魔法科高校の『触れ得ざる者』   作:那珂之川

2 / 551
人物設定②(十師族)

<十師族>

<十師族・三矢家>

 魔法技能師開発第三研究所で開発された魔法師の一族で、十師族に選ばれる資格を持つ二十八家の一つ。神奈川県厚木市に本拠を持つ。他の十師族とは異なり、監視する地域を持たない代わりに魔法技術の開発や発展に余念がなく、そのノウハウを国防軍に提供している。

 2097年2月に行われた師族会議の体制改革により、七草家に代わって関東地方の守護・監視を担うこととなる。

 屋敷は第三研から車で10分少々の距離にあり、最新式の魔法訓練設備を備えている。訓練器具の充実ぶりは魔法科高校にも劣らない。現当主は三矢元。

 

三矢 元(みつや げん)

 三矢家現当主。年齢は51歳(入学編)。

 表(向きとは言えないが)の職業は国際的な小型兵器ブローカー。悠元の影響で国防軍をお得意様とする軍需企業のオーナーとしての肩書きを得る。

 悠元に起こった異変を訝しむが、彼に只ならぬ才能の片鱗を感じて好きにやらせている。九校戦編開始の時点で悠元(中身に該当する魂)が転生者だと知っている唯一の人物。悠元に対して恋愛感情を優しく諭す。

 最近は子ども達に触発されて魔法の訓練を再開する。妻とは幼馴染同士の恋愛結婚(本人曰く『恥ずかしくて黒歴史』)。義父との繋がりで四葉家の人間とも面識を持っている。

 三矢家の本質である『与える者』として奮闘する。

 

三矢 詩歩(みつや しほ)

 三矢家現当主夫人。年齢は46歳(入学編)だが、外見は一回り以上若い。

 旧姓は上泉詩歩で、元と恋愛結婚して沢山の子に恵まれる。十師族として奔走する夫を陰ながら支えている。最近の悩みは娘たちの嫁入りと孫の顔が見たいこと。ファッションやアパレル業界などといった非魔法分野の個人的なコネクションを有している。

 

三矢 元治(みつや もとはる)

 三矢家長男。年齢は22歳(追憶編)→25歳(入学編)。

 父である元の跡を継ぐために当主と家業勉強の毎日。魔法の才覚が突出した弟や妹たちをどこか羨ましく思っている。沖縄の一件ののち、そこで知り合った穂波と婚約、翌年に結婚した。

 下の弟や妹と比較すれば劣ってしまうが、同年代の十師族の魔法師としては優秀なレベル。三矢家お得意の「スピードローダー」を使いこなすほどの器用さや瞬発的な判断力を持っている。悠元の影響を比較的受けていない人間の一人。

 

三矢 詩鶴(みつや しづる)

 三矢家長女。年齢は18歳(追憶編)→20歳(入学編)→22歳(激動の時代・孤立編)。誕生日は5月5日。

 母に一番よく似た容姿で、怒る表情を見た者はいない。笑顔を浮かべながら怒るタイプ。

 元継とは対称的に近距離は「護身術程度(とは言ってるが、剛三を木刀で黙らせる程度の実力はある)」だが、中・遠距離では他を寄せ付けぬほどの強さを誇る。

 悠元がプレゼントした自身専用のロングボウタイプ汎用型CADを所持し、実践したことはないが対人狙撃なら10キロメートル以上は可能のレベル。1キロ以内なら百発百中で命中させられる。

 得意系統は[スピードローダー]を併用した加速・移動・収束・発散系統の複合術式[一極徹甲狙撃(ディフェンス・ブレイカー)]。

 入学編の時点で新陰流師範の免許皆伝を受ける。一高在籍時代、生徒会長選挙で重傷者を出すほどの暴動が発生。その流れで生徒会長に立候補・当選して就任することになる(詩鶴は新入生総代だったが、立候補に前向きだった子に譲っていた)。その際、親友の津久葉夕歌に生徒会副会長を頼み込んだ。

 入学編開始時点で国立魔法大学3年生。大学卒業後は矢車家長男と結婚した。

 

三矢 佳奈(みつや かな)

