刻廻る裁定の太陽   作:星の空

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1日目 他の神話の民達との会合

 

あれから幾千もの月日が経った。

それは本当に永い刻だ。

そんな刻が経った中、俺は英霊の座にいた。だが、俺は星霊(・・)だからか、座が広い。

まぁ、俺自身の固有結界を座に当てはめてるだけなんだけどね。座ではなんもないゴロゴロと寝転がったりする生活しか出来てない。本当に暇だ。

だが、それは今日まで。座の最奥……根源の手前にある霊長類(アラヤ)からある話が持ちかけられた。

 

『汝、永刻の流に逃れたいか?ならばそこにある邪龍殺しの英雄の心臓を手に取れ。それは近き時に必須となる。』

 

今まで何も無かったこの座にて、かなりの欲求不満を抱えていた俺からしてみたら、飢えた獣が獲物を得た時の快感が訪れた。

俺は、終末剣エンキを1つ霊体化(座に至るとできる)させ、焰造(えんぞう)で身バレしない鎧を纏い、その手に龍殺しの心臓を持った。

その途端、目前が暗転。移動する事に気づいたので、固有結界を仕舞っておく。

そして、移動が始まった。その間に飛ばされる時代、その時代の一般知識、常識、俺のいたウルクとは別の神話、その他諸々の情報がスっと入ってきた。

まぁ、井の中の蛙だと俺は気付いたさ。

その中で気になる情報が入ってきた。

 

聖杯戦争

あらゆる願いを叶える願望器、聖杯を賭けて、7人の魔術師とその7人が各個で選び召喚したサーヴァント……クラスという格に嵌める抑止力により弱体化した英霊が武知勇……覇を競い、最後に残ったコンビが叶えることができる儀式。

 

これには大きな興味を持った。もしかしたら、俺の後続の太陽神に会えるかも知れない。俺はそんな淡い気持ちを得た。

さらに、こんな情報を得た。

 

聖杯大戦

本来の聖杯戦争とかけ離れ、サーヴァントが赤の陣営7騎VS黒の陣営7騎からなる全14騎による大型の聖杯戦争。

 

俺はこの聖杯大戦に招かれたのだ。

マスターはゴルド・ムジーク・ユグドミレニア。

俺たち黒のサーヴァントを維持する魔力供給源であるホムンクルスを創り出した男。

用意したのは血の着いた菩提樹の葉。成程、龍殺しジークフリートを召喚しようとしたのか。

そして、霊長類は俺を座から出す為に用意したのが、ジークフリートの心臓。

俺が彼の心臓を持つことから、ジークフリートではなく俺が召喚されたのであろう。

しかし、この心臓……ジークフリートが英霊に至る前、死する時に持っていた原典ではないか?まぁ、俺の力なら再起動させることは可能だ。

 

「そろそろ着くかな。さて、神代は既に絶えた時代。だが、此度は俺のいた神話……メソポタミアとは異なる神話に住まう万夫不当の戦士達と覇を競う。俺は新たな楽しみを得る事に感銘しているのだろうな。さぁ、星霊(・・)に匹敵する英霊は何処にいるのか、楽しみだ。」

 

✲✲✲

 

「「「「素に銀と鉄。 礎に石と契約のユグドミレニア。

手向ける色は黒。」」」」

「降り立つ風には壁を。」

「四方の門は閉じ、」

「王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」

閉じよ(みたせ)。」

閉じよ(みたせ)。」

閉じよ(みたせ)。」

閉じよ(みたせ)。」

「「「「閉じよ(みたせ)。」」」」

「繰り返すつどに五度。」

「ただ、満たされる刻を破却する」

「「「「――――告げる。」」」」

「汝の身は我が下に、」

「我が命運は汝の剣に。」

「聖杯の寄るべに従い、」

「この意、この理に従うならば応えよ」

「「「「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」」」」

 

