魔法科高校の『触れ得ざる者』   作:那珂之川

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ストックが思ったよりも溜まったので、連続投稿。


悠元の“夢”

 フランスはまだしも、ドイツからすれば世界的な魔工メーカーのローゼン・マギクラフト絡みで日本との問題を起こした加害者。ルーカス・ローゼンの名誉回復はバスティアン・ローゼンの遺言通りに進められ、国防軍の基地内で騒ぎを起こしたローゼン・マギクラフトに対して関係者の厳罰な処罰を求めた。無論、それが遠因で自国内の反魔法主義勢力が力を増した。

 

 そして、自国で覚醒した新たな戦略級魔法師であるハンス・エルンスト・ルーデル。新ソ連からのヘイトを避ける意味合いとSSAへの売り込みという形で送り出したことで、こうやって日本との会談を漕ぎ着ける立場になっただけであり、クルト自身が働きかけをした訳ではない。

 その辺を察したのか、悠元が声を掛けた。

 

「シュミット首相閣下。ローゼンの件は既に当事者間と決着がついたことです。それに、今後問題が起きても当事者間の示談となるように手を尽くします」

「それは……正直、頭が上がらない思いで一杯です」

 

 クルトはカーラ・シュミットの従兄にあたるが、彼女のように魔法資質を有していないがために政治家への道を進むことが出来た。最近勢力を増す魔法師に対する人権抑制を掲げる勢力に頭を抱えつつ国家の舵取りをしている彼からすれば、今回の申し出はまさに“藁をも掴む”ようなものであった。

 

「さて、本題に入りましょうか。トライローズ・エレクトロニクスは日本政府の要請に応じる形で[恒星炉]の技術輸出に向けた準備を進めております。その足掛かりとして、フランスとドイツには東西EUを統一して頂きたい」

「なっ!?」

「これは……かなり大掛かりなことですな。神楽坂殿、その根拠をお教え願いたい」

 

 悠元が述べた要求に対し、クルトは驚きを隠せず、一方でヴィクターは考え込む素振りを見せた。第三次大戦によって分裂した東西EUを再編し、かつてのローマ帝国のような統合国家を欧州に形成する。長い歴史の中で古代にしか存在しえなかったものを形にするのは容易な事ではない。

 

「現状進められているディオーネー計画はUSNA、新ソ連、そしてイギリスが名目上の主導を握っております。ですが、我が国はUSNAと軍事同盟の関係にあると言えども、その誼に殉じる意味はございません。問題なのは、万が一ディオーネー計画が頓挫した場合の責任問題がどこに飛び火するか不透明なことにあります」

 

 なまじ二大国に加えて国際魔法協会の本部があるイギリスが参加している為、欧州諸国の大半はなし崩し的に参加を検討している側面がある。もし、ここで計画が立ち行かなくなった時に利害調整を誰が担うのかという問題にもなってくる。

 

「今年の新ソ連の軍事行動を見る限り、ディオーネー計画を本当に推し進めたいと新ソ連政府が考えているのか不明です。そして、彼らが仮に暴走したとして、そのとばっちりが欧州にまで影響してくる可能性は低くありません」

「成程、我々に新ソ連へ対抗できるだけの下地―――言うなれば、『新生欧州連合』をフランスとドイツ主導で形成してほしいということですな?」

「無論、こちらもタダでとは申しません。その先駆けとして燃料発電用水素ガスの輸出枠と水素燃料発電の技術輸出を行います。対象はフランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャ、そしてEUには含まれていませんが、トルコにも打診する予定です」

 

 水素ガスを用いた燃料発電システムは元々独立したシステムとして構築しており、その後に[恒星炉]を導入すればそのまま生かすことも可能。水素ガスの輸出量は減るが、その代わりに[恒星炉]のライセンス料を支払ってもらう形で技術供与を行う。人造レリックに関する部分はその要となるもの。

 今回の対象はスエズ運河を経由して地中海沿岸に運び入れることを想定してのものであり、予め東南アジア同盟、インド・ペルシア連邦、アラブ同盟とアフリカ連邦に話は通している。

 