 三矢家次女。年齢は17歳(追憶編)→19歳(入学編)→21歳(激動の時代・孤立編)。誕生日は2月29日。

 先天的な異常視覚として強力な『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』を有しており、その影響で糸目となっている。更に彼女の魔法演算領域も特殊で、単一工程の魔法発動が複合術式よりも遅くなる(なので、態と複数系統の術式を組み込むことが多い)。得意系統は自身の見つけた加重系統基本コードをベースにした重力操作魔法。

 普段は物静かなほうだが、興味のあることだと途端に饒舌となる。三矢家のヒエラルキーで母に次ぐ強さを持つ(本人曰く『それでも悠元には勝てない』)。

 極度なまでのデバイスオタクで、分解したデバイスの数は5桁を超える(それらはちゃんと元に戻している)。悠元から貰った汎用型CADを普段から愛用している(特化型CADは彼女の持つ魔法特性上まともに使用できないため)。

 「ライトニング・オーダー」や『円卓の剣(ラウンド・ブレード)』などといった技術や魔法など、悠元の影響を一番強く受けている。三矢家にあるCAD調整機は彼女による(魔)改造で、悠元曰く『世界でもこんなハイエンドの調整機はないだろう』と言わしめたほど。

 一高在籍時代は新入生勧誘週間に生徒会役員であるにもかかわらず執拗な勧誘を受けたため、有象無象纏めて鎮圧。姉の詩鶴が生徒会長になる切っ掛けとなった生徒会長選挙で暴動者全員を鎮圧した張本人。

 2年生の後半に生徒会長選挙へ立候補し、自身の『眼』を使ってまでも観衆を黙らせた。同時期、風紀委員長に就任した妹のトラブル解決に関して黙認していたが、校長の横槍に介入。祖父である剛三に同行してもらって妹の退学を取り消させた。

 入学編開始時点で国立魔法大学2年生。新陰流剣武術師範代の印可を受けている。達也の婚約者となる。

 

三矢 美嘉(みつや みか)

 三矢家三女。年齢は16歳(追憶編)→18歳(入学編)→20歳(激動の時代・孤立編)。誕生日は12月24日。

 佳奈のような『眼』は持たないが、異常な魔法知覚力による異常視覚を有している。加えて、本来の視界で知覚できない隠蔽術式や認識阻害といった干渉系統・対抗魔法を無効化する体質。

 彼女に魔法を発動されたらその魔法に対処するしか現状における現実的な対抗手段がない(悠元がキャスト・サイレントや[円卓の剣]を生み出したのは彼女の存在あってこそで、それらの魔法か[術式解散(グラム・ディスパージョン)]で何とか無効化できる)。

 得意系統は光波振動系を主体とした複合術式。体質云々を抜きにしても[ライトニング・オーダー]を使いこなせるだけの実力を有する。佳奈に次いで悠元の影響を強く受けている。容姿は同年代の平均以上だが、胸の大きさが三矢家の姉妹で下のほう。詩奈に姉のような兆候があることに若干コンプレックスを持っている。

 人前で努力する姿を決して見せることはなく、隠れて努力を積み重ねるタイプ(家族のほとんどはそのことを知っている)。気に入った人なら遠慮なく本音で喋るタイプであり、公的な場でない所では遠慮なく彼女の基準でつけられた呼び名を使う。真由美との初対面では彼女の猫被りを第一印象で見抜き、家が同じ十師族かつ第三研の誼から何かと交友がある。

 一高在籍時代は生徒会の勧誘を断って風紀委員会に入り、新入生勧誘週間では検挙・鎮圧率100パーセントを記録。風紀委員長に就任してからは九校戦のエンジニアに絡んだトラブル解決のために当時の全一科生の約6割、全二科生の約1割を鉄拳制裁で鎮圧。

 その件で校長に呼び出されるも、何も期待できない学校に言われる筋合いはないと言いのけて一時期退学になる可能性もあった(その時は三高に転校でもしようかと目論んでいた)が、姉のお蔭で立ち消えとなった。

 2年生の後半に風紀委員長から生徒会長になるという前代未聞の大転身を見せる。ぶっ飛んだ発言を見せることもあったが、それでも二科生からはかなり好意的に見られていた。風紀委員会と生徒会の引き継ぎの書類もしっかりと作っており、人任せにすることがないことから無駄に責任感が強いとも言われている。

