アルベドの名の通り、アルビノの体を持つ男は白く儚く美しく、しかして破壊と狂気の化身なり。

その拳を振るえば地が抉れ、当たれば形は残らず命は絶える。

あらゆる痛み、あらゆる害毒、あらゆる激情がその天性の肉体を昇華させ、男を更なる高みへと登らせる。

震えおののけ神々よ。

これなる者は貴様らへの怒りなれば。

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最初はアマゾネスCEO(TS)で考えたネタ。
粗があっても許してください。

大口ゴリラのヒドインでもなし、暴嵐の狂獣でもなし、わかりやすくいえば肉体がサイヤ人のような体は大人、実年齢は一桁なオリ主が送るあるかもしれないお話を、それではどうぞ。




生まれてたった4年

 

 

 何処かの神の眷属であるどこにでもいるような荒くれ者の男性冒険者と、そんな男をお得意様として何度も夜を過ごした娼婦の女の体に新たな命が身籠もった。

 

 男は認知などせず身篭った女の好きにしろと言った。

 

 女は娼婦であり、この先商売を続けていくのに身篭った存在は邪魔であった。

 

 多少の金は張るが、男から渡された金で医療系ファミリアに頼めばまだ堕胎が可能な段階であった。

 

 しかし、女にとって幸か不幸か、その身に宿った命は特別であった。

 

 通常、人間や亜人に少しの差はアレど段階を経て10ヶ月ほどで臨月になるのだが、女の体に宿った命は瞬く間に成長していった。

 

 女の体に宿った生命の異常とも呼べる成長速度によって女の腹は見る見るうちに大きく膨れ上がり、彼女が妊娠したと自覚して一週間で臨月というべき大きさにまで膨れ上がった。

 

 女は気味が悪かった。

 

 こんなモノ産みたくないと恐怖し不気味さを感じたが堕胎などできようはずがなく、仕方なしに産むことを選択せざるを得なかった。

 

 女はもっと早く気付くべきだったのかもしれない。

 

 娼婦である彼女はこれまで幾度かの妊娠を経験しており、早期の段階で気づき堕胎してきたはずの彼女が、1ヶ月近く気付くことができなかったことに。

 

 そうして生まれた赤子は男であった。

 

 そしてある地域では信仰として、またある地域では凶兆であるアルビノの個体として生まれた。

 

 そして、女はその赤子を捨てた。

 

 名前さえつけられる前であった。

 

 母親に抱かれることもなく、母乳の味さえ知らず、母親も父親も知らずまま彼はこの世に生を受けた。

 

 だが、彼は特別であった。

 

 三日すれば言葉を覚えた。

 

 五日後には立って歩いた。

 

 七日後には姿を消していた。

 

 それ以降、赤子の行方を知る者は居ない。

 

 いや知ろうとも思わなかった。

 

 なぜなら、こんな不気味な存在には、超越存在である神でさえ近づきたくなかったからだ。

 

 

 月日が経ち、彼は成長する。

 

 

 異常とも呼べる速度をもってその体を成長させて、その異常性から目を逸らさせるかのように美しく、強く、健やかに成長した。

 

 誰が言ったか、アルベドと言う名が、彼を示す唯一となった。

 

 何の庇護もない少年はその身を複雑に入り組んだ路地裏において、盗み、奪い、その命を繋いだ。

 

 天性の肉体とも言うべきか、彼の体は強く強靭で、彼が経験したありとあらゆる経験を昇華してその体を成長させていく。

 

 受けた痛みによって体はより強靭に。

 

 食当たりによって苦しんだ次の日には毒への耐性を。

 

 秒単位で繰り返し繰り返し行われる痛みと再生によって、彼の体は齢3歳にして健やかに育った少年とも言うべき背丈の肉体に成長していった。

 

 彼の頭脳や精神もまたそれに相応しいものへと変化する。

 

 明らかな異常だが、少年はそれが分かっていた。

 

 ゴミと生臭さが漂う廃れた路地裏において彼は生きてきたが、人と神が住まうオラリオの喧騒を見ていると次第に彼の中にはある感情があった。

 

 それは、神への憤怒、憎悪、殺意。

 

 飢えて痛みに喘ぎその命を次に繋げることさえできない幼子の命が、華やかなオラリオの街の裏に溢れかえっているというのに神は人を救わない。

 

 それどころか見向きもしない。

 

