一周した世界線   作:Achoo!

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お久しぶりです。

九校戦に入る前に力尽きかねない...いや、頑張らないと。


制裁(相手は死ぬ予定)

「アーベールー!」

「(´・ω・)ノヒサシブリ!」

 

3人を自宅へ連れてくると、アベルがお出迎えとして門の前まで来ていた。

 

「えっと...初めまして、アベルさん。シガーロス=ステファンドッティルって言います」

「( ´ ▽ ` )ノヨロシクネ」

 

███は出迎えたアベルに飛びつき、アベルは彼女を支えつつ初対面のシガーロスへ挨拶する。

 

「取り敢えず、中に入ろうか」

 

そう言うと4人を引き連れて、家の中へと入っていった。

 

 

—————————

 

 

「で、結局のところ?」

『無頭竜はどうやら大亜連合と繋がっているみたいですね。第一に九校戦への破壊工作はダミーで、入国するメンバー内に大亜連合の工作員を紛れ込ませるためかと思われます』

「...FBIUIUは明確な会議協定違反をやったな」

 

夜11時。

子供2人を寝かしつけて早2時間経った今、NHTICDの中嶋課長から精査した無頭竜とFBIUIUの情報が報告された。

もたらされたのは、FBIUIUの協定違反とFBIUIUとの繋がりを持つ無頭竜の大亜連合との癒着。協定違反も甚だしい。明白な裏切り行為だ。

 

そもそも【世界異常現象安全保障会議】には協定が存在している。

その主な内容は

1,四半期ごとの定例会議の開催

2,所属機関同士の正確な情報共有

3,有事の際の戦力共有

4,離反行為の禁止

5,公への情報公開の禁止

の5つ。

そのため今回の事例は、協定における2並びに4の内容に反するわけだ。

 

『如何されますか?』

「...どうもこうもない。知らなかっただけでは済まない話だからな。臨時会議を開く」

『今からで?』

「当たり前だろう。九校戦は1週間後に迫っている」

『...わかりました』

 

通信が終了しモニターが元の画面へと戻る。

 

「神州」

『連絡ですね?』

「特事課、THI、室戸研、NHTICD、THI、WWS、P部局だ。0時から始めると伝えてくれ」

『了解です』

 

 

————————

 

 

日付が変わると同時にモニターが起動し、7つの通信ウィンドウが開かれる。

7つのウィンドウは今回の臨時会議に参加する組織それぞれに対応しており、そこに映る面々には疲れた表情が見てとれた。特に日本勢には。

 

「さて、いきなりこの様な形で呼び出して済まない。神州から大方の内容は聞いているか?」

『FBIUIUがやらかした、ってのは聞いているわよ』

『その内容はまだ聞いていないがな...』

『ですが我々を呼び出した事は、とんでもない内容の様ですね』

 

神州はそれぞれに内容を伝えていないが、夜中に呼び出した時点でとんでもない要件だという事は理解しているらしい。

 

「その内容だが...」

『私から説明させて頂いてもよろしいでしょうか?』

「...頼むよ、中嶋課長。この事態で一番情報を持っているのはNHTICDだからな」

『ありがとうございます。では説明を...

先日、我々から皆様に送らせて頂いた報告書はご覧になれましたか?』

『ええ...確か中国のマフィアだか何だかが九校戦でギャンブルを仕掛けて、会場に何らかの工作をやってると』

『世も末だのぅ...学生の生業に首を突っ込むとは』

 

中嶋課長の問いに、WWSのタリスカ情報官とP部局のスメルノフ局長が回答を呟く。

 

『正確には香港の国際犯罪シンジケート、《無頭竜》ですが...』

『それで、FBIUIUはそのシンジケートと何の関係が?』

「それぞれのリーダーが旧友なのさ」

『『『『...ハイ?』』』』

「元々無頭竜は、中国方面における魔法の監視団体としてUIUも繋がりがあった」

『そしてリーダーが旧友という事もあり、双方で便宜を図っていたらしいです』

『...つまり中国方面の情報を流して貰う代わりに、軽度の犯罪行為を見逃していたと?』

「そこまではいい。それで連中がヘマをやらかしたとしても、こちらが先に手を動かして繋がりを切れば良いからな」

 