 入学編開始時点で国立魔法大学1年生。新陰流剣武術師範代の印可を受けている。十師族選定会議によるテロ事件が鎮静後、十文字克人と婚約した。

 

三矢 詩奈(みつや しいな)

 三矢家四女で末っ子。年齢は11歳(追憶編)→13歳(入学編)→15歳(激動の時代・孤立編)。

 生まれながらの異常聴覚(先天的な聴覚強化魔法)のため、聴覚をコントロールするイヤーマフを常時身に着けている。新陰流剣武術は習っていないが第三研での戦闘訓練だけは受けている。

 歳の近い悠元を始めとした六人の兄と姉たちから可愛がられていて、原作の深雪レベルのブラコンを拗らせている模様(年々酷くなっているため、対策を講じても『暖簾に腕押し』状態になりつつある)。

 誕生日が二日違いの侍郎のことは“仲の良い弟”のレベルだったが、少しずつ改善されている模様。好きなタイプは『お兄様のような人』。悠元が詩奈に魔法関連をあまり教えないのは「教えたら自分への依存癖が更に悪化しかねない」という危惧からくるもの。悠元からプレゼントされたイヤーマフ型CADを愛用している。

 三矢家の仕来りによって、入学編開始時点で『長野(ながの)椎菜(しいな)』と名乗っている。九校戦前あたりから新陰流剣武術を習い始めた。

 

矢車 侍郎(やぐるま さぶろう)

 三矢家に使用人として仕える矢車家の末っ子。年齢は11歳(追憶編)→13歳(入学編)。

 念動力者。魔法演算領域の一部が直接制御型の移動系魔法により占有されているため、他の魔法を自由に使うことができなかったが、悠元の『領域強化』によってその制約が外れる形となる。加えて悠元からの紹介で元継が彼に新陰流剣武術の稽古をつけている。夏休み編時点で中伝の目録を修めている。

 詩奈が悠元に懐いていることを羨ましく思いつつも嫉妬しているような複雑な感情を向けている。それでも、悠元の実力は並外れているものである、と認めている。

 悠元が司波家での居候生活を始めてからは大分改善され、新陰流剣武術を習い始めた詩奈に負けないよう一層努力するようになった。異性に対しての免疫は少し弱く、侍郎を意識し始めた詩奈にやきもちを焼かれるようになりつつある。

 

ラウラ・カーティス→三矢 ラウラ(みつや らうら)

 三矢家の養子として入った五女。年齢は15歳(南海騒擾編)。

 USNAの政界の重鎮であるカーティス上院議員を大叔父に持つ。沖縄防衛戦の最中に渡航中、[マテリアル・バースト]によって発生した津波に攫われて、石垣島に流れ着く。そこに居合わせた舞元によって面倒を見てもらっていた。

 石垣島を訪れた悠元によって記憶を取り戻し、その直後に発生した西果新島のテロ事件がきっかけで千葉寿和に惚れこみ、三矢家が仲介する形で千葉家へ嫁ぐこととなった。

 

伊庭 アリサ(いば ありさ)→三矢 アリサ(みつや ありさ)

 三矢家の養子として入った六女。年齢は13歳(四葉継承編)。

 十文字和樹とダリヤ・アンドレエヴナ・イヴァノヴァの間に生まれた子で、十文字家の隠し子。母親の葬式で悠元と出会い、彼と実質的に義理の家族の関係となる。その時から恋慕の気持ちを忘れず、千姫からの婚約者の提案を迷わずに受け入れた。

 居候していた遠上家(後の十神家)にいる茉莉花とは同い年で、悠元のことになると恋のライバル同士として争う姿勢を見せることも。悠元の特殊性によって諍いを持つことなく良き友人関係を築けている。

 十文字家の固有技能を有していたが、悠元の魔法によって大幅に改善され、並行魔法演算技能[ブーストローダー]と多重対抗障壁[エアリアル・ファランクス]を獲得している。

 

 

<十師族・四葉家>

 魔法技能師開発第四研究所を出自とする家系で、十師族に選ばれる資格を持つ二十八家の一つ。2095年4月時点では、十師族の中では三矢家、七草家と並び最有力とされている一族で、主導的地位を争う地位にある。2092年8月に発生した沖縄防衛戦後に三矢家との関係模索を行い、上泉家の仲介によって水面下での協力関係を結ぶことになる。