 笑って、笑って、笑って笑って笑っていた。

 

 そんな汚いモノは見る価値も無いと、何も知らないと言うかのようにヘラヘラと。

 

 それがアルベドには不快であり殺意へ繋がっていた。

 

 小綺麗で整った顔立ちと一目でわかる神の存在感を感じた時、何度となく殺そうかとその思考が憤怒に支配されたが彼はそんな事をする意味も価値も無いと理解した。

 

 いや、無理矢理に納得したのだろう。

 

 だから、彼は、ダンジョンに赴くことにした。

 

 職に手をつける事も考えたが襤褸を纏った子供など誰が雇うのかと、生まれどころか親さえ不確かなアルベドが雇われる可能性は皆無だろう。

 

 そして、満足な金が手に入るかも分からない。

 

 義侠心と言うべきか、彼はそれで動いていた。

 

 路地裏で死ぬかもしれない幼子に何かを食わせてやりたいという一念でダンジョンへと向かった。

 

 ダンジョンでモンスターを殺せば魔石が出る。それを売れば金になる。店で一日あくせく働いて得る金とは比べ物にならない利益が得られる可能性があると踏んで、神の恩恵が刻まれていないにも関わらず。

 

 誰かが聞けばホラと一蹴するようなその愚行。

 

 アルベドはモンスターの住まうダンジョンから生還した。

 

 その手に小さいながらも魔石を手に握りしめて。

 

 その体を血と生臭さに染めて。

 

 ほんの上層での狩りで大した金にもならないものであったが、彼はその魔石をギルドで換金して食料を買って路地裏へと戻った。

 

 未登録の、冒険者ですらないアルベドの身柄を訝しんだギルド職員だがその手に魔石を握らせてアルベドは黙らせた。

 

 金は力だと、アルベドは知っていた。

 

 その日から、アルベドは路地裏の腹の空かせた幼子たちに食料を与えた。

 

 十分な量が行き渡っているとは、口が裂けても言えなかったが徐々に子供達は活力が宿って笑みさえ浮かぶようになった。

 

 その目に輝きが宿るようになった。

 

 それが、アルベドには堪らないほどに尊いものに映ったのであった。

 

 親も知らず、親の温かみを知らず、愛を体験したことのない彼は子供達の笑みを見て知ることができた。

 

 アルベドは子供らのまとめ役のようなものになった。

 

 小さな子供も少年や青年と言っていい子供たちのまとめ役になったアルベドはダンジョンに潜って魔石を得て、食料を持って帰り彼らに配って、そして羊皮紙に書かれた共通文字を理解し読み書きを教えた。

 

 そんな奇妙な生活を通して、路地裏の子供たちは成長した。

 

 アルベドが彼らを守ったように、年長者が幼い子供達を守り出した。

 

 働ける者は働いて金を稼ぎ、まだ働けないまでも年を得ている者はまだ小さな子供達の面倒を見ると言ったそんな奇妙なコミニュティ。

 

 そんな奇妙なコミニュティが形成されて数ヶ月、到達階層を十階層と増やしていたアルベドは嫌な噂を耳にする。

 

 闇派閥と呼ばれる、悪質な犯罪に平然と手を染めているファミリアがアストレア・ファミリアに追われてアルベドや子供達のコミニュティが存在する近辺に潜んでいるのではと。

 

 ガネーシャ・ファミリアといった大手ファミリアも捜索しつつあるという街で流れている風の噂をダンジョンからの帰り際に耳にしたアルベドは言いようのない悪寒を感じて急ぎ足で帰路についた。

 

 当たって欲しくない予感が当たったようで、帰ったアルベドの前に広がったのは剣を突きつけられて人質となっているコミニュティの子供達の姿で、男の年長者ら数人が抵抗したのか体に痣を作り地面に倒れている。

 

 アルベドはもちろん怒った。

 

 だが、動けば子供達が殺されてしまうということは容易く分かった。

 

 闇派閥の要求は単純であった。

 

 捜索に来るアストレア・ファミリアやガネーシャ・ファミリアの連中の目を欺き、そしてダンジョンに潜れるアルベドに金と食料を要求。

 

 アルベドが彼らに物資を調達する限り、子供達に手を出さないと。

 

 アルベドは膝を屈さざるを得なかった。

 

 そこからアルベドは昼夜を問わず一日中ダンジョンに潜ってモンスターを狩って魔石を稼ぐ事になった。

 

