「ほ、本当に八代なのか!?」
「んだよ、他に誰がいるんだよ。この学校にお前を名前で呼ぶ奴なんていないだろ?」
九澄が驚いた表情でそういうと、八代は当たり前だと言わんばかりに聞き返した。
「た、確かにな。一緒にこの学校受験してたんだからここにいてもなんの不思議じゃないか」
「そういうこと。ま、元気そうでなによりだわ。そんで、お前は何やってんの?」
「なにって、捕まえようとしてくる奴らから逃げてんだよ」
「ああー、悪かった。質問を変えるよ。なんでお前はこの学校にいるんだ?」
当たり前だろと言わんばかりに九澄が言うので、八代はため息をつきながら質問する。
「なんでって・・・。そうだ、聞いてくれよ!校門付近でちょっと中に入れる場所ないかなって探してたらさ、ロン毛で金髪のおっさんがいきなり宙に浮きながら現れて、急に俺をこの校内に引きずり込んだんだよ!」
「・・・大賀、それマジ?」
「マジだよ!俺をこの学校の生徒だと思ったんだろうけどさ、プレートがないならどうとか言って、急に俺の腕とおっさんの腕がくっついたと思ったら引き擦り込まれてたんだよ!」
(・・・柊先生。やっちゃったんですね)
九澄の発言に八代は頭を抱えながら話を聞く。
「なぁ、やっぱこの学校にいるやつらって全員魔法ってやつが使えんのか!?さっきの放送でも魔法ポイントとか言ってたし!」
「ん?ああ、そうだな。全員かどうかはわからんがら多分だけど、こういったプレートを持っているやつは魔法を呼び出して使用することができるんだよ」
九澄が恐る恐る聞いてきたので、八代は自分のプレートを取り出してわかるように説明する。
「マジかよ・・・。ん?じゃあ俺もこのプレートを持ってるから魔法を使用できるってことなのか?」
「は?何言って・・・」
「いやさ、俺が追われてるときに俺の身体の中からお前の持ってるやつと同じようなプレートが出てきたんだよ」
意味が分からず聞き返すと、九澄が懐からプレートを取り出してこちらへ向けていた。
しかも、そのプレートの色は金色に染められており、表面に書かれていた文字がG。
つまり・・・
「ゴールドプレート・・・だと・・・」
「どうした、八代?そういえばこのプレート見せたらどいつもこいつも尻込みしてやがったな。すげぇプレートなのか?」
(・・・なるほどな。他の生徒が積極的に手を出してこないわけだ)
八代は九澄が持っていたプレートを見て驚愕したが、それと同時にここまで大きな騒動のはずなのに、追ってくるものが少なく騒ぎがそこまで大きくなっていないことに納得する。
(しかも体から出てきたって言ってたな。だとするとあのプレートは・・・)
「それは俺のプレートだ。返してもらうぞ」
「うげぇっ!?」
「ん?ああ、やっぱり先生のでしたか」
突如現れた柊先生が九澄の後ろから自身のプレートを取り上げる。
「八代か。・・・そうか、お前がこの教室まで追い込んでくれたんだな。助かったぞ、後は私に任せろ」
「あー、少々勘違い入ってますけど、長くなりそうなんで一旦それでいいです。では、あとはお任せします」
柊先生の言葉に苦笑しながら八代は家庭科室を後にしようとする。
「なっ!?八代お前俺を嵌めたのか!?」
「まあ、半分な。当然だろ?お前は現状部外者で、勝手に入り込んできちゃってることになってるんだからさ。けどまあ、もう半分はお前との約束守るためかな。また会おうって約束したろ?」
「約束守ったらハイさよならって薄情過ぎませんか!?ここまできたら、もうちょっと付き合ってくれませんかねー!?というか助けてください、お願いします!」
「人聞き悪いこと言うんじゃねぇよ。それにいやだよ、柊先生頭に血が上っちゃってるし、当人たちの問題に俺まで関わっちゃったら俺までこの学校から追い出されちゃうじゃん」
「そこをなんとか!?」
「お・こ・と・わ・り・だ」
ガタンッ!
九澄は必死に八代にそう言って八代は教室から出ていった。
「・・・・・・・・」
「別れは済んだか?」
「ヒィーーー!!HELP!!HELPーー!!」
直後、九澄の悲鳴と家庭科室からバコンッバコンッ!となにかが破壊される音が聞こえてきた。
(あーあー、ああなったら多分家庭科室今日使えないだろうな・・・。しかたねぇ、教室戻るか)
八代はため息をつきながらそそくさと別校舎を出る。
「あ、冬木くん。やっぱり早いね、もう事前準備に来てたんだ。職員室に鍵取りに行こうとしたらもうなかったから先に行ってることはわかってたけど、もう準備終わっちゃったかな?」
「ん?ああ、柊さんか。教室の鍵はここにあるし、準備もまだ終わってないけど、今は家庭科室に近づかないことをお勧めするよ」
外に出ると本日同じ日直である柊 愛花に遭遇し、八代は苦笑しながら伝える。
「なんで?なにかあったの?」
「放送で聞いたろ、例の侵入者のこと。その侵入者と柊先生がバトってたんだよ。で、面倒くさいことになりそうだったから引き返してきたところ」
「え、お父さんとあの人が戦ってるの!?」
(あの人?柊さんも大賀とどこであったことあるのか?)
八代が事情を話すと、柊は驚いたように声を上げる。
「私、ちょっとみてく・・・」
----キュドォオンッ!!
