心の軌跡Ⅱ~重なる標~   作:迷えるウリボー

55 / 170
45話 私を、見つけて⑥

 夜の波止場は導力灯がある。しかしクロスベル市内とは違い保養地ミシュラムは幻想的な趣を出している。それゆえ暗い戦場は、互いに近づかなければ細かい狙いはわからないはずだ。

「赤き夜の死神よ」

 だが、ランディは違った。明らかな殺意を瞳に宿し、赤紫の闘気が戦場を震わせる。

戦場(いくさば)を駆け、(つわもの)どもを貫け……!」

 振りかぶる斧槍の頂点から、槍と謳われるに相応しい鋭利な穂先が出現。何者をも蹴散らす強大な牙と化す。

 迎え撃つは《キリング・ベア》ガルシア・ロッシ。同じく破滅的な黄緑色の覇気が、ランディの後方のカイトたちのみならず部下の黒服たちすら地に跪かせることになる。

「いいぜ……こいやぁ!」

「デス──スコルピオン」

 言葉は至って落ち着いていた。代わりに沈黙は一瞬、雷のような衝撃とともに地を蹴る。ガルシアへの突進は彼の左肩を大きくえぐる結果をもたらした。だが。

「そうでなくっちゃなぁ!!」

 激痛で失神することもおかしくない負傷でも、戦場の猟兵は笑ってみせる。ガルシアは自らに突き刺さった穂先ごとランディを掴み跳躍。

「捕まえたぜ」

 血の汗を滴らせながら、ガルシアは笑っていた。ランディは笑っていなかった。感情も感じさせない冷たい瞳は死の間際にあってもガルシアを睨んでいる。

「まずいね、彼……」

「ランディーッ!!」

 ワジが苦悶し、ロイドが叫んだ。その後方でティオが再び導力杖を振りかぶる。それは彼女が持つ杖や装甲の導力を防御に転用したものだ。絶対防御領域(エイオン・シールド)がランディにまとわりついた。

 その事実も構わず、ガルシアはランディを文字通り殺しにかかる。頭から地面に衝突させて粉砕させる気だ。

「地獄に……落ちろやぁ!!」

 衝撃が波止場の地面のみならず水面にも波を作る。嵐のような轟音とともに浮かぶ土煙。

 その中で、シールドに守られたランディはそれでも強い衝撃の残滓に血を吐いた。にも関わらずランディは俊敏な動きで重い斧槍を操作し、ガルシアと打ち合いを再開する。

 凄まじい強さだった。カイトは驚嘆した。高位遊撃士、先輩方など太刀打ちできないような戦闘力。何かあるとは思っていた。それでもヨシュアや《銀》、他の執行者に届きうる実力が、一瞬の爆発力だとしてもランディにあるとは。

 それでも、経験も一瞬の判断もガルシアが上だったらしい。わずかな隙をつき、苦悶の表情と狂喜の笑顔を同居させて、体当たりと蹴りを駆使してガルシアはランディの斧槍を後方に弾いた。

 それでもランディは逃げなかった。空いた拳に力を入れて、たとえ死んでも最後まで抗うと言わんばかりに振りかぶる。

 だが、それを彼らが許すはずがない。

「──させるかっ!」

 両腕の特殊警棒(トンファー)を構え、ロイドはガルシアとランディの間に割り込んだ。防御力と制圧力に長けた格闘術は、純粋な一撃であればガルシアのそれを容易に防ぎきる。

 戦場は沈黙した。黒服たちが回復し、戦線に復帰しつつある。その中でランディは叫んだ。

「てめぇ──何やってんだロイドォ!!」

「それはこっちの台詞だ! 俺たちが自己犠牲を許すとでも思ったのか!?」

 それがどんな行いなのかは理解した。今なら、その選択を自ら行い傍観した者として言える。

 自分の大切な仲間のそんな選択を、簡単に許容できるはずがない。

 ロイドが致命打は避けるもガルシアの一撃に負けて、ランディごと飛ばされた。無手のランディは斧槍の回収のために下がり、ロイドは果敢にガルシアへ。

 いや、ロイドだけではない。カイトも、ワジもガルシアへ向かった。黒服たちはティオとエリィがスパークルやアイシクルエッジなどの小規模アーツを連続で放ってなんとか牽制する。

