エム×ゼロ 規格外の魔法使い(仮題)   作:九澄清矢

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第1話は早めに投稿します。


第1話:入学

「えー、それでは1年C組のホームルームを始めます。私の名前は相川 蓮といいます。皆さん、これから宜しくお願いしますね」

 

入学式が終わり、各クラスの教室へ集まった生徒たち。混乱するものもいる中、相川と呼ばれた先生の言葉が教室に響く。

八代は入学式の後、自分の教室である「1-C」に入って、後ろの席でただ静かに先生の言葉を待っていた。

 

「あー、まあなんでしょう。混乱してる方も多いと思いますが、入学案内や入学式でも伝えられていた通り、この学校では普通では体験できない「魔法」に関する勉強をしてもらいます。形式上は他の高校と同様に必要最低限の学力は身に着けてもらいますが、それ以外は魔法についての勉強となりますので、その辺を理解しておいてください」

 

魔法・・・。

この聖凪高校は「魔法特区」と呼ばれる「魔力が強力に生まれる稀有な土地」となっており、本校でのみ使用が許可された特別な力である。

受験時や校門をくぐった時に感じた自分の身体に何かが湧き上がる感覚。

そして、面接時に試験管が発したあの質問と、何も書かれていなかったはずの案内書の最終ページにあった答え。

 

Q「もし、あなたが魔法を使えたらどんな事をしてみたいですか?」

A『日々の生活で、困っている人を助けるために使ってみたいと思います』

 

(なるほど。あれはこういう意味だったわけだな。けど・・・)

 

八代は自身で体験したあの感覚を思い出しながら納得するが、一つの疑問が浮かぶ。

 

「そこで、早速ですが君たちにやってもらいたいことがあります。これから名前を呼ばれた人は所定の場所に行って魔力検査を行って、あなたたち専用のマジックプレートをもらってください。このマジックプレートは皆さんがもらった後にちゃんと説明しますが、本校での生活においてとても重要なものになりますので、絶対に無くさないようにしてくださいね。まあ、これは1人ずつしかできないですし、それゆえに時間がかかってしまうものなので、本日の予定はほぼこれで潰れてしまうと認識しておいてください」

 

「先生、質問よろしいでしょうか」

 

「君は確か、下田明歩くんでしたね。なんでしょうか?」

 

「恐らく私たち全員だと思いますが、この校舎に入るまで「魔法」に関係する記憶が一切ありませんでした。これは何かしらの魔法による影響ということなのでしょうか」

 

(・・・まあ当然の質問だよな)

 

自分も確認しようと思っていたが、下田明歩と呼ばれた女子生徒が手を挙げて質問をする。

 

「いい質問ですね、じゃあまずは・・・。もうこの校舎にいるわけですし、この学校に特別な魔力障壁が展開されていることはみなさん知っていますね。詳しくはこれから勉強するとして、この障壁からはマジックプレートを持っていることと、特別な処置ができる校門でしか外に出ることはできない条件となっているわけです。また、その2つの条件に対して、障壁外に出たときに発動する魔法、簡単に言ってしまうと「魔法に関わる記憶を障壁内に保管する魔法」が強制発動するってわけです。結果、君たちは再度障壁外へ出た場合魔法に関する記憶を忘れてしまうんですけど、再度この学校に入れば思い出すということになるわけです。だいたいわかりましたでしょうか?」

 

「なるほど、貴重なお話ありがとうございました!」

 

「いえいえー。他に質問あったりしますか?」

 

「はいはーい!俺津川 駿っていいます!そもそもこの学校って・・・」

 

下田の質問を皮切りに、ほかの生徒たちが質問を投げ始める。

 

(なるほどな。ここに来た時には話を事前に聞いていたけど、実際この校舎に入るまでは魔法に関することだけがフィルターにかかったみたいにわからなかったわけだ)

 

「相川先生、そろそろC組の魔力検査が始まりますので、生徒の誘導をお願いします」

 

「おや、もうそんな時間だったんですね。じゃあ出席番号順となりますので、出雲さんから順番に先生について行ってください」

 

他の先生が呼びに来たため、相川先生が最初の生徒を呼ぶ。

 

「うわぁ・・・。私1番最初か」

 

相川先生の言葉に少々憂鬱になりながら、出雲と呼ばれた女の子が教室を出ていく。

 

(出席番号順ということは名前の順か。なら俺はしばらく待ちだな)

 

名前の順であれば「冬木」だと「は行」。つまり後ろから数えた方が早い方である。

呼ばれるのは先のため、八代はかったるいと思いながら、鞄から本を取り出す。

 

「ねぇ、あなた」

 

「ん?」

 

声のほうを向くと、帽子を被った女の子が声をかけてきていた。

 

「もしよかったらちょっとおしゃべりしない?あ、私桃瀬 晶っていうんだ。みんな「桃」て言うけど、好きに呼んでいいよー。まあ簡単に言っちゃえば苗字が「ま行」だから結構暇なのよ」

 

「別にいいが、俺でいいのか?」

 

「あははー、実はさっき呼ばれた子が私の友達でさ。ほかの女の子達もグループ作って話し始めちゃったから入りづらくってね。ちょっと迷ったけど、あなたが良ければどうかなって」

 

「なるほどな、そういうことなら別にいいぜ。俺は冬木 八代。八代でいいぜ。ちょうど今日からこっちに引っ越してきたから勝手がわからんが、宜しく頼むよ」

 

