32話 魔の都市の遊撃士①
自然を埋め尽くすほどの鉄が織りなす、人の営みと繁栄と闇。
湖の畔で揺蕩う安らぎと、新緑の息吹が織りなす慈愛の園。
いつの日からか、この光景は日常となった。
いつの日からか、この日々はかけがえのないものとなった。
隣を歩く人は何があっても
街を一緒に走る友達の大切な人と、私の隣を歩く大切な人は決定的に何かが違う。友達たちが、星の杯に彩られた巫女たちが、彼らが示してくれた愛はそこにはないのだから。
気づけば気づくほど、私は鳥籠の中に魅力を見出す。私に抱きかかえられていたはずの大切な子が、健やかに育つ鳥籠の中。
馬鹿にしているわけではない。それでも、大切な子を縛る揺り籠という名の牢獄が、私には愛おしくて仕方なくも見えてしまう。餌を与えてくれる偽の親鳥たちは、真実この上ない愛情を私やあの子にくれるのだから。
でも、だからこそ。欺瞞は感じる。理解できるのではない。感じてしまう。
迷い、迷い疲れて動けなくなる。碧き御座から闇の帳が掻き消えても、それでもまだ私は永劫の静寂に迷い続ける。
だから、私は願い続けていたのかもしれない。今ごろになっても、自分に答えを投げかけてくれる人が現れるこの時まで。共に、答えを探してくれる人が現れるまで。
だから、気づいたらその言葉は出ていた。
私を、見つけて。
────
「……ぁふ……なんだってぇ?」
カイトはぼんやりと覚醒した。
寝ぼけ眼をこすりつつ、舟をこいでいた手を上げて上体を思いっきりのけぞる。その反動で座っていた椅子の背もたれが軋んで大仰な音があたりに響く。すぐ後ろの席に座っていた男性が「ごほん」とわざとらしい咳ばらいを漏らし、間髪を入れずに少年の腰当たりの背もたれに小さな蹴りを入れてくる。
恐らくは窮屈そうな意志を込めて放ったものであるのだろうが、ずいぶんと卑屈な性格だなと思いつつも、それでも無駄な騒ぎは起こしたくなくてそそくさと姿勢を戻した。
あくびと共に出た涙を雑に指で拭うと、窓際の席だからか昼間の心地よい陽射しが網膜を襲ってきた。それで、ようやく自分は、リベールを始発とした飛行船で、空の航路をゆく途中だということを思い出してきた。
だが、最近の疲れのせいか、出発の後はそれほど時間もかからずにまどろみの中に入ってしまったようだ。目が覚めるきっかけとなったのも、目的地まであと少しだという乗務員のナレーションで──
「あれ?」
いや、違う。確かにナレーションは聞こえていたと思うが、誰かに語り掛けられたような。願いを、託されたような何かが……。
「……まあ、いいや」
自分自身、夢を見ていたような気もする。夢の中で、誰かに何かを頼まれでもしたのだろう。職業柄を考えれば、そうなるのもまったくもっておかしくはない。
飛行船から降りれば、また忙しくなるのは間違いない。そう思って少年は、多少寝癖がついてしまった茶色の毛を手櫛で簡単に整え、忘れ物がないかをその金色の大きな瞳で確認した。
飛行船がわずかな揺れを余韻にして止まる。空港に着いた証拠だ。そうして、人々は足早に船を出ようと歩き出す。その様子は、故郷で見る同じ光景よりもずいぶんと忙しなく、少しばかり冷たくも感じた。
その波に呑まれるのが嫌で、少年は最後尾まで待ってから船を出ることにした。
最後になれば、ゆっくりと初めての景色を楽しむことができるが……残念ながらそうはならなかった。
船の内外を仕切る扉を出れば、空港という空間に放り込まれる。その景色を見て、一言。少年は呟いた。
「何だ、ここ……」
そんな、地元民にとっていささか失礼な発言が、少年のこの都市に対する正真正銘初めての感想だった。甲板へ出てタラップを踏みしめ、鉄の大地に降り立って上下左右全てを見渡すと、この鉄の都市の威容が一望できる。
