アンケートご協力お願いします。
詳しくはこちらにて↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=245950&uid=87099
珠閒瑠市に行かないで何してるんだろう、って位に長引いてます。
しかもまだ終わりません。
それだけ振り返ったら問題だらけだった、とも言えますが。
どないせいと。
一息入れるために配られていた茶に各々が口をつける中
セージはまた別の資料を纏めていた。本題のデーモン族に関してだ。
そもそも、今アモン越しに語ったのはサーゼクス出生で、話が逸れていた。
逸れた話がまた大事だったためにこうなっていただけで、本題はデーモン族についてだ。
『話が逸れちまったな。デーモン族に関してだったか』
「逸れた先の話が本題かって位に大事過ぎるわよ……
まさかこんなところでお兄様の秘密を知ることになるなんて思いもよらなかったわ」
『そりゃ悪かったな。しかしくどく聞くようだがサーゼクスの妹。
お前、本当にデーモン族に関して何も知らない、聞かされていないのか?
悪魔の歴史について、学校で教わらなかったのか?
他の人間や転生悪魔どもが知らないのはわからんでもないが
お前が知らないというのはどうにも解せん。
……いや。ある一つの可能性を除いて、だが』
神妙な口ぶりで語るアモン――語っているのはセージの肉体だが。
そのアモンが想定した可能性。それは、デーモン族である彼にとっては到底受け入れ難く
そして現在の悪魔の在り方を嘆くのに値する、そうしたものであった。
「――焚書。情報統制。歴史の捏造。こういったところだろ、アモン」
『さすが
そうだ。何せサーゼクスらは「平和の時代」だと抜かして俺達デーモン族を迫害した。
昨日まで手を取り合って戦ってた奴が、いきなり掌返して矛先向けてきやがったんだ。
如何にデーモン族が武芸に秀でたと言っても、限度がある』
「そんな!? まるで人間の行っている差別じゃ――」
リアスがアモンの言葉に反応して反論しようとした矢先
セージからドスの利いた声で制止が入る。
話の内容が、あまりにもお粗末――というか、決して他人のことは言えないものであったからだ。
「あんたが言わないでくれ。いや、リアス・グレモリー個人としては差別はしてない。
……と、いう事にしておいてはやるけど、じゃあ転生悪魔問題は一体何なんだよ。
どうして黒歌さんははぐれ悪魔になったんだよ。
どうしていつぞやの集まりの時にシトリー会長の
どうして俺はあんたの――いや、これは私怨か。今は置いておく」
「うっ……というかセージ、あなた仮にも後輩……」
「だったら手本になれるように振舞ってくれ。
取ってつけた上っ面だけの評判なんて要らないんだよ。
まるで自分の落ち度を覆い隠すような、な」
セージの知りうる、転生悪魔を取り巻く問題を並べ立ててリアスへの返答としていた。
申し訳程度に「リアスはそういう考えではない」とはしてあるものの
それはリアスが例外であり、悪魔社会の世間一般では
セージが挙げたような事例の方が通例なのだと。
それに、リアスにしても無意識でそうした差別意識は向けている。
暗にセージはそう言っていた。
「セージ君、その辺にしておいてあげてくれないかい?」
「……わかった。これで言うの何度目だよ、って気もしてきたけど
今本題はアモンの話だからな。悪いアモン、続けてくれ」
『応。で、お前ら若手の悪魔が俺達デーモン族の事を知らない――知ってたとしても朧気なのは
俺が思うに、今の政府がデーモン族に関する情報を一切黙殺ないし
悪し様にしか語ってないからだろうな。
セージの記憶もちょいと覗かせてもらったがな、お前らの言うはぐれ悪魔?