 ランディの覇気はまだ健在だった。そしてロイドへの、仲間を思うが故の怒りも。それでもロイドは怯まない。

「俺たちがここまで来れたのは、全員がいたからだ! 旧市街の騒動も、魔獣被害も、市長暗殺未遂も! 今回だって!」

 カイトがスパークルを放って再びガルシアの動きを鈍らせる。

「ランディさん、仲間っていうのはそういうもんでしょ! たとえ誰かが逃げようとしたって、縁と絆はそう簡単には解けないんだよ!」

 カイトの非力を圧倒しようとするガルシアに、背後から回り込んだワジが蹴りを叩き込んだ。今度はそれなりに効いたようた。

「ち、ガキどもが洒落せえ!」

「これでもヘッドを貼ってるからね。ランディ、君の素性は知らないけど、死なれちゃ困るんだよ。楽しくないからね」

「カイト、ワジ……」

 目に光が戻りつつあるランディ。その体を翡翠の輝きが包み込んだ。エリィのホーリーブレス(回復魔法)だ。

 ティオが叫んだ。

「今はアリスさんたちを守ってる、でもエリィさんも同じです! 私だって!」

「ティオすけ、お嬢……」

 ワジは体を回転させた。背後に黒服どもが近づいてきたからだ。導力銃とマチェットを持つマフィアたち。彼らも放ってはおけない。ヴァルドはいないが、ワジは不良少年の不敵な笑みを浮かべる。

「さあ……この間の落とし前の続きと行こうかっ」

 ガルシアの正面にはカイトがいた。今まさに攻撃を再開しようと突っ込むロイドを押しのけて、ガルシアはもっとも小柄な少年に向かう。

「てめえ、裏庭で《銀》と暴れたみてぇだな」

「あれ、バレちゃった?」

「正義の味方が黒月どもと結託か? アジな真似をするじゃねえかっ!」

「違う違う……って違わないけど! その場限りの共闘なだけだ!」 

 カイトはその俊敏さでガルシアの懐に潜り込む。対応した膝蹴りを掻い潜って脇を通り、起き上がりながら裏拳を側頭部へ叩き込む。

 力の限りのそれはガルシアにはそこまで効かない。

「それよりも、営業本部長。あの子のこと知ってたのか?」

「ああ? なんのことだ……って言ってんだよぉ!」

 腕を掴み背負い投げ。小柄なカイトが宙に舞う。ロイドが必死で受け止めた。

 攻防はさらに苛烈を極める。復帰したランディが斧槍を振りかざし、ガルシアが斧槍そのものを壊しにかかり、ロイドやカイトが防ごうと間に入れば簡単に吹き飛ばされる。

 部下の黒服たちも同じだ。ワジが対応するとはいえクロスベル最大の裏の勢力の実力は本物だった。互いに決定打を与えられず、ティオとエリィの支援もあって完全な膠着状態となる。