金髪のちょび髭なデブ、眼鏡を掛けた身長の高い女性、車椅子に座るおしとやかな少女、眼鏡を掛けたモブそうな少年が

青白い肌の痩せた男が上座で見守る中、唱えた。

その唱え、が終えると共に各個の前にある魔法陣が輝きを増し、そこから、それぞれ4人の姿が現れた。

その4人は同時に答える。…………正確には3人だが。

 

「「「召喚の招きに従い、参上した。我ら黒のサーヴァント、我らはユグドミレニアと共にあり、我らの剣は貴方方の剣である。」」」

 

その姿を見て、その場に居合わせた者達は様々な反応をする。

上座に座る男の隣に立つステッキを持った青年が嗤い、

ちょび髭なデブは「おぉっ」と、握り拳を作り、

近くで見ていた少年はテラス?から柵を乗り出した。

ステッキを持つ青年は、高らかに隣に座る男にこう告げた。

 

「王よ、彼等こそ我ら黒のマスターが召喚したサーヴァント。即ち、王の配下です。」

 

それを聞いた、王と呼ばれた男は頷き、立ち上がる。

そして、高らかに宣言した。

 

「聖杯を求め、召喚に応じた者達よ。まずは黒の陣営として役目を果たせ!」

 

その宣言をステッキを持つ青年が頷き、下座にて頭を垂れるサーヴァントに告げた。

 

「彼らの召喚を以て、我らユグドミレニアは二度と戻れぬ戦いに足を踏み入れたのだ。だが!この対戦が集結した時、マスターとして戦い抜いた者には無限の栄光が約束されている!恐れることは無い!我々は既に万能の願望器、大聖杯を手にしているのだから!」

 

✲✲✲

 

ステッキを持つ青年の宣言と同時に儀式は終わり、通称謁見の間であろう場所の明かりが灯る。

そこに、ある声が響く。

 

「全員ちゅうもぉく!」

 

その声を発したのは、桃色に白のメッシュのある長髪を三つ編みにした表地が白、裏地が赤のマントを羽織る腰に剣を帯びた少女。

その声に反応して全員が注目した。

 

「あぁ?」

 

その声に俺のマスターが声を出した。しかし、気にせずこの少女騎士は喋る。

 

「召喚された皆で自己紹介しようよ!ほら、今は皆見方じゃない?だったらさ、だったらさ!いっその事真名を名乗りあった方が効率がいいんじゃないかな!と、言う訳で僕の名前はアストルフォ。シャルルマーニュ十二勇士が1人。クラスはライダー。よろしくね!」

 

言い出しっぺ故か、クラスと共に名乗りあげた。ふむ、シャルルマーニュ十二勇士のアストルフォと言えば、理性蒸発者だったはず……だからここまで堂々と出来るのか。

そう内心思っていれば、ライダーは俺の隣にいる皮鎧に身を包む馬の尾を持った茶髪の青年に駆け寄ってきた。

 

「君は?」

 

理性蒸発者がここまで活発とは、ムードメーカーにはもってこいな性格だな。

茶髪の青年はマスターであろう車椅子に座るおしとやかな少女に顔を向け、少女は頷いた。確認をとり、承諾されたようだ。

 

「サーヴァント・アーチャー、ケイローンです。」

「おぉ!よろしくケイローン!」

 

アーチャー、ケイローンは手を差し出し、ライダーは両手で握り、握手をする。

ケイローンか。俺の後続にいたアポロンが確かギリシャ神話で、そこの始祖、クロノスの一子だったか?

