「お姉ちゃんありがとう」
堀田ちゃんと私は二人きりで食堂にいた
ここは鳴瀬食堂、私が経営する食堂でこの島一番の食堂だ(ここ一軒しか食堂はありません)
「いえいえ私はきっかけを作っただけだよ、堀田ちゃんお母さん良くなるといいね」
「うん、私がんばる、お母さんは本土の病院で入院中だけど、お父さん、おじいちゃんの為にも元気な姿を見せなくちゃ、相談にのってくれてありがとう」
堀田ちゃんは椅子から立ち上がった頭を下げると食堂から出ていった
「しろは?いる?」
すると今度は入れ替わりで蒼と藍が食堂に入ってきた
「さっき堀田ちゃんとすれ違いましたがしろはちゃん何かあったんですか」
「堀田ちゃんにチャーハンを教えていたの」
「!っえ、しろはチャーハンって、教えて良かったの!」
蒼ちゃんがびっくりしている、そう私のチャーハンは思い出のチャーハンだ、昔小さな頃お母さんの描いたレスピを参考に作ったチャーハンである
「いいんですか?しろはちゃん、思い出のチャーハンなんでしよ?」
藍も尽かさず私に質問した
「堀田ちゃんのお母さん、最近体調が悪くて入院中なんだって、それでお父さんが最近元気が無いから、何か元気つけてあげたいって、私がチャーハンの作り方をこの一週間教えていたの」
「なる程凄く、いい子ね、堀田ちゃん、流石にしろはも断れなかったわけだ」
「うん、堀田ちゃんの真剣な表情を見て私も初めてチャーハンを作った時の事を思い出しちゃった」
懐かしい私も最初は苦労した事を思い出していい体験になった
「しろはちゃん、そういえばこの前の肝試しの時に話した狸の話ですけど、あれ評判良かった見たいですよ」
「あれは忘れて」
そうあれは、私は今年の肝試し大会の時だ、私は人を騙す陰湿な狸の話をしたのだ、その結果、子供達はみんな怯えててしまった、怪談話としては大成功だったのだけど、話している途中で私も恐怖にかられてしまい、腰が抜けてしまって、その後私は泣きながら蒼と藍と一緒に私の家へ帰った
「しろは、話てる途中で自分が怖くなるなんて、見てる方は凄くびっくりしたのよ、まぁ3人で家に帰ったとたんおじいさんに問い詰められたのもびっくりしたけど」
「だから忘れってて!!」
恥ずかしい、恥ずかし過ぎる
「おじいさん怖かったですよね、何があったんだ!!としつこく聞いてきて思わず、どすこいと言いたくなりましたよ」
「ごめん」
「いやいや、いい思い出になったわ、子供達も今年の肝試しは怖かったって評判も良かったんだから」
「ちぃーす失礼するぜ」
突然食堂の扉が開くと良一が入ってきた
「何しに来たんです?天善ちゃん?」
「俺は良一だっつうの!!」
「藍いい加減に覚えてくれないか?俺が天善、そいてこいつが良一だ、全然違うだろ」
天善くんも食堂に入ってきた、相変わらず、藍は天善くんと良一の区別がつかないわざとやってるんだろうけど
「ところで二人とも何か重たそうな物を運んでいるけど、なにそれ?」
「卓球だ!!」
どうみても違うでしょブラウン管テレビじゃない
「しろは俺んちのお下がりになるが、いいか?」
「うん、ありがとう良一、前のテレビ調子が悪くなって、映らなくなったから丁度良かったよ」
「じゃあ早速取り替えますか、天善もう少しだぞ」
「ああ、いい特訓になったありがとうしろは、良一」
そういって、良一と天善くんはテレビを取り替えてくれた
「じゃあつけてみるぞ」
良一はリモコンを取ると早速テレビをつける
映し出された光景に見覚えがある、
「昨日、鳥白島にて、例年通り、夏鳥の儀のお祭りが行われました」
「おいおい、まさか祭りの内容が放送されてるぞ」
良一がテンションがあがっている
確かにここのお祭りにはテレビも来ていたような気がする、まさか!!
