五等分の姉   作:プラム2

9 / 22
前回のあの終わり方をしておきながら急な番外編です。
※感想欄を見て思い付いたネタです。本編とはほぼ関係がありません。


番外編「六つ子ちゃんの禁断の愛的な何か」前編

 

 

 思春期の男の悩みとは何だろうか。

 きっと学業やら人間関係やら金銭面などが挙がるんじゃないだろうか。

 だが、思春期の一番の悩みは性に関しての悩みではないかと俺は思う。

 

 特に十代の男子の性欲は猿並みと比喩されることが多いこの世の中、多くの男子諸君は問題なく自分の性欲を発散出来ているだろうか。

 

 ある者はひっそりとベッドで。

 ある者は家に一人の間に堂々とリビングのTVを使いながら。

 性欲の発散方法はそれこそ千差万別。

 自身の環境でも大きく左右されるだろう。

 

 小難しい話になってきたが、俺が言いたいことはただひとつ。

 姉五人と暮らしている俺の性欲処理は一筋縄ではいかないということである。

 

 

「ーーよし」

 

 

 姉達が寝静まったであろう深夜。既に各部屋の明かりが消えているのも確認済み。

 俺の自室も明かりを消し、扉にも鍵をかけた。

パソコンにはヘッドホンを差し込み、音が漏れる心配もない。

 完璧、万全、ビューティフォー。

 

 何回も確認し、改めて安全が確保出来た時点で俺は今日のメニューを探していく。

 探す時の注意として姉物は勿論NG。

 大人っぽいやらツンデレやら内気、活発、ブラコン等が含まれている物も当然弾く。

 というか大抵何か一つは五人の内の誰かが連想させる可能性があるので、いつからか俺の好みは連想される可能性の少ない洋物になっていた。

 

 物色すること数分。

 サムネイルから良さそうなのを見極め、クリック。

 画面が切り替わり、映像が流れ始める。

 

 独特なBGMと共に金髪の外国人美女と男性が映し出された。

 映像内での会話が英語な上、字幕もないので会話の内容は大まかにしか分からない。

 けれど今回の目的というか、こういった動画は雰囲気やニュアンスが分かればいいのだ。

 考えるな、感じろとはよく言ったものだと思う。

 

 映像内の金髪美女が悩ましげに身体を揺らしながら服を脱ぐ。

 実に扇情的である。 

 その光景だけで血流が下半身に向かって集中し始めている気がする。

 映像を眺めること数分。視線を下に向ければそこには急に存在感をアピールし出した我が半身。

 ほんと男って単純。

 

 よし、と謎の覚悟を決め、ズボンに手をかける。

 すると、どうだろう。

 まるでタイミングを合わせたかのように画面のシーンも切り替わった。

 俺の手が止まる。  

 

 四肢を拘束され、身動きのとれない男性。

 その男性の晒け出された半身を蔑んだ眼差しで見つめる金髪美女。

 なんだか嫌な予感がする。

 

 その直後、強い口調で、恐らく罵倒の類いの言葉を吐いた女性が男性のモノを上下に強く扱く。

 乱暴に自分の半身を扱われている男性は気持ち良さそうーーではなく、とても痛がっているように見える。

 

 その瞬間、過去の記憶がフラッシュバックする。

 

 あれはまだ俺達が幼かった頃。

 二次性長を迎える前、俺と姉達が顔だけでなく身体つきも同じだった頃。

 ある一部を除いて。

 

『ねえ、六海のそれってなんなの』

『な、なんなのっていわれても、ぼくはおとこだもん』

 

 子供とはいえ、流石に六人で入れば狭かった浴室。

 一糸纏わぬ姿で、五人がまるで一緒なのに一人だけ五人に無いものが付いていれば気になるというもの。

 今では誰がそれを言い出したのかも思い出せない。

 けれども、この直後に繰り広げられる惨劇だけは今でも鮮明に覚えている。

 

『ふーん、変なの』

『うわ、伸びた』

『ぐにぐにしてる』

『あっ、ちょ、やめ』

『なんかかわいいね』

『せっかくだし、このままあらっちゃおうよー』

『えいっ』

『っ~~!?!?!?!?』

 