 今まで通りでは全く足りない。

 

 最低限ではなく、闇派閥の連中を満たす膨大な量。

 

 十階層から、さらなる下へと。

 

 怪我など省みず、モンスターを効率的に殺す為にその身を何度も何度も危険に晒しながらもアルベドは戦い続けた。

 

 武器など無いに等しい。

 

 時折ダンジョンに残された壊れた剣や槍、そしてダンジョンに生えた天然武器を手にして、壊れたならば素手をもってモンスターを屠殺していったアルベドの体はそれに応じて強靭に進化した。

 

 己がしくじれば、子供達が殺される。

 

 そんな責任感に突き動かされたアルベドの苦労がようやく報われる時が遂に来る。

 

 アストレア、ガネーシャ両ファミリアの捜索の手が彼らの住む区画から外れたのだ。

 

 それを、夕日が差し込む帰り際に聞いたアルベドは微かな笑みを浮かべて披露の残る体をひこずって帰路に着いた。

 

 何時もの場所、薄暗いが皆で掃除して見間違えるほどに綺麗になった開けた場所で皆が待っていると、そう思ってアルベドは食料を手に帰還して、地獄を見る事になった。

 

 皆、死んでいた。

 

 剣で一刺しといったものから苦痛を与えるように刻んでいった惨殺されたもの。皆一様に恐怖と苦痛を浮かべ、そしてアルベドという一縷の希望が助けに来ることを願っていた、そんな表情で死んでいた。

 

 あたり一面の血の海の中、呆然と立ちすくむ中でアルベドは自分が囲まれている事に気づいた。

 

 

『お前を連行する』

 

 

 奇妙な仮面を着けた、ガネーシャ・ファミリアと呼ばれる者たちであった。

 

 そこでアルベドは気づく。

 

 自分は、闇派閥の者達が逃げる時間を稼ぐ濡れ衣を着せられたのだと。

 

 この惨殺死体がアルベドの犯行とされても、闇派閥の犯行だとされてもどうでもいい。

 

 最低限の時間は稼げる。

 

 従順に働いたアルベドが運んできた十分な物資があるから、それがあれば何とか立て直せると踏んで。

 

 それがアルベドをさらに成長させる引き金となった。

 

 憤怒と憎悪と、自分自身への至らなさへの嘆きが彼を狂気に染めあげる。

 

 その肉体は更に強靭になっていく。

 

 神の恩恵が刻まれていなくても、ダンジョンのモンスターを屠れる膂力とその攻撃に耐えれる耐久力を持った肉体はさらなる力を渇望してより強く。

 

 第一級冒険者や複数の第二級冒険者のガネーシャ・ファミリアの包囲網を一足で置き去りにしたアルベドは殺意の奔流となってオラリオ中を駆け巡った。

 

 その痕跡がオラリオに無いと見るや否やダンジョンへと向かい、不幸にもその歩みを阻害するモンスターがいればその速度を持って轢き潰し血眼になって彼はダンジョンを駆け巡り、遂に怨敵である彼らを見つけたのであった。

 

 その場にはアストレア・ファミリアである構成員もいたが甚大な被害を被り壊滅状態といってもよかった。

 

 対してアストレア・ファミリアの構成員と敵対しアルベドの怨敵であるルドラ・ファミリアの面々は未だ健在。

 

 だが、アルベドにとってはそれで十分であった。少々足りないが、彼らを殺せるならそれでいい。

 

 故に、アルベドは殺意の奔流となってルドラ・ファミリアの構成員を数人引き潰してミンチとした。

 

 突如乱入したアルベドを両ファミリアはモンスターだと認識した。

 

 それほどまでにアルベドは殺意にまみれていた。

 

 殺す、ただ殺す。

 

 その一念に染まったアルベドの動きはレベル4やレベル3といった熟練の冒険者さえも一撃で爆散させ息つく暇もなく絶命させた。

 

 ルドラ・ファミリアを殺すことしか頭になかったアルベドは、大規模に破壊されたダンジョンの壁から生まれた災厄を物ともせずに、邪魔としか見なさずに撲殺し、その場を血まみれの惨状に塗り替えた。

 

 だが、それでも彼の嘆きはとまならい。

 

 喉から張り上げた絶叫によってダンジョンを揺らし嘆きと怒りを胸が張り裂けんばかりに絞り出した。

 

 自分への怒りが更なる怒りとなって彼の体を進化させていく。

 

