二人だけが知る   作:不思議ちゃん

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四話

 30分が経ち、テストが終わった。

 私たちが解いた用紙は集められ、後ろで先輩たちが採点をしている。その中には神宮先輩の姿も。

 

「それじゃ、採点が終わるまでの間に紙を配るから。この紙にどの科目をやりたいか書いてくれ」

 

 渡された紙になんて書こうか。

 元々勉強にはそれほど困っていなかったのだが、入学して日の浅い内は断らずに人脈を広げていこうと思ったのだ。

 あまり意味のない時間を過ごすと思っていたが、まさかここで少し興味の湧いた先輩との接点が持てるとは。これは私の普段の行いが良いからだろう。

 

 まだ名前と学年しか自己紹介で聞かされていないし、言葉も交わしていない。この勉強会で上手く教えてもらうにはどの科目を書くべきなのか。

 

「雪ノ下なんだが」

 

 うん?

 はて、私が何かしただろうか。

 心当たりは……うん、まだ何もしていないから無いはずなのだが。

 

 振り返り見れば、採点が終わったらしき神宮先輩が紙を1枚手に取りながら立っていた。

 

「テストも満点だったし、俺たちが教えるというよりも復習も兼ねて教師側にまわるのでいいんじゃないか」

 

 それは困る。

 教えてもらい、もっと多くの接点を持つきっかけが無くなってしまう。

 

 ……いや、教えるという同じ立場を利用すれば日頃から声を掛けることが可能になると考えればそれも悪くないか。

 

 

 

 

 

 雪ノ下陽乃が俺に興味を持っていたというのは気のせいだったのだろうか。

 目の前にあるペケのない答案用紙を見ながら少しだけ考える。

 満点を取らずに教わる側となり、接点を持ってくるものだとばかり思っていた。

 

 …………雪ノ下陽乃は厄介だという先入観が思考をややこしくしているような気がしなくもない。

 ただ、今回はいくら考えようとこの答案用紙にペケが付くことはない。

 

 だから雪ノ下陽乃は教師側にと言っただけなのだが。

 振り返り、こちらに顔を向けていた雪ノ下陽乃の表情には『困る』と書かれているように見えた。

 

 彼女は何に困っているのだろうか。

 教師側にまわるデメリットを普通に考えるならば、俺に教わるという可能性がゼロとなるだけだ。

 雪ノ下陽乃ならばどんな些細なことでも会話のきっかけにして声をかけてくるに違いない。

 

 その考えは間違っていなかったらしく。……現に、表情が変わった。

 同じ教える立場を利用して声をかけようとか考えているのだろうか。

 もしかしたら斜め上をいく考えかもしれないが……心が読めるわけじゃないので分からない。

 

 けど、これからは日常生活に雪ノ下陽乃が入り込んでくるだろうことはなんとなく理解していた。




イチャイチャまで……うぅぅ……
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