 えいっ。そんな可愛らしい一声と共に誰かが俺の皮を思いきり剥いだ。

 子供の無邪気で残酷な好奇心が招いた惨劇だろう。

 包皮と亀頭の癒着を一気に剥がされ、今まで外気に触れることなく守られていたものが急にコンニチハした痛みに、俺は悶絶した。 

 惨劇は続く。

 垢でも溜まっていたのだろうか。

 これまた誰かが綺麗にしようとコンニチハしたばかりのものに勢いよくシャワーをあてがった。

 追い討ち。オーバーキルもいいところである。

 

 剥いだのが誰か。シャワーを当てたのは誰か。そもそも触り始めたのは誰か。 

 今となっては誰がやったかわからないが、確かなことはただひとつ。

 

 誰一人が悪いとかではない。

 全員が悪く、全員が犯人である。

 つまり全員有罪。ギルティである。

 

 今思い出しても恐ろしい。 

 背中に嫌な汗が流れている。

 人によってはご褒美なのかもしれんが、流石にそこまで上級者ではない。 

 もしかしたら姉達に反抗的な態度が取れないのはこの惨劇が原因かもしれない。

 

 トラウマを思い出してしまったせいで、急激に萎えていった半身。

 俺はやりきれない思いを胸に黙ってブラウザを閉じる。

 

 不完全燃焼である。

 かといって、また違う動画を探す気分にもなれない。

 どうするかと悩んだ結果、別の方向でスッキリすることにした。

 

「風呂入ろ」

 

 トラウマを思い出したとはいえ、風呂まで入れないわけではない。

 むしろ嫌な汗を一刻も早く流したい。

 そうしたら今日は大人しく寝よう。

 

 そう決めた俺は早速部屋から出る。

 部屋の外は真っ暗。

 改めて姉達の部屋の扉を見る。

 起きていれば扉の隙間から光が漏れるはずなので、やはり全員寝ているのだろう。

 まあ、この時間に起きている俺がおかしいのだが。

 

 階段を降り、浴室に向かう。

 すると浴室前の洗面所の扉から光が漏れていることに気付いた。

 

「ったく、誰だよ最後に使った奴は」

 

 いくら金のある家庭とはいえ、無駄遣いをするのは間違っている。 

 特に電気の付けっぱなしなんて一番しょうもないものだ。

 これはーー

 

 

 

①『寝ぼけた一花に違いない』

②『使用頻度の高い二乃か』

③『意外と三玖だったりしてな』

④『また四葉だろう』

⑤『どうせ五月か』

⑥『誰のせいだろうか』

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

→『寝ぼけた一花に違いない』

 

 

 最近の部屋の状態といい、帰りも遅い日もあるし、そろそろ一言言っておいた方がいいのかもしれない。

 明日起きたら問い詰めてやると心に決め、扉を開ける。

 

「む、六海?」

「ーーーーえ?」

 

 扉を開けると、そこには思い出したトラウマの光景より、遥かに成長した姉がこれまた一糸纏わぬ姿でいた。

 お互い固まってしまう。

 その硬直から先に動き出したのは一花だった。

 

「いやー、びっくりしたー。駄目だよ、こんな夜更かししてちゃ」

「あっ、いや、悪い」

 

 さっ、と近くにあったバスタオルを身体に巻き、何事もなく話しかけてくる一花。

 

「で、どうしたのこんな時間に?」

「ふ、風呂でも入ろうとしてな」

「私も一緒。うっかりこんな時間まで寝ちゃっててねー」

 

 照れ臭そうに頬をかく一花。

 その顔をほんのり赤く染まっているのは照れ故かそれとも別の理由か。

 

 変な話だが、一花の下着姿なら見慣れている。

 なんなら一花の部屋に突撃する際に全裸であることも珍しくない。

 だが、そういった時は姉弟とはいえ年頃の男女なので視線を向けないようにしていた。

 例え見たとしても、普段の俺なら見てしまったという罪悪感やら後悔の念を抱くだけで間違っても興奮するなんてことはない。

 

 だが、

 

 だが、今日だけは違った。

 