「更に、今後USNAでひと騒動起きる可能性が極めて高く、現在当該国に滞在している魔法師たちがフランスを経由する形で日本に帰るプランを考えておりますが、その際に欧州各国で跋扈している反魔法主義の結社を潰す様に依頼します」

「そこまでしていただけると……セナード大統領」

「そうですな、シュミット首相。これは、断る理由はありません。神楽坂殿、我がフランスも貴方と司波氏が進めている魔法核融合炉プロジェクトに賛同させていただきます。そして、必ずやイギリスに一泡吹かせてみせます」

 

 [恒星炉]の技術輸出に加え、その先駆けとして水素エネルギーの輸出だけでなく水素発電の技術供与。更には、大陸諸国で暗躍している反魔法主義の結社を潰して、魔法師への風当たりを抑制するという申し出。

 東洋の島国が大国の圧力に屈することなく独自の路線を進んでいる以上、それに負けていては伝統ある欧州の国家として名折れに等しくなる。ヴィクターは座ったまま深く頭を下げた。それを見たクルトも静かに頭を下げた後で述べる。

 

「本来、ローゼン・マギクラフトの件で貴方の機嫌を損ねるような真似をしたにもかかわらず、この場に招待いただけただけでなく、そこまで買っていただけるならば東EUの諸国を説き伏せて欧州連合の再結集を必ずや成し遂げてみせます。我がドイツも貴方と司波氏のプロジェクトに賛同いたします」

「……分かりました。貴方方の決意は結果を以て見届けさせていただきます」

 

 第三者から見れば、未だ十代の少年にいい歳の大人たちが頭を下げるという不思議な光景。だが、ここにいる三人は悠元がどういった存在なのかを良く知るからこそ、まるで年上の人間を相手にしているかのように振舞った。

 三人に対して『折角ですから、日本観光でもしていってください』と労いの声を掛け、各々護衛や通訳を連れて出ていき、部屋には悠元一人となったところで深く椅子に座る様に凭れ掛かった。

 

「……自分が蒔いた種だが、エドワード・クラークと直接対話する羽目にならなかっただけマシか」

 

 大方、今頃会談している達也から『悠元と交渉できないか』と言われている可能性もあっただけに、それを回避できたことは大きかった。余りにもしつこい場合は保有している米国債の半分―――50兆円分を今すぐにでも売却する構えを見せるつもりだっただけに。

 すると、部屋の隅からひょっこりと顔を見せて近付く姿に気付いて、悠元が声を発する。

 

「ご足労を掛けたな、深雪」

「いえ、先程まで交渉されていた悠元さんほどではありませんよ。先程お兄様からメールが来まして、きっぱりとお断りしたそうです」

「そうか……」

 

 深雪からのメールによると、エドワード・クラークが直球を投げかける形となったが、達也は『STEP』計画への参加を理由に固辞した。日本魔法協会の面子を完全に潰した形だが、先日達也の別荘を見張っていた件からして“自業自得”だろう。達也からすればどこ吹く風と言わんばかりのものでしかないが。

 深雪はそのまま悠元の隣の空いている椅子に腰かけて、悠元に視線を向けた上で問いかける。

 

「これで、ディオーネー計画へ参加する心配はなくなったとみていいのでしょうか?」

「そうなってくれるのが一番だが、連中には前科があるからな」

 

 USNAの前身となる旧合衆国時代に遡る話だが、第二次大戦前に日本へ幾度となく無茶苦茶な持論を振り翳して、最終的に戦争参加への口実に利用した事実がある。そもそも、当初の入植者の大半は欧州系の人間が多いため、その意味で欧州系白人の気質が更に先鋭化したといっても過言だと言えない側面がある。

 力を向けられるのが怖いのならば、欲するものを与えることで相手の機嫌を取ればいいのに、この辺は古来の人種差別に端を発した気質がどうしても拭い去れない。長年に渡って恨みや妬みも混じったプライドという部分は時間を以てしても解消されない事実は、東シナ海を挟んで日本の西側にある大陸国家がその代表例。

 