 特異的な魔法師を生み出す一族として知られている。四葉の本家と一部の分家は神楽坂家の血筋を引いているが、天神魔法は継承されていない。2095年3月に開かれた臨時師族会議により、正式に中部・東海地方を監視・守護している。現当主は四葉真夜。

 

四葉 真夜(よつば まや)

 四葉家現当主、深夜とは双子の姉妹にあたる。当代における世界最強の魔法師として目される。過去に起きた事件の影響で子を産めなくなってしまい、姉である深夜と半ば喧嘩別れのような状態になっていた。

 それでも深夜に対してガーディアンを派遣したりするなど、それなりに気にかけていたことは事実。沖縄防衛戦後、剛三の手紙によって元造が深夜に頼んでいたことに加え、その責は元造自身にあるという内容を知り、深夜との関係を修復する一歩となった。

 姉妹間の関係修復のきっかけを作った悠元に対して興味を持ち、彼の非凡さから達也と対等に並び立てる存在ではないかと考えている。

 深夜が若返ったことにショックを受け、当主になってからあまりやらなくなった魔法の本格的な訓練を再開。その理由が『深夜よりも若返ってやる』という個人的感情だということは、本人以外では筆頭執事の葉山しか知らない秘密。

 沖縄での一件後、悠元を自身の養子として迎え入れたいという話をして、深夜と年甲斐もない取っ組み合いになりかけたが、葉山のフォローで事なきを得た。

 深夜ほどではないが、悠元に対して異性を見るような感情を見え隠れさせることが多い。四葉家の慶春会に際して自らを引き換えとして深雪や夕歌、水波との婚約を認めたり、達也が当主として継いだ際は悠元の専属使用人兼愛人として転がり込むことを公言している。

 

葉山 忠教(はやま ただのり)

 四葉家の執事長(筆頭執事)。四葉家先代当主(四葉英作(よつばえいさく))から仕えており、四葉家中の重鎮である。八人いる四葉家執事の中で唯一当主のプライベートに踏み込むことを許されている執事(バトラー)でもある。

 達也のことを軽んじておらず、魔法師として高く評価している。同時に警戒すべき魔法師として見ている節がある。悠元のことを「達也と並びたてる実力の魔法師」として評価しており、達也と悠元が良き友人になれるのではという真夜の言葉を肯定した。

 達也曰く「深雪よりも美味しいコーヒーを淹れる二人のうちの一人」とのこと(もう一人は悠元であるが、達也は隠している)。

 国家の枢密に立つ[元老院]のエージェントであり、千姫の弟子にして剛三に仕える人間の一人。彼の目下の悩みは、次期当主である達也に相応しい次代の執事長を託す相手の選定。

 

<司波家>

司波 達也(しば たつや)

 原作主人公。学年は1年E組(入学編)→2年E組(ダブルセブン編)。

 年齢は15歳(入学編開始時点)→16歳(九校戦編)。

 沖縄での一件で悠元と知り合う。彼のことを「不思議な奴」と述べるも、その実力を正当に評価しているとともに、彼に対して負けず嫌いな面を見せるようになる。九重寺での鍛錬に励んでいるのは彼への対抗心があると深雪が述べるほど。

 自身が使える[分解]と[再成]を悠元も使えると知っている数少ない人間の一人。また、裏の「ミスター・トーラス」を知る人物でもある。自身が使っているシルバー・ホーン・フルカスタマイズモデル「トライデント」「バハムート」は悠元の設計によるもの。

 沖縄防衛戦後、戦略級魔法[質量爆散(マテリアル・バースト)]を制限する意味で精神干渉系魔法[誓約(オース)]を掛けられている。その解除は深雪が担う形である。十文字克人との会談前に全ての制限が外されたものの、力の振るい方に関しては悠元へ相談を仰ぐことで制御している形となった。

 深雪への甘さから周囲からはシスコンと揶揄されることがある(そこまで甘くないと否定はしている)。自身に対する恋愛感情は極めて希薄だが他人の恋愛感情に対しては極めて鋭く、妹の恋慕を知識だけでありながら見抜いていた。悠元なら深雪を託すに相応しいと思っている節があり、時折彼に深雪の対応を丸投げするようになった。

