エム×ゼロ 規格外の魔法使い(仮題)   作:九澄清矢

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第2話:ゴールドプレート

「はい、採血はこれで終了です。この後魔力検査を行いますので、隣の教室に移動してください」

 

「わかりました。それでは、失礼いたします。本日はありがとうございました」

 

「礼儀正しいわね。そう構えなくていいのよ。後は血を垂らして、魔素を見るだけだから」

 

移動後、別教室で医者のような白衣を着た人の指示に従いながら八代は採血を終わらせて、隣の教室へ移動し扉をノックする。

コンコンっと暖かみのある硬質な音が廊下に響くと「どうぞー」と扉越しに声が聞こえてきた。

ただその声は八代の耳にはあまりにも聞き覚えのある声であった。

 

(あれ?今の声って・・・)

 

「し、失礼します」

 

まさかなと思いつつ、八代は恐る恐る扉を開ける。

 

「やぁ、八代!久しぶり!」

 

「・・・やっぱり父さんか」

 

八代の考えは当たっており、そこに座っていたのは自分の父親である「冬木 巧」が座って待っていた。

 

「フッフッフ、驚いたかい?今まで僕の仕事についてはうやむやにしてきちゃったけど、八代がこの高校に入ると聞いてやっと話せると思ってね!受かったって聞いたときは父さんも母さんも本当に嬉しかったんだよ!」

 

「・・・なるほどね。研究員とは聞いてたけど、魔法の研究をしていたってわけか。ここに入って熊本にもまだ建設中だけど魔法特区になる場所があるって聞いたし、まあ納得かな」

 

テンションの高い父親をそのままに、八代はふむと考えをまとめながらそう言う。

 

「おや、なんだいそのリアクションは!もっと驚くと思ってたんだよ!それにテンション低くない!父さん寂しいぞ!」

 

「うるさい、うざい、とっとと検査済ませろ」

 

「えー、ひどくない!?」

 

辛辣な八代の言葉にダメージを受けながら、巧はしぶしぶ検査の準備を始める。

 

「さてと、じゃあ気を取り直して検査を始めようか。まあ先ほど採血してもらった八代の血を検査用の魔法陣に垂らすだけなんだけどね。立ち合い人として必ず研究員が呼ばれているんだけど、今回は八代がいることもあって僕が立候補したってわけだよ」

 

「立候補とかすんなよ、恥ずかしい」

 

「この照れ屋さんめ☆」

 

「うざっ・・・」

 

「うっ・・・。まあともかく始めるとしよう」

 

自業自得もあるが、再度辛辣な八代の言葉の刃にダメージを受け、巧はよろよろとしながら検査を始める。

八代は巧に誘導されて魔法陣の中央へ向かい、中央に着いたことを確認すると、巧は八代の血を専用の魔法陣に垂らし、その血に魔法陣が反応して色が変わり始める。

 

「さてと、八代の魔力素はどうかな?まあ、初めて魔力に触れる人はだいたい適性CかDランクからだから、初歩としてRIから入るんだけどね~。どの子も予想通りだったからもう見飽きたし、個人的には八代に突然Bとか出してくれたら嬉しいな」

 

「仕事で来てるんだから飽きたとか言うなよ・・・」

 

----ビィー、ビィー!

突然機械音が鳴ったため八代が周りを見渡すと、先ほどまで発光していた魔法陣が突如消えてしまった。

 

「ん?なんで魔法陣が消えたんだ?変だね、今までこんなことなかったのに・・・」

 

「父さん、なんかやらかしたんじゃないよな?」

 

「ひどいな!?自分でいうのもなんだけど、仕事に関してはどんな時だろうと僕は手を抜かないよ!しっかりやってたさ!」

 

八代から疑いの目を向けられ、魔法陣のチェックをしながら巧は必死に答える。

 

「・・・やっぱり異常は見受けられないか。んー、仕方ない、ちょっと異例だけど普段我々が検査している魔法陣を使用しよう。八代、僕についておいで」

 

「え?ああ、わかった」

 

巧が他の教職員に事情を伝え、担当を変わってもらった後、校舎を離れて別の場所へ移動することとなった。

 

 

 

 

 

しばらくすると施設のようなしっかりとした建物が現れ、二人はその中へ入っていく

 

「ここは?」

 

「ここはプレートの昇格試験の際に使用する検査場だよ。ここの魔法陣だったら先ほどの魔法陣とは違い精密な検査が行えるものだから、しっかりと調べられるはずなんだ」

 

「なるほどね」

 

「あら、冬木室長。こんなところに何の御用ですか?」

 

中に入ると一人の老婦人が魔法陣の前に立っていた。

だが八代は先ほど聞こえた言葉のほうが気になって仕方なかった。

 

「室長・・・だと・・・」

 

「絶対言うと思った!まあ、そのことは後でちゃんと話すよ・・・」

 

八代の驚いた声に巧も予想通りと言わんばかりにそう言う。

無理もないだろう。室長ということは研究室の長であり、実質的に研究を推進する管理職であるため、自分の父親がそこまででかい職に就いているとは八代自身も考えてはいなかったのだ。

 

「ご無沙汰しております、花先校長先生。実はこの子の検査中に検査用の魔法陣が突然異常を起こしてしまいまして。少々正確な測定をしようと考えたため、こちらの魔法陣をお借りしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「あらあら、そうだったのね。別にかまわないわよ、好きに使ってちょうだい」

 

「ありがとうございます。では、ありがたく使用させて頂きます」

 

「あ、ありがとうございます」

 