「「っ!?」」
柊と話していると、なにかが爆発したような物凄い音が鳴った
「あんのバカども!!」
「ちょ、冬木くん!」
八代は外回りで家庭科室のほうへ向かい、柊もそれに続く。
現場に辿り着くと、爆発が起こったように変わり果てた家庭科室と、その家庭科室の前で柊先生がピクピクと痙攣しながら横たわっており、その数メートル先で九澄の手にゴールドプレートが落ちてきたところだった。
(はぁ・・・、ほんと何してんのあんたら・・・)
辿り着いた先で見た光景に八代は頭を抱えていた。
そして、もういっそ他人のふりをしようと思ったくらい盛大な溜息をついた。
無論、八代は九澄が魔法を使えないこともゴールドプレートでもないことを知っているため、この光景を見ても何かしらの偶然で起こった事故であることはわかっていた。
ただ、それは八代であればというだけであり、傍から見ればこの切り取られた光景は、誰がどう見ても、あたかも九澄がゴールドプレートの力を使って柊先生を倒した光景であった。
「うそぉ・・・柊先生が・・・」
「うわーー!!」
「キャー!!怖ーい!!」
(大賀、柊先生、やり過ぎですよ・・・。ここまで大きな騒ぎになってしまうと俺もフォローしきれませんよ・・・)
その光景を目の当たりにした生徒たちが一斉にその場から逃げていった。
「きゃあ!!大丈夫、お父さん!?」
「え!?お、お父さん!?」
そんな中、柊が実の父親である柊先生のもとへ駆け寄る。
その光景に信じられないものでも見るように九澄が動揺する。
「ひどい・・・どうしてこんな事!!」
そういって柊は自分のプレートを取り出し息を吸いながら首にプレートを挿入する。
「『許せない!!!』」
----ボゥン!!
「のぉああああああーーー!!」
柊が怒鳴ると、その声が砲撃となり、九澄をさらに数メートル先まで吹っ飛ばしていた。
(『声震砲(ボイスワープ)』か・・・。MP消費量はRIだとかなり大きいけど、かなり恐ろしいものを覚えているな・・・)
「はぁ、はぁ、はぁ!!」
「ひとまず落ち着け」
----ゴンッ!
「きゃう!?な、何するの冬木くん!」
今もなお戦闘態勢を維持している柊に対し、八代は後ろからチョップを食らわして正気に戻す。
「まず第一に、校内で勝手に魔法を使用するのは厳禁だ。減点くらうぞ」
「そ、そうだけど、ここ外だから大丈夫だよ、多分!!」
「自信満々に言ってる割には途方もない屁理屈だなおい・・・。それにもう柊さんの攻撃であいつ伸びてるから大丈夫だぞ。それより先生起こすから手伝ってくれるか」
「う、うん。わかったよ。けどどうやって起こすの?見た感じお父さんも気絶しちゃってるよ?」
八代は辺りを見渡しながら先生のもとへ行き、落ち着いた柊が八代に聞く。
「幸いここにいるのは俺と柊さんだけみたいだし、使用してもいいよな。柊さん、キミが魔法使ったこと内緒にしとくから、キミもこれから見た光景は内緒にしてくれよ?」
「え?う、うん。わかった」
「よし、それじゃあやるか。『状態調整(コンディションコントロール)』」
八代がそういうと、プレートを取り出しながら自分の手に挟んで魔法を唱えると、八代の手が光り、その手を柊先生のおでこへと持っていく。
状態調整・・・。
その名の通り、触れた相手の状態を調整する魔法である。
この魔法によって、八代は気絶している状態を正常になるよう整えていく。
「さてと、柊先生起きてください。こんなとことで寝てると風邪ひきますよ」
「んん・・・。ここは・・・」
八代の呼びかけとともに、柊先生が目を覚ます。
「お父さん!よかった!」
「ああ、愛花か。・・・はっ!?あのくそガ・・・侵入者はどこだ!?」
「柊さんの『声震砲』で吹っ飛んであそこで伸びてますよ。ここまで騒ぎ大きくしたんですから、ちゃんと校長室までつれてってください」
柊先生が気づいた途端、辺りを見渡すので八代は九澄が吹っ飛んだ先を指さしてそう言う。
「あ、ああ。八代、悪いがあいつを連れて行くのを手伝ってくれないか。状況を説明できるものも必要なのでな」
「・・・はぁ。まあ、ここまで大騒ぎになったんですから、そうなるだろうなって思ってましたけどね。わかりました、大賀は俺が連れて行きますんで、先生はこの場の収拾をお願いします」
「すまないな、頼む」
「いえいえ、先生の最後のお願いですし、ちゃんと連れて行きますよ」
「・・・ん??まあ、宜しく頼むぞ。愛花、お前も教室に戻っていなさい」
「え?う、うん。わかった」
八代の発言に首を傾げながら柊先生は辺りにいる生徒の混乱を収めるため、その場を後にする。
(校則『本校に関わりのない者に魔法の存在が知れてしまった場合、原因となった者は本校に関わる一切の記憶と籍を失うものとする』。やっちゃったものはしょうがないし、校長先生次第だと思うけど、ここまで大きな騒動になっちゃったから難しいだろうからな。本人気づいてなかったみたいだけど・・・)
八代はそんなことを考えながら、気絶している九澄を背負い、校長室に向かうのであった。
状態調整(コンディションコントロール)
オリジナル魔法です。今回のようなオリジナル魔法は今後も展開します。(オリジナルキャラ紹介と同様に後ほど上げようかと)
また、原作の「エム×ゼロ」だと魔法名があるものとないものがあり、基本的に原作の魔法はそのままにしますが、魔法名がない魔法はこっちで勝手に名前つけたり内容変更しようかと思ってます。
なお、名字や名前しかないキャラもいるので、そちらもそのようにすると思いますのでご認識ください~。