 振り下ろす拳の一撃がダンジョンの地面を抉り地表のオラリオさえ大きく揺らした。

 

 しかし、彼はある声によってその怒りを鎮めていく。

 

 声の主はエルフであった。

 

 アルベドは名も知らない初対面であったが、エルフの女はリュー・リオンという名前の凄腕の冒険者であった。

 

 

 仲間を助けてくれ、その声に導かれてアルベドは彼女の仲間を助けようとして、最早それが叶わないと理解できた。

 

 

 原型が残っていない死体ばかりで、形ある物でさえ欠損が目立つ。

 

 それでもなお、エルフの女は涙を流してアルベドに助けてくれと縋ってきた。

 

 まだ生きている女もいたが虫の息で、何かをしても無駄だと、アルベド自身わかっていた。

 

 だが、そんな事は知らぬとアルベドはその場にあったアストレア・ファミリアの亡骸全てと虫の息の女とリューを手に持ち、担ぎ地上を目指した。

 

 第18階層にリヴィラの街と呼ばれる冒険者達で構成された街がある。深層からそこまで大急ぎで駆け上がったアルベドは、寝かせられる場所に死に体の女とリューを置いて、とにかく治療のできそうな物を街の露店から取って彼女達がいる場所に戻った。

 

 しかし、泣き叫ぶリューの姿を見て理解した。

 

 死に体であった女は、先ほどまで虫の息であった女は死んでしまったのだと。

 

 騒ぎを聞きつけたリヴィラの街の住人はリューを見て悟った。商品を盗まれ怒り心頭であった商人の冒険者も何も言わずアルベドから商品を取り戻してそこから去っていき、アルベドがダンジョンに逃げ込んだと判断したガネーシャ・ファミリアの連中が落ち着きを取り戻したリューから真相を聞くことになった。

 

 誰も彼もが、ルドラ・ファミリアの手に踊らされる結果となったのだ。

 

 リューはリヴィラの街の外れの森に仲間達を埋葬し、ガネーシャ・ファミリア先導の元でアルベドと共に地上へと帰還した。

 

 事情聴取に数日割かれ、そうして解放された時にはオラリオの街にはアストレア・ファミリア崩壊の報せで満ちていた。

 

 遣る瀬無さと無力感に苛まれたリューであったが彼女は復讐を決意した。

 

 主神アストレアはガネーシャに保護されており、ガネーシャの計らいによって個室で会ったリューは彼女にオラリオの外へ逃げるように嘆願した。

 

 アストレアは分かっていたのだろう。

 

 リューを見て悲しげな表情をして、身を震わせながらその嘆願を受け入れて去ろうとした。

 

 そこで待ったをかけたのがアルベドであった。

 

 

『私が、全てを請け負う』

 

 

 リューは反論した。

 

 これは己の為すべきことだと。

 

 ルドラ・ファミリアの者達に関わる者全てを血祭りにあげなければ彼らが浮かばれないと。

 

 しかし、アルベドは譲らなかった。

 

 怒り喚くリューを気絶させて、アストレアに、眠るように気絶したリューを任せて夜の街に姿を消したアルベドは瞬く間にルドラ・ファミリアの残党を殺害していった。

 

 容赦など知らず。

 

 あらん限りの苦痛を与えて殺した。

 

 そして、アルベドはルドラ・ファミリアの残党を全て殺しきり、神ルドラさえ手に掛けた。

 

 神は下界で死ねば天界へと戻される。

 

 死といえど、本当の意味で消滅するわけではない。

 

 だから、アルベドは天へと還ろうとするルドラを引き倒し天へと還る最中であっても殺し続けたのであった。

 

 それによってルドラは完璧に死ぬことになった。

 

 これによってリューは復讐に走る事はなくギルドのブラックリストに載せられ多額の懸賞金をかけられず、アストレアと共にオラリオに居ることが可能となった。

 

 しかし、アルベドは神を消滅させたという暴挙に恐れた他ファミリアの神々によって処刑となりかけたが、ギルドの沙汰によって極刑は免れることとなった。

 

 この罪を贖うには、三大クエストである『隻眼の黒竜』を討伐すること。

 

 それが叶わない限りオラリオから永久追放するという旨に従い、アルベドは何も持たされずに捨てられるようにオラリオから去っていった。

 

 この頃アルベドはまだ4歳であった。

 

 


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