俺と似たメイカーにして聡明な奴なのは分かる。この陣営の要になるだろうな。

し終わったら、一回転して、俺の目の前で黙り込んだ花嫁姿の少女に向き直る。

 

「次、君は?」

「ヴゥッ」

 

ライダーが聞くと、花嫁姿の少女はそっぽを向いた。恐らく、そりが合わないのだろう。

ライダーは首を傾げ、この花嫁姿の少女のマスターであろう眼鏡を掛けたモブそうな少年に声を掛けた。

 

「ねぇ、この子の真名教えて!」

 

ズッカりと言い切るライダー。そのライダーの声に少年はたじろぐ。だが、ライダーは少年に駆け寄り、目をキラキラとさせる。

その態度に少年は反応に困る。

 

「ふ、フランケンシュタイン」

「よぉし、フランちゃんだね!」

「ウヴゥッ!!」

 

ライダーの言い方に物申したいのか、睨む(おそらく)バーサーカー。

フランケンシュタイン、造られし存在か。未完成だからか、俺の予測では最弱のサーヴァントだろう。逸話も神代ではないっぽいし。

 

「あぁ、ごめんごめん!なんか怒らせちゃったみたい……」

 

理性蒸発者でも、バーサーカーが怒ったのは分かるようだ。

最後に此方に向いて聞いてきた。こういう場合、第一印象が大事だろう。

そう思いつつ声を出す。

 

「俺は────」

「待てっ!!」

 

全ては名乗らないが、ヒントは与えよう。そう思った束の間、俺のマスターが阻害した。

マスターは俺の前に出てきて俺にこう告げる。

 

「セイバー、お前は口を開くな!」

 

そう告げて、俺の前に立ち、睨みをきかせる。それに物申したのは、眼鏡を掛けた身長の高い女性だ。

 

「真名の開示は予め申し合わせていたことでしょう?」

「事情が変わった。破棄させてくれ。真名が漏れる口は出来るだけ少ない方がいい。」

 

この事情は粗方察する。俺がジークフリートではない上に、焰造したこの鎧によりマスターでもスペックと真名が分からないからだろう。

それが構わないのか、ステッキを持つ青年に聞くアーチャーのマスター。それに、青年は答えた。

 

「いいだろうゴルド。お前が責任を持つと言うなら許可しよう。」

「無論だとも。」

 

ゴルドが青年に言い返した。そこで、上座に座っていた男が立ち上がり、宣誓した。

 

「ここからが始まりだ。我らは一騎当千の力を以て赤のサーヴァントを殲滅する。誇り高き英雄達よ、汝らの奮戦を期待する。我が名はヴラド・ツェペシュ。護国の為、己が願いの為、勝利者となる事をここに誓おう。」

 

(おそらく)ランサーが宣誓し、ライダーや、アーチャー、バーサーカーらが膝を付き始めたので、俺も一応付けておく。

 

そこから、各自コンビでの交流を図ることとなり、解散。ゴルドは直ぐに謁見の間から出ていこうとしたため、俺は霊体化して、ゴルドについて行くことにした。

ゴルドの部屋に着いたら、ゴルドはワインを取り出してグラスに入れて一口飲んだ。

 

「出てこい、セイバー。」

 

指示通り俺は霊体化を解いてゴルドの前に出る。

 

「これからお前は戦いの事に専念し、余計なことは考えるな。」

「分かったよ、マスター。」

 

マスターは何を考えている?まぁ大方1人の存在として扱う気がないんだろうね。

 

「お前はサーヴァント……使い魔だ。それを忘れず行使を全うせよ。」

「うん、マスターがそう言うならね。」

 

使い魔……はは、神が使い魔か。俺の正体に未だ気付いてないからクイズでも出そうかな。

 

「そ、それならお前の願望を聞かせるがいい。」

「願望?」

「そうだ。お前は聖杯に願いたい願望を求めるからこそ召喚されたのだろう?」

 

願望ねぇ、正直、退屈を凌ぎたいし、この聖杯大戦が終わったら戻ると言うくらいなら受肉した方が退屈を凌げるかも。うん、受肉にしよう。

 

「うぅむ、強いていえば…………受肉したいかな?」

「それだけか?」

「うん、大きすぎる野望も我が身を滅ぼす。なれば小さき野望をコツコツとこなす。それは何れ大きい野望へと至る。」

 

ダーニックだかガーリックだか知らないけど、大望を持ち過ぎて人道からも非道からも外れるのは間違いないね。君はそうならないでよ?マスター。

 