 つい先程までそういった行為をしようとし、不完全燃焼で終わってしまった事。

 数秒とはいえ上から下まで見てしまったこと。

 そして、あの一花が少なからず恥じらいの表情を見せたこと。

 俺としては先程の映像を連想してしまったせいだと信じたいが、それでも俺の半身は疑うことなく、姉の前で再び存在を主張し始めた。

 

 着ていたのがスウェットという柔らかい生地だったのが更に状況を悪化させる。

 一花も気付いたのだろう。

 一瞬視線が俺の下半身に向き、「あっ」と声を漏らす。

 そして俺の顔を見る。

 俺は恥ずかしさや情けなさのあまり顔をそらす。

 

 俺と一花の間に堪えがたい沈黙が流れる。

 死にたい。

 

「む、六海も男の子だもんね。し、仕方ないんじゃないかな。それに弟から見ても私の身体って魅力的ってことだし、う、嬉しいよ?」

「やめて……下手なフォローは逆効果だって……」

 

 優しさが辛い。

 しかも一花からしたら俺が先程までアレなものを観てたなんて知らないわけだから、こうなったのは自分のせいだと思っているのだろう。

 違う、違うんだ。

 俺はさっきまでの思い出したからこうなったわけで決して姉でこうなったわけではないんだ。

 

「ねえ、ちゃんと六海は出来てるの?」

「ーーーーは?」

 

 いきなり何を聞いているんだこの姉は。

 

「ほら、私達の中で男の子は六海だけじゃない。その中で、その、そういった処理って中々しづらいんじゃないかって」

「いや、まあ、確かにそうだけど」

 

 部屋でやるにしても、やった後誰が部屋に入るか分からないから臭いはちゃんとファブるし、ゴミも念のため翌日の朝自分で出すようにしている。

 他の男と比べて警戒体制は厳重かもしれないが、皆こんなものではないだろうか。

 

 というか、そんな際どい質問を思春期の弟にするなよ。

 知ってどうするんだよ。

 

 あー、うー、と俺の返事を聞いた一花が何やら唸っている。

 心なしか先程よりも顔が赤い。

 そして意を決した表情で俺に言った。

 

 

「手伝おっか?」

 

 そんな一言が響き渡るように聞こえた。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

→『使用頻度の高い二乃だろうな』

 

 

 二乃は風呂から出た後もスキンケアやらなんやら一番気にかけているからな。

 どうせ今回も使ったまま消し忘れたとかだろう。

 明日注意しとくのはいいが、言葉を選ばないと軽く「はいはい、ごめんなさいねー」と流されるか、「男のくせに細かいわね」と理不尽な言葉を投げられるのが関の山だろう。

 一体どうしたものかと年頃の娘との接し方の分からない父親の様な悩みを抱いてしまう。

 少なくとも弟が抱く悩みではないだろう。

 

 益々気が重くなった。

 この気持ちもさっさっと洗い流してしまおう。

 そう思いながら扉を開けると、そこには予期せぬ光景が広がっていた。

 

「「…………は?」」

 

 声が重なる。

 俺の目の前には既に寝たはずの二乃が生まれたままの姿で立っていた。

 

「きゃーーー!?」

「キャーーーって!なんで六海が悲鳴挙げてんのよ!?逆じゃない!」

「こ、これから俺の身に襲いかかる惨劇を想像したらつい」

「人の裸を見ておいて随分な言い草じゃない……!」

 

 だって貴女二次元にいるような典型的なツンデレちゃんみたいな性格じゃないですかー!

 こういったラッキースケベを起こした後は大抵頬に紅葉マークを付けられるまでがお約束の展開である。

 

「上杉や他所の男ならともかく弟相手にそこまで怒らないわよ」

「そ、そうか。ちなみに上杉に見られたら?」

「消すわーーーー記憶から存在まで」

「記憶が消えたらいいのでは!?」

 

 上杉には次に我が家に来るときは決死の覚悟をしてから来るようにと伝えておこう。

 想像の中の上杉が「お前の家は地獄か何かか」と突っ込んできたが、あながち否定出来ない。

 

 ともかく、身の安全が保障された事で俺は一安心。

 ホッとすると、不意にいつの間にかタオルで身体の前を隠した二乃の姿が目に入る。

 

