エム×ゼロ 規格外の魔法使い(仮題)   作:九澄清矢

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今回はちょっと長めに書いてます~。


第4話:再会

入学から数週間が経ち、4月の終わりになろうとしていた。

 

「えーっと、『無限包容(バブルパッケージ)』。この魔法は泡をイメージしてるのか。魔力体を吸収して泡に閉じ込める魔法ねー。こいつは少々『MP(マジックポイント)』の消費量が多いけど、色々使えそうだし汎用性高そうだな」

 

自分に合う魔法を捜索するため、八代は毎朝早く起床しては蔵書室が開くと同時に入室し、魔法に纏わる本を借りてはどのような魔法があるかの確認を行っていた。

 

マジックプレート・・・

プレート内に魔法をインストールすることができ、そのインストールした魔法を唱えることで、プレートから様々な魔法を使用することができる代物である。

 

(まあ当たり前だけど、魔法もそんな便利なものばかりじゃなかったんだな)

 

この数週間の授業を受けて、八代が重要視している点が2つあった。

1つはMPの存在。各生徒が持っているプレートの1日に使用できるMP量は予め決まっているということだ。

魔法を使用するためにはMPが必要であり、各魔法によってその消費量は異なる。

そのため、低ランクのプレートでは、強力な魔法を使用してしまった場合、残りのMPに見合う魔法でなければ、その後のいくらその魔法を唱えても発動しないというわけだ。

 

(俺の場合はGプレートだから、使用できるMP量は他に比べて膨大だし、魔力切れになることはないだろうけどな・・・)

 

2つ目は魔法をインストールする方法とインストールできる限度が存在するということ。

それぞれで魔法をインストールする方法は様々だが、基本は魔法の内容を理解し、その内容をプレートに対して『自身にあった行動』を行うことで魔法をインストールすることができる。

八代の場合、適性ランクがSだからなのか、魔法内容を理解した状態でプレートに手を添えて、魔法名を唱えるだけでプレートにインストールをすることができるのだ。

また、魔法をインストールできる数は、自身の1日に使用できるMP量から、インストールされている魔法が最低1回使用可能な状態であればいくらでもインストールすることができるということ。

逆に強力な魔法をインストールした後に他の魔法を入れようとした場合、両方の魔法が使用できる状態でなければ、そのプレートに魔法をインストールすることができないというわけだ。

 

(俺もみんなと同じRIって設定だから、下手に強力な魔法をインストールするのは避けてるけど、それでも入れられる魔法はたくさん入れて試してみたいからな)

 

朝早くから蔵書室にいるのも、人目につかず、誰にも邪魔されず、魔法書を見ては様々な魔法をインストールすることができると考えたためだ。

プレートのランク上、どの魔法もインストールや使用する分には問題ないが、当然低ランクの魔法ばかりとなる。

 

(早くプレートのランクを上げたいな。今はいろんな魔法使うためにインストールとアンインストールを繰り返してるっていってるけど、一日にどの魔法を使用するかは決めておかないとバレるからな)

 

「・・・よし、今日はこんなもんかな」

 

プレートへの魔法インストールも問題なく終わり、八代は本棚に魔法書を返してから蔵書室を後にするのであった。

 

 

 

 

 

----ガラガラッ

 

「はよーっす」

 

「あ、八代おはよー!通学路で姿見なかったけど、また蔵書室に行ってたの?」

 

「おはよう、八代くん。最近いつも早起きしてるよね」

 

「おっす、桃、出雲。まあせっかくめったに体験できない魔法ってものを学べるわけだし、色々試してみたいのよ」

 

教室に入ると出雲と桃瀬が挨拶をしてきたので、八代は軽く返事しながら自分の席に座る。

隣であることもあり一緒に喋ることが多いため、桃瀬と出雲とはこの数週間ですっかり仲良くなっていた。

 

「相変わらず魔法に関して熱心だよな、おまえは」

 

「ん?おやおや、今日は早いな孝司さんや。おはようさん」

 

「おはようさん。まあ今日は珍しく早く起きれちゃったからさ。たまには早く行くかって思っただけー」

 

「起きれたことが奇跡みたいに言ってんじゃねぇよ」

 

「あはは、ユッキーは相変わらず能天気だよねー!」

 

後ろから声が聞こえたので振り向くと孝司と呼ばれた男の子が八代に話しかけてきていた。

雪比良孝司。通称ユッキー(命名:桃)。

八代の席の後ろのため、話しかけられることが多く、八代としてもその話に入りやすいため、最近ではよく喋っている。

孝司曰く低血圧だからと言っており、いつもギリギリで登校してきているので、八代より早く席についているのが珍しかったのだ。

 

「やかましい、桃。てか、んなことはどうでもいいんだよ。それで、今日はどんな魔法をインストールしてきたんだ?」

 

