東国戦遊志~紅~(東国幻想郷シリーズ) 作:JAFW500/ma183(関ケ原雅之)
この作品は2次創作です。
このシリーズでも、本編同様に「オリジナルキャラクター」・「大幅のオリジナル設定」が出ます。
今回は、一番最初になるため9割5分ラディッツの昔話になります。
また、ドラゴンボールZ本編のラディッツとは「別の道」を歩んだ「このラディッツ」の過去となりますので、新鮮な気持ちで見てもらえると嬉しいです。
今回の舞台は、悟空達のいる地球。
不良品栽培マンの自爆を受け、記憶喪失となってしまったラディッツの過去を、1話でざっくり振り返ります。
それでは始めましょう。
惑星ベジータの爆発によりサイヤ人はほぼ全滅した。ラディッツは、数少ないサイヤ人の生き残りだった。フリーザのお気に入りだったベジータと共に行動していたので生き残っていたのだ。
彼は、ベジータたちとチームを組みいろんな星を征圧しに向かった。もちろんそのほとんどはその星の住民との殺し合いだった。そして、20数年後ある「使命」を負って地球に向かった。弟の孫悟空を自分のチームの仲間にするという使命を背負って。
「やはり、この星の奴らは生きていたか…。カカロットの奴め…。」
うんざりしながらも辺りを見回すラディッツ。
ふと、一台の軽トラックが近づき止まると、中から人が出てきた。
「な、なにもんだおめえ!!!」
銃を向け、大声で騒いでいるようだった。
「ほう…、どれほど強いか少し測ってやる…。」
ラディッツはスカウターをはめると早速スイッチを押した。
ピピッ!!
「戦闘力たったの5か…、ゴミめ…。」
驚くほど低かった。まあ、こんな辺境の星ではこんなものかと思っていた。
「ウォーミングアップだ…。痛くないよう一気に葬ってやるぜ!!!」
ラディッツは男にめがけて手を振り上げた。
ピ――――っ!!
「!!」
急にスカウターに反応が現れた。
「大きなパワーを持った奴がいる…。距離4880…。カカロットか!!」
ラディッツは気分がよかった。もう少し時間がかかると思っていたが、すぐに見つかったからだ。
「はっ!!!!」
ラディッツは勢いよく地面をけり、反応のする方へ向かった。
あのおっさんは運良く助かったのだ。
「く…、くそお…。」
「ふん、こんなんじゃあオレの相手にはなれんな。」
意外な結末になった。
自分の力を過信していたラディッツ。しかし、思った以上に相手は強かった。戦闘力1450。ほぼ自分と互角だったのだ。
「ちいっ、戦闘民族であるこのオレが…。」
肩をおさえるラディッツ。肩が赤く染まっていた。ピッコロに追撃を仕掛けようとした瞬間。彼の魔貫光殺法が肩を貫いたのだ。完全に油断していたそんな中での大きい一撃のカウンターだった。
「だが、なかなかやるな。せっかく孫の野郎をぶっ殺すためのとっておきだったんだが…。まあいい。貴様のような野郎相手にも十分効くことが分かったからな。さて、どうする!このまま逃げるか…。もっとも、深手を負った今の貴様を逃がすほどオレはお人好しじゃあないがな…。」
「ふん…。貴様相手に簡単にくたばるほどオレは甘くはない。」
そう、言い切るとラディッツは戦闘服から小さな玉の入った瓶を取り出した。そして、中に残っていた数粒を取り出し地面に植えたのだ。
「ぎえゃ――――っ!!」
「ぬうお!何だこいつら!?」
「サイバイマンさ。」
「さ、サイバイマンだと…。」
