かつてヴェスティア大森林で矛を交えた存在、《C》が目の前にいる。それはカイトにとって、並々ならぬ緊張を強いることになる。
疲労感。仲間と分断されたこと。予想にあったとはいえ本当に現れたことの衝撃。今目の前にいる敵に対して自分がたった一人だけという事実。
それら全ての状況が、カイトに冷や汗をかかせることになる。
「フフ、中々に手厳しい。随分と嫌われたものだ」
《C》は演じるつもりすらないような笑い声を上げる。カイトは憎々しげに返した。
「当たり前だ。前に散々オレを殴りまくったこと、忘れたとは言わせねぇぞ」
以前、カイトと《C》は対峙した。各々他に仲間はいたけれど、たくさんの思惑や信念が絡み合った戦場は、最終的に二人に一騎打ちを強要した。
その時カイトは《C》に徹底的に痛めつけられた。両者の実力には圧倒的な差があり、カイトはサンドバック状態にされたのだった。
そしてカイトは理解している。今もなお、目の前のテロリストには敵わないことを。
一人では絶対に勝てない。ARCUSに設定されている魔法にも大規模魔法はない。
《C》はカイトが並戦駆動を使えることを知らない。その可能性につけ込んで奇襲を仕掛ければ善戦はできるかもしれないが、それでも分が悪い。
「なんで、お前がここにいる。《G》もどうせ近くにいるんだろ」
《C》が現れたことでほとんど確定した。魔獣襲撃の仕掛けは《G》によるものだ。
そして、おそらくそれは先月も──
「なぜ、だと思うかな。《G》はどこにいると思うかな」
《C》がカイトの思考を遮った。
どうして《C》がここにいるのか。その真相は今回セントアークに起こった事件の根幹に関わる。
ハイアームズ侯爵は《C》と交渉をしていた? それとも《G》と?
ハイアームズ侯爵と、正規軍への敵対行為。その矛盾をカイトは考えていた。ラウラの進言もあった。そしてテロリストの存在がいた。
貴族派ではなく、貴族派の中の穏健派への敵対行為。それが示すものの意味は。
「今回、お前たちは貴族派全体の利に叶う行動をしている」
それは明らかだった。貴族派は、マキアスの言葉を借りれば旧態依然とした権力の象徴だ。当然、内外に敵は多いだろう。例えば彼らと敵対する革新派にとって、ハイアームズ侯爵家というのは上手く関係を結べれば有用な存在のはずだ。
ハイアームズ侯爵家を潰して得となる存在。それは侯爵の間を取り持つ力を目の上のたんこぶとして見る貴族派の重鎮か、あるいは次代の侯爵を狙う、例えば
(──え)
貴族派。権力を狙う。伯爵家。
何か、自分の中で嫌なパズルが噛み合った音が聞こえた。
そんなカイトの寒気を知ってか知らずか、《C》は答える。先ほどのカイトの推理に対してだ。
「正解だ。貴族派も一枚岩ではないということだな」
それは貴族派による穏健派への敵対行為。それにテロリストが与しているという構図だ。帝国の遊撃士を迫害した理由と同じということでもあり、さらに貴族派の敵とテロリストが付け狙う存在が重なるという可能性を示唆している。
つまり、穏健派であるハイアームズ侯爵の排除か、あるいは襲撃を脅しにして貴族派への協力を要請したか。
あくまでカイトの主観だ。だが《C》たちがかつて言っていた《彼の者》という存在が、自分の想像するその人物だとすれば……この予想は正解となる。
帝国における勢力争いは、行き着くところまで行っているのかもしれない。
(そりゃオリビエさんが警戒するわけだ)