「相変わらず初歩魔法だよ。朝早いっていっても蔵書室開いてから朝のHR(ホームルーム)までだからな。そんなに時間ないから少々ローテしただけ」

 

「へぇー、なるほどね。でも八代くんは魔法インストールするのに理解して唱えるだけって簡単でいいわよね」

 

「まったくだよ!というか、文美だって書くだけなんだから楽でいいじゃん~!私なんて八代に比べたらチョーめんどいんだから!このラッキーボーイめ!」

 

「なんだよラッキーボーイって・・・」

 

いつも通りの4人との会話に八代は苦笑しながら朝の会話を楽しむ。

 

----キーンコーンカーンコーン

 

「おはようございます、皆さん。さぁ、今日のHR始めますよー」

 

「ありゃ、先生来ちゃった」

 

チャイムが鳴り、相川先生が入ってきたことを確認すると、他の生徒も席に着き始める。

 

「では出席とりますね、名前を呼ばれたら返事してください」

 

 

 

 

 

----キーンコーンカーンコーン

 

「チャイムが鳴りましたね。次の授業は移動教室なので注意してください。今日の日直の方は・・・柊さんと冬木くんですね。申し訳ないですが、授業開始時間までに事前準備をお願いします」

 

「わかりました!」

 

「了解ですー」

 

「では、授業はこれで終わりにします。下田さん、お願いします」

 

「はい。起立ー、礼」

 

柊と呼ばれた女の子と八代が返事をし、相川先生が委員長である下田に合図をして、下田の号令とともに授業が終了した。

 

「やっぱ委員長は声が張ってていいね!」

 

「そ、そうかな。ありがとう、桃ちゃん」

 

桃瀬がそう言うと前の席である下田が褒められたため嬉しそうに返す。

 

「さて、昼飯食いに行くかな。八代はいつも通り弁当?」

 

「まあな。たまには買ってもいいんだけど、自分で作った方が早いからな」

 

「さいですか。なんにせよ朝弱い俺には無縁の代物だな。まあいいや、俺行くわ」

 

「おう、また後でな」

 

八代に確認したあと、孝司は鞄から財布を取り出し教室を出ていった。

八代も孝司を見送ると弁当を取り出して蓋を開ける。

 

「よし、今日もあるね!八代ー、から揚げちょうだーい!」

 

「・・・またか。桃、俺のから揚げはただでは渡さんぞ?」

 

「わかってるって!こっちもたこさんウインナーあげるからさ!」

 

「はいはい、わかったよ。ったく、いつもお前が持っていくから多めに作っておいて正解だったよ」

 

八代が弁当の蓋をあけると、弁当を覗いていた桃瀬が待ってましたと言わんばかりにガッツポーズしながらそう言う

 

「八代のから揚げが美味しいのがいけないんだよー。んー、やっぱり美味しい♪」

 

「そりゃどうもー。まあ手間暇かけて作ってるから美味しいって言ってくれて嬉しいよ。自分でも上手くできてると思ってるし」

 

桃瀬の感想に返事をしながら、八代も桃瀬のたこさんウインナーを頬張る。

当然だが現状の八代は実質一人暮らしであるため、家事全般は一人でやっている。

中学時代から母とともに料理をやっていたので、高校でも自炊して食費を抑えているのだ。

 

「あ、八代くん。私も卵焼きあげるから一個くれない?」

 

「わ、私も食べたいな。八代くん、私のお弁当からどれでも好きなの取って良いから、から揚げ1つもらってもいい?」

 

「あいよー。じゃあ委員長からは肉巻き貰うよ」

 

八代が弁当を作っていると言うと桃瀬と出雲、途中から委員長も弁当に食いつき、こうして弁当の中身を交換しあっている。

この光景は周りからしたら女子3人の中に男子が混じってるというものであり、他の男子では羨ましがっている者もいたのだが、お弁当というワードが聞こえると、皆挫折しながら気にしないようにすることとなったのだった。

その後も昼食をとりつつ、おかずの交換を要求され、八代はそれに応じながら昼休みを過ごしていくのであった

 

 

 

 

 

「さってと、腹ごなしにちょっとその辺歩いてみるかな」

 

昼食を取り終えた後、桃瀬たちはそのまま女子トークに花を咲かせてしまったため、先に事前準備しておくかと苦笑しながら八代は教室を出て背伸びをする。

 

----ピンポンパンポーン

 

八代が歩き始めようとした瞬間、アナウンスの音が聞こえる。

 

[あー、昼休み中に失礼する。魔法技術主任の柊だ。現在校内に部外者が侵入している。見つけた者はすぐ私に連絡を入れるか取り押さえて欲しい。なお、危険でもあるため強制はしないが、協力してくれた生徒には特別に魔法ポイントを与える。その者の顔は各自プレートに送ったので、各自確認しておいてくれ]

 

(・・・部外者?なにかあったのか?)