栽培マン。土に種を埋めて液体をかけると土から出てくる緑色の生物で、小柄だがそこそこの戦闘力を持つ生物兵器で、その強さは土によって左右される。今、ラディッツが放ったサイバイマンは3体。戦闘力は1000とラディッツに比べればまだまだ劣るが、それでもピッコロを苦しめるには十分なほどみたいだ。
「へっへ…。気を付けろよ、こいつらは見た目以上に凶悪だぜ!!」
「ギギイ――――っ!!」
3体のサイバイマンがピッコロに襲い掛かった。
「うあっ…。くそっ…。やりやがるぜ…。」
ラディッツが差し向けたサイバイマン達は驚異的な戦闘能力を発揮し、ピッコロと互角近くの戦いを繰り広げた。一帯は倒されてしまったが、十分な活躍ぶりだった。
「ふははは…。どうだ、見たかこいつらの驚異的なパワーを。」
「ちっ…。うんっ!?」
ピッコロが何かに気づいたらしい。
「貴様のような奴がサイヤ人であるこのオレに敵うわけないのだ――――っ!!」
「ギイヤ――――っ!!」
「な、なにぃ!?」
突如、二体のサイバイマンがラディッツに襲い掴み掛かった。
「ギッ、ギィィィ…。ギギィっ!!!」
「ま、待てえ!!!!」
ラディッツの体がまぶしい光に包まれる。
自爆したのだ。
「ク…。クソォ…、不良品なんか掴ませやがって…。」
幸運なことに、サイバイマンの自爆によってラディッツは倒れ気を失うだけで済んだ。
だが、ラディッツの意識は朦朧とし始め、そのまま深い底に沈んでいった。
【遠き思い出】
「おい、ラディッツ!!いつまで寝てやがる!!」
ガツン!!
「痛った~~~!!」
懐かしい日々が蘇った。惑星ベジータがまだあったころラディッツは父バーダックと母ギネの二人に育てられていた。
「おい、バーダック。やりすぎだって!」
「ふん。」
父親は、下級戦士でありながら10000近くの戦闘力を持つ名の知れた戦士だった。だが、
「こんなだらしねえ戦士で、この先、生きていけるかよ。」
鬼のように厳しかった。特に、自分が格下相手に負けたときは一層厳しく、12時間近く特訓に連れていかれたことだってあった。
「うっ…。くっ…。」
いろんな感情がラディッツを包み込んだ。怒りのような、悲しみのような言葉で表せないものだった。
「ふん!」
父はラディッツに背を向けるとどこかへ行ってしまった。
そして、ラディッツの抑え込んだ感情が爆発した。
「くっそお!!!!」
ラディッツは思いっきりやかをたたいた。叩いた彼の手から血がにじんできた。
「オレは弱虫なんかじゃないんだ!!オレは、泣いてなんかいねえんだ!!」
ラディッツの嘆きが辺りに響く。
ふと、彼の肩に手が置かれた。
「…?」
「ラディッツ。」
振り返るラディッツ。
「そんなに落ち込むなって。」
彼の母ギネだった。
「オレは、このまま弱虫のままなのかよ…。」
夕日を背にうなだれるラディッツ。彼は自信を無くしていた。自分は、エリートであるベジータやナッパと組まされているのに相変わらず弱虫のままでいるのか。そんなことを考えていた。
「!?」
ふと、頭に温かい手が置かれた。
「ラディッツ、たしかにまだまだあんたは弱いさ。でも、
急がなくてもいいからゆっくり大きくなりなさい。」
ラディッツの目には涙があふれていた。でも、さっきまでの者とは違った。温かく、そしてやさしい。そんな涙だった。
「ぬう…。どこだ…、ここは一体…。」
深い闇の中を漂っていたラディッツ。何か光のようなものに導かれ目を覚ましたのだ。
「…。」
辺りを見渡す。しかし、どこなのか思い出せなかった。
「お、オレは何を…。」
さっきの自爆に巻き込まれたためか、ラディッツは名前以外の記憶を忘れてしまったのだ。