 四十九院家のトラブルに巻き込まれた折、2丁銃の天刃霊装『交差する機械仕掛けの運命(クロス・エクセリオン)』を発現する。天魔抜刀形態は『トライデント・エクセリオン』。

 パラサイト事件の折、達也自身と似たような境遇に置かれているリーナと知り合い、彼女に恋慕のよう感情を見せることになる。四葉家慶春会の直前、真夜から四葉真夜の実子であることが明かされ、四葉家次期当主としての指名を受ける。

 

司波 深雪(しば みゆき)

 原作ヒロイン。学年は1年A組(入学編)→2年A組(ダブルセブン編)。年齢は15歳(入学編)→16歳(ダブルセブン編)。

 沖縄での一件で悠元と知り合う。彼との関わりで達也だけでなく、母である深夜や知り合いである穂波にも影響を与え、彼女もその影響を強く受けた一人。

 悠元に対して達也と同じレベルの敬愛を見せつつも、どこか恋愛感情のようなものを見え隠れさせている。本人は恋愛感情ではないと言い張っているが、悠元からの言葉に動揺したり頬を赤らめたりすることが多い。

 沖縄防衛戦後、達也に掛けられた[誓約]の影響で、自分の魔法を制御しきれずに暴走させてしまうようになる。

 周囲(主に雫)の変化に触発される形だが、九校戦前の練習期間を境として悠元に対する感情を見つめ直すことになった。ただ、本人の恋愛観が偏っている(家族における恋愛事情が歪過ぎる)というのもあって、常識では考えられないような思考に行き着くことも。

 九校戦編で悠元に対する恋愛感情を自覚し、千姫の提案を受ける形で神楽坂家次期当主の婚約序列第一位に選ばれる。神将会第六席に選ばれ、総長となる悠元の補佐を担うこととなる。

 四葉家の慶春会において、悠元が問い質した四葉分家の罪と引き換えにする形で嫁ぐことになった(達也曰く『もはや茶番』)。

 天刃霊装は2連装マグナムを内蔵した二刀流の小太刀『宵時雨(よいしぐれ)』。天魔抜刀形態は『江雪佐文字時雨(こうせつさもんじしぐれ)』。

 

司波 深夜(しば みや)

 達也と深雪の母親。沖縄での一件で悠元と知り合い、彼から『領域強化』を受けることによって病気も完治。更に、剛三の手紙によって妹である真夜との関係も修復傾向に転じた。沖縄防衛戦後、達也を四葉のガーディアンではなく自分の息子として扱いつつも、戦略級魔法の無秩序的使用を避けるために『誓約』を掛けた。

 悠元のことがいたく気に入ったようで、将来は深雪の婿に迎えようとあれこれ手を尽くしていて、FLTの株主提案はその一環。尤も、あわよくば愛人的なポジションでそのお零れを貰おうとしている、と双子の妹である真夜は推察している。

 魔法師としての能力は[領域強化]によって全盛期以上のものに強化される形となった(その影響で外見が20代半ばにまで若返った)が、悠元の非凡さを鑑みて伊豆の別荘で療養という名の隠居生活を送るようになる。彼女のガーディアンをしていた穂波の後任者は既に彼女の世話役として付いている。

 パラサイト事件で神楽坂本家に保護され、そのままの流れで当主の使用人兼愛人として働くこととなる。

 

桜井 穂波(さくらい ほなみ)

 深夜のガーディアン。沖縄での一件で元治と知り合う。彼が恩納空軍基地でアンティナイトを持った兵士を気絶させ、それが結果的に深夜を救ったことによって、ガーディアンである自分に対しての不甲斐無さと彼に対する興味を抱く形となった。自身を調整体だと明かしたにも拘らず、元治からの告白を受けた。

 その後、悠元の『領域強化』によって調整体本来の問題をクリアしたため、剛三経由で渡辺家の養女となって元治に嫁いだ。元治とは三矢本家で仲睦まじく暮らしている模様(婚約や結婚のことは四葉家経由で達也と深雪にも知らされている)。元治の母である詩歩からは孫の顔が見たいとせがまれている。

 