「今講じている策も、まだ当人たちの面子を潰しているだけのもの。これで諦めないというのならば、次は当人たちの社会的地位を完全に潰す策を講じる。対象はエドワード・クラークにレイモンド・クラーク、イーゴリ・アンドレイビッチ・ベゾブラゾフにウィリアム・マクロードの四人には死ぬよりも辛い目に遭わせてやる」

 

 前者の父子についてはUSNAに責任を負ってもらい、後者の[十三使徒]についてはベゾブラゾフの戦略級魔法[トゥマーン・ボンバ]の新ソ連内における信頼を破壊する。そして、もう一つの戦略級魔法[オゾンサークル]についてだが、フランスとドイツに新たな戦略級魔法の起動式を一つ提供することでEU諸国内での[オゾンサークル]の相対価値を下げるのが狙い。

 その魔法の名は[氷河期(グレイシャル・エイジ)]―――本来は深雪の戦略級魔法となるはずだった魔法を悠元が改良した代物で、[オゾンサークル]や[トゥマーン・ボンバ]を見据えた相転移分子凍結魔法。そして、この魔法は先んじて剛三が鍛え上げた[ドラキュラ]と呼ばれる少女に渡している。

 使わずに済めば越したことはないが、相手が相手なだけに意固地となって攻撃してくる可能性は捨てきれない。そう思いつつ悠元は静かに立ち上がったので、深雪もそれを見て静かに立ち上がって悠元の隣に立つ。

 

「さて、今日の用事は終わったから帰ろうか」

「畏まりました、ご主人様」

「……せめてこういった場所では遠慮しような」

 

 この部屋には悠元と深雪しかいなくとも、公の場である以上はせめて控えてほしい……という儚い願いを込めて呟きつつ、二人は揃って部屋を後にした。

 

  ◇ ◇ ◇

 

 そして、翌日の日曜日。雫には先んじる形で北山家の屋敷に行かせた(実家なので“帰らせた”という表現の方がいいのかもしれないが)あと、昼食までマンションでゆっくりと過ごしてから神楽坂家のリムジンで北山家の屋敷に出向いた。

 先日の悠元と潮の会談はあくまでも元老院四大老と国内のいち財閥グループのトップの会合であり、今回はトライローズ・エレクトロニクスのトップとして出向くため、体面上は新興企業のトップが出向く形を取った。

 とはいえ、潮からすれば娘婿が国内でもトップクラスの企業グループを有する実業家となるため、雫の絡みで訪れた時よりも更に丁重なことになっているのに対して、どう反応していいのか分からなかった。

 

 潮がSTEP計画に賛同してくれることも、財界からの申し出を引き受ける窓口となることも確約してくれた。今回の会談はより踏み込んだ部分―――全スキームを事業化させる際に伴うプラントの建設費や運営費の試算について、潮との会談で出すこととなった。

 

「これが、現時点での試算となります。物価や法定時給などの時勢による変動は発生いたしますが、誤差は大体5パーセント以内に収まると見込んでおります」

「いや、現時点でここまで出ているとなれば、こちらとしても財界での交渉材料として使えるだけに助かるよ。ついては、グループ内に海水中の資源採集を研究している会社も参画させたいが、構わないかな?」

「はい。当社の機密に関する情報管理事項を遵守して頂ければ問題ありません」

 

 高校生という身分ながら、経済や工業技術などの知識は大の大人ですら感服させてしまうほどの頭脳を有する悠元。前世で得た夢の実現への武器を最大限に駆使しているわけだが、悠元の倍以上を生きている潮からすれば、娘の相手がここまで“出来ている”というのは父親として嬉しく思えてしまった。

 そして、STEP計画に関する話を終えたところで悠元から話を切り出した。

 

「そういえば、雫はどちらに? てっきり同席するものかと思っておりましたが」

「娘は今、留学していた頃に知り合った男子学生の相手をしていてね。昨日いきなり会いたいと申し出てきて断ろうかと思ったんだが、無碍にも出来なくてね。君たちにも無関係の人間ではない」

「その男子学生の名は?」

「彼の名は、レイモンド・クラークと言うらしい」

 