なんにせよ、厄介極まりない。テロリストたちの敵。カイトが気づいてしまったパズルのピース。それらもカイトの感情を脅かすが、そもそも目の前の危険な存在が、この帝国にいるという事実が恐ろしい。
それだけではない。カイトは自分が握るショートした
「……結社とは繋がっているのか」
「そこに気づくか。さすがはリベールの遊撃士、というべきかな」
「三味線引くんじゃねえよ。この早すぎた女神の祝福がある時点で、協力図を物語ってるようなもんだろ……!」
結社はリベールの異変を引き起こした。カイトたちはなんとか異変を収束に導いたが、結社が健在であることに変わりはない。今もなお、ゼムリア大陸で何かを成そうと計画を進めている。
だとすれば、彼らが帝国に現れてもおかしくはないのだ。そしてリシャールを傀儡としたように、目の前のテロリストたちを利用する可能性は十分にありえる。
結社の影は、もうすぐそこにあるのかもしれない。カイトは、自分の中の遊撃士としての感情が昂ぶるのを感じる。
《C》は、どこまでもとぼけるように答えた。
「さてな。かの結社は、時折兵器や品を闇に流すと聞いているが」
「この……!」
「それとも、力ずくで取り押さえて吐き出させてみるか? この私から」
《C》は手に持つ
「……
「それに、貴様への興味もある。なにせ、久しぶりの再会だ」
《C》は双刃剣の切っ先をカイトへ向ける。これ以上テロリストの内情を探るのは許さないといったところか。
「……お前は誰だ?」
「ふむ、それはお互いに詮索しない約束ではなかったかな?」
それはテロリストたちとジンやトヴァルの間で結ばれた口約束。これ以上敵対せず、しかし時が来れば徹底的に敵対するという強制力も大した抑止力もない言葉。だが、あの時は確かにその効力を発揮していた。
だが。
「もう、オレは帝国の他人じゃなくなった。きっと、お前たちはオレたちの敵になる」
「フフ、貴様が憎む帝国を仇する人間だとしてもか?」
「なんでそれを知ってる……オレが守る人間は、帝国人も入ってるんでね。お前らに任せるよりはマシだ」
「なるほど」
カイトは双銃を構えた。確かに分が悪いが、
《C》もまた双刃剣を構えた。はっきり言って望みは薄いが、どうにかして逃げなければならない。
互いが動く。カイトが蹴りを見舞う。《C》が躱し双刃剣を見舞う。やはり躱し、カイトは飛び退き際に弾丸を叩き込む。
疾風の如く地下水路をかける《C》の双刃剣が閃く。カイトの制服を微かに切り裂く。
「さすがにあの時より成長しているか。あの時の覚悟は本物だったようだな」
《C》が笑った。カイトはあの時負け続きだったが、それでも言葉で抵抗し続けた。
その通りだ。自分は成長した、そしてもっと強くなる。
並戦駆動。攻防を続けながら、カイトは赤い波を収束した。僅かに挙動が揺らめく《C》を相手に、熱波を収束させる。
《C》が距離をとる。だが、もう遅い……!
無音の掛け声とともに、カイトはそれを生み出した。溶岩で熱せられたような特大の岩々が雨あられのように《C》に向かう。中級の魔法でもカイトの才能によって昇華されたヴォルカンレインは特大の威力だ。
だが、それでも《C》は怯まなかった。光速の振り払いが十字の紫閃を生み出す。それは二年前にも見たものだが、圧倒的に強く、爆発的な威力を伴っていた。
轟音とともに岩石が砕かれ、水路に落ち蒸発させる。水蒸気が立ち込めるなか、《C》はまだ堂々とした立ち振る舞いを崩さなかった。
(この野郎……! 前より強くなってやがる!)
