刻廻る裁定の太陽   作:星の空

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2日目 前哨戦、後続の子は高潔

 

「ねぇマスター、ルーラーを黒陣営に引き込むって言ったけど、裁定者だから無理だと思うよ。」

「うるさい!!貴様は黙って俺の言うことを聞いていればいいだけだ!」

 

まったく、このマスターは功績欲しさに出しゃばるんだから。

俺は忠告したのに聞かなかったのかな?

大望を求め過ぎたら破滅に至る。故に小望を求め、コツコツとこなす。それは何れ大望に至る。的な事をさ。

まぁ、指示通りに動きますか。

ホムンクルスが運転する車内で、マスターはルーラーとの対面にソワソワしてる。俺は車内でマスターを尻目に太陽由来の剣を準備している。終末剣エンキは最後辺りに使うのが美味しいからね。

俺が用意した剣は彼の円卓の騎士に名を連ねる太陽の騎士ガウェインの持つ聖剣、転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラディーン)だ。

別に破滅の黎明(グラム)でも構わないのだが、あのセイバーと何れ戦うならこちらの方がいいだろうと、焰造したのだ。

向かう途中、突如として魔力の爆発があった。それはこの先だ。

マスターはここで降りて、向かう。俺もついて行く。

視界に捉えたのは、旗を槍のように構えるルーラーと、宝具を発動しようと魔力を高める赤のランサーがいた。

それを見たマスターが指示を出てきた。

 

「殺れ!セイバー!!」

 

俺は霊体化を解いて、ランサーに突る。ランサーは槍の柄でこの一撃を逸らし、俺はルーラー側に立って、ガラディーンを横薙ぎ一閃。

その一撃でランサーの魔力の昂りを掻き消し、後ろにある道路標記の柱を切る。

そこでやっと、ルーラーと赤のランサーの全貌を知れた。

ルーラーは金髪の長髪を三つ編みにした蒼眼の少女で、赤のランサーは白髪に赤と青のオッドアイを持った青年だ。

 

「お前は黒のセイバーか。ふん、となれば、お前達の目標もルーラーか。」

 

赤のランサーが確認を取ってくるが、俺は無言の肯定をするだけ。その間に追いついたマスターがルーラーに近づく。

 

「危ないところでしたな、ルーラーよ。お迎えに上がりましたぞ。」

「黒のセイバーとそのマスターですね?」

「いかにも、我が名はゴルド・ムジーク・ユグドミレニアと申します。…………さて、赤のランサーよ。お前がルーラーを殺害しようとしたのを我々は確かに見た。聖杯戦争を司る英霊を抹殺しようなどと究極のルール違反であろう!」

 

いや、違反じゃない。ただ、規律が悪化するだけでそれ以外はない。まぁ、規律が悪化するのが嫌だから助けたんだろうが。

 

「否定はせん。無論、黒の陣営が現れた以上、まずは貴様らからだがな。」

 

ランサーが目線を1度マスターに向けた後、此方に直す。

 

「黙れ!大人しく我がセイバーとこのルーラーである彼女の沙汰を受けるがいい!」

「いいえ。」

 

マスターが俺とルーラーに討たせようとするが、ルーラーは拒否。マスターがほうけた声を出した。本当にこのマスターで大丈夫なのか?

 

「貴方方がここで戦うというのであれば異論はありません。私が手を出すことはありませんので、ご安心を。」

「何っ!?」

「私が赤のランサーに狙われる事と赤のランサーと黒のセイバーが戦うことはまったく別の案件です。私はルーラーとしてこの戦いを見守る義務があります。」

 

マスターは2対1で有利にたとうとしたのだろうが、ルーラーに拒否され、正論を言われて固まった。さらに、赤のランサーが槍を構えながら言う。

 

「俺を二人がかりで押し切ろうとでも企んだか?俺は構わんぞ?」

「グッゥゥウ、セイバー、殺せ!あの赤のランサーを叩き潰せ!!!!」

 

マスターに怒鳴られたので俺は渋々構える。それに応じて赤のランサーも構えた。

 

「ならばお前と2人で殺し会えるようだ。貴様からは何処か懐かしい気配がする。……この気配は太陽神に連なる者だろう。ならばこの戦いは偶然ではなく必然であったな。我が名はカルナ。太陽神の子。我が槍を恐れぬと言うならば存分にかかってこい。」

 