 その最中、カイトは叫んだ。ガルシアに向かって。

「元猟兵って言ったよな!」

「ああ。元《西風の旅団》部隊長、ガルシア・ロッシ。それが俺の称号だ!」

「遊撃士を殺そうとする殺気。思い出すよ、《赤獅子》を」

 帝国で戦った、遊撃士への憤怒を宿したジェスター猟兵団の副団長。あの時、カイトは赤獅子に対してなす術がなかった。搦手と戦略で逃げに徹していた。

 でも今は違う。

「一人じゃない、仲間が居る。オレ自身も、あの時より強くなってるんだ!」

「その通りだ、カイト!」

 ロイドがガルシアの膝にトンファーを食らわせた。見事な一撃だった。

 続けてランディに向かって叫んだ。顔は向けてないが、それでも特務支援課の相棒同士と言える二人に、そんな手間は必要なかった、

「ランディの過去は知らない。でも、今のランディは知ってる! 特務支援課のランディ・オルランドだ!」

 仲間が仲間であることにとって、過去なんてさほど重要じゃない。

 軟派でしょうもなくて、さりげなく助けてくれる兄貴分。それが本質だ。

「……いいのか?」

「ああ!」

「こんな俺でも?」

「ああ! だから──」

 先の一撃でガルシアは僅かに膝を揺らした。その隙を逃さず、カイトは近づきながら導力銃の引き金を何度も引いた。それでもガルシアは倒れなかった。カイトを大きく吹き飛ばし、波止場の柵にぶつけた。

「ぐっ」

 脳を揺らしたカイトだが、それでも笑顔は止まらなかった。

 隙は作った。決めるのは、あの二人だ。

「決めるぞランディ!」

「行くぜぇロイド!」

 阿吽の呼吸で散開、ガルシアの左右に散らばる。勢いそのままに、二人はあらん限りの力で何度も獲物を振りかぶった。

 ガルシアに対して、初めて完璧な形で成功した奇襲。熱波の挟撃(バーニングレイジ)の最後の突撃が完全な形で成功する。

 だが、それでも戦士は倒れない。ガルシアは地に伏せ吹き飛ばされながら、それでもカイトとワジを狙い拳を振るう。

「うぉ!?」

「くっ」

 ワジとカイトは思わず引いた。それは攻撃の苛烈さ以上に、なんとしてもカイトたちを手にかけようという意志が少年二人を引かせたのだ。

「ヴァルドよりも遥かにタフみたいだね」

あの二人(ロイドとランディ)の攻撃で倒れないとか……化物かよ」

 カイトが唸る。戦場は一度沈黙したが、それは嵐の前の静けさに過ぎない。止まった攻防、ガルシアはもう一度立ち上がる。

「いいじゃねえか。想像以上に楽しませてくれる。狩りはこうでなくっちゃなあ!」

 その言葉に、黒服たちまでもが膝に力を入れた。譲れない流儀はあるのは敵でさえ同じなのだ。

 カイトが呟いた。

「全員の力を合わせないと……」

 そうしなければ、この窮地は乗り越えられない。

 死闘、その二幕目が始まった

 ランディが一旦は抑えた爆発力を行使し、ロイドが合わせて連携を発揮する。カイトは二人の死角をカバーしながらENIGUMAも駆使して戦う。ワジは黒服を相手取り、ティオはワジを助ける。

 奇襲は成功したのにも関わらず、戦闘は未だに続いている。仲間と敵の混戦の中で、唯一最後方にいるのはエリィだった。彼女の戦術眼は卓越して優れているわけではないが、状況を冷静に見ることができていた。

(どうすれば……っ)

 仲間たちは、協力者は善戦している。ルバーチェ相手に。それでも、数的不利とこちらが背水の陣で戦っている事実は変わらない。早晩限界を迎えるのは自分たちだということを、エリィはよく理解していた。