敵が強くならないとは思っていない。だが、ただでさえ強い目の前のテロリストにいったい何があった。仲間を得て切磋琢磨して、そうして怪盗紳士を下した自分と同じくらいの成長を促す激動が、この二年間にあったとでもいうのか。
《C》は跳躍した。カイトも油断したわけではない。それでも、まだ自力で負けていた。
「ぐぁ……!」
光速の突きがカイトの脇腹を捉える。制服を穿ち、カイトに異常な失血を起こす。吹き飛んだ少年は情けなく地に転がる。
「くそ……」
地に這いつくばりながら。カイトは顔を上げた。同時に魔法を駆動。水色の清流がカイトにまとわりつく。
悠然と、《C》はカイトの前まで歩いた。そしてカイトを仰向けに転がせ、懐の
「命までは奪わない。精々、仲間の救出を待つことだな」
「ま、待て……この……」
波が収束する。
カイトの体力はもう限界だった。腰が抜け、動けない。
「安心しろ。もうセントアークを襲うこともない。決着は……またの機会としよう。カイト・レグメント」
離れていく《C》。カイトはもう動けず、またも敗北してしまうという事実に唇を噛んでしまう。
今回ばかりは、見栄を張る言葉すら出てこなかった。
────
カイトはⅦ組B班と領邦軍兵士たちによって地下水路から救出された。
セントアークを震撼させた魔獣たちは、領邦軍によって討伐された。ハイアームズ侯爵から下され、警戒されていた導力停止現象が予想よりもはるかに早くおさまったため、兵士たちは導力兵器を運用し討伐ができるようになった。
また、地上ではラウラとフィーも善戦した。襲いかかる大型魔獣たちも連携のもとに倒していき、そうして魔獣は完全に駆逐されたのだった。
その後、避難民の帰宅準備と同時に安全確保が行われる。そして地下水路のあらましを報告したエリオットとガイウスにより、領邦軍の簡易的な捜索隊が組まれ、そうしてカイトは発見されたのだ。
Ⅶ組B班の中でも、やはりカイトの負傷は激しかった。またエリオットとガイウスにしても、体を冷やしている。一同は手当を受け、比較的軽傷だったラウラとフィーが、B班を代表して事情聴取を受ける事になる。
『避難もせず住宅街や地下水路を駆け回り、諸々の事態と遭遇した』という意味で多くの疑いをかけられたカイトたちだったが、やはり幸運にもというべきかⅦ組B班の存在としてハイアームズ侯爵の耳に入ると、容疑者まがいの事情聴取はなりを潜める。今回の実習は、最初から最後まで人道的なハイアームズ侯爵の温情に助けられることとなった。
とはいえ、回復したカイトたち男子組を交えた全員での再度の謁見では、『なぜ危険なことをしたのか』とたっぷり灸を据えられることになったのだが。
カイトは、仮面の男《C》について話した。二年前から、すでに彼らが活動していたことも含めて。それはB班の面々を驚愕させることになる。
特別実習は二日間の予定だったが、さすがに魔獣を退けたその日にトリスタへ帰ることはできなくなった。なにせ、カイトの体調も万全とは言えない。そのままセントアークで一日を過ごすことになる。
セントアーク駅の導力通信を借りて学院に一日延長の連絡を入れた時、代表してそれを実施したエリオットは驚きをカイトたちに報告することになった。バリアハートにいたリィンたちA班も事件に巻き込まれ、トリスタへの帰還が一日延期になったというのだという。
なんという偶然の産物か。カイトたち五人は夕餉の時間に大笑いを産むことになる。A班も危機があったとのことだが、それでも全員が無事だという。一日も早く、十人で再会したい。カイトはそんな風に思った。
一夜明け、朝。カイトたちⅦ組B班はセントアークを出発する。
帰りの列車内は笑い声が絶えなかった。カイトとエリオットがその筆頭で、ガイウスも続く。貴族令嬢のラウラとフィーでさえ、馬鹿話に吹き出す時があった。
特別実習の話、授業の話、部活の話、友人の話。そして日々の話。少年少女たちは屈託なく笑う。
そうして三時、Ⅶ組B班はトリスタへ帰還した。