あいつらな、似てるんだよ――デーモン族にな』
はぐれ悪魔。悪魔の駒によって転生した、させられた悪魔が反逆の末に変わり果てる存在。
それは自発的な反逆のみならず、陥れることによってもはぐれとして成り立ってしまう
対等な契約とは程遠い、転生悪魔にとっては首に爆弾を括り付けられるようなものであった。
「はぐれ悪魔と、デーモン族が?」
『こいつの記憶にあったバイサーって奴を筆頭にな。
そういう意味ではインベスもある種デーモン族だ』
「……ぞっとしない話にゃん」
紆余曲折を経て悪魔の駒を物理的に抜かれることではぐれ悪魔から元に戻れた黒歌は
自分が辿ったかもしれない末路を想像して身震いしていた。
セージにせよ、もしかすると木場もなっていた可能性もある。
はぐれ悪魔とはそれほどまでにあやふやで、危険な存在と言えた。
『現にお前ら、はぐれ悪魔はそれっぽい理由をつけて問答無用でぶっ殺してるだろうが』
「それは! はぐれ悪魔が悪魔のルールを破るから……」
「家族守るための正当防衛まで犯罪扱いされたんじゃ、たまったもんじゃないわ。
悪魔の法律でも過剰防衛って制度は認められてるみたいだけど
それはあくまで純血悪魔同士の話。私らみたいな『転生悪魔』には適用されない話よ。
ね? この時点で既に差別って行われてるのよ。わかった? 無駄乳悪魔。
……ま、私はもう悪魔じゃないから関係ないけど」
アモンの指摘に、リアスが反論しようとするがそれを黒歌が無駄に煽りながら封殺する。
セージ――というか人間目線――で見た場合、彼が黒歌と懇意にしているという点を抜きにしても
共感できるのは黒歌の方であろう。
少なくとも、セージが受けてきた義務教育と高校一年程度の教育では
そう言う価値観が植え付けられているのだ。
『そう言う事だ。はぐれ悪魔は極めてデーモン族に近い性質を持っている。
まあ細かく言えば別物だろうけどな。
で、政府の側としてはさっき言った通りデーモン族は排除しなければならない存在だ。
となれば、適当な理由つけて駆除するのが一番手っ取り早いだろ。
まあ当然、中にはお前の言うように
「本当に太平の世を良しとせず挙兵した」奴もいるかもしれんが
それと同時にこの猫のねーちゃんみたいに家族を守る行為で陥れられた、なんて事例もある。
セージだって、そこの色男だってなりかけたんだ。
現代にも息づいてる、体のいいデーモン族狩りだな』
アモンの指摘に、リアスは言葉を失ってしまった。
今まで自分が正義と信じて行っていた行為が、他ならぬ差別への加担であったことを
被差別者という当事者から突き付けられたのだ。
しかしこれは逆に言えば、それにショックを受ける程度には
まだリアスには良識があることの証左でもあった。
『――言う事が矛盾するようだがな。
別に平和の世を無闇に脅かそうとする奴は処分されて当たり前だ。漸く落ち着いたんだからな。
だから、お前らがやってたはぐれ悪魔狩りとやらもすんなり受け入れられたんだろうし
俺だってそういうやつが殺される分に文句を言う気はねえ。
これからは平和の時代、ってサーゼクスの言葉「だけ」は認めてるからな。
……ま、結果はこれだが』
「……じゃあ、じゃあ私たちはどうすればよかったのよ!?
あなたの話だと、デーモン族は今の悪魔以上に武力を、力を尊び
他の生物との永遠の闘争も辞さない、戦争ありきの生物じゃない!