 今自分がしているのは魔法による援護だった。銃は遠く離れている上、味方へ誤射しかねない以上躊躇われた。

 その時、背後から声がする。ずっと黙っていた二人のうち、カイト・レグメントが連れていた少女だ。

「エリィさん。どうか、私たちに構わず行ってください」

「え……」

「私がキーアちゃんを守ります。この身に変えても。そうすれば、エリィさんももっと積極的に戦える。そうでしょう?」

「そ、それはそうだけど……無茶よ!」

 キーアはもちろんのこと、アリスも戦闘経験はない。だからエリィは最後の砦として立っていた。当然アリスの言葉にエリィは頷けない。

 ぞれでもアリスは引かなかった。

「私も……戦いたい。皆さんと、カイトさんと一緒に。足でまといにはなりたくないんです……!」

 アリスはエリィを見た。自分は戦えない。それでも自分がカイトたちにできる貢献は、エリィを送り出すことくらいなのだ。

「でも、それじゃ流れ弾が来たら…! カイト君だってどう思うか!」

「それでも……!」

 カイトとの関わりを思い出す。帝都の依頼、アスベルとの対話、そしてこの競売会への参加。

 ずっと助けられていた。この窮地においても常に危険を冒して仲間たちを、自分を守ってくれた。

 それと同じことを、自分なりにでもできることをしなくて、自分は隣に立てるのか。この先も一緒にいることができるのか。

 そんな甘えは、アリス自身が許せなかった。

「今度は……私が皆さんを守りたいんですっ!!」

 それがたとえ拙い一歩でも。

 沈黙したアリスとエリィの間にキーアが割って入った。

「エリィ、ダイジョーブだよ!」

「キ、キーアちゃん……?」

「キーア、アリスと一緒にいれるよ! だって」

 キーアはアリスの体に顔をうずめる。そこに不安な様子は一切ない。

「アリス……こんなにやさしくてあったかいんだもん!」

 エリィが、ロイドが、何よりも守ろうとした少女の笑顔。

 どのみち、全員で敵を退けなければアリスもキーアも同じなのだ。

 自分だって、市長の孫娘という立場を承知でここまで来た。同じような決意を宿す少女に寄り添えずして、何が市民に寄り添う特務支援課か。

 エリィはアリスとキーアをそっと抱き寄せた。

「行ってくるわ。くれぐれも、無茶はしないでね」

「はい……!」

「エリィ、がんばれ!」

 エリィが前線へ進む。先に見えるのは必死で仲間たちを支援するティオだ。

「ティオちゃん!」

「エリィさん! 助かります……!」

 男たちは善戦していた。それでも徐々に押されている。戦況を変えられるランディとロイドの挟撃も決め手とはならなかった。

 なら、その代わりを務めるのは同じ支援課である二人にほかならない。アリスと同じように、女子は守られるだけという価値観は時代遅れと証明してみせる。

「エリィさん、合わせましょう! ENIGMAのブースト……行けますか!?」

「ええ! そのためになんとか時間を──」

 ──ァアウォォオオンッ!!

 その時、月夜に遠吠えが響く。同時に黒服たちの最後方から悲鳴が聞こえた。

「なんだ、この狼は!?」

「こいつ、例の……!」

 目線の先に、どこからかやってきた白狼が威風堂々と構えていた。ティオが彼女にしては珍しい満面の笑みで叫んだ。

「ツァイト!? 最高のタイミングです!」

「今よ、ティオちゃん!」

 エリィとティオが導力の波を纏う。ティオが持つエイオンシステムによって何倍にもブーストされた紺碧の波動が迸る。

「させるかよっ!」

 ガルシアが動いた。突然の乱入者、ツァイトによる戦場の空白。黒服の沈黙によって生まれた後衛組の大きな挙動。ガルシアはよく理解していた。

 そして、戦場における嗅覚が鋭いのはガルシアだけではない。

 ランディが、ワジが、これまで行わなかった二人での連携を見せた。爆発力と速度を持つ二人が戦場を縦横無尽に駆け巡る。

 ガルシアだけに狙いを定めていない、ツァイトによって黒服どもに生まれた空白を今、致命的な風穴に変えてみせる。

「台詞をそのまま返すぜ、オッサン!」

「見てもらおうか、僕たちの最後の逆襲(ラスト・リベリオン)

 ランディが、もう一度だけ、と死神の気迫を取り戻す。ワジも呼応するように今までにない胆力を持って動く。

 何十という突進の応酬が黒服を打ち据え、ガルシアを捉える。

 その強大な連携がガルシアを沈黙はさせずとも、初めてまともにランディと鍔迫り合いをとるという結果を生み出した。

 黒服たちは完全に沈黙した。

「くっ……ガキどもがぁぁ!!」

 ガルシアが暴れようとする。ランディはあらん限りの力でそれを防ぎ、狩人を地に凍てつかせる決定的な一言を放った。

「悪いなオッサン、今回は支援課として勝たせてもらうぜ。……それよりも、知ってたのか? ()()()()()をオークションに出そうとしてたのを……!?」

「な、なにぃ!?」

 ガルシアの視線がランディから外れ奥に向いた。

 エリィとティオのさらに向こう、競売会に出席ていたらしい少女アリスと、その腕に守られている──明らかに招待客でない身なりのキーアを。

「な、てめぇらどういう──」

 猟兵として戦闘力もあり、頭も回る切れ者だった。だからこそランディの一言で、特務支援課や遊撃士の性格も織り込んで、その少女の存在の意味するところを理解し──そして驚愕した。

