→『また四葉だろう』
部屋の扉もよく開けっ放しにしているし、今回も何か他に気を取られでもして消し忘れたのではないだろうか。
まあ、相手が四葉なら強く言う必要は全くない。
例えば俺が今回の件を伝えれば四葉なら「ご、ごめーん!」と即謝罪し、反省するはず。
正直電気の消し忘れだけでそこまで反省されるのは逆にこちらも悪いので、それとなく伝えるぐらいでいいだろう。
しかし、今更ながら何故四葉はあんなに家庭教師に乗り気なのだろうか。
もしかしたら前の学校の件を引きずっているのかもしれない。
そうだとしたら一度改めてフォローしとくべきか一花辺りに相談しようかと考えながら洗面所の扉を開ける。
「えっ…………えええええええっ!?」
四葉がいた。
お風呂に入る直前だったのか、上半身は裸で、ショーツに手をかけ俺にお尻を向けている状態。
というか微妙にお尻の割れ目が見えている。
最初はポカンとした表情の四葉だったが、現れたのが俺と分かった瞬間、羞恥で顔を真っ赤にする。
何故だろう。
他の姉とこんな場面に出くわしたことはないのだが、四葉のこの反応が普通で安心している自分がいる。
特に三玖の顔が思い浮かんだのは本当に何故だろう。
現実逃避は長くは続かず、思考が嫌でも現実へと引き戻る。
姉達は皆同じスタイルであるはずだが、一番運動をしている四葉の身体は誰よりも引き締まって健康的に見える。
それでいながら出るところは出ているというメリハリのある身体つき。
特に俺に向けて突きだされている臀部は滑らかな曲線を描き、その肌は瑞々しさで溢れている。
まさに桃尻と評すべきものだろう。
俺の視線はその一点から目が離せない。
ようやく現実を受け入れ始められた俺はようやく次の行動に移せた。
「む、六海?そんなに見られると恥ずか「…………はあ」ええっ!?」
溜め息である。
四葉が何か言いかけたが途中で遮る結果になった。
「人の裸を見ておいて溜め息ってどういうことー!?」
「いや、だって四葉お前さあ……」
俺は改めて四葉のお尻を見る。
正しくは、四葉のお尻を包んでいる幼さの残る下着ーー所謂子供パンツを。
「いきなり一花みたいな下着を買えとは言わないけどさ、せめて子供パンツはもう卒業してくれよ」
「きょ、今日はたまたまだって!」
「普段誰が洗濯してると思ってるんだ」
「しまった!?」
当初は交代制であった中野家の家事。
勿論洗濯も交代制であったのだが、一部の人間に任せると結局二度手間になるので、ならばと洗濯はほぼ俺が担っている。
最初は姉とはいえ異性の下着を洗うことに抵抗があったが、慣れた今では何とも思わない。
はっ!?と古典的なリアクションをする四葉。
リアクションがいいのは構わないが、おかげで色々と見えているぞ。
「物を大事にするのにも限度があるだろ。それに年頃の女の子的にどーなんだそれ」
「ええー?でもこれ可愛いんだよ?」
再び俺にお尻を突きだす四葉。
見ると下着には動物がプリントされている。
いや、確かに動物は可愛いんだが、俺が言いたいのはそういうことではない。
というか相手が弟はいえ何度もお尻を突き出すな。
その事を指摘するとようやく四葉は自分の痴体に気付いたのか、バッと突きだしたお尻を戻し、胸を手で隠す。
手ブラである。
まさか姉で見るとは思わなかった。
「あ、改めて言われると恥ずかしいね」
「改めて言われなくても恥ずかしがってほしかった」
羞恥心があるのかないのかわからない。
恥ずかしさを誤魔化すためか、四葉が急に話をぶっ飛んだ方向へと変えた。
「に、にしてもやっぱり六海も男の子だよね。私達とはやっぱり身体つきが違うもん」
「それでも男としては線が細いんだけどなーーって、おい」
「いいじゃんいいじゃん」
手ブラから片腕で胸を隠すスタイルに変わり、自由になったもう片方の手で俺の身体をペタペタと触りだした四葉。
他の誰かに見られたら誤解しか生まない光景である。
本来であれば減るものじゃないし、四葉の行動を甘んじて受けるのだが、状況が状況である。
それに先程まで動画を観ていたことに加え、今下手に物理的な刺激を受けるといつ反応するか分からない。
そろそろ止めるかと俺が思った矢先、恐る恐る四葉が口を開いた。
「あの、さ」
「あん?」
「六海もちょっと脱いでみてよ」
時が止まった。
◆◆◆
→『どうせ五月か』
五月は自分では一番しっかりしていると思っているが、色々と抜けているところがあるからな。