桃瀬という女の子が困った顔でそう言い、八代はまあいいかと考え、鞄に本をしまい自己紹介をする。

 

「八代だねー、よろしく♪冬木ってことは、私と一緒で当分呼ばれなそうだね!」

 

「たしかにな。桃瀬さんはなんでこの学校に?」

 

「あー!自分は名前で呼べって言ったくせに私は苗字ー!?」

 

「いや、別に呼べって言ってはいないんだが・・・。じゃあ、桃はなんでこの学校に進学したんだ?」

 

桃瀬と呼ぶと口を膨らませて睨まれたので、八代は苦笑しながら言い直して聞く

 

「まあいっか♪まあ、私は魔法が使えるからかな。他の高校じゃ絶対体験できないことだと思うし、なにより面白そうだから!そういう八代はなんで?それに引っ越してきたって言ってたけど、どこに住んでたの?」

 

「俺も桃と同じだよ。ここに入るまでは近いって理由が1番だったけど、やっぱり面白そうって思ったからかな。引っ越してきたのは熊本だよ。詳しくは俺も知らないんだけどさ、親が研究関係でこっちに引っ越すことになって、ついていくことになったんだよ」

 

満足したのか桃瀬が笑顔で答え、八代も質問に対して思い出しながら答える

 

「熊本!?めっちゃ遠いじゃん!良くこっちに来る気になったね・・・」

 

「まあ大変ちゃ大変だったよ。でもそのおかげでこの高校通えるようになったわけだし、家は親があまり帰ってこれないから、かわりに一人暮らしみたいに自由にして良いって言われてるし、こっちにきてよかったよ」

 

「へぇー、一人暮らしか。大変そうだけどちょっと私も憧れるなー」

 

桃瀬は驚きながらも八代の「一人暮らし」発言に羨ましそうに言う。

しばらく桃瀬と話していると1人目の出雲が教室に帰ってきた。

 

「あ、文美お帰りー。どうだったー?」

 

「ただいま、桃。んー、ちょっと痛かったかな。けどそれ以外はなにがなにやらで、あなたは「レッドアイアン(RI)プレート」ですって言われてプレートもらったわよ。その後は説明を受けて、無くさないようにとか規則に則ってとかいろいろ言われたわね」

 

「え?痛かったってどゆこと?」

 

出雲の「痛かった」という言葉に反応し、桃瀬が首を傾げながら聞く。

 

「なんか魔力を測定するのには血が必要らしいのよね。それで採血してから測定するわけ」

 

「へぇー、そうなんだ。八代は注射苦手だったりする?」

 

「いや、急に振るなよ。まあ、苦手な奴は知ってるけど俺は平気だよ。ごめんね出雲さん、俺は冬木 八代って言うんだ。急に話を振って申し訳ないけど、「RI」ってどういうことか教えてくれないかな?」

 

急に話を振るもんだから困ったものだと思いつつ、自身の好奇心にも逆らえず出雲に簡単に自己紹介してからプレートについて八代が聞く

 

「え?別にいいけど・・・。桃、あんた冬木くんと知り合いだったの?」

 

「いや、今日あったばかりだよー。出雲が先に行っちゃって話し相手がいなかったから、隣だったし声かけて一緒に喋ってたんだ♪」

 

「・・・はぁ、なるほどね。ああ、ごめん改めて自己紹介するわ。私は出雲 文美。この子と一緒に受験してここに入ったの。宜しくね、冬木くん」

 

出雲はため息をつきながら八代に向き直って、自己紹介する。

 

「丁寧にありがとう、出雲さん。桃も呼んでるし、出雲さんに任せるけど「八代」でもいいから」

 

「んー、そうね。・・・じゃあ八代くんって呼ばせてもらうわね」

 

お礼を言う八代に対し、出雲はちょっと気恥ずかしそうに言う

 

「えーっと、プレートのことだったわよね。私もちゃんと覚えてはいないんだけど、そもそも魔法ってこのマジックプレートにインストールしてから使えるものなんだってさ。それで、入学生は基本的にこの「RI」のプレートが渡されて、授業で魔法を学んでいきながら成績次第で徐々に上のプレートに昇格していくみたい」

 

「昇格か・・・。てことは単純に考えれば、この他にブロンズ(B)、シルバー(S)、ゴールド(G)のプレートがありそうだね」

 

「えっ、なんで?」

 

「アイアンは鉄って意味だからね。価値が上がるって意味と考えればそうなるだろ?」

 

「あー、確かにそうだね」

 

出雲が説明すると八代は考察しながら桃瀬の問いに答える。

 

「なぁ、その話俺も混ぜてくれない?」

 

「私も!」

 

そんな話をしていると出雲が教室に戻ってきていたのを確認していたからなのか、周りが話を聞きつけてやってくる。

 

「冬木 八代くん、キミの番となりましたので魔力検査に向かってください」

 

「あ、了解しました。じゃあ出雲さん、桃。あとよろしく」

 

「ああ、うん!」

 

「いってらっしゃーい」

 

相川先生から呼び出されたので、八代は桃瀬と出雲にそういって教室の外へと向かう。

正直集まってきた連中を相手するのが面倒だったので、これ幸いと思いながら八代は検査室まで向かうのであった。




入学当時なので、話としてはしばらく九澄は出てきません。
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