転生したら『やぶれたせかい』の主だった件   作:名無しの転生者

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「作者?何やってんだよ?作者!」

「ぐっ!うおぉぉおおおおあああぁぁっ!!」(文字打ち)

「はぁはぁ、はぁ……。なんだよ、結構書けんじゃねぇか」

「俺はSS作者だ。こんくれぇなんてこたぁねぇ」

「そんな…俺らなんかのために…」

「(睡眠時間を削っても)期待を守んのは俺の仕事だ」

「でも!」

「いいから行くぞ!皆が次の話を待ってんだ」

「(モチベ尽きるまで)俺は止まんねぇからよ…お前ら(の感想やお気に入り)が止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!だからよ、止まるんじゃねぇぞ…」


お目汚し失礼しました。
今回はガゼル王 VS リムル の回です。
あんまり原作と変わりませんが、そこはご了承ください。

ギラティナくんの出番を期待していた方には申し訳ありません。今回はリムルが主役です。

次回はしっかりギラティナ出ますのでよろしくお願いします!




ガゼル王

 天翔騎士団達(ペガサスナイツ)が硬直する中、ガゼル王は堪えきれなかったのか額を押さえて笑い始めた。

 

「ふはっ──ふははははは!!!」

「森の管理者がいうのであればそれは真実なのであろうな!法螺吹き呼ばわりは撤回するぞリムルよ」

 

「して、貴殿は何者だ?俺の見立てでは、かの暴風竜並の妖気(オーラ)を持っているようだが……?」

 

 笑っていたと思えば一瞬でその顔は国を治める者のそれに変わっていた。

 一国の王という立場上、リムル以上にギラティナは見逃せない存在なのだろう。

 ヴェルドラレベルの者が突如として現れて、無視できるほどの者はこの世界にはいないのであろうが。

 

「あー、こいつは「自己紹介くらい自分でさせてくれないだろうか?」……おっとすまん。そんじゃあどうぞ。」

 

「私の名はギラティナ。反骨竜ギラティナだ。つい少し前にこの世界に顕現して、リムルたちに良くしてもらっている。以後お見知りおきを」

 

 ガゼル王の方は予想していたのか眉を少しひそめる程度で済んだが天翔騎士団(ペガサスナイツ)の面々は気が気でなかった。

 竜──竜種である。

 リムルよりもこのギラティナとやらが法螺吹きであってくれないだろうか、満場一致でそう思っていた。

 

「……驚いたな」

「紳士的なところが、ということか?」

「あぁそうとも。暴風竜が封印されたのは300年前、その頃はまだ俺も小童だったがその暴君ぶりは嫌という程耳にしている。だからと言えばそうなのだが、竜種というものは皆そのようなものかと思ってな」

 

 実際はあまりそんなことはないのだが、ヴェルドラが世間一般に認知されている竜種なのでそれは仕方ないことなのかもしれない。

 

「……まぁそんなことはないかもしれないが、一概には言えないな。先程言った通り、私はつい少し前にこの世界に顕現したんだ。その顕現の過程で過去の記憶はゴッソリ抜け落ちてしまったんだがね」

 

「なるほど。長くなりそうだしここらで話を切っても構わないか?申し訳ないが俺がここに来たのは貴殿が目的ではないからな」

 

豚頭帝(オークロード)を倒した俺を見定めるため、だろ?いいぜ、それがお望みだっていうならジュラの大森林の盟主として断る訳にはいかないな」

 

 暇そうにしていたリムルがヒョイっと話に入ってきた。クロベエの剣で鯉口を切っている様子から、彼もガゼル王の提案に乗り気であることが窺える。

 

「……では立会人はわたくしが行いましょう」

 

 完全に空気だったトレイニーさんがここで口を開いた。ギラティナには果し合い(本気で殺ることはないと思われるが)でのルールはよく分からないのこの提案は渡りに船だった。

 すごすごと六本足で器用に後ろに下がってその光景を見守ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「始め!」