「く、クソッ!!」
地面を蹴り空へと飛び上がる。
彼は、何かを思い出そうと地球を巡ることにしたのだ。
「!!この大きな感じは!!」
ラディッツは気配のする方へ向かった。
「おおっ!お、親父…!!」
「え!?」
「お、おやじ…?ご、悟空が!?」
ピッコロ戦以来、久しぶりに仲間との再会を楽しむ悟空達の前に現れたラディッツ。彼は、悟空の顔に父バーダックの面影を見たのだ。
「貴様、まだ生きてやがったか。」
気配を追いかけて来たピッコロまでこっちに来た。
「ぴ、ピッコロ!?」
さっきの戦闘でラディッツの死を確認し忘れていたピッコロは、とどめを刺すため戻ってきたのだ。
「ひいっ!!た、助けてくれ~~~!!!」
叫ぶラディッツ。さっきまでの記憶は残ってないのだが、彼の何かしらの恐怖が出てきているらしい。
「弱いものイジメはやめろピッコロ!!こいつ、怯えてんじゃねえか!!」
「ふん愚か者め、いいだろう。貴様らまとめてこの場で始末してやる!!」
「くっ…。さっきの傷が…。」
深手を負っていたピッコロに、悟空とラディッツ相手では分が悪かった。
「ピッコロ、またいつでも相手をしてやる。」
「覚えておけよ孫悟空…。いつか必ず、貴様をぶっ殺してやる!!」
そう言い捨てると、ピッコロは空の彼方へと消えていった。
「おい、大丈夫か…?悪い奴はオラが追っ払ってやったぞ!」
「ば、バーダック…。」
「お、おい悟空…。こいつ、記憶がないんじゃないか?」
「お、オレは…。」
「まあ、いいさ。ここでゆっくり休ましてもらって思い出せばいいじゃねえか。」
こうして、ラディッツはカメハウスでしばらく静養を取ることになった。亀仙人のじっちゃんこと武天老師様も快く引き受けてくれたらしい。
「し、信じられない…。オレにこんな力が…。」
ラディッツは悟空とその息子孫悟飯と一緒に修行をしていた。あれから数か月。ラディッツは、戦闘力のコントロールやより精度の高い技など大きく成長していたのだ。
「へへっ…。これでどんなに強い相手が来てもおめえのパワーでぶっ飛ばしてやれっぞ!」
「は…はは…、そ、そうかな…!」
ラディッツは、ちょっとうれしかった。弱虫として生きてきた自分が成長できたことがうれしかったのだ。
「貴様ら!」
「「「!?」」」
そこに、ピッコロが現れた。リベンジをしに来たようだった。
「今度こそぶっ殺してやる!!」
「うっ…。」
「ビビることはねえ!今のおめえならできる!もう弱虫なんかじゃねえんだぞ!!」
悟空の喝が入った。
「そうだ…。オレは、弱虫ラディッツじゃねえ!!」
ピッコロとの一騎打ちが始まった。
「はあっ、はあっ…。やったぞ…、やったぞカカロット!!オレはついにこいつに勝ったんだ――――っ!!」
「だからよぉ、孫悟空だって…。」
ついに、ピッコロを倒したラディッツ。彼はやっと自分の壁を乗り越えたのだ。
「そ、そうだ…。こいつにとどめを…。」
「待て、ラディッツ!!」
「!?」
とどめを刺そうとしたラディッツを悟空が制した。
「無駄に命を奪うことはねえ。」
「なぜだ、このままやらねばやられてしまうんだぞ!!」
「バカ野郎!そんなんじゃあ、おめえもその辺の悪い奴と変わらねえじゃねえか!!」
ラディッツは、しばらく無言のままだった。そして、
「そうだな、ソンゴクウの言うとおりだ…。オレは、あいつらとは違う…。」
「それで、いいんだラディッツ…。」
こうして、ラディッツは気高い戦士としての心構えを一つ習得したのだった。
