原作:ポケットモンスター
タグ:R-15 残酷な描写 アンチ・ヘイト 転生 ポケモン 女主人公 ギャグ コメディ ネタ タイトルオチ ブラックジョーク ポケモン世界の闇 廃人 あるある いともたやすく行われるえげつない行為
そんな不思議な生物が暮らす世界に生きる少女、トウコは実は前世の記憶を持つ転生者。
彼女はアララギ博士から危険人物がいると聞いてヤグルマの森に向かった。
『ゲーム知識』から嫌な予感を覚えながら。
そして彼女は惨劇を目撃してしまう……。
※pixiv様にも投稿しています。
ポケットモンスター、略してポケモン。そう呼ばれる不思議な生物が人と共に暮らしている世界。その世界のイッシュと呼ばれる地方を一人の少女が歩いていた。
「うーん、この辺りらしいけど……」
彼女はこのイッシュ地方と呼ばれる土地でチャンピオンにまで上り詰めた、相当な実力者のポケモントレーナー。名をトウコと言う。
「アララギ博士から、この辺りに危険人物がいるって聞いてきたけど……」
彼女が今いるのは、ヤグルマの森と呼ばれる森林だ。知り合いのアララギ博士から、この付近で大暴れしている危険なポケモントレーナーがいると聞いて彼女はここにやって来たのである。しかし、その場所がこのヤグルマの森であるという事にトウコは酷い不安を覚えていた。
「まさかとは思うけど……
トウコが不安を覚える理由は『知っている』からであった。このヤグルマの森は
そう、彼女には前世の記憶と呼ばれるものがある。それも、この世界が『ゲーム』であるという、この世界の住人が聞けば正気を疑うであろうとんでもない知識が。彼女はいわゆる転生者と呼ばれる存在なのだ。
「こっちは誰もいないね。あっちは……」
トウコの言葉はそこで途切れた。彼女の目に異常な光景が飛び込んで来たからだ。
──異常な数のタブンネが傷だらけで大地に倒れ伏すという、極めて凄惨な光景が。
「た、タブンネえええぇ!?」
それはトウコの知識からすれば予想通りの光景ではあった。しかし、実際に現実として目撃すると絶叫せざるを得ないあまりに残酷なものであった。
「あぁ!?」
トウコは叫んだ。森の奥から、彼女の前にまた新しいタブンネが吹き飛ばされてきたのだ。そして、そんな哀れなタブンネを追って森の奥から草ポケモンのラフレシアと、そのトレーナーらしき少女が現れた。
「──っ! ウォーグル、出て来て!」
それを見たトウコがすかさず自身が信頼を置くポケモンの中で草タイプであるラフレシアに有利なウォーグルを呼び出す。少女の方はそれに気付かずこちらに歩いてくる。
「あっはははは! さぁラフレシアちゃん! タブンネにトドメをさすのよ!」
ラフレシアに指示を出してタブンネを容赦なく追撃しようとするトレーナーの少女。しかし、そこにウォーグルを連れたトウコが割り込む。
「待ちなさい! これ以上こんな酷い事はさせな……リーフっ!?」
「トウコ? ちっ、面倒な奴が出て来たわね」
タブンネを庇うように立ちはだかったウォーグルとトウコに、ラフレシアのトレーナーの少女──リーフがあからさまに不機嫌な表情で舌打ちした。
一瞬でお互いが誰であるかを認識した二人であるが、この二人は特に顔見知りというわけではない。それどころか今この瞬間までお互いの存在すら知らなかった。なのになぜお互いの名前を呼び合えたのかといえば簡単だ。彼女たちが『ゲームの歴代主人公』だからである。そう、つまりはこのリーフという少女も転生者であり、『ゲーム』としてポケモンの世界の知識を持つ人物であった。
「どうしてこんな事をするの!?」
「どうしてですって? はっ!」
トウコの問いに、リーフが思わずと言った風に失笑して肩を竦める。
「そんなの今さら言うまでもないでしょう? 『経験値稼ぎ』よ」
「やっぱり!?」
聞いたトウコの方もそう返ってくることは予想していた。リーフが今やっている行為──『タブンネ狩り』はゲーム時代には常識として認知されていた行為だったからだ。
「で、でも! この世界じゃゲームの仕様なんてほとんど無意味でしょ!? ここは現実なんだから!」
そう、実はこの世界にゲーム時代の仕様はほぼ当て嵌まらない。トウコがイッシュのチャンピオンになったように登場人物こそゲームに沿ってはいるが、ポケモンたちは4つ以上技を覚えていられるし、ゲーム時代では有り得ない曖昧な指示も的確に実行してくれる。そもそも、この世界に『三値』なんてものがあるのか知る術もないのだ。よって、リーフの行うタブンネ狩りにも意味があるかどうかは不明であった。いや、むしろ無い可能性が高い。現実である事を考えれば、『経験値』としては単純に強いトレーナーのポケモンと戦う方が大きいはずだからだ。
──しかし、そんなトウコの言い分をリーフは一蹴する。
「ここが現実? そりゃそうでしょう。私らやポケモンたちが生きて動いてるんだから。ゲームの仕様が無意味だなんて、アンタに言われるまでも無く理解しているわよ」
「だったら……!」
「ノンノンノン!」
憤慨するトウコをからかうようにリーフは指を左右に振ってみせる。
「経験値稼ぎの相手がタブンネである事が重要なの。実際に意味があるかどうかはどうでもいいのよ」
「なっ……!?」
──つまり、リーフの言いたいことはこうだ。どうせポケモンを育てるには戦わせなければならないのだから、その相手には経験値が高い『かもしれない』タブンネが最適。ゲーム時代の仕様がこの世界に適用されているか否かは関係ない。タブンネなら効率が良い可能性があるというだけで、タブンネが狩られる理由には十分なのである。
「あ、あんたって人はぁーー!!」
「おお、こわいこわい。でも残念、こちとらアンタなんかに構ってる暇はないのよ! ラフレシアちゃん以外にも私の育てなきゃいけないポケモンはたくさんいるんだからね!」
トウコの怒りをあっさりと受け流したリーフは、モンスターボールを手に取り自身の足元に投げつける。
「出て来なさい、フカガモス!」
「なんて酷いニックネームっ!?」
リーフが繰り出したフカガモス、いやウルガモスの完全に孵化要員としか見なされていない酷すぎるネーミングにトウコが思わずツッコミを入れる。こいつはメタモンに『うむきかい』とか名付けるタイプだ、間違いない。
──そして、リーフはトウコを見下しながらウルガモスに飛び乗った。
「あっはははは! フカガモス、『そらをとぶ』! 目的地はリバティガーデン島の灯台よぉ!」
「や、やめたげてよおぉぉっ!?」
──リーフの言葉から連想される新たなる惨劇の発生を防ぐべく、慌ててウォーグルに『そらをとぶ』を命じて後を追うトウコであった。