司波 龍郎(しば たつろう)

 達也と深雪の父親。フォア・リーブス・テクノロジーの開発本部長をしている。椎原辰郎(しいばらたつろう)というビジネスネームを使用している。 深夜とは2094年に離婚が成立し、達也と深雪の親権自体は深夜が握る形となる。その半年後に愛人であった古葉小百合と再婚している。

 

 

<十師族・五輪家>

 魔法技能師開発第五研究所で開発された魔法師の一族で、十師族に選ばれる資格を持つ二十八家の一つ。十師族の一角を占めているが、その地位は五輪澪という戦略級魔法師を抱えている事実に支えられている側面が強い。四国地方を監視・守護している。現当主は五輪勇海。

 

五輪 澪(いつわ みお)

 五輪家長女で、日本が公表している唯一の戦略級魔法師で「十三使徒」の一人。

 年齢は23歳(追憶編)→25歳(入学編)。

 身長約153cmで少女のような容姿。肉体面はかなり虚弱。20歳を過ぎた頃から体力の消耗を抑える為、動力付の車椅子を常用している。悠元の治療によって肉体面が改善されて健常者と変わりなくなるが、悠元の功績を隠す意味で車椅子はそのまま使っている。

 悠元が見舞いの土産ということで持参してくる手作りの菓子や料理の被害をかなり受けており、彼に対して対抗心と嫉妬と恋愛感情が複雑に入り乱れた表情を見せることが多い(雫や姫梨からは明らかな恋慕であると見抜かれている)。

 横浜事変後に示威行為も含めての海軍出兵に同行し、五輪本家に出戻る形となっていたが、2097年に東京への召喚命令を受け、そのまま悠元の婚約者として立候補した。

 

<十師族・六塚家>

 魔法技能師開発第六研究所で開発された魔法師の一族で、十師族に選ばれる資格を持つ二十八家の一つ。熱を操る魔法師の家系である。東北地方を監視、守護している。

 

六塚 燈也(むつづか とうや)

 六塚家長男。年齢は15歳(入学編)で、誕生日は10月8日。

 学年は1年A組(入学編)→2年E組(ダブルセブン編)。

 六塚家現当主である六塚温子の遺伝子をベースに生まれた調整体だが、何の因果か普通の人間と同等の寿命を得た。魔法技能師開発第六研究所の実験体として過酷な実験を受けていたことに反発して脱走。その先で温子と出会い、六塚家に養子として迎えられる。第一高校への入学を進めている際にトラブルに巻き込まれ、その際に西城レオンハルトと出会う。

 固有魔法である精神干渉系魔法『絶氷の業炎(ニブルヘイム・フレア)』を含めて熱量操作系統に長けているが、その反面他の系統魔法の発動スピードは一流の魔法師の目安とされる300ms台のレベルを切る程度(先述の魔法では200msを切るレベル)。

 遺伝子ベースの影響で男性でありながら女性のような容姿を持ち、男らしさを磨くために体力トレーニングの一環で山岳部に入る。4月のブランシュ襲撃の一件で五十嵐亜実と付き合うようになる。第三高校の吉祥寺真紅郎とは2092年の新ソ連による佐渡侵攻で偶発的に知り合い、女性扱いされたことを根に持っている。

 パラサイト事件の際に救ったミカエラ・ホンゴウに惚れられ、亜実のこともあってなし崩し的に妻として受け入れる形になった。それを認める意味で温子から正式に六塚家次期当主として指名されることとなる。

 

七草 泉美(さえぐさ いずみ)→六塚 泉美(むつづか いずみ)

 七草家三女。年齢は14歳(入学編)で、香澄とは一卵性双生児の関係にある。

 悠元とは香澄と泉美の誕生日パーティーで知り合い、その時に一目惚れした。その後、悠元とは婚約関係を結んでいたのだが、国防軍関係のことで三矢家(上泉家)の逆鱗に触れ、婚約が解消された経緯がある。

 父である弘一からは可愛がられているが、先述の経緯もあってか本人は弘一に対して反抗するような態度を見せることがある。真由美の作ったチョコの味見の犠牲者その2で、泉美はそれを「恨みが込められたとしか思えないチョコのような何か」と評していた。