 

 速攻で決めてくるか、と思ったがガゼル王にそんな気はさらさらないようだ。

 まるで俺を品定めするかのような……いや、実際してるんだったな。ついでに微動だにしないし、初撃は俺に譲るといった感じか。

 

 

 ならまずは────小手調べだ。

 

 

 剣を持つ両手にそれなりの力を込めて袈裟斬りを繰り出す。

 が、ガゼル王は逆手に剣を持ち、易々とその攻撃を防ぐ。

 片手で防がれたことに若干の悔しさを滲ませるが、感傷に浸っている場合ではない。

 

 すぐさま後ろに飛び退き、次の技をかける。

 フェイントにワンステップを踏み込み、顔面を刺突せんと剣を突き出した。

 

 先程までガゼル王の頭部のあった空間に風切り音が響く。頭を少しだけ斜めにずらすことでガゼル王はこれを回避してみせたのだ。

 

(この距離で見切れるのかよ!!?)

 

 当然がら空きになった剣をガゼル王は見逃さなかった。逆手持ちを本来の構えに戻し、横に一閃。もちろん片手だ。

 

 バックしながらそれを受けるが、馬鹿みたいな力が腕にビリビリと伝わってくる。

 そこらのモンスターならこれ一つで腕がぶっ飛んでいた可能性だってあるな。

 

(なんつーやつだよ……。だけどみんなに大見得切った手前──)

 

 「負けらんねぇっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 ……なんだよ、これ。

 どんな角度で、どんなスピードで、どんなフェイントを混ぜて斬り込んでも、まるでそこに何もないかのように受け流される。

 

 また一度バック宙で距離をとり、剣を構えた。

 

 しかも腹の立つことに……この野郎、開始位置から一歩も動いていない。

 

「どうした?この程度か?」

「うるさい!まだ本気は出してないだけだ!」

 

 スキルを使えば悠々と勝つことが出来るだろう。しかしそれでは対等な条件とは言えない。

 (コレ)以外で勝ちを掴み取っても、精神的敗北だ。試合に勝って、勝負に負けるというやつだろう。

 

 

 ああクソ、身長もデカいけどそれ以上にガゼル王がでっかく見える。纏う気配が尋常じゃないのも起因しているのか?

 

 ────えぇい、悩んでいたって仕方ない!とりあえずやるだけやってやらぁ!

 

 重心を下においてグッと勢いよく地面を蹴りだす。

 次は何を試してみようか、そう思いガゼル王の顔を見やる。

 

 (?なんで笑って――)

 

 

「ッ!?」

 

 

 ガゼル王の口角が歪んだと思うと俺の体は自由が利かなくなっていた。何だ……動けないぞ……!!

 

 

 ――告。エクストラスキル『英雄覇気』です。対象を萎縮させ、屈服させる効果があります。

 

 

 何だその出鱈目なスキル!?いや俺も大概だけどさ。

 大賢者、対抗策は?

 

 

 ――解。気合いです。

 

 

 は!?スリーツーワンダーッ!!ってか?大賢者なのになんて頼りにならない返事だ……。

 

「ここまで、か」

 

 ガゼル王は何か諦めが着いたような、つまらなそうな表情を浮かべていた。

 

「そろそろ終いといこう」

 

 ザリ、とここで初めて彼の足が動く。

 まずい、このままじゃ正中線を一刀両断。唐竹割りで俺の敗北決定だ。いやスライムだから多分死にはしないと思うけど。

 

 気合いだって?あぁ分かってるさ。お前(大賢者)はいっつも正しいもんな。

 

 

 「う……」

 

 

 よし声が出た!後は気合いだ!

 ファイトー!!いっぱぁ〜つ!!!

 

 

 「うおぉぉおぉあぁあぁぁっ!!!!」

 

 

 ブチリ、と俺の中で何かが弾けた気がした。

 

 

 ――告、『英雄覇気』の抵抗(レジスト)に成功しました。

 

 

 大賢者、やっぱりお前は最高だ!!