私は御免だわ! そんな生き方は!」
デーモン族であるアモンに向かって、面と向かってデーモン族を批難するリアス。
確かにリアスの語るデーモン族の在り方は
アモンをして「その通り」と言わしめるものであった。
だがそれは、あくまでもデーモン族の一面に過ぎない。デーモン族の全てではないのだ。
その決めつけこそが、デーモン族に対する、ひいてははぐれ悪魔――転生悪魔に対する
差別の温床であることを、リアスはまだ気づいていなかった。
『いいんだよそれで。現にお前はデーモン族じゃないだろうが。
ましてや、滅びの力に仮初の肉体をくっつけた不安定な存在でもない。
デーモン族の生き方なんか、無理して真似る必要なんざねえんだよ。
……それとこいつは年長者として釘刺しとくがな、自分だけは見失うなよ。難しい話だがな。
じゃ、質問がねえならデーモン族に関する話は終わりだ』
(――セージにだって、それは出来てるとは言い難い部分はあるからな。
出来なくったって、恥じることでも何でもねえよ。
人間も悪魔も、あるいは天使だって自分のことを正しく認識できてるやつがどれだけいるか。
俺だって――)
リアスの相手が面倒になったのか、アモンは煙に巻くようにセージの奥に引っ込んでしまう。
奔放なアモンではあるが、セージと結んでいるのは主従関係ではない。あくまでも対等な話だ。
主導権こそセージにあるが、こうして強硬手段をとる必要がないときは強硬な態度を取らない。
単純に地力で負けることと、アモンの力はなんだかんだで有用なのだ。
無論、この力とは知識も含む。
アモンの話が終わるなり、今度は
こういう場で対立組織を纏めておかないといけないほど、敵は多大なのだ。
「セージ。少し纏めさせてくれ。今俺達が相対しているのは
巨大生命体オーフィスを首魁とする、クロスゲートから通ってきた――
だがセージの見立てではそうではないかもしれないという『アインスト及び
人間をも媒介にしてドラゴンアップルを世界的に蔓延させ
クラックという独自の空間転移能力を持つ『インベス』
教化という洗脳を行い、巨人なるものをご神体に世界各地で信者を集めている『黒の菩提樹』
フューラー・アドルフが率いる聖槍騎士団を擁する『禍の団英雄派』
……そして天使・堕天使・悪魔ら『三大勢力』
で、いいんだな? そしてこいつらは、それぞれ手を組んだりすることは基本的に無く
各々が各々の目的のために人間――民衆に被害をもたらしている、と」
「ですね。そのうち反社連合にはユグドラシルが手を回していますし
三大勢力はそれぞれは相互不干渉で反社連合みたく連携して人を襲ったりはしてないですね。
それに、三大勢力のうち天使を擁する天界は俺の聞いた話だと――」
「三大勢力って! それは私に対する当てつけかしら?
私が悪魔の代表なんて大それたことを言うつもりは無いけれど
少なくとも魔王様は平和を望んでおられるわ!」
人類――というか超特捜課の戦う相手は今蔵王丸警部が大まかに挙げた六勢力である。
そのうち禍の団と三大勢力は敵対し、禍の団は本派と英雄派に分かれて行動している。
反社連合は黒の菩提樹以外の全てと敵対していると言える状態にある。
そして彼らのバックにはセージの言う通りユグドラシル・コーポレーションがついている。
現に天道連はユグドラシルの装備を使っているのだ。
そんな中、セージの発言を遮るようにリアスが反論する。
その反論で、セージが言おうとしていた大事なことは言うタイミングを失ってしまった形だ。
(アレを聞いてなお魔王を、兄を信用しようとするか。
そりゃ親族の情には篤いってのがグレモリーなんだからそうもなるか……ただな。
庇いたてすりゃいいってもんでも、ねぇと思うがな)
「少し黙ってろ。私だって三大勢力――特に天使が人類の敵って風潮には思うところはあるんだ。
だが現に悪魔は火事場泥棒じみたことをしているし、なにより天使は援軍を寄越してこない。
相対的に堕天使が一番まともに思えてくる位さ。
……それに、発端は言いがかりに近いものとはいえ
根も葉もないことを言われたわけじゃないんだ。
世論が三大勢力を敵視しているのは、なるべくしてなった結果だと私は思うぞ。
それを言ったのがハーケンクロイツを徽章にする連中だってのは、殊更に気に入らないけどな」
違う立場でありながらも三大勢力――天使だけだが――を支持している
ゼノヴィアから制止されてしまう。
まだゼノヴィアは知らないことだが、天界は援軍を派遣できる状態にはいないのだ。