 

放送があった後、八代はプレートを取り出すと男の顔が浮かび上がる。

 

「・・・!?これ、大賀じゃないか!」

 

そのプレートに映し出されていたのは、面接会場でまた会おうと約束した九澄 大賀の姿が映っていた

 

(部外者って言ってたな。てことはやっぱり入学できなかったのか)

 

入学式の後、他のクラスの名簿を確認させてもらったたため、九澄 大賀の名前がないことはわかっていた。

 

(部外者としてこの校舎に入ったということは、やはり落ちていたんだな。でも、また変な再会になりそうだ)

 

落ちていることは予想していたが、まさかこのような形でまた会うことになるとは思っていなかった。

 

「とりあえず行くか。あいつには悪いけど、ポイントもらえるんならおとなしく捕まってほしいもんだね」

 

そういって八代は教室を後に、九澄を捜しに飛び出していった。

 

 

 

 

 

「さてと、あいつはどこにいるかなぁ」

 

校舎の外に出ると既に騒ぎが起きていたため、人だかりができている場所へ向かった八代は辺りを見渡す。

 

「いだぞ、あっちだ!」

 

「やだー、こっち来るよ!」

 

「お、あっちかな?」

 

悲鳴が聞こえる場所へ向くと、明らかにこの学校のものでない男子が別校舎の方へ走っていた。

八代はその姿を確認すると、自分も走りながら八代は九澄に声をかけようとする。

だが、その手前で衝撃的な光景を目の当たりにする。

 

「おーい、大「おおおーーーっ!!どけーーっ!!」

 

「ふげっ!」

 

「んがっ!」

 

「ぐががっ!!」

 

「・・・おおぅ。すげぇな」

 

進行を阻もうとした上級生と見受けられる生徒を九澄は走りながら殴り飛ばしていた。

 

「何かする前に潰すまで!!」

 

「・・・ああそうか。あいつ今日初めて「魔法」を目にするってことになるのか」

 

吐き捨てるように放った九澄の言葉に八代はポンッと手を叩く。

 

(そりゃそうだよな。相川先生が言っていたことが本当なら、受験に落ちたことでこの校舎にある大賀の「魔法に関する記憶」は消されているはずだからな。そんな状況でこの敷地内に入ってみたら、急に魔法を使える学校でしたって言われたって信じられるはずもないからな。混乱の一つや二つしない方がおかしいか)

 

状況を分析しながら八代は走る九澄の背中を追う。

 

(それにしても、改めて見るとあいつ足早いな。さっきの身のこなしといい、この走る速度といい、こいつかなり体鍛えられてるんじゃないか?速さだとあいつについていくのがやっとだ)

 

中学時代からサッカー部に入り、体を鍛えていた八代でさえ九澄と同じスピードで走るのがやっとだった。

八代は九澄のスペックの高さに驚きながら走っていると、女子生徒に阻まれ別校舎内に逃げ込んだため、八代もその後を追って中に入る。

 

「だはぁーーー!!全教室閉まってやがるーーー!!」

 

(そりゃそうだろ、この校舎は授業や部活動以外で使われない校舎なんだから)

 

一つ一つ素早く扉を確認する九澄を観察しながら八代は心の中で呟く

 

(・・・しかたねぇな。このままじゃ見つかった途端こっちまで殴られるかもしれねぇし。クールダウンさせるためにも、この家庭科室だけ開けてやるか)

 

----ガチャッ

 

「おーい、大賀。家庭科室開いてるからこっちこーい」

 

八代は事前に次の授業のため持っていた家庭科室の鍵を使用し、慌てふためいている九澄を呼ぶ。

 

「えっ!?今俺の名前が聞こえたぞ!?と、とにかく迷ってる暇はねぇ!!家庭科室へゴー!!」

 

九澄は声の聞こえた通り家庭科室へ逃げ込む。

 

「だ、誰だか知らねぇが助かったぜ!ありがとうな!まったく、この調子だと見つける前に力尽きちまうぜ」

 

「おう。まぁ、次の授業ここだったし、ついでだったから気にすんな」

 

「それにしても俺の名前知ってるなんていったい誰なん・・・だ・・・」

 

ぜぇぜぇと息を吐きながら、九澄がやっと落ち着いて顔を上げると・・・

 

「久しぶりだな、大賀。元気してたか?」

 

「や、八代!?」

 

こうして、八代と九澄の再会の約束は、予想していたよりも、いやかなりドタバタとした形で果たされるのであった。




はい、やっと原作主人公登場です!
八代はたくさん魔法覚えてますが、九澄同様必要な時だけしか魔法を使用する気がないのでセーブしてます。
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