あれから数週間後のある日、孫悟空の息子の孫悟飯と共に修行をしていた。
「ようし、悟飯。今日もしっかりやっていくぞ。」
「ようし!ところで、おじさん。」
「うん?どうした?」
「ラディッツのおじさんにも尻尾があるんだね…。僕とおんなじだ!」
「そ、そうだな…。」
「あのね、おとうさんにも昔はあったんだって。なんか、僕たち似てるね…。ふふふ…。」
「ほう、あのカカロットが…。!!なんだ…。なにか『思い出せ』そうなんだが…。」
「お、おじさん。大丈夫…?」
「あ、あぁ…、大丈夫だ。続きを始めるぞ悟飯…。」
ラディッツは、軽くめまいのする中悟飯と修行を始めた。しかし、
「うあっ!!」
記憶の断片がラディッツの頭をよぎり、ついきつい一撃を悟飯に入れてしまったのだ。
「はあっ!し、しまった…。」
悟飯のもとに駆け寄った。
「だ、大丈夫か悟飯…。」
「うっ…。ぐっ…。」
「すまない、つい力が…。」
「だ、大丈夫…。ちゃんとおとうさんとおじさんに鍛えられているから…。」
「そ、そうだな…。おれもカカロットもゴハンも…。」
「おじさん…?」
ラディッツの口が止まった。彼はすべて思い出した、なぜこの地球にいるのか、どんな使命を背負ってここに来たのか、そして自分が何者であったのか…。
「そうか…、おれは…。
『サイヤ人、ラディッツ』…。」
その後、ラディッツは悟空にすべてを打ち明けた。自分の「使命」を…。
「オラとおめえが兄弟で…。サイヤ人だっちゅうことは分かった。でもよお、
罪もない人を殺して地球人を支配しようってまね、オラ、死んでもヤダっ!!!」
「そうか、ならば仕方がない…。力づくでも従ってもらうしかないなっ!!!」
ラディッツは、サイヤ人として生きることを心に誓っていた。力こそがすべて、支配する側とされる側のどっちかしかない。それが、彼が心に持ったサイヤ人としての生きかたなのだ。
「うっ…。く、くそお…。」
ラディッツは強かった。スピードの強弱、流れるような連続のパンチのコンボ、相手の攻撃を紙一重でかわす鮮やかな身のこなし、彼は悟空を完全に圧倒した。あとは、とどめを刺すだけになった。
「カカロット…。」
ラディッツは、倒れ伏す悟空に向かって右手を構えた。
「(もうだめか…。)」
「とどめだ――――っ、うっ!!」
ふとラディッツの頭に記憶が蘇った。これまで悟空達と修行してきた楽しい日々が駆け巡ったのだ。
「ぐう…、なぜだ…。宇宙一の強戦士族のサイヤ人であるこのオレが…。」
「はあっ、はあ…。おめえはもう悪人じゃねえ…。オラと悟飯には…よくわかる…。」
「だ、黙れ!!」
「ひ、人殺しの戦いに意味なんかねえ!いまのおめえには分かるはずだ!!」
「え~いっ、黙れぇ!このオレは『サイヤ人』だ、安っぽい情に流されたりはしないのだ!!」
ラディッツは構えていた右手を下ろした。
そして、
「くそっ!!」
そう、吐き捨てるとどこかへ行ってしまった。
彼は、悟空たちと過ごすうちに深まった感情に阻まれたのだ。かつての彼には眠ったままであった優しい心、それが悟空達と過ごすうちに芽生えてしまったのだ。ラディッツは、返す言葉が見つからず立ち去ったのだ。
月の光が荒野を照らす。辺り一面には強い風が吹き誰の声も届かないほどだった。
「…バーダックよぉ、ギネよぉ…。オレは、どこに向かっていけばいいんだ…。」
十六夜の月に向かって、想いを綴った。しかし、何も帰っては来ず、かげりのない月の光がラディッツを照らしているだけだった。
ザザッ!!