「中でも、今年の夏鳥の儀の夏鳥役の女性の演舞も非常に好評でした、」
そこには私が衣装を着て演舞を披露しているシーンが映し出されたいた
「っえ!!嘘でしょ!!」
「大丈夫よしろはこの放送は全国放送じゃない、一部の地方だけよ」
私の反応をみて蒼が面白がっている
「そういう問題じゃないよ!!去年なんて放送すらしなかったじゃない」
「それだけ、しろはちゃんの演舞に釘付けになったんですね、素晴らしかったですもんお持ち帰りしたいぐらい」
「だがしろは今回の夏鳥の役を立候補したと聞いたが違うのか?」
天善君がどこから聞き付けた噂を私に話した
「っなんで知ってるの!!」
「そうなのか、しろは俺はてっきりしろはのじーさんの推薦かと思ったんだが」
「そうだよ、私、立候補したの」
私は白状した
「でも、不思議よね、しろは目立つの嫌いじゃないどういう風の吹き回しなの?」
「昔のお母さんのアルバムを見つけたの、そしたらお母さん夏鳥の役の写真が残ってた、それを見て私も役をやってみたくなったの」
「親子二代に渡って役をするなんて凄いですね、これは来年もしろはちゃんで決定ですね」
「いや、蒼やってよ」
「残念でした、私は空門の巫女なので無理なんです」
「だったらのみきなら、いや無理だね」
そもそもあの巫女服私にはぴったりなのだが、のみきだと大きすぎる、
「誰のことが小さいだって?しろは」
噂すればのみきが食堂にやって来た、珍しく大きな段ボールを持っている、のみきはカウンターに段ボールを置いた
「しろはさっき堀田さんのじーさんから食材を分けてもらった是非使ってほしいだそうだ」
中身はピーマン、なす、トマト、きゅうりなど、夏野菜がたっぷり入っていた、どれも新鮮で多分取れ立てのようだ
「ありがとう、でも堀田さんに悪いよ?」
「いいや、孫娘が世話になってるからそのお礼らしいぞ、こういう好意は受け取っておくんだ、それよりしろは水をくれないか、喉がカラカラなんだ」
のみきはぐったりしている、これだけの夏野菜を運んだので凄く疲れているようだ
「はい、のみき」
「ありがとう」
のみきは水を一気に飲み干した
「しかし、夏鳥の役に、肝試し大会、堀田ちゃんに料理を教えたり、食堂を経営したり、しろはは相変わらず行動力は凄いな、どうしてそこまで出来るんだ?」
のみきは私に質問してきた、きっと兼ねてから疑問に思っていたのだろう、
「確かに特に夏休みの予定の立て方は凄いわよね、私達なんてついつい時間をもて余してしまうのに」
蒼も不思議に思っていたようだ
「昔、楽しい夏休みをこれから過ごすのを教えてもらった事があるの」
「なんですそれ?予言というやつですか?確かにしろはちゃんは毎日楽しそうですけど」
予言としては当たってますが、具体性がありませんよね
ドンドン
「すみません今日は開いているみたいだね」
声からして鴎がやってきたようだ
「開いてますよ入ってください」
「しろはちゃん今日は頼んでいたぶつを受取に来たよ」
鴎は手をワシワシしながら入ってきた
「うん、出来てるよ、2日前出来たばかりだけど」
私は厨房の奥に入って旗をとってきた
鴎に以前あった時ひげ猫を旗に書いてくれと頼まれたのだ、この旗は我ながらいい出来だと思う
「はいこれ」
私は鴎に向かって旗を広げた
「凄いしろはちゃん完璧だよ、ありがとう!!」
鴎は嬉しそうに私から旗を受け取った
「しろは?それは何だ」
「海賊船の旗だよ!!これで海賊船完成にまた一歩近づいた」
鴎はここ鳥白島で新しい観光を目指しているらしい、私もそういうことなら、協力したいとお願いしたのだ、無事に鴎も納得が出来る物が出来て良かった
「しろはってすごいわね」
蒼が私を見ながら腕を組んで考えている
「〜あしろは一体何処にそんなひまがあったんだ?見た感じそれを作っている余裕なんてかんじさせなかったぞ」
のみきも関心している、
「時間は作るものだよのみき」
私はドヤ顔をした
「本当だぜ感心して思わず服を脱いじまった」
「それはいつものことだろう」
良一と天善くんも感心しているみたいだ