 『恒星炉』証明実験の後、秘密裏に婚約が復活したことを弘一から知らされるも、喜ぶどころか睨み、最終的には弘一を魔法で気絶させるほどに父親に対する評価が冷え切っていた。

 悠元との婚約が確定次第、六塚温子の養女として引き取られることが決まっている。

 

アンジェリーナ・クドウ・シールズ→六塚 理奈(むつづか りな)

 九島健とジョーリッジ・D・トランプ大統領を祖父に持つシールズ家長女。エクセリアとは双子の姉妹関係にある。

 魔法師としての資質はピカ一で、USNA軍魔法師部隊『スターズ』の総隊長に許された“シリウス”のコードを受け継ぐものの、年齢や経験故のためにお飾り状態となりながらも[十三使徒]アンジー・シリウスとして活動している最中に達也と出会い、[パラサイト]事件を通して達也に恋慕する。

 達也の婚約者募集に際して日本に来たものの、今度は自分に対する裏切りの嫌疑を掛けられる羽目となり、エクセリアに続いて日本人に帰化する意思を固める。六塚家の養子として引き取られる形となる為、燈也や先に養子となった泉美と兄妹・姉妹の関係となる。

 魔法以外はポンコツとエクセリアに酷評される始末であり、その都度双子の妹に関節技を掛けられている。

 

<十師族・七草家>

 魔法技能師開発第七研究所で開発された魔法師の一族で、十師族に選ばれる資格を持つ二十八家の一つ。元々は魔法技能師開発第三研究所の最終実験体で、三枝(さえぐさ)の名を与えられていたが、魔法技能師開発第七研究所に移管された時に七草になった。

 入学編開始時点では十師族の中で三矢家や四葉家と並び最有力とされている一族。十師族の主導的地位を争う地位にある。十文字家と共に伊豆を含む関東を監視、守護している。

 不得意とする系統が無いことを以て、逆説的に「万能」と呼ばれたりする。社交的な家柄で子供たちの誕生日パーティも盛大に招待客を呼んで祝っている。現当主は七草弘一。

 

 七草 香澄(さえぐさ かすみ)

 七草家次女。年齢は14歳(入学編)で、泉美とは一卵性双生児の関係にある。

 悠元に対して恋愛感情はないが、本当の兄のように慕っている(泉美の機嫌を損ねたくないという本音も見え隠れしている)。そのため、バレンタインのチョコは市販の義理チョコにしている。姉である真由美の作ったチョコの味見の犠牲者その1でもある。

 悠元とは香澄と泉美の誕生日パーティーで知り合い、最初は悠元に対して少し警戒したが、七草家と積極的に誼を結ぼうとしない悠元に疑問を持って関わりを持った。その際に双子の妹から睨まれる事態となり、恋愛感情は持たないと心に決めた。

 

 

<十師族・十文字家>

 魔法技能師開発第十研究所で開発された魔法師の一族で、十師族に選ばれる資格を持つ二十八家の一つ。国家の最終防壁の役割を与えられており、『鉄壁』の二つ名を持つ。

 七草家と共に伊豆を含む関東を監視、守護している。現当主は十文字和樹(~師族会議編)、十文字克人(師族会議編~)

 

十文字 理璃(じゅうもんじ りり)

 年齢は15歳(ダブルセブン編)。元々の姓は蘇我(そが)で、母が十文字和樹の実妹にあたる。南盾島の事件で両親がスターズに殺され、その経緯を知った十文字家に引き取られた。

 十文字家の固有魔法である[ファランクス]を知識が不十分ながらも使いこなし、[オーバークロック]なしでも克人と渡り合えるほどの資質を持つ。軍人の家系に育てられていたので日頃から体を鍛えることに余念がなく、普通の男性でも難しい200キログラムのバーベルによるトレーニングをこなすスペックを有する。

 古都内乱編で九島光宣に一目惚れし、周囲の後押しもあって光宣と付き合うようになる辺りは年相応の女子らしい側面が見られる。慌てると周りが見えなくなってドジを踏んだりすることが多い。なお、被害を食らうのは自分だけで、周りに心配はされても一切迷惑を掛けない。

 1年生の時点で騒がしいクラスを掌握しており、クラス委員長もとい将来の学校三役筆頭候補として名が挙がっている。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。