ふと、ラディッツのスカウターに通信が入る。
「こ、この声は…。ベジータか…。」
ベジータとナッパの通信だった。
ラディッツは耳を澄ませ通信を聞き取った。
「し、しまった…。」
ラディッツは焦った。これまでの数か月間の会話が筒抜けだったのだ。
そして、彼らの目的、それは。ドラゴンボールだった。
「あの二人が、地球へやってくるのか…。」
ラディッツには、戻るべき道も既になかった。彼らとまた会ったとしても、おそらく殺されるだろう。あれから数か月とはいえナッパは超えたであろうが、ベジータにはとても勝てる見込みがない。
「見つけたぞ!!」
後ろから声が聞こえた。
「て、てめえは…。」
白いマントに、白いターバン。ピッコロだ。
「今度こそ貴様を倒し、孫悟空も殺してやる。」
「執念深い奴め…。」
「ほう、記憶が戻ったらしいな。」
気持ちの整理が整わない中ピッコロと戦うことになった。
一方的だった。たとえ、気持ちが整わないとはいえそれでもラディッツは十分強かったのだ。
「き、貴様。手を抜いてやがるな…。」
ピッコロも気づいていたらしい。
「ケッ、貴様のようなゴミのような命など奪う価値もない…。ただそれだけだ…。」
「貴様も孫悟空におかしくされたか…。」
しばらくの沈黙。そして、ラディッツが口を開いた。
「この程度の強さでは奴らには勝てんぞ…。」
「奴らだと…。」
それから、ラディッツは残りの二人のサイヤ人がこの星の侵略のためここに向かっていることを伝えた。そして、彼らがドラゴンボールを狙っていることも…。ラディッツの腹は決まったらしい。
「カカロットにも伝えておけ…。この地球を侵略するとな…。」
そう言い残すとラディッツは夜明けの方に向かっていった。
その後、地球侵略のため何度も破壊活動を繰り返すラディッツ。だが、悟空たちはあきらめない。今度は当時敵対していたピッコロと手を組みまた上がったのだ。
「ふん、また懲りずに来たか…。」
「ラディッツ、オラたちは負けねえ。何度でもおめえと戦ってやる!!」
「気に食わん奴だが…。貴様に勝つにはこいつらと組むしかなさそうだ…。」
「い、いくら悟空の兄貴でも。地球侵略は許さないぞっ!!」
3対1。いくらラディッツでも3人相手には無理がありそうだが、
「それでいい…。何度でも返り討ちにしてやる――――っ!!」
互いにそれぞれのプライドをかけ、白昼の中戦いが始まった。
度重なる戦闘を繰り広げた、そしてついに悟空たちの結束力がラディッツを追い詰めた。
「ぐ…う…。」
度重なる技を受け、ラディッツの体はボロボロになった。
「はあっ、はぁ…。観念しろラディッツ!!」
悟空の鋭い声が貫く。
「ま…、まだだ…。この程度でベジータたちに勝てると思うなっ!!!」
危うくなったラディッツは、今度は悟飯を人質に取り逃走した。
そして、深手を負いつつも何とかある島に身を潜めた。
「ぬ…、ふっふっふ…。よくぞここまで成長したもんだ…。あいつめ…。」
傷口を抑えながらラディッツは座り込んだ。すでに、夕日が差し込む時間になっていた。
「おじさん…。」
ふと、人質にしていた悟飯が呼び掛けてきた。
「どうしてこんなことするの?おじさんは、悪い人じゃないよ。僕にはわかるよ…。」
まだ何も知らないような純粋な問いかけだった。
ラディッツは答えた。
「はっはっは…。『サイヤ人』だからさ…。今更、過去の罪は償いきれんよ…。」
半分自分への皮肉の混じったような声だった。
「ラディッツ!!」
そこへ、彼の気を探り当てた悟空が追いついた。
「この野郎…。もう逃がさねえぞ!!」
互いに体力は限界だった。次の一戦で勝負は決まる。
「こい…、カカロットよ!」
「フッ…フッ…フフ…。よくやった…。カカロット…。」
決着はついた。
悟空の怒りの一撃がラディッツの試練の一撃を破ったのだ。
「ラディッツ…。」