こんな丁寧口調の父親を見たことがないと思いながら、急に遭遇した校長先生に対し巧に習って八代もお礼を言う。

 

「あら、あなたがその生徒さんね。お名前を聞いてもよろしいかしら」

 

「あ、はい。自分の名前は冬木 八代といいます」

 

「あら、冬木ということは・・・」

 

「はい、息子です。父がいつもお世話になっております」

 

校長に自己紹介をしながら八代はお辞儀する。

 

「礼儀正しいのですね、お父さんに似たのかしら?」

 

「いえ、絶対違います」

 

「即答!?」

 

「やっぱり?じゃあ、お母さんに似たのね」

 

「やっぱりってどういうことですか!?校長先生もひどくないですか!?」

 

「ふふふ、さぁ時間のこともありますし、早く検査を始めましょうか」

 

「はい、宜しくお願いします」

 

「検査するの僕だからね!?ねぇ、まってよ!僕の話聞いて!」

 

巧の悲鳴を背に、校長と八代は検査の準備をすすめるのであった。

 

 

 

 

 

「さて、じゃあ改めて始めるとしようか。八代はまた魔法陣の中央にいてね」

 

「わかった」

 

巧の指示により再び八代は魔法陣の中央へ移動する。

 

「でもおかしいですね。ここの魔法陣と検査用の魔法陣、そこまで違いがありましたでしょうか?」

 

「校長先生のおっしゃる通りです。特に異常が見られませんでしたし、もしかしたらこちらの魔法陣でも異常が出てしまわないか心配なんですけどね」

 

校長先生の指摘を肯定しながら、巧は先ほど同様魔法陣に八代の血を垂らす。

それに反応し、魔法陣の色も変わり始める。

 

「ここまでは先ほどと同じだね。さてどうなるかな・・・」

 

----キュイーン!

 

「おっ、よかった!どうやら成功したようだね!魔法陣の中で適性が決まったようだよ!」

 

「ふぅ、やっと終わるのか」

 

「ちょっと待ってください、動かないで八代くん。魔法陣の色がまだ変わりきっていないようです」

 

巧の嬉しそうな声を聴き、八代は安堵するが校長が八代を静止させる。

 

----ブゥン!ブゥン!

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

2回ほど変化が起こった。

その変化は、魔法陣の色が赤から茶色、茶色から銀色に変わる瞬間であった。

そして・・・

 

----・・・ブゥン!

 

最後の変化のだろうか。

一時の間があってから再度変化した魔法陣の色は、金色に輝いていた

 

----ピーッ!ピーッ!

機械音が鳴り、排出された紙には魔力測定結果の文字。

内容は・・・

 

「・・・魔力適性。ランク・・・S」

 

「なんということでしょう・・・」

 

「俺が・・・Sランク?」

 

巧の発せられた言葉に校長が信じられないといった驚愕の表情を浮かべる。

八代としても、今日初めて測った適性が「Sランクでした!」と言われても、ピンとくるわけがない。

 

「校長先生、突然となってしまい申し訳ございませんが、これから少しご相談してもよろしいでしょうか」

 

「構いませんよ。このような光景を見てしまった以上、私もこの学校の校長として、この先のことも考えなくてはいけませんからね。とりあえず、魔法技術主任である柊先生も呼びましょう。これからの授業に関しても相談しなくてはいけませんし」

 

「そうですね。まあ僕・・・というよりは妻に似たのでしょうね。この子がこんなに凄い存在だったとは思いませんでしたよ。いやぁー、凄いね八代♪」

 

「・・・まあ、とりあえず凄いってことはわかったよ。それで俺はどうすればいいんだ?」

 

既に校長と巧で話が進んでしまっているため、八代は諦めながらそう聞く

 

「八代くんも私たちと一緒に来てもらいますよ。1年C組ということは相川先生でしたね。彼には後で事情を話すとして、現時点では八代くんは測定中に貧血で倒れてしまったので保健室で休んでいるとでも言っておきましょうか」

 

「え?なんで本当のことを伝えないんですか?」

 

「八代、ちょっと考えてごらん?みんなは魔力適性CもしくはDランク。今の八代は適性Sランク。その状況がわかっている状態で教室に戻ってごらん?」

 

「・・・確実に注目の的だな」

 

「その通り。しかもSランクだってことは、先生達ならばまだしも他の生徒に知られれてしまうと、この学校に通う間ずっと特別な目で見られてしまうよ」

 

八代に問いに答えながらも巧と校長は連絡を取って話を進める。

 

「確かにな。父さんに指摘されるまでわからなかったなんて、ちょっと考えが安直だったわ」

 

「そうそう。・・・ってそれはどういう意味!?」

 

「とにかく、状況は理解したよ。でもそうすると俺のプレートはどうなるんだよ?」

 

巧をいじりながら軽口をたたく八代が問いかける。

 

「そうだね~。・・・校長先生、私は現時点で八代にRIなんて低ランクのプレートを渡してしまうと、適性が合わず最悪の場合プレートが壊れてしまうと考えておりますが、校長先生の見解は如何でしょう」

 

「あなたと同意見ですよ、巧くん。恐らくその先についても」

 

「そうなってしまいますよね。まあ表側をRIにすれば当面の問題は解消されそうですからね」

 

「・・・あの、先生方?」

 

校長先生と巧で何やら相談しているが、八代にはなにがなんだかわからないでいる。

 

「八代くん。あなたには校長である私から、特例として、G(ゴールド)プレートをお渡しします。これから、大変ですが頑張ってくださいね」

 

「・・・は?」

 

こうして八代の高校生活は、最強のプレートを手にすることで始まりを迎えるのであった。

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