 レイモンドが雫に会いたいと申し出ていたのは雫経由で聞いていて、下手に断るよりは受けた上で現実を見せた方が早いと判断して、雫に『偶には家に帰って家族と団欒を過ごす時間位過ごしても罰は当たらないから』と言い含めた上で北山家の屋敷に行かせた経緯がある。

 悠元としては別に問題ないが、そう決意した上で達也と深雪をみやった。

 

「なら、会ってやるか。達也に深雪はどうする?」

「俺も行こう」

「私も同席します」

 

 三人のやり取りを聞き終えた上で、潮が使用人に命じて三人を雫がいる場所に案内させた。案内された先は雫の部屋ではなくティールームで、流石に嫁入りが決まっている北山家の令嬢を悠元以外の男性と二人きりで過ごさせるわけにはいかなかったが故の配慮なのだろう。

 

「雫、失礼してもいいかしら」

「深雪……うん、どうぞ」

 

 深雪が率先する形で声を掛けると、雫の目線が廊下に向けられる。その表情にはどこか安堵のようなものが垣間見えていた。

 

「二人きりを邪魔して悪いな、レイモンド・クラーク」

「それは皮肉にしか聞こえんぞ、達也。同席させてもらってもいいか?」

「司波達也に神楽坂悠元……うん、どうぞどうぞ」

 

 深雪と達也、そして悠元の乱入に戸惑う素振りを見せたが、すぐに気持ちを切り替えるように三人を招き入れる姿勢を見せた。

 

「達也とは昨日ゆっくり話が出来なかったし、悠元とは一切話す機会が無かったからね」

「達也はまだしも、俺に何の用だ? 何をされようとも何も出てこないぞ」

 

 雫を口説いていたのではないか? とも訝しんだが、レイモンドの興味が移ったことに対してあまり追及されないように皮肉を込めて呟く。それまでレイモンドの正面に座っていた雫のところに悠元が座り、その両側を固める形で雫と深雪が座り、深雪の隣に達也が座る形となった。

 

「何せ、君の考えや想いは一切分からなかったからね。ねえ、悠元。あの計画の“ステップ”はどういう意味なのかな?」

 

 パラサイト事件の時に言い放った[殲滅神(エクスキューショナー)]みたいな呼び方をしたら一発どついてやろうかと思ったが、それに比べれば馴れ馴れしい呼び方をされる方がマシと判断して、レイモンドの問いかけに対して答える。

 

「今ここでハッキリと言ってやった方がいいか? 最悪の可能性を回避するための一歩だということを」

「その口ぶりからすると、本気みたいだね」

「福利厚生はおろか、魔法師の労働環境がブラック企業よりも真っ黒の想定しか出来ないディオーネー計画に参加なんかできるか、って次元の話だ」

 

 元々達也の戦略級魔法を本土に向けられたくなくて立案されたものなだけに、見通しだけでなく魔法師の扱いにも細心の注意を払う気が一切見られない。命と隣り合わせが不可避となる危険な環境での仕事など、それこそブラック企業ですら“まだマシ”扱いになってしまう。

 

「酷い事を言ってくれるじゃないか」

「だが、事実だろう? この地球ですら各地に人類が定住するまで数千年はザラに掛かってるんだ。金星のテラフォーミングだけでも百年単位なんて、現世代だけでは到底不可能なことだ」

 

 別に夢を見ること自体を否定はしない。だが、一つの惑星を魔法でテラフォーミングするとしても数世代に渡るのが確定事項となる。そんな気が遠くなるような年数が掛かる計画に参加しても、自分自身が納得できなくなる。

 

「別に宇宙に夢やロマンを追い求めること自体にケチをつけるつもりはないし、お前が本心から父親の推進するディオーネー計画に協力するなら、お前の好きにすればいい話だ」

「……まるで、他人の夢に興味がない言い方をするね」

「人間の夢はロボットのように画一的じゃないからな。同じ夢を見る奴がいれば同じように追いかければいいし、違う夢を見てはいけない権利など誰にも存在しないのだから。その意味で、俺の夢はお前の夢と違うが」

「へぇ、参考までに聞いていいかな?」

 