きっと空腹に堪える事に必死で消し忘れたのではないだろうか。
流石に最近食欲関係でからかい過ぎかなと、自分で言い出した事ではあるが思わず苦笑してしまう。
姉といえど女性なのだから、あまりそういった方面でからかうのはよくないだろう。
明日からは少し控えるか。
そんな事を考えながら俺は洗面所の扉を開ける。
「むむむ……」
扉を開けた先には全裸で体重計の上で唸っている五月がいた。
「…………」
「はっ!?む、六海!?こ、これは違うんですよ!ちょっと今日はおやつのケーキを食べ過ぎたかなというわけでなく、体重を計るのは日課といいますか!」
そういうとこだぞ五月。
人が少し反省した瞬間にこれだ。
どうせ食べ過ぎたことなんて姉弟全員この場を見た瞬間にバレるのに、それでも自分だけは認めたくないのか必死に否定してくる。
体重計から降り、俺に詰め寄って来るが、自分が今どんな格好なのか思い出してほしい。
「いいんですよ。私、六海にでしたら何処を見られても構いません」
ふんすっ、と何故か誇らしげに言う五月。
「あっ、ですが今はお腹周りだけはあまり見ないでほしいというか……特に理由はないのですが!」
そう言われると人間見てしまうもので、俺の視線は五月の二つの肉まんを経由してお腹に向けられる。
パッと見は他の姉達と全く一緒に見えるが、心なしか、気持ち、若干むっちりしていなくもないような。
「そ、そんなにジッと見ないで下さい」
「どっちだよ」
まさか本当に見られると思わなかったのか、急にモジモジと身体をよじらせる五月。
大事なところをヴィーナスの様なポーズで隠すが今更過ぎる。
「そ、そういえば六海はこんな時間にどうしたんですか!?」
「うん?いや、風呂でも入ろうかと」
「でしたら一緒に入りましょう!」
………………本当に何を言っているんだろうかこの姉は。
「イヤ」
「何でですか!?」
「何でって普通断るだろうし、何か身の危険を感じた」
「大丈夫です!これはあくまで姉弟のスキンシップですし、怖いことなんて何もありません!むしろ優しく、六海も必ず満足してくれると思いますし、さあ!さあ!」
「あ、当て身っ!」
「きゃう!?」
途中から身の危険どころか命の危険を感じさせる五月の態度に怖くなった俺は咄嗟に五月の首の後ろに手刀を当てる。
五月はそのまま糸の切れた人形の様に倒れた。
「た、助かったのか」
フィクションでしか成功しない技かと思っていたが、いざやってみれば出来るもんなんだな。
ひとまずの危険から脱した俺は一息つく……といきたいが、流石に倒れたままの五月を放置するわけにはいかない。
倒れた五月に視線を向けると、完全に意識を絶てなかったのか、身体を身動がせている。
全裸で。
…………えっ、これをどうにかしないといけないんですか?
どうしたらいいか途方にくれていると、五月が仰向けになる。
五月の呼吸に対応し、大胆に晒されている胸が揺れる。
その光景に思わず息をのむ。
姉と分かりつつも抱いてはいけない邪な感情を抱いてしまいそうだ。
この時、俺は気付くべきだった。
現実はフィクションの様に上手くいかないということに。
「ーーふふっ」
◆◆◆
→『誰のせいだろうか』
容疑者だけで5人もいるのだ。
その中かは犯人を一人探し当てるなんてただの学生の俺には荷が重い。
そういうのは高校生探偵にでも任せればいいと考えたところで、これ以上は大人の事情でややこしいことになりそうだと俺の第六感が告げているのでよしておく。
特に何も思うことなく洗面所の扉を開けると、そこには上着を脱ぎかけた上杉がいた。
なんでさ。
「うおっ!?」
「なんでこんな時間に上杉がいんだよ」
「その呼び方と髪は…………六海か!姉妹の誰かかと思って焦ったぜ」
「お前の俺の判断基準はそこだったのか」
扉を開けた瞬間ビクッとした上杉であったが、開けたのが俺だと分かり安堵の声を漏らす。
もしこれが俺でなく姉達の誰かであれば悲鳴をあげられ、それを聞いた他の姉達が来て更に悲鳴、と最終的に上杉の社会的立場が抹消されていたかもしれない。
「で、なんでこんな夜中に人様の家に忍び込んで服を脱ごうとしてんだ」
改めて状況を言葉にすると普通に通報案件である。
今日は家庭教師の授業を終えた後、いい時間だったので晩飯をご馳走したのたが、それは日付の変わる数時間前の話。
まさか食べ終えてからずっといたわけではないだろうに。
「そのまさかだ」
「……まじ?本当に何してたんだよ」
「二乃に貰った飲み物を飲んだらな」