列車を降り、顔なじみとなった駅員にも挨拶する。五人はトリスタ駅構内を出て、懐かしく感じてしまう町並みを見入った。全員が体を大きく伸ばす。
そんな中でも、カイトは人目に見せられないくらい大きく口を開けて盛大に欠伸をする。
「ふあー……」
なんだかんだいろいろ話しているうちに、道中すっかり寝てしまった。ずっと起きていたのはガイウスくらいで、他の三人も同様に夢を見ていたほどだ。といってもやはりカイトがトリスタ到着の直前まで夢を見ていたのだが。
「カイト、大丈夫?」
なおも止まらない眠気に目をこすっていると、フィーが下から覗き込んでくる。
「そなたも少しは慎みを覚えたほうがいいかもしれないな」
そんな風に注意するラウラだが、実際のところ崩落した地下水路の件もあってフィーと同じくカイトを強く心配していたりする。
今日、三十一日は授業日なので町並みはいつもより静かだ。五人、ゆっくりのんびり第三学生寮までの道を歩く。
カイトがやや間抜けな声で言った。
「いや……正直疲れた。まだ完全に血も戻ってないし、しばらくは安静指示だしね」
「とりあえずは、ベアトリクス教官に報告だな」
ガイウスが穏やかに返す。保健室の補佐をしている自分が保健医の世話になるというのは、少し恥ずかしい話だった。
第三学生寮に近づいてきた。エリオットがにこやかに話す。
「今日はみんなでお疲れ様会でもしたいね」
「そだね。まあ、あの二人がどうかってところだけど」
「我らはこうして帰って来れたが、あちらはどうなのだろうな」
そうしてⅦ組B班は第三学生寮の扉を開けた。昼下がり、穏やかな気候で室内も心地よい。
元々Ⅶ組しかいないこの寮は第一・第二学生寮と比べたら静かなものだ。
だがすでに喧騒はあった。一階の食堂、扉の向こうからだ。
『相変わらずお前の料理は泣けてくるな』
『き、君は僕の料理を馬鹿にするのか……というか見るの初めてだろう!』
五人がよく知る二人の叫び声。だが内容の軽さに、どこか疑問符を覚える。
疲労もあって、反応すら困り玄関前で止まってしまう。十秒ほど経ってから食堂の扉が開かれ、そうしてエマが顔を出した。
「あ、皆さん……! お帰りなさい」
少し疲れが見えているが、彼女の笑顔は晴れやかなものだった。
「ただいま、委員長」
「この騒ぎは?」
エリオットとガイウスが聞く。こちらも疲れ果ててはいるが、ようやく寮に戻れたことで少しだけ活力を取り戻した。
二人の質問に対して、エマは困ったような楽しんでいるような微笑みを浮かべる。
「あ、あはは……入って頂ければわかりますよ」
エマがそう話す間にも、騒ぎはますばかりだ。
『そういう君こそ料理をするはずがないな。目を開いてよく見るんだこのたまねぎを!』
『なっ、やめろレーグニッツ!』
第三学生寮の扉を締め、困惑するままに食堂へ入る。カーテンによって和らいだ遮光が照らす食堂、正面の机にリィンとアリサが隣り合わせで座ってくつろいでいた。
二人がB班の面々に気づいて振り向いた。
「お疲れ様、みんな」
「あら、ちょうどいいところに帰ってきたじゃない」
二人の空気は至極穏やかなものだった。いや、自分たちも含めて全員が穏やかなものだ。
カイトは笑いかけた。
「お疲れ様。で、あれは……?」
指で示して質問。厨房に、ユーシスとマキアスが隣り合って立っている。驚愕すべきか、料理をしている。喧嘩をしながら手を動かしているのだ。
「だから言っただろう、たまねぎの目への凶悪な攻撃は体験したものじゃないとわからないんだ!」
「俺はハーブチャウダーをよく作ると言っただろうが! そのぐらい弁えている!」
到着したばかりのカイトたちでも「絶対にどうでもいい喧嘩だ」と確信できるほどの会話だった。その様子は確かに勢いがありうるさいものの、そこに数日前の氷のような冷たさは存在しなかった。
少々苛烈な男子たちの諍い、その程度のものだ。
B班の五人がようやく気づく。カイトがリィンを見た。
「リィン、もしかして?」
「ああ、やったよ」
リィンは握り拳に親指を立てた。そして年頃の少年らしい、屈託のない快活な笑みを浮かべる。それだけで、ユーシスとマキアスの間に何が起こったのかに気づけた。