初めて訪れた外国である帝国には、ただただ茫然したの一言だった。真っ先に降り立ったバリアハートでは導力車なんてものに出鼻を挫かれた。そしてリベールとは違う、一様に景観がそろった街並みに、言葉がでなかったものである。
それでも帝国の景色は、決してありえないものではなかった。荷物を運ぶトラクターが平地の多い場所で発展すれば人を運ぶようにもなるし、ヘイムダルやバリアハートの街並みはグランセルの壮観さに似たものがある。人口の多さも、帝都ヘイムダルが西ゼムリア最大規模と聞いているので、人ごみの密度に驚くことはないだろうと思っていたのだが。
対してこの景色は少年にとって予想を越えるというよりは、斜め上──でもなく裏の裏の裏をいったものだった。
まず、建物と建物の間隔が狭すぎる。故郷の街──例えばルーアン──では、あんな間隔の道はまずない。それに、建物の形が直角だったり、長方形のものが多かったりと、規則的だ。さらには市の一角にある建設中と思わしき高層の建物。あれを目にした瞬間に抱いた思いはただ一つ。何なんだあの四輪の塔は、あそこにも執行者が待ち受けているのか。
その規則的な建物の数々。
「いや、四輪の塔よりも大きいのか? あれは」
人の迷惑にならない場所で、今度は顔だけでなく体の向きまで入れ替えて全方位全ての場所を睨む。時間帯は日中、太陽があまねく人々を照らしてくれるはずなのに、日陰の面積がやたら多い。当然、自分の周囲を取り囲むビルが高く近いせいだ。建物が市の全てを埋め尽くしてわけではないようだが、逆に異国情緒溢れる東方の家々や、少し時代に取り残された感のある区画が建物の隙間越しに見えて、さらにこの街の雰囲気が掴めなくなってきた。
空港の建物の中を歩き、外へ出て初めての土地を踏む。正面には、自分のいる地面の地下に入る大陸横断鉄道。左と右には、数十人では数えきれないほどの人、人、人。後ろを振り返れば、国際空港と銘打たれた自分が使用した交通機関の看板。
辺りを見渡せば、リベールのような石造りでない。鉄で作られた道路。ネオンが光る店の看板。圧倒的質量を持ってそびえ立つビルの数々。
「何だ、ここ……」
もう一度、同じ言葉を呟く。それが自然豊かな小国リベールからやって来た遊撃士カイト・レグメントの、金と人が行き交う金融都市クロスベルに対する、二度目の感想だった。
────
巨大貿易都市クロスベル。
西をエレボニア帝国、東をカルバード共和国に隣接し、その両国に三百六十度を囲まれた領を持つクロスベル自治州。その中心に、エベル湖湖の畔に寄り添うように存在するのがこのクロスベル市だ。
その立地故に両国の資本が流れ行き、人と金とが行きかうことで独自の文化を発展させていった、《魔都》とも揶揄される都市。
同じ帝国と共和国に挟まれていても牧歌的なリベールとは違い、導力技術と人間の発展の粋が膨れ上がったような様相を呈している。
「やば……。頭がクラクラしてきたかも」
クロスベルの鐘がある中央広場に来て三度同じ言葉を呟こうとは思ったが、流石に芸がないと思って人の多さに対する印象を口にする。数時間もすれば慣れるだろうが、今はまだまだ新鮮すぎる。
故郷ルーアンのとそれほど変わらない面積の中に、その何倍もの人間が行き来をしているのだ。広大な広さのに壮大な規模の人影が華やいでいる帝都とはまた訳が違った。どこか、居心地の悪さを感じてしまう。
実は、カイトは先程も中央広場に訪れた。人と分かれ道の多さに必ず迷子になると踏んで、一度空港まで戻り地図を受け取ってきた。
「今はここ、中央広場。他にも、西区、住宅街、歓楽街」
他にも行政区、港湾区、旧市街、裏通り。街から外れれば、クロスベル大聖堂。正直、地図と終始睨み続けていないといけなさそうだ。
「あった、遊撃士協会。場所は……東通りか」
