転生したら『やぶれたせかい』の主だった件   作:名無しの転生者

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リブ生地っていいよね!!!!!!

君も好き?私は大好きさ!!!!!




すまない、遅くなりました。

GW中に投稿するはずが色々と忙しくおざなりになってしまってました。

今後もこんなことが多々あるとは思いますが大目に見てくれると幸いです。

適宜微妙な表現・部分は改稿していきます。


※ジバコイル擬人化投票はこの投稿から三日後に締め切りますのでご注意ください。






あくむのしょうじょ ①

 タカタカタカ、と軽快な靴音が辺りに響く。

 

 道行く人々がそこへ顔を向ければ黄金色の髪の少女が懸命に、されど嬉しそうに走っている。

 

 腰にまで達するその髪は彼女の動きに合わせて千差万別の表情をのぞかせた。陽の光が照り付け、あたかも金の波浪のように見えたことだろう。

 

 

 そんな人の目を引く彼女の行先はとある(いおり)だ。

 街外れ、という程離れてもいないが住居や仕事場などの密集地帯からは少し遠めの場所に建設されている。

 

 そこに辿り着くと彼女はノックもせずに引き戸を開け靴を揃えて、い草の香り漂う部屋に足を踏み入れた。

 

 純日本家屋、という表現がベストマッチだろう。いったい誰がこんな才を異世界に持ち込んだのか。

 

 昔懐かしの家屋にちょっぴりノスタルジックな気分になったが、縁側でスイカをかじる桜金色(プラチナピンク)のツインテ少女の背中が彼女の心を現実に引き戻した。

 

「お隣よろしいかな?」

 

「よろしいのだ!」

「お、誰かと思ったらやっと来たか。スイカ冷えてるぞ」

 

 

 胡座をかく少女の足にはこの季節()には心地の良い寒色のスライムが鎮座していた。

 最強格の魔王の懐に鎮座するスライムは後にも先にもこの人しかいないだろう。現在この場所ではさほど珍しい光景でもないのだが。

 

「体の調子はどうだ? ティナ」

 

「ん〜。ま、すこぶる快調といったところだ。存外人の体も悪くない」

 

「いやお前元々……」

 

 スライム──リムルのツッコミも何処吹く風と鼻歌を歌いながらティナと呼ばれた少女はスイカの元へと駆け寄った。

 

「包丁はないのか?」

 

「俺の鋼糸でスパッと斬ってやるからちょっと待ってろ」

 

「なんか断面綺麗だなと思ったらそういうことか。了解した」

 

 

 この無駄に綺麗な断面は『大賢者』のものだろう。演算処理をしてくれるスキル欲しいなぁとティナは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 ここまで特に何の説明もなく進んできたがティナことギラティナは人化することが出来るようになった。

 本来ならばここに人化の経緯を書き記したいところなのだが、本人が「暴露されたらお嫁に行けない」とさめざめと泣いていたのでそれは別の機会(幕間)としよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一寸の狂いもなく6等分に切られたスイカの一つを受け取りシャグシャグと頬張る。

 ギラティナの姿のままではこの切られたスイカどころかそのままのスイカでさえ丸呑みで済んでしまっていた。

 

 だからこんな風にものを食べられるのはすっごく久々で、それでいてとても新鮮だった。

 

 

「人化の経緯については俺はとやかく聞かないけど、その服装で暑くないのか?」

 

「あ、それはワタシも思ったのだ。ワタシも動きやすさ重視でこんなカッコウをしてるけど、多少は暑いぞ?」

 

 

 二人とも私の服装が気になるようだ。

 それもそのはず、現在の季節は夏。部屋の柱にぶら下げられている温度計(リムル作)も38℃を示している。

 この世界に春夏秋冬があるなんて最近は知らなかったんだけどさ。

 

 そんな蒸し暑い中で私がどんな格好をしているかというと……

 

「ショーパンにタイツはギリギリよしとしてもパーカーとセーターは季節錯誤もいいとこだぞ? それサマーセーターじゃないだろ?」

 

「そこまで私は暑くないからなぁ。ほら、一応今のセーターはノースリーブだぞ」

 

「コラっ! もっとおしとやかにしなさい! いたいけな少女が脇チラなんてはしたない!」

 

「私の脇チラよりもそこのヤバい格好をしてる魔王をどうにかした方がいいと思うんだが……」

 

「んなっ!? ティナはワタシの装備がダサいとでも言うのか!!」

 

「少女の姿なのにきわどい格好だなぁって思った感想を口にしただけだ」

 

「ワタシは少女と呼ばれるような年齢ではないのだぁぁあ〜!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後もやいのやいのと服装談義をしていると私とリムルに思念伝達が入った。