そしてその理由は、セージから明かされることとなる。
ユグドラシルについて思惑を秘めながらも、
「セージさん、話を続けてください。
(彼がいれば、ユグドラシルの秘密が明かされてしまうのも時間の問題か。
下手に僕が否定しても、事態は変わらないだろうしここは黙っておこうか)」
「……あ、ああ。その三大勢力のうち天使は表立った動きを見せていない――
というか、天界との連絡が途絶していると以前大日如来様と天照様が仰ってました」
「何ですって!? それは本当なのセージ!?」
(てめえで話の腰折っておいてよく言うぜ)
木場の台詞を横取りするような形でセージに問い質すリアス。
彼女にとっても、天界との連絡が途絶したというのは衝撃的な話だったのだ。
他方、案外落ち着いているのがゼノヴィア。天界との連絡が途絶したと言うのに
一切狼狽える様子を見せていないのだ。
それどころか、納得したような素振りさえ見せている。
「なるほど、合点がいったよ。そりゃ援軍なんか寄越してくるはずがないか。
まさか天界がこの大事な時期に音信不通になっているとは思い至らなかった。
……考えたくはなかったが、やはり天使――天界にとって
私達人間はどうでもいい存在なんだろうな」
「ええ、彼の言う事は事実ですよ。私が保証します。
天界の現状ですが、あまり芳しい状態ではないとだけ言っておきましょうか。
ですが、全ての天使が人間を放置している、というわけではないという事は
一応、言っておきますよ。これも楽観論かもしれませんがね」
「……あなたに言われちゃ、認めざるを得ないわね」
薮田の言葉に、平静を取り戻すリアス。
この関連性に薮田の正体を知らない超特捜課の面々は首を傾げるが
うまく言いくるめられている。
いくら何でも、聖書の神――の影武者――が普通に警察や学校に紛れ込んでいるというのは
衝撃が大きすぎる。神の不在が公言されている以上、なおさらだ。
「天界が音信不通……ミカエル様と何か関係があるのでしょうか?」
「詳しいことは私も調べていませんのでわかりませんが、四大熾天使のうち
ガブリエルを除く三人と全く連絡が取れません。
残るガブリエルですが……これは私の独自の情報網からの情報ですがね。
天界を追放された『元』大天使メタトロンと行動を共にして、現在潜伏しています」
薮田の話もまた、天界の事をそれなりに知る者にとっては衝撃的な話だったのだ。
メタトロンは四大熾天使に並ぶ位の天使である。それが堕天したというのだ。
その人格を知るものはここには薮田位しかいないが、それでもおいそれと堕天するとは思えない。
これにはさすがに、アーシアも驚きを隠せなかった。
「メタトロン様とガブリエル様が!?
では、残りの熾天使の方々は……
それに、『元』大天使って……!!」
「言葉通りですよ。他ならぬ、本人からの供述を得ています。
気になる方は録音データがありますので、後でそちらを各自聞いてください。
残り三人の熾天使は、まだ連絡の途絶えた天界にいると私は見ています。
それと潜伏した二人の潜伏先ですが
私も知りませんし知ってたとしても言うわけにはいきませんよ。
何分、天界と日本政府ないし神仏同盟の間には同盟も国交もありません。
そんな身分の者の所在を、私の一存で明かして問題になってはいけませんからね。
まして、江戸時代の頃に天界は宗教絡みで当時の政府――幕府ですね。
彼らと問題を起こしていますから。
ある意味、悪魔や堕天使以上に天使は日本政府や神仏同盟にとって
やりにくい相手かもしれませんよ」
天界の異常事態。
それはセージの言葉から、薮田の裏付けを経て
超特捜課協力者やオカ研の面々に知れ渡ることとなった。
悪魔の首魁の衝撃的な事実、アインストに侵食されつつある堕天使に音信不通の天使。
フューラーの与り知らぬところで、三大勢力は自壊しつつあったのだ。
劇中で薮田先生が言った音声データはこちらから()
https://syosetu.org/novel/95124/30.html
>はぐれ悪魔とデーモン族
バイサーなんてもろにデーモン族的な悪魔だと思うんですよ。
そこからの着想に過ぎませんが。
で、原作劇中のはぐれ悪魔に対する異様なまでの敵視とか
拙作のデーモン族狩りに当てはめたら箇条書きマジックとは言えはまるはまる。
被差別属としてデーモン族を描いてますが、もしデーモン族が政権握ってたら
多分逆なことになったんだろうなあ、とも。
薮田先生、よく五体満足でいられるな。