワ・トイネ軍上層部にはギムで訓練中の機竜隊を戦争初期段階で参戦させるつもりは最初から無い。

とは言えギムの住民がそんな事知る訳無いし、彼らは新しい飛竜隊は大きくて速くて力強いワイバーンに乗っていると心強く思っていた。

そんな中、ロウリアが攻めてきたからと誰よりも速くその飛竜隊が逃げ出せばギムの住民は絶望してしまうだろう。

訓練用機竜に戦闘能力が無い事だって彼等は知らないのだ。

 

「面子の問題、だけではなさそうですね。住民の避難はどれ程で開始できますか?」

「既に全住民に対し布告を始めている、荷物は最小限に抑えさせるし政府からの避難命令だからそれなりにスムーズには進むだろう。が、どうしても順番になってしまうし周辺の住民も加えれば迅速に、とは行かないかも知れない」

 

ギムの住民は凡そ10万人、いくら急いだからと言って10万もの人間が同時に移動など出来ない。今回早期に動員する事が出来た輸送船6隻で同時に運べる最大数は凡そ1万。つまり単純計算でギムの住民だけでも10往復が必要となる。

 

「第一陣の出発後残った住民に関しては一時自力で東を向かわせ、途中途中でピックアップすると言うのはどうでしょう?」

「確かにそれならば、護衛という名目で機竜隊を同行させ自然に移動させられる。しかしリスクは大きくなるかも知れん」

 

ギムは城壁の建築は間に合わなかったものの日本軍の助言で土塁や簡易的な塹壕が国境側に築かれている。

街の中ならば家屋に立て籠もることが一応出来るし、西部方面騎士団の隊舎や飛竜隊の隊舎もある。しかし、東に向かって移動を始めてしまえば隠れる場所など殆ど無い。

彼我の戦力差は現在先陣が到着しだした頃と考えられる、追い付かれてしまえばひとたまりもない。

 

「では輸送作戦の指揮官の意見も聞くべきでしょう。最初に到着する我が国の海軍艦に乗船している筈です」

「では住民には兎も角避難の準備を進めさせる事としよう」

 

 

日本皇国 沖縄沖上空 皇国海軍琉球鎮守府

 

琉球鎮守府は第一次第二次英印戦争を通じて険悪な関係になったインドや、共産中国を仮想敵として配置された鎮守府で、母港とするのは空母2隻に強襲揚陸艦3隻を有する皇国海軍第5艦隊。

そして現在はクワ・トイネ公国海軍の軍人を受け入れた練習艦隊が錨を下ろしている。

この日、クワ・トイネ公国海軍第2艦隊の提督のパンカーレと参謀のブルー・アイは鎮守府長官室に呼び出されていた。

 

「それで山口長官、我々を呼び出されたのは一体」

「つい先程本省より伝達が有りました。クワ・トイネで西方事態発生の兆候ありとの事です」

「「ッ!!?」」

 

琉球鎮守府の司令長官山口中将の言葉に、パンカーレとブルー・アイは息を飲む。

西方事態とは即ちロウリア王国によるクワ・トイネ公国もしくはクイラ王国どちらもかへの侵攻を指し、クイラ王国側は天然の防塁と呼ばれる山脈により守られている事もあって、攻め込まれるので有ればクワ・トイネ公国と考えられている。

 

「くっ国はっ!どうなったのですか!?」

 

パンカーレは思わず声を荒げた

 

「落ち着いて下さい。まだ侵攻では無くあくまで兆候です。国境付近にロウリア王国が軍を集結させているとの事です」

「そっそうですか」

 

山口中将の言葉にホッと胸を撫で下ろすパンカーレとブルー・アイ。

 

「我々を呼ばれたのはそれを伝える為で?」

「ええそれもありますが本題は別です。西方事態の兆候によってクワ・トイネ公国から正式に派兵要請がありました、政府は日鍬間の軍事同盟の条約に基づいて軍の派遣を決定、国防省と海軍参謀本部は第5艦隊の派遣を決定しました。

それでこちらに出撃命令が出た訳ですが、我々は先遣隊として第10戦隊とクワ・トイネ練習艦隊を派遣しようと考えています」

「我々をですかっ!?いやしかし...」

 

クワ・トイネ練習艦隊とはその名の通り日本の操艦技術等を学ぶ為に渡航して来たクワ・トイネ公国海軍の軍人達が主体となった艦隊で、1隻の巡航艦と2隻の駆逐艦から成る。

日本皇国基準で言えば旧式艦から成る艦隊で大した戦力では無いが、この世界特にロウリア王国相手であれば圧倒的な戦力となる。

最もパンカーレが躊躇した理由は別で、

 

「我々とて日々努力をしていますが、しかし実戦を行えるかと言われれば」

「ええ、理解しています。しかし貴国の危機です、お気持ちとしては今すぐにでも飛んで行きたいのでは?」

「それは、ええもちろん、その通りです」

 

パンカーレもブルー・アイも出来る事ならば今すぐにでも国に戻りたい、しかし自分達は公国海軍の未来のための練成の途中であり、そしてそれは始まったばかりで、まだまだ実戦を行える様な練度では無い。

自分の国が侵されようとしているのだ、自分達で戦いたいが無理に着いて行っても日本皇国軍の足手まといになってしまうだけだ。

なまじ素人では無く元々海軍の軍人だからこそ解る。

それは山口中将も知っている筈だ我々の練度に関しては特に、なのにこの様な提案がなされているのは何故なのか。

 

「ロウリア王国の海軍が相手であれば、性能差から言っても現状の練度でもさして問題がないと言うのが我々の見解です。それに基本的には第10戦隊が戦闘を行います、練習艦隊は実弾演習程度に考えて頂ければ宜しいかと」

 

つまり皇国海軍の保護下で演習を行わせようと言うのが日本側の思惑である。

 

「成る程実弾演習ですか。提督、ロデニウス大陸までの航行も含め、更なる練度向上の機会を与えてもらったと考えるべきです」

「うむ、そうだな。山口長官どうか我々も参戦させて頂きたい」

「勿論です。共に戦いましょう」

 

結果として日本皇国の本格的な派兵に先行して皇国海軍第5艦隊から巡航艦2隻と駆逐艦6隻から成る第10戦隊と、クワ・トイネ海軍練習艦隊の巡航艦1隻と駆逐艦2隻の合計11隻が先遣隊として派遣される事となった。

 

 

遣クワ・トイネ派遣部隊先遣隊

 

 

大江 巡航艦 金剛型巡航艦 旗艦

羽黒 巡航艦 愛宕型巡航艦

島風 駆逐艦 島風型駆逐艦

海風 駆逐艦 同上

霧雨 駆逐艦 村雨型駆逐艦

 

クワ・トイネ練習艦隊

オオムギ 巡航艦 利根型巡航艦 旗艦

デラウェア 駆逐艦 江風型駆逐艦

マスカット 駆逐艦 同上

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