「そうだみんな今日は鴎がいる事出し歓迎会をしよう!!私鴎をこの島に歓迎したい」
私はつい思いついた事を口走ってしまったが
「そうだな、いいだろう歓迎会開こう」
まずのみきも賛同してくれた
「これは服を着てられないな」
「だからもう脱いでるじゃないか、まぁ俺特訓があるパスしよう」
天善君は椅子から立ち上がり出ていこうとするが
「お邪魔します」
突然食堂のドアが開いたそこには静久さんがやって来たみたいだ
「みっみみ」水織先輩今日はどうしたんですか?」
天善君が明らかにキョドってる見てて面白いけどたまにうっとうしくなるんだよね
「っあ鴎さん見つたわよ」
「静久さん久しぶりです」
静久さんは鴎に服を渡した
「はい、内の学校の制服よ2学期から楽しみね」
「ありがとうございます、静久さんこれで晴れて私も近くの学校に通えるんですね」
「学校の編入試験も夏休み中に済ましてあるから、これで晴れて高校生ね」
「鴎もしかして、うちの学校に来るの?」
蒼が鴎に期待を込めて質問した
「うん、2学期から地元の高校に転入することが決まったんだ」
鴎は嬉しそうに語る、鴎は入院生活が長かったので学校へ行くのは初めてらしい
「すごいじゃない、編入試験大変だったんじゃないの?」
蒼やみんなは鴎が学校に来ることか嬉しそうだ
「これも、しろはちゃんのおかげたよ、ありがとう」
鴎は頭を下げる
「しろはちゃん?またなにかしたんですか?」
藍は私に聞いてきた
「そんな、大したことしてないよ、少し勉強を教えただけ、」
「本当何処にそんな時間があったんですか」
「別にここを少し貸してあげただけだよ」
私も鴎が学校に来ることか本当に嬉しい勉強を教えがいがあった
「それじゃ鴎の編入祝いも兼ねてみんな歓迎会だな」
のみきもお祝いに乗り気になってきた
「私も参加していい?」
シズク先輩も歓迎会に参加したいみたいだ
「是非参加して下さい水織先輩も、もうすでに島の仲間ですよ」
なぜか、天善君が受け答えしていたけど、シズク先輩は確かに島の仲間だ
「しろは準備手伝うわよ!」
「蒼ちゃんが手伝うなら私も手伝わないわけには行かないですね」
「しろは、私はあまり料理は得意では無いが手伝える事があるなら何でも言ってくれ」
「私も手伝う」
みんな私を助けてくれる、本当にありがたい、私はみんなに本当に支えられている
「ヒャホー俺も手伝うぜ」
「いや、良一はいい」
私はきっぱり断った
「なんで!!」
「前回のチャーハンの事忘れたとは言わせないよ良一」
「ひぃ」
良一は青ざめた、確かにあのチャーハンは酷かった、もう本当に絶交レベルだったが、何度も謝ったので、許してあげた、あの日からもう二度と厨房に良一を立たせないと心にきめたのだ
「しろは、野菜の処理は任せて」
「じゃあ私は蒼ちゃんが処理している可愛いところを眺めるのを手伝いましょう」
「水織先輩ここは私が」
「だめよ、天善君、今日は私も料理したいの、それとも天善君は私の手料理食べたくないの?」
「そんな滅相もございません、み、水織先輩の手料理!我が卓球人生に杭は無し」
しかし、天善君は腰砕けになった、これは使い物にならないな
「しろは、魚はどうする?、どれを使う?」
のみきが大型冷蔵庫を前に格闘していた、まるで小学生が初めて料理するところみたいで、微笑ましい
「ちょっと待って」
のみきに呼ばれて私は作業を中断する
私は今日も大慌て、だけどとても充実していた、楽しい、本当に楽しい、毎日がこれぐらい楽しいと、バチが当たりそうだ、でも私は心の奥底に物足りなさを感じていた、誰かが足りない、私の心は少し隙間風が吹いていた
暫くして
散々騒いで楽しい会話をみんなで花を咲かせていた
飲んだり食べたり、良一が脱いだり、みんなで準備した料理を舌鼓したり、凄くたのしい
「そういえば、この夏休み、もう一人来ているらしいなぁ」
良一そう言うと、ジュースを飲んだ状態で語りだした
「何でも加藤の蔵を整理しに、この島にやって来たらしいぞ」
のみきはそう言うと、顔を上に上げ何かを思い出そうとしていた
「確か、高天原、らいりだっけ?」
「鷹原ハイリだよ、のみきちゃん」
