インフィニット・ストラトス 銀河は俺を呼んでいる   作:OLAP

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みんな大好きチョロコットさんことセシリア・オルコット登場。

この作品では少しだけ性格が変わっています。


第7話

 

 

放課後になり一夏、ヴィシュヌそして鈴音の三人はアリーナに集まって練習を行おうとしていた。

 

鈴音のISは甲龍、中国の第三世代型ISで龍砲と呼ばれる両肩の近くに浮いてある非固定ユニット武装が特徴的なISなのだが…………

 

「何でスピーカー?」

 

龍砲が存在している場所には何故かわからないが非固定ユニットのスピーカーがあり、武装も双牙天月というモノがなくなっており、代わりにスタンド付きのマイクとギターがあった。

 

「昨日までライブでIS使ってたから……今の甲龍は完全にライブ仕様になってるから戦闘能力がほぼないのよ」

 

鈴音のライブの最大の特徴はISを使用したど派手なステージパフォーマンスである。

 

会場を自由自在に歌いながら、飛び回り、踊る様子は一度見たモノを魅了する。

 

今の甲龍はそのライブ専用に調整されている。

 

武装は一切積まれておらず、最高速度は通常の半分程度に抑え込まれており、何かとぶつからないように自動ブレーキシステムなどが積まれている。

 

つまり今の甲龍は一切戦う事ができないのだ。

 

「ライブが終わって直ぐに日本に来たから、元に戻してないのよね。来週には本国から技術者がやって来てくれるから、それまでは今のまま…………だから今回のクラス代表戦も辞退したのよ」

 

多くのクラスメイトからクラス代表になって試合に出てくれと頼まれていたのだが、甲龍がこんな現状なのと、入学してきたばかりの自分がなるのはおかしいという事で辞退した。

 

「良いじゃん、歌うか?」

 

一夏は炎華の収納領域から一本の焰色のギターを取り出した。

 

炎華の背中付近にある非固定のウイングスラスターに付けられてある巨大なスピーカーからギターを掻き鳴らす音が響く。

 

「良いわね」

 

鈴音もギターを呼び出して掻き鳴らす。

 

置いてけぼりになっているヴィシュヌではあるが、一夏と鈴音の

歌を間近で聞けるのでそんな事は全く気にしていないのであった。

 

「ahhhhhhhhhhh!!!!」

 

一夏の全力のシャウトが、ヘルメット内側につけられたマイクを通してウイングスラスターのスピーカーを通してアリーナ全体に響き渡る。

 

 

 

──パン!!

 

 

 

 

 

 

突然の発砲音に驚いて一夏は演奏を止めてしまい、音がなった方向をみる。

 

「お騒がせしてしまい、申し訳ありません。単なる空砲です」

 

青い色のIS、それは普通の量産機とは異なり専用機である。

 

空に向かって空砲を撃った少女は銃をISの中に納めると一夏達に向かって歩き出した。

 

「ブルー・ティアーズは──」

 

「『蒼鉄(ソウテツ)の女』、セシリア・オルコット」

 

鈴音とヴィシュヌの二人はその少女が乗っているISに見覚えがあり、それゆえに操縦者のことも知っていた。

 

名前を聞いて一夏も少女のことがわかった。以前テレビで彼女のことについての特集があったのを偶然見ていたのだ。

 

「あら、申し訳ありません。私とした事が自己紹介を怠ってしまいました……………私の名前はセシリア・オルコット、イギリスの代表候補生で一組のクラス代表を務めています」

 

スカートの裾を上げるようなそぶりと共にオルコットは一夏達に向けて一礼した。

 

「織斑一夏、以後よろしく」

 

一夏もギターを収縮してオルコットに向けて一礼した。それに続いて、二人もオルコットに向けての自己紹介を済ませた。

 

「てかどうして来たの?この時間帯はあたしたちが使うことになっているはずよ?」

 

鈴音はアリーナ使用許可証を取り出して、オルコットに見せた。

 

そこには確かにこの時間帯の使用許可を認める印が押されてある。

 

「……ああ、やはりですか」

 

オルコットも許可書を取り出して一夏達に見せた。そこに書かれてある時間帯と場所は一夏達と同じもので、しっかりと確認印も押されてある。

 

「私もこの時間帯にこのアリーナを使う予定になっています………どうやら担当者にミスがあったみたいですね」

 

「みてえだな……だったら俺たちがこの場を退くから、あんたが訓練して良いぜ……良いか?」

 

一夏は二人に確認を取ると、二人とも了承の首肯をしてくれた。

 

「待ってください」

 

三人が荷物を纏めてこの場所から立ち去ろうとするのをオルコットは呼び止めた。

 

「もし貴方方が宜しければ、一緒に訓練を行いませんか?私としては情報を集めたいですし……」

 

オルコットの視線が一夏に向けられる。正確にいえば彼が乗っている炎華に向けられている。

 

炎華についてはある程度の情報が公開されてはいるが、隠された部分に関して各国は興味を示している。

 

オルコットがこうして提案してきたのも炎華についてのデータを集めるのが目的なのだろう。

 