 我が姉ながら実に素晴らしいプロポーションである。

 大きく育った二つのたわわな果実に、シミ一つない絹のような美しい肌。

 出るところは出ていて、締まるところは絞まっている男性だけでなく女性も見惚れる様なスタイルである。

 後、なんとなくタオルでの身体の隠し方がえっちぃ。

 無意識にチラリズムを使いこなすあたり流石である。

 

 こういった事を姉で考えるのはアレだが、同じクラスの男子からしたら格好のオカズなのではないだろうか。

 その他同じスタイルの人間が同じ学校に後四人もいるので、中野家への男子からのリビドー送信率はかなりのものな気がする。

 想像したら気分が悪くなってきた。

 

「怒りはしないと言ったけど、ジッと見ていいとは言ってないわよ」

「わ、悪い」

 

 言われて慌てて視線を逸らす。

 というか俺はいつまでここにいて、二乃はいつまで裸でいるつもりなのだろうか。

 先程まで俺はアレな事をしていたため、いつ半身が反応するか分からない。

 しかも姉相手に反応したと二乃に知られでもしたら俺も消されるのではないだろうか。物理的に。

 ならそうなる前にさっさと出ていこう。

 そう思い、洗面所を出ていこうとすると二乃から待ったがかかった。

 

「待ちなさい」

「な、なんだ。用があるなら今じゃなくて後にしてくれ」

「今じゃなきゃ駄目なのよ」

 

 意味が分からない。

 今じゃなきゃ駄目な用なんてあるのだろうか。

 もしかして下着を部屋に忘れでもしたか。

 

「違うわよ」

 

 違うらしい。 

 なら本当に一体何だというのだろうか。

 俺が二乃の用件に検討がつかずにいると、痺れを切らした二乃が何処か照れを含んだ様子で言った。

 

「お、男の子って女の子のどんな所に興奮するものなの?」

 

 時が止まった。

 

 二乃の唯我独尊っぷりなら時を止めるぐらいは出来そうだが、どうやら止まっているのは俺だけの様子。

 俺が止まったままでいると、意を決して訊いたのも関わらず返事をもらえない二乃は理不尽にも怒りだした。

 

「何か答えなさいよ!」

 

 その言葉を投げ掛けられ、俺はようやく口を動かせた。

 

「いや、答えるも何も……姉様、貴女弟に何聞いてるんですか」

「うっ……だってしょうがないじゃない。こんな事クラスの男子に訊けるわけないし、身近な男の子なんて六海しかいないんだから」

 

 確かにクラスメイト、というより異性にそんな事を訊けば痴女認定待ったなしである。

 身内の俺ですら痴女認定しかけているのだから。

 というか、その答えを聞いたところで一体どうするのだろうか。

 まるで好きな男子の気を引くためのーーーーまさか、好きな人でも出来たか。

 それならば色々と納得出来るが。

 

「違うわよ。……友達とそういった話になった時、皆経験あるのに私だけそういった経験がないから何も話せなくて」

 

 悔しそうに言う二乃。

 

 なんだ。

 話を聞けば実に学生らしい微笑ましい話ではないか。

 生憎と俺は学友とそういった話はしないーーというか周りがしてくれないーーのだが、最近の学生は進んでいるみたいだし、そういった話も同性同士だと多いのだろう。

 男同士なら一度も相手の城壁を突破したことがない男はからかわれやすいと思うが、女性もそうなのだろうか。

 男からしたら一度も相手の侵入を許した事がないというのは相手にもよるが評価の上がる事ではないだろうか。

 それに周りがいくら進んでいるからといって俺達はまだ高校生なのだ。

 未経験なのが当然で、その事を恥じて気にする必要なんて全くない。

 

 そう伝えたのだが、どうやら二乃は俺の返事がお気に召さなかったらしい。

 

「そんなこと聞いてないわよ。私が知りたいって言ってるの」

「ええー」

 

 ここは「そうよね。気にする必要なんてないわよね」とでも言ってイイハナシダッタナーとなるところじゃないのか。

 

 そうなるとどうしたもんかと悩む前に、鬼気迫る顔で俺に近付いた二乃はドンッ!と俺の逃げ道を無くすように腕で塞ぐ。

 

 えっ、壁ドン?