 悠元の持つ夢。それに興味が出たのか、好奇心で尋ねるレイモンド。その問いかけに対して、悠元は無意識的に抑えていた気配を出した上で言い放つ。

 

「これまで夢を見出せなかった者達が夢を見れる世界。諦めることしかできなかった人々に“諦めなくてもいい”と思わせる世界。その世界を実現させられる国家形成の為、俺は護国の力となることを決めた」

 

 前世で諦めたものや妥協したものは数え切れず、とりわけ身近に世界的な有名人が二人も出たことから命を狙われたり誘拐紛いの経験も数え切れなかった。だが、迷惑を掛けたくなくて警察の人に幾度も頭を下げた。

 『被害者だというのに、そこまでする必要があるのか』と問われるだろうが、身内に要らぬ心配を掛けたくないが故のお節介に近かった。

 

 そんな経験をする人間をこの世界で見たくなどない。

 

 かつて自分が受けた過去を誰かがそんな目に遭うことは許さない。

 

 全てを救う事など一人で出来る範疇に無いため、せめて手の届く範囲で守り切る。

 

 自分が叶えたい世界を実現させる邪魔をするのならば、誰であろうとも排除する。

 

「改めて言わせてもらう。お前が夢やロマンを求めて宇宙に飛び出したければ好きにしろ。だが、お前の夢に俺や達也だけでなく、世界まで巻き込むのはお門違いの話だ。お前にこれ以上話す口は持たないから、とっとと帰って父親にこう言っておけ。『魔法だけを見て魔法師の為人を考慮しないどころか、日本に敵意を隠そうともしない戦略級魔法師と手を組む人間と話す気になど到底ならない』とな」

「……」

 

 達也がクラーク父子に対して明確な参加の拒絶をしたのならば、悠元がレイモンドに言い放ったのは純然たる事実の提示。そしてそれは、仮にUSNAそのものやディオーネー計画に賛同している新ソ連とイギリスが敵に回ったとしても一向に構わない、という意思表示を込めてのもの。

 どうせ、最後の手段として悠元や達也を暗殺しようと目論むだろうが、その時は暗殺部隊を完膚なきまでに叩きのめすだけでなく、黒幕全ての情報を全世界に公表して面子を完全に潰す。戦略級魔法を使った場合は、相手が[十三使徒]だろうと殺す。こちらを殺すということは、当然殺される覚悟を以て行うことであり、これで逆上したら金融・経済面を含めての報復も辞さない。

 

 悠元は一切殺意を込めていないにもかかわらず、レイモンドに出来た反応は顔を蒼褪めさせるのが関の山であった。

 




 ディオーネー計画の面子潰しとして、リアル世界でのイギリス離脱を模した形でのEU再統合。更に、原作では深雪の戦略級魔法として使われた魔法を欧州の護りとして提供。深雪は既に[氷結六花(ダイアモンド・ダスト)]を有している為、特段問題は無いと判断した次第です。

 そして、レイモンドとの話し合いは余計なことを言わせずに一蹴させました。人類の未来とか言っておきながら、その負担を魔法師のみに押し付ければどうなるかなど分かり切っている筈なのに、その最悪の未来を無視している時点で誰かを追い出したいという目的にしか見えないと思います……普通なら。

 魔法科高校の世界の日本でも貧民の表現があるとすれば、USNAなんて人口比で言えば数倍以上の貧民がいても不思議ではないでしょうし、そういった人たちを騙して宇宙開発に参加させることで使い潰すという可能性もあったりしますが。

 そんな国内情勢を放置して魔法の平和利用を考えるぐらいなら、魔法を悪事に利用する連中を根こそぎ排除する役目としてスターズに頑張ってもらえばいいのに、ベーリング海の一件で躊躇っているとしか思えません。

 国内の暴動には穏便に事を済ませようとするのに、国外のことには過激な手を使う……典型的な内弁慶ですね。まあ、魔法に対する恐怖を持たれたくないのも分からなくはないですが、それこそ政府の仕事だと思うのですが。
 それが容易に出来なくなったのがUSNAの特異性でありますし、ディオーネー計画によって迂闊に切ることも難しくなったUSNAですが、困難はまだ続きます。

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