そして、この都市に来てからまず最初に向かわなければいけない場所を見つけて、安堵した。思ったよりも近場にあったことにもそっと胸を降ろしつつ、やっとカイトは歩を進めた。
そして、まだまだ驚き足りないことを知る。
「よぉ兄ちゃん、見ない顔だな! 旨い饅頭があるぞ、買ってかねぇか?」
昼下がりの東通り。カイトは自身の記憶の限りでは、帝国の旅を除いては外国に訪れたことはなく、地理的にはこのクロスベルがカイトが訪れたゼムリア大陸最東端ということになる。カルバード共和国にも訪れたことはないので、かの国にあるという東方の雰囲気を模した街並みも、少年にとっては初めてのことだ。売り子がこんなにも声を発するのは見たことがなくて、思わず饅頭を一つ買ってしまったくらい。他にも独特の装飾品や女性が身につける丈が短い扇情的な衣装、お地蔵と呼ばれる小さな石で出来た人形の像。
初めてのことだらけだ。遊撃士協会に入るのも、小観光をしてからになってしまった。
そして、辿り着く遊撃士協会。知ってはいるが見慣れぬ看板には、そのまま『遊撃士協会』と書かれており、異様な雰囲気を醸し出している。
だが、恐れることはない。これまでの一年近くの日々を思い出し、少年は口元に笑みを浮かべた。
「失礼します」
襟を整えて協会に入ると、やはり趣向の異なった東方風の構造。扉を開けて最初に見える空間には、誰もいなかった。
近くには掲示板があり、遊撃士としては恐ろしいことに、紙と紙が煩雑に重なるほど大量の依頼書が見える。眩暈を覚えかけるもつかの間、室内奥の階段から男性が降りてきて、カイトに声をかけてきた。
「あら、いらっしゃい」
桃色のシャツを肌に直に重ねた褐色の偉丈夫。しかし聞こえてきた声質は男性のそれなのに、口調は女性のものだ。少年は呆気にとられて言葉がでない。
クロスベルには女装をした男性が日常茶飯事なのか。いや、そんなことがないのは判ってはいるのだが。
「ここは遊撃士協会よ。何か頼み事かしら?」
「あ、いや……」
姿勢を整え、深呼吸。少年は力強く発した。自身が自身たる所以を明かす。
「リベールから来ました、遊撃士のカイト・レグメントです」
男性は聞き終えると少し目を見開いたものの、納得した様子で頷いた。
「なんだ、そうだったのね。……うん、確かに二丁の銃を携えた茶髪の子。あなたのことじゃない」
「はい。本日付で、クロスベル支部にお世話になります」
聞き届けた褐色の偉丈夫は、足早に受付のテーブルの奥に行くと、カイトへ近づくように促した。
まずは手続きと、書類と格闘し始める。確認のため一端預けた自分の遊撃士手帳を開いた男性は、ほうっと息を吐いた。
「私はミシェル。見ての通り、ここの受付をしているわ。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします、ミシェルさん」
この受付自身、故郷のどこか憎めない青年のように事務職一辺倒の人間の空気ではないと、少年は感じる。かつて自分が立ち向かった最強の人間ほどではないとはいえ、それでも戦場に身を置き紙一重の駆け引きをしたような足取り、目の伏せ方。
不意に、ミシェルは手続きのための書類と向き合う少年を見据えた。
「カイト・レグメント、十六歳。昨年九月にリベール王国ルーアン支部で準遊撃士の資格を得て、さらに昨年末のリベールの異変に巻き込まれる形で各地の事件解決に貢献、最終的にはロレント地方で正遊撃士の推薦状を受け取り、一か月前に正遊撃士へと昇格した……」
「あの、なにか?」
「あら、ごめんなさい。なかなか面白い経歴だと思って」
その後は、しばらく静寂が続いた。
そして、書類での手続きを終えると、おもむろにミシェルが問うてくる。
「さてと……それじゃ、貴方にいくつか質問をしてもいいかしら?」