「俺は良いぜ、二人はどうだ?」

 

「あたしは大丈夫よ」

 

「私も大丈夫です。それに、今度のクラス代表戦で戦うかもしれないので、生の動きを見たいです」

 

ヴィシュヌはギラついた目でオルコットを見ている。

 

「……そうでしたね、ギャラクシーさんとは今度のクラス代表戦で戦うことになるかもしれないですわね。その時はお手柔らかにお願いします」

 

「此方こそ、よろしくお願いします」

 

二人の間にギラついた空気が広がるが、そんなものは一夏にとっては関係ない。我関せずと言った様子で鈴音と喋っている。

 

「……織斑さん、一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「ん?何?」

 

「どうして今日の授業に出席しなかったのですか?」

 

オルコットとしては今日の訓練で一夏の動きを見たかった。国家代表クラスと噂されている実力、それがどれ程のものなのか気になって仕方がない。

 

それなのに、一夏はこなかった。それがオルコットは不満だった。

 

「何でって言われても……今日の授業、銃を使っただろ?この子が銃を使いたくないって言ってたから、休んだ」

 

一夏は右手の人差し指で自分の心臓近くを指差しながら答えた。

 

「この子?」

 

「ああ、ISの意思だよ。こいつが俺に銃を使いたくないって言ったからな。不貞腐れたら面倒だからな、こいつの意思に従ったんだよ」

 

一夏はISコアの声を聞くことができる能力を持っている。その能力を持っているのは世界でも極僅かである。

 

「………貴方は、ISの声が聞こえるというのですか?」

 

疑うような目と声でオルコットは聞いてくる。彼女は一夏がその能力を持っているのが信じられないようだ。

 

「聞こえるさ。信じてもらえないかしれねえけど、俺は聞こえてる」

 

「その真偽は私では確かめる事はできません…………そして、もう一つ質問をしてもよろしいでしょうか?」

 

「何?」

 

オルコットの目が先程よりも真剣なものになった。

 

「貴方は()のISをどうお思いですか?」

 

嘘を吐くな、オルコットの目は一夏にそう告げている。自身が思っている事をそのまま直接ぶつけて来いと告げている。

 

だから一夏も正直に述べた。

 

「兵器だよ」

 

その言葉を聞いたオルコットは目を開いた。予想外の言葉だったのか、それとも何か別の事が要因なのかわからないが彼女は驚いている。

 

「元々束さんはそういったモノとして作ったんじゃないけど、今のISはその殆どが兵器だよ。使い方によっては人なんて簡単に殺せる。ISをスポーツだという人もいるけど、俺は思わない」

 

「………」

 

一夏の考えを真剣に聞いているオルコットは一度だけ頷いた。

 

「………成る程、貴方はISを使えるからといって浮かれるような馬鹿ではないようですね。それを聞いて安心しましたわ」

 

硬く引き締まっていた彼女の表情が少しだけ柔和にほどかれる。

 

「言いたくはないですが、ISは確かに兵器ですわ。それなのにこの学園にはその事を重々に理解していない人たちが多すぎます。代表候補生の中でさえソレを理解できずにISを使えるから偉い、女が偉いなんて勘違いしてる方もいらっしゃいますし」

 

「随分な言いようだな、まるで特定の誰かについて言っているみたいじゃないか」

 

「あら、失礼。私とした事がはしたない所を見せてしまいましたわ……………ですが、言いたくもなりますわ。代表候補生の中にはそういった訳のわからない女尊男卑の考えを持った方がいらっしゃいますモノ、少しは愚痴りたくなりますわ」

 

実際にオルコットには何か心当たりがあるのかもしれないが、一夏は深く追及しようとはしなかった。

 

人間だれしもが嫌だと思う事は一つくらいあると理解してるからだ。

 

「……そういった意味では、私は貴方の事を尊敬していましてよ……凰鈴音さん」

 

「え!?あたし?」

 

自分の名前が出せれたのが予想外だったのか、鈴音は自分を指差して驚いている。

 

「ええ、貴方のこの前のライブ拝見いたしました。ISの活用方法の一つ可能性を見れた非常に良いライブでした。勿論歌やダンスも素晴らしいモノでした。ああいった使い方も良いモノですわね」

 

彼女からの心からの褒め言葉だった。

 

「……なんだか照れるわね………よし、練習しましょう!」

 

照れを誤魔化す為に鈴音は上空に飛び上がって行った。

 

「そうですわね、このまま立ち話をするのもなんですもの」

 

オルコットはブルーティアーズを使って飛び上がろうとしたその時だった。

 

「なあ、俺からも一つ聞いて良いか?」

 

「何でしょう?」

 

 

「あんた、ピアノは弾くか?」

 

何故一夏はそんなことを聞いたのかよくわからないが、彼なりに思うところがあったのだろう。

 

「……………いいえ、弾きません」

 

先程までの凛々しい表情とは打って変わって、感情が一切こもっていない虚無の表情でオルコットは答えた。

 

彼女は答えると直ぐに上空に飛び上がり、練習を始めた。

 

 

 

クラス代表戦まであと数日。

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