 

 通信元はソウエイ。だが思念伝達を送ることだけで精一杯だったのか、状況説明を送ってくることはなかった。

 並大抵の魔物ならばソウエイの敵ではない。つまるところこれは一大事というわけだ。

 

「ギラティナ、ミリム。一大事かもしれない」

 

「そうみたいだな」

 

「む、どうしたのだ? 確かにコッチに近づいてくる歪んだ気配は感じるが……」

 

 リムルと私が立ち上がるとミリムは首を傾げるが、魔国連邦近辺からこちらに向かってくる強者の気配を感じたらしい。

 リムルは私とミリムにそちらに向かうように頼み、ソウエイの元へ飛び立った。

 

 私はミリムに先程の出来事を説明して、ミリムが感じた気配の元に向かうことにした。

 

 リムルの庵から出て飛行が慣れない人間体からアナザーフォルムになろうとしたところでミリムから待ったがかかった。

 

「『やぶれたせかい』でコレを拾ったのだ。ティナのものではないのか?」

 

 私は首で肯定してミリムからソレを受け取った。

 

 

 

 はっきんだまを てにいれた !! ▼

 

 

 

 早速入手したはっきんだまを使ってオリジンフォルムへと姿を変えて私はミリムを頭の上に乗せ彼女の示す方角へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現場への急行までに多くの魔物が眠っている姿を見かけた。

 恐らくソウエイも同じようにして眠気に負けてしまったのだろう。

 

「いたぞ。あそこなのだ」

 

 ミリムが森の中の開けた場所を指さす。

 そこにはふらつきながら歩く謎の少女がいた。

 

 私はこの少女との面識はない。だが似たような姿形のポケモンは知っている。

 

 間違いない。リムルの『大賢者』がいなくともそう私は確信した。

 彼女がこの異変の当事者だ。

 

 私は人間体になって着地。ミリムも私の頭から宙返りしてスーパーヒーロー着地をした。

 

 

「なんなのだコイツは?」

 

「私にもわからない……。なぁ、君がみんなを眠らせていたのか?」

 

 本当はだいたいわかっているが「どこで知ったのだ?」と質問されること間違いなしなのでここは何も知らないことで通す。

 そして意思疎通が可能なのかどうかを試すためにあえて彼女に質問した。

 

 

 虚ろな蒼い目をこちらに向けた白髪の少女はゆっくりと首肯した。次いで真一文に結ばれた口を開く。

 

「あなたなら……知ってるの?」

 

(知っている……何をだ?)

 

 私がその意味を問う前に彼女はゆらりと華奢な両手をこちらに向けた。

 

 何かが充填されるような奇怪な音とともに彼女の手の周りを黒い粒子が回転し始める。

 数秒も経たないうちに粒子は数を増やし、禍々しい渦を作り出した。

 

(初手ダークホールかよっ!?)

 

「ミリム避けっ──」

 

 焦ってミリムの方を見れば完全に受けの構えである。そういえばバトルジャンキーだったよこの魔王。

 

「お前の本気、見せてみるのだ」

 

 指をクイクイっと動かしてミリムは顔を歪ませた。でもこれ物理攻撃じゃないからミリムのお眼鏡にはかなわないような気がするのだが。

 

 

 変に邪魔しても悪い気がしたのとミリムにねむりの状態異常が効かないのか興味があったため、私はすぐに射線外の空中へ移動して待機することにした。

 

 

 私が退避してから数秒後にダークホールがミリムに向かって放射される。

 仁王立ちで自信満々のミリムは一気に深い深淵に飲み込まれて姿を消した。

 

(さてさてミリムの状態は……)

 

 私は『携帯獣』の『ポケモン図鑑』を使用してミリムの状態をウィンドウで自分の視界内に表示させた。

 

 

 

『状態異常︰ねむり』

 

 

 

 ……バッチリ眠ってますねぇ!! 

 

 

 私は魔王なんだから状態異常かかるなよと心の中で悪態をつきながら空からゆっくりと降下して、白ポニテの少女──ダークライと相対した。

 

 

「次は……貴方?」

 

「そうとも。ご期待に添えるかは分からないが、よろしく頼むとしよう」

 

 

 人の身体での戦闘はこれが初だ。

 実験台になってもらう、というわけではないがダークライちゃんには多少私の特訓に付き合ってもらうとしようか。

 

 

 




ちなみにギラティナの服装は

・裾がボロボロの灰色パーカー
・腰まで達する金髪
・黒混じりの赤い瞳
・赤黒ボーダーリブ生地セーター
・灰色ショーパン&スパッツ
・足と手に金色の輪っかのようなものが付いてる

こんな感じ。


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