受付に、支部転属の手続きの直後に質問される。これは初めてのことで、カイトは戸惑う。
「ここクロスベルは、帝国と共和国の光と闇が交わる場所。そんな場所だけあって、遊撃士も随分と忙しくしててね。言っちゃ悪いけど、繁盛してた頃の帝国支部がかすむぐらいの忙しさだと思うわ。
そしてそれに見合うように、ここには諸外国から集まった優秀な遊撃士がいるの。全員がB級以上。中には、S級昇格を打診されている遊撃士もいる」
ミシェルは、どこか顎をあげて余裕そうな表情だった。ここまで来るとその脈絡のない言葉の意味が分かって笑えてくる。
カイトは、満面の笑みを浮かべて答えた。過去、何度も晒された感情に対して。
「つまりオレは試されているんですね? 少なくともミシェルさんにとっては、それだけ忙しいクロスベル支部での仕事に耐えうる実力を知りたいってことだ」
「うふふ、よくわかってるじゃない」
ミシェルはようやく、ほんの少し優しげな表情を浮かべた。
「貴方のことは支部受付の情報網から聞いているわ。未熟な自分を変えるためについていった仲間との旅路……そこで何度も殻を破ったこと。その実力が本物かどうか、歴戦の猛者たちと肩を並べる資質があるのか……どうか、私にもっと貴方のことを教えて頂戴。他ならぬ、貴方自身の口からね」
「へへ、任されました!」
少年は、自身のことを自身の口で語る。
正遊撃士カイト・レグメント。十六歳。男性としては長めの茶髪を後ろ髪にまとめ、金色の大きな瞳を輝かせた中性的な少年だ。
カイトはゼムリア大陸西方、帝国と共和国の間に位置し両国の緩衝国として位置していたリベール王国、そのルーアン市で生を受けた。そして十一年前、帝国と王国の間で起きた百日戦役で両親を失い、以降戦争孤児としてマーシア孤児院で生活してきた。
孤児院としての生活の中で自己のコミュニティを形成し、姉として慕う少女とも出会い、さらには己の中の渇望に沿って遊撃士を目指し、二丁拳銃を手に取った。
七耀暦千二百二年、夏。遊撃士となる前のカイトはリベール王国を震撼させた軍事クーデターに巻き込まれ、というより自分から巻き込まれにゆき、未熟ながらも大切な存在のために、仲間たちと共にクーデター犯との戦いを繰り広げ、最悪の結果を阻止することに成功した。
そして、その数か月後。晴れて準遊撃士の資格を得たカイトは、彼をよく知る者の提案を受けて、秘密結社《身喰らう蛇》の足跡を辿るエステル・ブライトたちのチームに加わる。結社による各地での災害やテロ、果てには王国中の機械の動力源である導力が停止するという未曽有の事態に立ち向かっていった。
そして、七耀暦千二百三年、六月。異変後の活躍やその後の活動を経て正遊撃士へと昇格したカイトは、その足でリベール王国を旅立ち、ここ金融都市クロスベルへ訪れた。
「ふぅん。粗方のことは判ったわ。それじゃ、次は貴方の実力を見せてもらおうかしら」
一通りの自己紹介の後、ミシェルは受付のデスクから抜け出して、大量の依頼が張り出されている掲示板から三枚の紙をはがしてカイトに渡した。
「まずは三件、お試しでやってもらいましょうか」
「え、三件?」
「そう、三件」
「お試しで?」
「ええそうよ」
渡された以来の中身を見る。
『ジオフロントB区画の手配魔獣』
『落とし物の捜索依頼』
『住宅街の不審者調査』
固まるカイトをよそに、ミシェルが受付席に戻って時を見る。
「今が午後一時……貴方が新人で土地勘がないとはいえ、全て市内の依頼だし半日あれば片付けられるでしょう」
「……ええ」
「夜には戻っていらっしゃい。戦果を聞かせてもらうからね」
「……頑張ります」
荷物だけ預け、絶望した様子で支部を後にした。
外に出ると、相変わらず快活な喧騒がやまない東通りへ出る。
「半日で三件……マジかよ」