赤のランサー・カルナが名乗りを上げた。名乗られたなら名乗り返す。それが当たり前なのだろうが、俺は生憎とまだ名乗れない。だからヒントは与えておく。

 

「訳あって今は名を明かせない。故にヒントは与えておく。これを元に俺の名を当ててみろ。1つ、四芳星。2つ、正義。3つ、神格。4つ、知名度は低い。以上のうち最初の3つは俺に携わるものだ。この聖杯大戦の間に答えに辿り着け。」

 

これだけのヒントでどれだけ正解に至るか楽しみだ。

 

「いいだろう。行くぞ!」

「はぁっ!!」

 

俺とカルナは同時に飛び出し、衝突する。大きな爆発が包み込んだ。

鍔迫り合いから、右手首を捻って槍を軌道から逸らして剣を一回転させて首を狙う。

だが、それを石突で弾き、俺の空いた腹に下から上にかけて袈裟懸けで切りつけてきた。

それをステップで2歩下がり左踵から魔力放出をして前に出て剣を振り下ろす。

振り下ろされたそれを、カルナは咄嗟の判断で回し蹴りをして俺を蹴り飛ばし、猛スピードで迫る。

それに対し俺は突り、お互いの獲物同士が擦れて、首かわ一枚の所を通り、当たらず。

尽かさず、剣の柄頭で顔面を狙うが、首を傾げることで躱し、俺の右脇を通って俺の背後をとる。

そこを俺は剣を逆手に持って後ろに一突きし、心臓を狙う一突きを逸らし直接首と身体を分とうと両断を図る。

しかし、カルナは槍を巧みに使い、阻止、それからは無限の撃ち合いに入った。

互いが互いに打ち消し合い、逸らし合い、なかなか決め手が決まらない。

カルナの攻撃が通っても、直ぐに再生し、逆に俺の攻撃は何かしらの宝具の影響か、傷一つ作れない。

そして、1度距離を取った。

 

「成程な。親から得た鎧は不死。その鎧がある限り君は不滅なんだね。」

「貴様こそ、魔力尽きぬ限り無限に再生するのであろう。」

 

お互いに賞賛し合う。その間、見続けていたルーラーとマスターはこんな会話をしていた。

 

「何卒助力を。あのカルナは貴方の敵でもありましょう?」

「先も言いましたように彼らの戦いに色を加えることは出来ません。」

「グッ…………出てこい!赤のマスターよ!魔術教会の犬め、この私自ら相手してやる!見ているのだろう!」

 

いくら叫べとも、この場にはいない故に応答は来ない。それも分からぬマスターは聡明な人ではない確かな証拠だ。いっその事マスターを傀儡にして好きに動こうかしら?

 

「クソっ、クソォッ!私はマスターなんだぞ!」

 

マスターが俯いて何か言ってる。

戻るが、俺は剣道の切り返しのような動きで急所を狙い、カルナは槍の穂先と石突で的確に捌く。蹴りなどの闘術も混ぜた一身攻防の鬩ぎ合い。

軈て、日は明けてしまい、中断せざるを得なくなった。

今までの鬩ぎ合いで分かったことだが、終末剣エンキを使用していたら、今頃カルナは宝具を使用してきていただろう。

そう思いつつも、鉾をしまう。

 

「このままでは日が登るまで撃ち合うことになるだろう。俺は別に構わんが、そちらのマスターはうんざりしているようだ。」

 

マァスゥタァァァァァ!!!!!うんざりしてないで感銘してよ!聖杯戦争の醍醐味である殺り合いを直に見せてるんだからさぁ!

マスターがカルナの物言いにたじろいだ。

 

「まぁ、仕方ないか。それじゃあ、俺の真名をじっくり考えてくるといい。次に相見えたら、心ゆくまで殺り合いたいものだ。」

「あぁ、黒のセイバーよ。初戦から貴殿と戦えたことを心から感謝しよう。」

 

赤のランサー・カルナはそう言い残して霊体化した。それをルーラーが止めるも、間に合わず、既に去った後だった。

 

「お二人共、見事な戦いでした。」

 

ルーラーの賞賛に1つ頷いて直ぐに霊体化した。後はマスターがルーラーに交渉して成功するか失敗するかのどちらかだろう。まぁ、失敗するのは確定だろうが。

俺は一足先にユグドミレニア城に戻り、自室で寝た。

この時、黒のライダーが拾い物をアーチャーの部屋に連れて行っていたが、俺はその事を知ることはしなかった。

 


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