場が静まりかえる。

 

「...だが、今回ばかりはそうもいかない」

『まだ何かあるんですか?』

「その無頭竜が大亜連合と繋がりがある事が、今回のNHTICDの調査でわかった」

『『『『!?』』』』

「事の重大さがわかったか?」

『...ですがそれが今回のと何の関係が?』

『問題は無頭竜が破壊工作の裏側で、大亜連合が無頭竜メンバーに偽装して工作員を送りつけている事です』

『なるほどねぇ...』

『それをUIUは、こちらへ情報共有をしていなかった、か?』

「そういう事だ。いくら向こうから伝達されなかったとしても、普通に情報を集めていれば気づくはずだ。だがUIUの連中はそれを怠った」

『それも、オブジェクト対策の中心が置かれている日本への侵害ならなおさら、か...』

 

柳瀬川部長がそう呟いた。

 

『ともかく、FBIUIUへは制裁措置を取るのか?』

「そのつもりだ。それと大亜連合の工作員も相当数が九校戦を通じて潜り込んでいるから、それへの対抗策も取らなければならないな」

『まったく...あそこは余計な事しかしてくれないですね』

『で、措置の内容はどうします?』

「はっきり言ってしまうと、連中が持ってくる中国方面の情報が信用出来なくなった以上、利用価値はもうないから解体を行おうと思う」

『...それには問題があるかと』

「...言ってみろ」

 

そう提案すると、タリスカ情報官から疑問が呈された。

 

『1つ目、北米における対オブジェクトの活動が我々だけでは困難になるという事』

「予算と人員を送ってやれば解決か?」

『...極論ですがそれで大丈夫です。2つ目、UIUが国家機関である事。下手すれば、政府がもう一度UIUを作り直す可能性があります』

「あくまで我々の目的は今のUIUを消去する事だ。別段その後にUSNAが新生UIUを作ろうが、我々に関われなくすれば良い。元々は連中、オブジェクトなんて知らない無能の集まりだったからな」

『...3つ目、UIUの消滅からスターズが何らかの情報を掴みかねない事』

「UIUをまるっと消滅させた上で情報を残さない様にする。何ならセキュリティ破りの機動部隊(【Κ-10】【Μ-4】)を使って、証拠隠滅させよう」

『...わかりました』

 

示された3つの質問にそう答える。幾分か過激と思えるが、これくらいが丁度良いと思う。

 

「さて、問題はUIUと無頭竜をどう潰すかなんだが...」

『無頭竜が大亜連合と繋がっている以上、無頭竜が消えると大亜連合に気づかれると思いますが...』

「この時期に工作員を入れてくるなら、連中の目的は1週間後の九校戦、もしくは9月の横浜で行われる論文コンペだろう。別段気づかれても問題ない」

『実際に無頭竜が九校戦にけしかけた場合に動く、でいいのでは?』

『そうだな...どちらにせよ大亜連合の工作員は炙り出さなきゃならんだろうよ』

 

...情報対策なら機動部隊にも専門部隊が3つあるし、使うのもアリだな。

 

「無頭竜とUIUそれぞれの情報抜きに【Κ-10(スカイネット)】と【Μ-4(デバッカー)】を使うか。手っ取り早いし、スターズ対策にもなる」

『襲撃する順番は?』

「無頭竜が先だな...そうしたらUIUがウチに突っ込んで来るだろうから、そこに機動部隊を叩きこめばいい」

『移動手段はどうする?』

「朱か自分が【改変】で直接送りつけてやる。そうすれば楽だ」

『かなりシンプルだな...』

『ですが分かり易く、作戦立案も楽なので良いでしょうね』

「んじゃ、後の1週間で作戦を詰めよう」

 

そうして夜は更けて行く...




次から九校戦に入る予定。

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