土地の広さ、人口密度、依頼の内容に予想される達成時間。あらゆる比較対象が違うとはいえ、リベールでは一日多くても、単純な依頼が四件ほどか。五件も重なれば上の者が愚痴を言うほどだ。
それが、たった半日で三件。それを正遊撃士になったばかりの、土地勘のない若者にさも当然のように割り当てる。
これが常在戦場、クロスベル支部の闇。
「まあいい。それでも、オレはこの場所を選んだんだ」
今の自分の装備を確認。双銃に第四世代型戦術オーブメント、濃紺のシャツの上に白基調は変わらずとも機能美と動きやすさを求めて新調したジャケット。ジャケットに隠れた腰には革製のサイドポーチ。正遊撃士になったお祝いとして、知り合いが自分の希望と合わせ取り繕ってくれたものだ。
ポーチの中には地図を入れた。さらには、出かける間際に渡されたジオフロントB区画への扉を開く鍵。
それらをすべて把握してから、カイトは意を決して歩き出す。
「つっても、どうしよう……」
中央広場、クロスベルの大鐘近くの長椅子に座ってから、カイトは溜息をついた。
手配魔獣と捜索依頼、そして不審者の捜査。全て足を使って動かなければならず、加えて土地勘のない自分には効率的な動き方も判らない。
だが、それでも自分は頑張りたいと思ったのだ。ならば、やれることをやらなくては。
依頼内容を見比べ、新調した遊撃士手帳に記していく。
「あれ……?」
その最中、あることに気づいた。
落とし物調査の依頼人は、行政区の水道課職員からの依頼らしい。
手配魔獣がいるらしきジオフロントというのは、このクロスベル市の都市計画により構築された地下空間。当然、インフラ設備が備えられていることは予想に難くない。
そして不審者が目撃されたという住宅街には、ジオフロントB区画に入るための扉がある……。
水道課職員からの落とし物依頼、依頼説明の業務中に紛失したという文面が正しければ、業務で入ったジオフロント区画に落とし物がある可能性もあるし、それは手配魔獣を探すのにも一石二鳥だ。加えて、このように成長過程の都市のインフラ施設は整備が開発に間に合わないこともあり、不審者が身を隠すにはうってつけの場所の一つだ。
実際のところは動かなければ判らない。だがミシェルがすべて同じ市内で片が付くと言っていた以上だ。運が良ければ一区画で事が足りる。
それだけではない。あのミシェルは、カイトが今日支部に来ることが判っていたとはいえ、さも当然のようにこの三つの依頼をカイトに渡したのだ。膨大な数の依頼の中から、行動が予想される地区が密集している。
「すごいな。ミシェルさん……キリカさんにも劣らない情報処理能力だ」
リベールのツァイス市にも千里眼を持つと称されるキリカ・ロウランという受付がいた。個人的に、次点で優秀なのは王都のエルナンやボースのルグラン老か。残念ながら少年にとって、故郷で遠慮のない間柄だったジャンの評価は低かったりする。
ともあれ、遊撃士協会の受付というのは現場で働く遊撃士にも勝るとも劣らない情報処理能力を持っている。そして常在戦場であるクロスベル支部の受付は、遊撃士が働きやすいように膨大な量の依頼を縮小させる能力を持っているのだ。
「それなら、オレが嘆く必要もないのか」
そのミシェルが抜粋し、こうも巧みな采配をしたのなら、仮に正遊撃士なり立てで土地勘がなくとも、不可能ではないはず。
これが、新人正遊撃士カイト・レグメントに課された、クロスベルでの最初の試練。
「さあ……行くぞ!」
自身の頬を叩いて、少年は歩き始める。
ここから始まるのだ。クロスベルでの、自分の軌跡が。
再 始 動。
本当はストックをためたかったのですが、ちょっと無理そうなので早めに戻ってきました。
リベールを離れ、一人異邦の地へと降り立った少年の新たな軌跡。
のんびり亀更新となりますが、よろしくお願いします。