鴎はそう言うと、なぜか楽しそうにしていた
「そうだハイリだ、よく知ってるな、鴎」
「ふっふーん伊達にこの島の調査はしてないからね」
鴎は得意気になっている
「どんな人なの?」
私は気になった、
「流石にそこまではわからないかなぁ」
「鷹原ハイリ」
私は名前を呟いた、何処かで聞いた名前だ、でも何処で?、特別懐かしいというわけでもない、私の心に隙間が出来た気がした
「しろは?どうしたの?」
蒼が私の様子をみて変と察しったらしい、心配してるみたいだ
「いや、何でもないよ」
「そういえば、駄菓子屋の前で私達、すれ違ったんじゃない、その鷹原ハイリって奴と」
「つまり、素晴らしい脱ぎっぷりということか?」
「人を変態みたいにいうな」
「服は着てたよ、確かバイクを押しながらだけど」
「それはすごいな本土からバイクでここまで来たのか」
天善君それは不可能だよ
「確か、加藤のばーちゃんがよく乗っていたバイクだったよね」
そうだ、思い出した、きっとあのバイクを見て私は懐かしいと思ったのだろう、、いや違う何かおかしい
「そうですかそれであの日、しろはちゃん変だったのね」
藍はあの日の事を思い出していた
確か、その日は藍と蒼で本土で水着を買う予定をしていたんだっけ、藍は先に本土に用事があったので、私達は少し急ぎ気味で船に乗らないと行けなかったっけ
「そういえば、しろは変だった、かなり派手な水着を選んで着ようとしたり、びっくりしたわよ」
蒼も納得していた
「あれは忘れて」
恥ずかしいやめて
「いや似合ってましたよ、かなり派手で冒険し過ぎて、誰かに見せたいのかと戦慄しましたけど」
「本当にやめて」
「スタイルいいんですから、しろはちゃん自信持った方がいいですよ」
「それでも今思えば恥ずかしい」
私はあの日変だった、でもどうしてだろう、あの男の子のせいかな、そういえば
「チャーハン味付けってどうやってるの」
「しろはどうしたの?」
「そうだよ私にチャーハンの作り方を教えてと聞いてきたんだっけ」
「はい?どういうことなんです?」
「ウ~ン、多分だけど鷹原ハイリって奴は変な奴」
こうして楽しい時間はすぐに過ぎていった、でも私はこの夏休みに足りない物を感じていた
次の日
「行ってきます、お父さん、お母さん」
私は小さな頃撮った家族写真に写るお母さんとお父さんに挨拶をした
私は今日も食堂に向かう、今日はどんな事が起こるんだろう、私は残り少ない夏休みどう過ごそうか考えていた、そういえば近日花火大会がある、その日は屋台を開こうかな、何がいいかな、焼きそばとか?でも競争率は高いし、上手くしないと赤字になってしまう、私は歩きながら空を見上げていたら、何かが目の前を横切った
太陽の光をキラキラと七色の光を反射させて飛んでいる紙飛行機を両手で捕まえた
「とても懐かしい」
思わず声にたしてしまった、この紙飛行機はどこから飛んで来たんだろう、この紙飛行機はどこへ飛んで行くのだろう不意に飛ばしたくなってきた
私は気づくと海岸まで来ていた、ここは心地よい風が吹いているここならよく飛ぶはずだ、もったいないかもしれないけど海に向かってここで飛ばしてしまおう
さっきから海岸が騒がしい、定期船が出港するらしい、わたしは紙飛行機をそっと海に向かって飛ばした
手から離れた時私は紙飛行機に名残り惜しい気持ちになった
けど気持ちよく飛んでいく飛行機を見て私は満足した
私は踵を返して帰ろうとした
何だか船が騒がしい、振替るのも悪いのでそのまま去ってしまうとした、
「しろはー!!!」
不意に誰かが私の名前を呼ばれた気がした、びっくりして振り替えると男の子が定期船から飛び降りていた
「あの」
当然私は困っていた何でこんな事になったんだろう、びっくりしていてそのまま、逃げてしまおうと思ったけど、男の子の嬉しそうな顔を見ていると、そんな気も無くなっていく
「チャーハンうまかった」
「うん、」
「だから、やっぱり作り方教えて」
なんじゃそりゃ?
「へっ」
「ぷっ」
これは断れないかな
「いいよ」
私は蔓延の笑みで彼のお願いを承諾した、なぜか私の方が嬉しくなった