カイトは何も言わずにリィンに同じ動作で返した。エリオットとガイウスがそれに続いた。
男子平和組の心が一つになった。
「まったく、うちの男子どもは……」
「ふふ、仕方ありませんよ、アリサさん。男の子はそういうものですから」
アリサとエマがからからと笑う男子四人を見て、つられて笑う。
ユーシスとマキアスは、いろいろとⅦ組を騒がせた罰として二人で料理を命じられているのだとか。A班の人選からすると発起人は間違いなくアリサだ。
なんだかんだそれをおとなしく受け入れるあたり、二人も非を認めているのだろうか。恐ろしく面白く、腹を抱えるほどに奇妙な光景だった。
ラウラとフィーが、それを見てすぐさま荷物を置く。そして勇ましく制服を腕まくりした。
「ならば。我らも二人を手助けするか」
「だね。団のキャンプで料理はよくやってたよ」
「ほう? 正直、興味があるな」
そう会話を繋げて厨房へ向かうラウラとフィー二人の様子を見て、アリサとエマが目を輝かせる。
「ねぇ……カイトたち、もしかして?」
「お二人の関係は……?」
女子平和組の視線を受けるカイト、エリオット、ガイウス。三人は一度お互いを見て、頷く。そして三人同時にアリサとエマに向けてピースサインを掲げた腕を突き出した。
両手を取り合い喜ぶアリサとエマ。
荷物を置いて、笑顔で食卓に座るエリオットとガイウス。
言葉を交わさず、掌が痺れるほど強いハイタッチをかますカイトとリィン。
相変わらずやいのやいのと喧嘩腰のユーシスとマキアス。その二人の後ろから、A班の面々が買ってきたらしい食材を手に持つラウラとフィー。
第三学生寮の食堂は、にわかに騒がしくなった。
ユーシスとマキアスもカイトたちが帰宅したことに気づき、愚痴を並べながらも言葉を交わす。不機嫌な少年二人を諌めながら、ラウラとフィーが合作料理の案を出していく。
それを眺めて、残る六人は食卓で待つ。B班は荷物をそこに置いたままで、それでも構わない。思い思いに語らう。
(このクラスは、最高だ)
心地よい疲れと気だるさの中で、カイトは純粋にそう思った。
特別実習は成功に終わった。もちろん、すべてが順調だったわけでもない。
カイトからしてみれば、帝国に眠っていた、世界に沈んでいた爆弾の導火線を垣間見た瞬間だった。カイトが帝国に来たのは自分のため、そしてオリビエに助力するためでもある。早晩、あの爆弾に立ち向かうことになるというのは理解していた。
何より、自分は地下水道の崩落に巻き込まれて《C》にまた負けた。実力差はある程度近づいた実感があった、それでもまだあの男のほうが上手だった。それを逃がしてしまい、
だがそんな悔しさも、Ⅶ組の十人が集まることで容易く吹き飛んでしまった。
あの時は、帝国を旅する異傍人として来た。だが今は、自分は帝国のトールズの一員だ。仲間もいる。もし志を本当の意味で共にすることができて、《C》たちに立ち向かえるのなら。かつてリベールをともに旅した仲間たちのように、壁を越えようとする特務支援課たちのように、どんな強大な敵も打ち払うことができるのかもしれない。
今はまだ、ただの貴族の御曹司であったり、道を迷う少年であったり、軋轢を産む少女たちであったり。そんな何も成していない、道半ばの少年少女たちだけれど。
きっと、世界をひっくり返すようなことをできるかもしれない。そんな荒唐無稽な自信を抱いてしまう。
年頃の自意識過剰と言われればそうだろう。でも、事実思ってしまうのだから仕方ない。
このクラスは、最高だ。
4・5月と2回にわたって繰り広げられた少年少女たちの喧嘩模様。
Ⅶ組不和編、これにて了となりました。
しかし学院生活は始まったばかり。まだまだ困難は続きます。
そして、最新作『黎の軌跡Ⅱ』も発売が近づいてきましたね……!
しばらくは更新をお休みし、そちらにも専念させていただこうと思います。
それでは、またクリア後にお会いしましょう。果て無き悪夢を見届けた先に……!
次回、第10章「護るべきもの」
第52話「雨音の学院~中間試験~」