 

 まさか男の俺が。

 しかも姉に壁ドンされた事に混乱している俺を他所に、二乃は空いている手で俺の胸ぐらを掴んで言った。

 

 

「教えないっていうなら、アンタの身体に訊くわよ」

 

 タオルの落ちる音がやけに遠くに聞こえた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

→『意外と三玖だったりしてな』

 

 

 まあ、もし犯人が三玖なら特に言う必要もないだろう。

 普段からしっかりしている三玖だ。

 たまのミスぐらいで一々責めたりはしない。

 

 三玖の事を考えると、本当に上杉と知り合ってからの三玖は表情豊かになったと思う。

 以前まで他人から、それどころか俺達姉弟から見ても無表情なのが目立ってたからな。

 まあ、俺達姉弟は三玖が無表情だとしても微妙な変化から気持ちを理解出来るのだが、赤の他人には無理難題というものだ。

 上杉との関係がこの先どうなるのかは分からないが、現状だけ見れば実に良いことである。

 

 このまま時間が経てばいずれ三玖の無表情も見なくなるかもしれない。

 それはそれで寂しいかもしれないと、そんなことを思う自分に少し呆れながら扉を開ける。

 

「あっ、六海」

 

 そこにはちょうど下着を脱ぎ、裸になった三玖が無表情に立っていた。

 

 そうそう、この顔だよーーーーって、違う!

 

「わ、悪い!誰もいないと思って!」

 

 掲載する週刊誌を間違えているのではないかと思うハプニングに、俺はバッと顔を背ける。

 悲鳴なりビンタなりと、俺はこの後来るであろう反応に身構えていたのだが、数秒経っても何も来ない。

 恐る恐る視線を正面に戻すと、何時の間にか目の前にまで詰め寄っていた三玖が視界いっぱいに映った。

 

「どうしたの?」

 

 きょとんと首を傾げる三玖。

 認めたくないのだが、俺と三玖のーーというか六人全員同じ身長だ。

 なので正面だけを向けば顔以外見ることはないのだが、男の本能か。

 相手は姉とわかりつつも視線は無意識に下に向いてしまった。

 上から見上げる形になったそれはこれでもかと女性らしさを現しており、思わずゴクリと唾を飲み込んでしまう。

 

 同じスタイルとは分かっていたが、三玖は姉達の中では普段の露出が少な目。

 一花あたりのなら見慣れているのだが、三玖の裸は幼い頃以来でーーって、何を分析してるんだ俺は。

 

「前っ!前隠せって!」

「なんで?」

 

 羞恥心がないのだろうか、この姉は。

 

「姉弟なんだし、昔はお風呂だって一緒に入ってたじゃない」

「そりゃそうだけど、それは昔の話で」

「変な六海」

 

 くすくすと笑う三玖。

 これは俺が変なの?

 俺がおかしいのかこれ?

 世間一般的には三玖の反応が普通なのか?

 

「ところで六海も一瞬見てたけど、何で男の子って胸が好きなの?」

「胸をたぷたぷさせながら聞くな!!」

 

 自分の胸を下から手で持ち上げ、揺らす三玖。

 その行動を見て、少なくともそれだけは世間一般的にも違うと確信を持って言える。

 胸をたぷたぷさせるのは止めてくれたが、今度はジッと無言で俺の事を見ている。

 

 えっ、もしかして今の回答待ち?

 答えないとずっとそのままのつもりかよ。

 

「えー……あれだよ。男性にないものであって、一番女性らしさの象徴であり、なんだ。母性?的な安心感も感じられる箇所で、それは男の本能が求めているというか、そもそもオキシトシンというーー」

「母性……」

 

 一体どこが終着点なのか自分でも何を言っているのか分からなくなった。

 その中で、引っ掛かる言葉があったのか三玖がポツリと何かを呟いた。

 そして、たぷたぷさせなければいいと思ったのか、今度は胸をもみもみし始める。

 そろそろ三玖を痴女と認定しても誰も俺を責めないのではないだろうか。

 

 しばらく自身の胸を揉み続けるとーー今、思えばこの間に出るなり逃げるなりすべきだったーーさも軽い口調で俺に言った。

 

 

「揉んでみる?」

 

 

 




長くなったので分割。
後編も本日中に投稿予定です。

いつものおまけは後編に。
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