「力こそ…。全て…。オレはそう思って生きてきた。だが…、それだけでは、真の強者とは呼べん…。弱きもの、愛するもの、守りたいもの…。そのために戦う…。それが大切なもう一つのこと…。そうだろう…、カカロット…。」
「おめえ、まさか…。」
悟空もやっとラディッツのこれまでの行動を理解できた。
「カカロット。奴らは強い…。そして、その背後に潜む強大な悪魔も…。オレの故郷惑星ベジータも、サイヤ人も、オレとお前の父バーダックも母ギネも既に滅ぼされてしまった…。カカロットよ、オレたちサイヤ人を超えろ…。そして…。サイヤ人の誇りを守ってくれ…。後は頼んだぞ…。」
「ら、ラディッツ!!」
そう言い残すと、ラディッツはその場を立ち去り、遠隔操作で宇宙ポッドで地球を脱出した。
そして、迫りくるベジータたちの宇宙船と接触した後、眩い閃光と共に宇宙の彼方に消えた…。
最期まで果敢に立ち向かった彼の姿は、弟、悟空(カカロット)に対して兄としてできる最後の愛情だったのかもしれない。
まぶしい閃光に包まれる中、ラディッツは在りし日の家族の日々と悟空達との楽しい日々を思い返していた。
「親父よ…、おふくろよ…。オレは、サイヤ人として失格だな…。また奴らに下級戦士だの弱虫ラディッツだのバカにされちまったぜ…。」
「バカ野郎!おめえ、それでも俺のガキか!!!」
ふと目を開きなおすとそこには亡き父バーダックと母ギネの姿があった。
「ああ…。バーダック、ギネ…。懐かしいな…。」
「おい、ギネ。」
「分かったよ。」
母ギネが二人の間に立ち、開始の合図をするみたいだ。
「準備はいい…?それじゃ、始め!!」
「冥土の土産に一戦相手をしてやる!ラディッツ、かかってこい!!」
悪魔のように見えた父の顔があたたかかった。
それがラディッツが最期に見た温かい夢だった。
「う…ん…。」
ラディッツは意識を取り戻した。
「ここは…。」
辺りを見回すが一面の霧で何も見えない。
だが、水の香りがしていた。
「こっちか…?」
まだ頭がボーっとする中歩き始めた。
しばらく進むと花畑が見えた、今までに見たことのないような美しくかわいらしい花々が一面に広がっている。
「そうか…、オレは死んだのか…。」
ラディッツは、思い出した。
あれから、ベジータたちと衝突し戦闘になった。ナッパの方はなんとかできたが、やはりベジータは強く、ギャリック砲を受け宇宙の塵になったのだ。
これから先、どうするべきか何も見つからないまま道なりに進む。辺りを見回すが人らしき姿は見えなかった。そして、
「ここは…。」
目の前に大きくそびえたつ門があった。大きい文字で「裁判所」と書かれているらしい。
「なんなんだ一体…。うおっ!!」
突然、大きな扉が開き中へと引きずり込まれた。
「くそう…。やっぱり、いい予感はしねえもんか…。」
辺りは一面暗く何も見えない。だが、気配が3つあることだけは分かった。
「だ、誰だ。誰かそこにいるんだろう!!」
ガチャン!!
「うっ!!!」
いきなり、まぶしい光が差し込み辺りを照らす。
カツン、カツン…。
後ろの方から足音が一つ聞こえた。
「あなた…。」
「!!」
「ラディッツさんで間違いないですね。」
ショートヘアーに片側だけ少し長くなっている特徴的な緑色の髪、そして紅白のリボンのついた冠。
「ああ…。一応察しが付くが聞こう、誰なんだお前は…。」
「四季映姫・ヤマザナドゥ。この楽園の『裁判長』です。」
「さいばんちょーって…。」
「わかりやすく言います。『閻魔様』です。」
「な…。」
ラディッツは驚いた。目の前にいる彼女が、閻魔なのだ。
さすがに、『差』というものがあった。しかし、彼女からかすかににじみ出る強烈な威圧感のようなものがあり、気は緩めれなかった。
ラディッツはわれを取り戻し続ける。
「えっと、それで用というのは一体なんでしょうか…。」
気を抜かず敬語口調で話すラディッツ。
「そう畏まらなくても大丈夫です、ただ用というのは、
あなたの過去を裁きに来た
ただそれだけです。」