「なっ!? 何をフカしこいてやがっ」

「そこだっ!」

 カイトが叫んだ。ランディが弾いた。ガルシアの視界で、魔法を駆動していた少女二人の紺碧の波が吹き荒れた。

『コールドゲヘナ!!』

 木霊する絶対零度の煉獄門。強化された導力エネルギーが、前世代最上位アーツのコキュートスに匹敵する氷の牙城を生み出す。

「ぬぁあぁあああ!!」

 激昂するキリング・ベア。しかしその体は冷えて凍てつき、錆び付いた人形のように動かない。

 カイトが翡翠の波を纏う。

「行くぞぉ、ロイド!」

「任せろ、カイト!」

 この最大の好機を逃さない。放つのだ、カイトとロイドによる連携戦技(コンビクラフト)を。

 先のランディたちと同じように、前後から反転してトンファーの殴打とカイトの裏拳。ガルシアの膝が崩れる。

 カイトが魔法(シルフィード)発動、二人の俊敏性が跳ね上がり跳躍と同時に蹴り上げ。ガルシアの巨体が浮いた。

 ランディたちに劣らない覇気がロイドから放たれ、渾身の特攻。カイトも速度を上げて銃弾を放ちながら特攻。

 姿勢を落としたロイドとカイトの軌跡が交差する。

 仲間だと、同志だと認め合った二人。この心でもって、共に巨大な壁を乗り越える。

『ライジング・ハーツ!!』

 最後の一撃が、ガルシアを穿った。

 ガルシアが倒れる。黒服たちも沈黙している。仲間たちはなんとか激戦を制したのだ。

「や、やった!」

「やれやれ……随分と疲れたね」

 カイトが、ワジがへたり込む。ツァイトが黒服たちを飛び越してティオの元にやってきた。

「ツァイト……どうしてここに?」

 エルム湖から響く駆動音。見ると、やはり最高のタイミングでセルゲイ・ロウが現れた。大型のボートを操縦する課長は、特務支援課やカイトたちにとっても救世主だった。

「俺が連れてきたんだ。ったく、無茶しやがる」

「課長!」

「ははっ、狙ったかのようなタイミングだぜ」

 ツァイトは事前にミシュラム側に上陸して奇襲をかけたのだろう。

 セルゲイは叫んだ。

「特務支援課、撤収! 協力者も全員乗りやがれ!」

 カイトが乗り込む。キーアとアリスの乗船を補助する。エリィが、ティオが、ツァイトが次々と脱出する。

 ロイドとランディ、ワジも続く。その背に向けて、セルゲイが憎々しげに叫んだ。

「てめぇら……ふざけるなっ! さっきの話、卑怯な……!」

 ランディが明かしたキーアの存在についてだ。彼も把握していなかったのか。

 ロイドはあくまで冷静に答えた。

「事実だ。この子は出品物の部屋にあった革張りのトランクに閉じ込められていた。それが何を意味するのはあんたにはわかっているのか?」

「人間だと……あのトランクには、ローゼンベルクの人形が……!」

「やれやれ、妙なことになってるみたいだな」

 全員が乗り込んだ。ボートがうねりを上げる。セルゲイは叫んだ。

「ルバーチェの! 改めて話は付けさせてもらう。そっちはそっちで状況を整理しておけ!」

 ミシュラムを脱出する。大所帯のボートは波を大きく立てながら進んでいく。

 見苦しいまでのガルシアの絶叫が響いていた。

 

 





零・碧の軌跡といえば、やはりコンビクラフト!
ガルシア戦決着です。

次回、零編最終話となります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。