久美子たち1年生時空、梓と芹那が和解する前に緑と芹那が買い出しに行く話、そこで立華の話題が出てて…

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響けユーフォニアム!立華高校の話

 

 

北宇治高校は文化祭前とあってか非常に活気に溢れていた。文化祭の準備を手伝わずに帰ろうとして課題を教室に忘れたことに気がついたので、渋々階段を上がる。生憎と私のクラスの人間はそれぞれ部活の出し物か何かに夢中らしい。教室に戻るとそこには小柄な川島さんが座り込んでなにやら看板のようなものを作っているようだった。窓から入る風が彼女の猫っ毛を優しく揺らす。目はあってないとはいえ挨拶をしないのは失礼だろう。何よりあの女ならそう言うはずだ。こちらが話しかけようかどうか迷っていると結局向こうから喋りかけられた。「芹那ちゃん?皆と一緒やないの?」私は億劫そうに目を細めて首を振る。「部活の出し物の練習が忙しいみたいで、ほら、私以外軽音やから。」答えるや否や彼女はこちらに近づいてきて今って暇?と聞いてきた。こちらに向けられる瞳には一切の邪気がなく、甘い声はあの女をどことなく思い出させるような不思議な魅力があった。まるでショーウインドウの中に飾られる甘いお菓子のように、口にすることはできないが見てるぶんには綺麗で良い。そうやけど、っと口ごもるように彼女に答える。このままでは何か面倒ごとに巻き込まれてしまう。どう断ろうかと考えていると「せやったら、少し買い出しに付き合ってくれへん?ちょっと装飾のために使うものが足りないらしくて、緑一人だと持ちきれないかもなの!」言い訳が思いつかなかったので私は二つ返事で了承した。幸い川島さんの告げた場所は私の家の近くだったからだ。課題を鞄に入れてふと彼女の方を見る。彼女の私物には色々なキーホルダーなどがつけられている。思い出の証、確かあの女はそんなことを言っていた気がする。もう、一生あいつとは仲直りはできないのだろうか。心に湧いた疑問を作り笑顔でごまかして、「川島さん、行こう」と声をかける。彼女はこちらに大きく頷いた。「何で手に包帯巻いてるん?」駅まで歩く道すがら彼女にずっと気になっていた疑問をぶつける。「これはねー緑の勲章なの!コンバスが好きやから!」屈託無くはにかむその笑い顔は今の私には少し眩しすぎた。「芹那ちゃんは何か好きなものないの?」かけられた言葉に少し戸惑いながら出た言葉は意外なものだった。「あ、あず……きクリームかな?あとお芋とかかな、最近甘いものにハマってて」苦笑いをしながら何とか答える。危ないところだった…。あの女の名前を無意識とはいえ口走るとは。幸運なことに川島さんは気にせず会話を続けてくれ結局家の近くのホームセンターまで無事に着くことができた。彼女に自転車を貸して領収書も受け取った。やる事はもうない。なんたなく川島さんには特別な雰囲気があった。あの女とはまた違う独特の甘さのようなものが。帰る途中に彼女がこちらに向けて放った言葉が私の心を揺らす。「聖女中出身の友達から聞いたんやけど、今立華のトロンボーン大変らしいでなんかソロが骨折したとか?」「しかもそれ三年でめっちゃ上手い人らしいねん!今年は立華全国金無いかもなー」

芹那ちゃんの友達やない?その子?元気付けに行ったら良いんとちゃう?

私は大きくため息をつき私服に着替え始めた。あいつのところに行こう。手土産は芋で充分だろう、初心者のあみかちゃんでは荷が重すぎるだろうから。


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