「オッケー察した」
また二乃が睡眠薬を仕込んだのか。
どうせ食後にあれこれ言われるのを危惧して手っ取り早く眠らせて帰そうとしたのだろう。
上杉も今回は授業後ということで油断したみたいだ。
とはいえ、流石に学習してもいいと思うが。
てか飲んだらすぐに寝てしまう睡眠薬って劇薬過ぎないか。
父は一体娘に何の薬を渡しているのか。
「六海も起こしてくれればいいものを」
「あ、あはは。後片付けして直ぐに部屋に戻ったからな。声もしなかったし勝手に帰ったもんだと」
特に今回は最初から部屋でお楽しみタイムと決めていたので、普段より大分早く部屋に戻っていたのだ。
でも、まさか俺以外全員が上杉を放置するとは思いもしなかった。
多分6人それぞれが誰かがなんとかすると同じことを考えた結果なのだろう。
「それで汗でも流そうとしたのか」
「ああ。勝手に使うのは気が引けたんだが」
「全然いいよ?こっちが全面的に悪いわけだし」
ただ俺も風呂に入りたいんだよなーと思い、そして閃いた。
「よし。せっかくだし一緒に入るか」
「……は?いや待て待て待て待て!」
何故か慌てる上杉を無視して俺は服を次々と脱ぎ捨てていく。
我が家の浴室は他の部屋同様大分広いからな。
それこそ男二人で入ろうが全然余裕である。
俺も上杉も風呂に入りたいし、せっかくの機会だ。
以前から男同士の裸の付き合いというのに密かに憧れを抱いていたので尚更好都合である。
裸まで後一枚というところで、上杉が今度はなんとも言えない表情を浮かべていることに気付いた。
「どうかしたか?」
「六海が男ってのは勿論分かってたんだが、他の奴らと同じ顔なのにそれ以外はしっかりというのに脳の処理が追い付かない。というか違和感が凄まじい」
そういうものなのだろうか。
言われてみれば確かに今までも似たような事を言われてきた。
小学校の修学旅行でのお風呂。男子の時間、女子の時間に加え何故か中野家の時間が何故か用意されていたし、プールでの授業は着替えは俺だけトイレ。
担任からは他の子の為にも上を羽織っていてくれと頼まれた事もある。
中学も似たようなものだ。
今思うと、ちょっとした差別で問題になるご時世にこれは中々強烈だった。
まあ、言いたいことは分かるし、仕方ないかと理解はしている。
けれども男として素直に納得していい問題ではないことも確かである。
やはり身体をもっと鍛えて、髪ももっと短くすべきか。
しかし、そうしようとすると何故か姉達の大半から反対されるしーー
「その格好のまま固まるな」
「あっ、すまん。ちょい考え事してた」
なんとなく上杉の身体を見てみる。
諦めたのか上杉も服を脱ぎ始めており、その裸体が嫌でも目に入る。
運動の出来ないひ弱キャラというイメージから身体もガリガリかと思っていたが、意外や意外。
流石に運動部並みとはいかないが、それなりに引き締まって見える。
少なくとも身体だけは運動が出来ないようには見えない。
それに憎たらしいことに身長があるからな。
それで全体的なバランスもよく見える。
数㎝でいいので分けてもらえないだろうか。
言い値で買うから。
上杉も残りは後一枚になった。
なるほど。
TVや本で知ったが、男同士というのは動物同様自身の持つ半身となるものを相手のものと比べ、大きい方が精神的優位に立てるらしい。
その事を考えると最後の一枚を脱ぐのは男同士といえど、それなりに覚悟がいる。
が、誘ったのは俺だ。
慣れているのか何事もなく最後の一枚を脱ぐ上杉に続き、俺も最後の一枚を脱ぐ。
勝負!!
その日、上杉との仲が今までより深まった気がした。
六海……下着を見れば誰のか即座に分かる特技がある。誇れない。
一花……六海が洋モノ好きであることを知っている。参考までにどんなものかチェックすることも。
二乃……買いだめしているティッシュ箱の減りが早い時はそういうことなんだと察している。いつかそのネタでからかおうと企んでいるが、流石にやり過ぎかなと悩んだり。
三玖……六海の顔を見て、何となくヤった後か分かる。触れるべきではないと思い、何も気付いていないフリをしてる。
四葉……六海の部屋の掃除中にベッド下のブツやら本棚の裏やら机の引き出しの隠しスペースから見つけてはいけない物を見つけ一人赤面することも。他の姉妹に相談すべきか悩んでいる。
五月……すべてしってる
皆さんはどの選択肢の続きが気になりましたか?
続かないですが。
R18タグがなくともこれぐらいはセーフ……セーフですよね?