 

 

「……解けたぞ」

 

 ブレた剣筋を正してガゼル王を見据える。

 

「そう来なくてはな!」

 

 おっとさっきのつまらなさそうな表情はどこへやら。キラキラ目を輝かせてるよ。

 

「では次はこちらからだ」

 

 そう口にすると俺の眼前からガゼル王が消えた。

 勝負放棄?それはない。ならば答えは一択、攻撃だ。

 

 いや、前にもこんなことあったぞ……俺の魔力感知を掻い潜って来たヤツがいた。誰だったか、思い出せないが――

 

 

 ボッ!と空気が割れる音と共にどこからともなく斬撃が俺に襲いかかる。直前にうっすらとだが感じた魔力の残滓を頼りにスウェーバックでこれを回避。

 

 いや、これで終わりじゃない。次が来る!

 

 

 二撃目はっ────

 

 

「上だっ!!」

 

 

 即座に刃の腹を上にかざし、ガゼル王の剣を防ぐ。

 甲高い金属音が周囲に木霊する。それはこの勝負が終わったことを知らせるゴングのようでもあった。

 

「ふっ」

「ふはっ、ふははははははははッ!こやつめ、俺の剣を受け止めおったわ!!」

 

 余程自らの剣を受け止めた者がいたことが嬉しかったのだろう。最初に笑った時よりもガゼル王は幾分か素が出ているような印象を受けた。

 

「勝負は俺の勝ち、でいいかな?」

「降参だ。お前の勝ちでいい」

 

 いつの間に落ちていたのか、彼はシズさんの抗魔の仮面を拾い上げて俺の頭に乗せた。

 

「お前の剣には邪な心は見受けられない。よっては俺はお前を邪悪な存在ではないと判断しよう。良ければ話し合いの場を設けてもらいたい。そこの竜も、な」

 

 

 ――コホン。

 

「では、勝者 リムル=テンペスト!」

 

 あ、トレイニーさん。審判ありがとうございます。

 

 

 うーん、剣を受け止められたのは何となく太刀筋が誰かと似ていたから何だけど……。

 

「ほっほっほっ。お見事でしたなリムル様。ですが打ち込みの方はまだまだ伸びしろが残っていますな」

 

「ハクロウ……もしかして明日から鍛錬が厳しくなったり?」

 

「残念ながらそうなりますな」

 

「うへぇ……」

 

 好々爺のような口調だがそれに見合わない程の剣戟の達人、ハクロウ。

 俺や鬼人、ゴブリン実動部隊の稽古をしてもらっているが生半可な気持ちで挑めば一瞬で返り討ちにされるだろう。

 ん?ガゼル王と似た太刀筋ってハクロウの時のやつだったっけか?

 

「失礼ですが剣鬼殿ではありませんか?」

 

 ガゼル王が声をかけてきた。もしかして知り合い?

 

 ……ほうほう。2人の話を聞いた限りでは300年前に森で迷っていたガゼル少年に剣術を教えたのはまだ名のなかった頃のハクロウだったらしい。

 

 道理で太刀筋も気配も似ていると思ったよ……。

 あ、ということは俺はガゼル王の弟弟子というわけか。

 

「おいリムル。早く案内してくれ」

 

 ズバン!と俺の背中が叩かれた。犯人はガゼル王、お前だっ!!

 

「上空から見た限りじゃあ中々に美しい街並みだったじゃないか。美味い酒くらいここにはあるんじゃないのか?」

「まぁ、あるけど」

 

 

 ……弟弟子と分かってからすっごく軽い態度になってるんだけど。

 そのうち絡み酒でマウント取られたりしないよね!?

 

 

 




ギラティナ「今回私空気でしたね」

トレイニーさん「仕方ないと思いますよ?ここのストーリーどう改変したらいいか分かんないなって言ってたみたいですから」




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