「う、そうか。ならばお前の真名はなんなのだ?先程から見ようとしても見れぬ。貴様はジークフリートなのか?」

「いいや、ジークフリートじゃあない。それに、俺はある種のメイカーだからね。マスターにヒントとスペックは与えておく。まずはスペックなんだが、筋力はB、敏捷はA、耐久はB、魔力はA、幸運はB、宝具はEXだ。クラススキルの対魔力はEX、騎乗はB、固有スキルの魔力放出はEX、戦闘続行はA、再生はEXだね。そして、ヒントは四芳星、正義、神格、知名度は低いの4つだ。このうち最初の3つは全て俺に携わるものだ。マスターの聡明な頭脳で見つけてみな。」

 

さぁマスター、君は俺が何者か、言い当てて見な。期日は問わないからね。

 

「ぬ、セイバー!貴様は使い魔だ、使い主の言うことは聞かぬか!」

 

え…………………………はぁ、マスターはホムンクルスという生命を生み出す程の知識を携えてるから聡明な人だと思ってたのに、結局権威をかざして権威を利用するのか。

 

「使い魔云々の前に、俺は1人の存在なんだ。意思もある。君は神にでもなったつもりかい?神なら俺の真名を言い当ててよ。それと、令呪は効かないからね?さっき言ったように対魔力はEXなんだから。」

「グッ…………もういい!下がっておけ!」

 

あははっ、正論かどうかはさておき、これだけ言われて言い返せないとは、それまでか。エルやギルなら直ぐに答えてくれたのにな。

 

「分かった。あ、俺の宝具って発動に手間かかるから準備くらいはさせてね。」

「っ、貴様それはどういう…………ちっ、セイバーの奴、何を考えてやがる。」

 

マスターが何か言っていたが、俺は霊体化してマスターの部屋を出て、ユグドミレニアの城の1番上に立つ。

霊体化を解いて、終末剣エンキを2本とも取り出して、柄頭同士を接合し、少し角度を曲げる。

すると、終末剣エンキは二本一対の双剣から1つの弓と化した。

その弓で、矢を3本程宇宙(そら)に放つ。後は日が経つのを待つだけだ。

俺の宝具はかなり多く、魔力の出費も大きい。

さて、準備は出来たし、自室にでも行ってみようかな。

 

✲✲✲

 

あれから時間も経ち、夜となった。

夜になったら謁見の間に招集がかかったので渋々行く事に。

来てから見せられたのは、ユグドミレニアのホムンクルスとキャスター作ゴーレム対赤のセイバーとそのマスターによる戦いだ。

うぅむ、あのセイバーはチグハグだね。本心と言うことが異なるし、それ自体に気づいてない。

このままだと、彼女は迷い続けるだけだろうね。

 

「ふん、強いな。」

「最優であるセイバーであることを差し引いても図抜けていますね。」

 

ランサーはこのセイバーを賞賛し、ダーニックは戦力を分析している。そして、ランサーから問われた。

 

「勝てるか?」

 

単純な質問だろう。だが、俺は敢えて傲慢に語ろうか。

 

「無論さ。人は人故に悩み、悔み、克服し、前に進む。しかし、人と言えど立ち止まることはある。あのセイバーは立ち止まったまま死したのか、チグハグなところがある。それを正さない限り、あのセイバーはあのままだろうね。あれなら何十人が束になろうと余裕さ。」

「ふん」

 

ランサーはこの答えに満足したのか、再び監視映像を眺めた。

俺も再びそちらに目を向けようとしたが、マスターからの念話で断念した。

 

【おいセイバー、ルーラーが此方に向かっているのをホムンクルスが捉えた。赤より先にお迎えに上がる。来い!】

 

俺は仕方ないかなぁ、と思いつつも霊体化して謁見の間を後にしたマスターに続く。

いよいよ、敵と相見えることとなるか、楽しみだ。

 


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