魔法科高校の『触れ得ざる者』   作:那珂之川

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出世欲を諦めた大天狗の憂鬱

―――風間(かざま)玄信(はるのぶ)

 

 国防陸軍に従事する古式魔法[天狗術(てんぐじゅつ)]の使い手である軍人魔法師。過去、大越(だいえつ)戦争(せんそう)において独断で投入され、ゲリラ戦を通して大亜連合の侵攻を食い止めた実績を有する。

 その功績を以て国内外から『大天狗(だいてんぐ)』と呼ばれているが、その代償として国防軍士官としての出世を止められてしまった。長いこと不遇を強いられてきた訳だが、風間はそのことに対して、異を唱えることはしなかった。

 

 その転機が来たのは5年前の沖縄防衛戦。当時臨時の方面部隊指揮官として参戦しつつ、二人の戦略級魔法師の誕生を目の当たりにした当事者。その後、大越戦争で縁があった佐伯広海少将の招集で魔法実験部隊『独立魔装大隊』の大隊長となった。

 風間自身のこれまでの経緯もあったものの、大隊に転属してからは順調に昇進している。ただ、それによる昇給の度合いは同期と比較して少なかったが、元々が元々なので特に気にすることも無ければ、そこまで贅沢する性分でもないため、普段の生活も彼の実直な性格が反映されて機能面を必要最低限に揃えた程度のものとなっていた。

 

 その彼は、霞ヶ浦基地に宛がわれた大隊長執務室―――将来の連隊指揮官室にいた。この部屋は元々第101旅団長の執務室として使われたが、第101旅団の転属に伴って全ての管理権限が風間に譲渡されている。

 風間は一枚の紙を見つめていたが、それをデスクの上に置いたところでコールの音が鳴った。

 

『隊長、藤林です』

「―――入ってくれ」

「失礼します」

 

 独立魔装大隊の構成メンバーは変更されず、貴重な魔法師戦力が第101旅団に持っていかれるという事態は蘇我大将が差し止めた。曰く『煽る必要もない』とのことだ。なお、第101旅団は北海道への出立の為に朝の段階で座間基地へ向けて出発した。

 

「第101旅団、座間基地に到着しました。予定では本日夕方に北海道へ移動が完了するとのことです」

「……そうか。ご苦労だった」

「いえ、大した苦労ではありません」

 

 悠元に叩きのめされ、蘇我によって佐伯のこれまでの所業を垣間見た時、風間としては佐伯との縁を切ることしか選択肢が無かった。そのため、第101旅団の見送りには姿を見せず、響子を代理として遣わせることにした。

 

「今後は統合軍令部()()()()直轄部隊の連隊長とはな。出世などとうに諦めていたようなものだが、ここにきて将校に名を連ねるのは正直驚きしかない」

「悠元君や達也君に関わったのが運の尽きでしょうね」

「それを言わないでくれ……」

 

 悠元と達也が霞ヶ浦基地を訪れた翌日、防衛省庁舎内の国防陸軍最高司令官室にて風間は蘇我から辞令を交付された。

 独立魔装大隊は、7月9日付を以て統合軍令部副司令官に任ぜられた上条達三“大将”直下の魔法師部隊となり、風間の上司に悠元が立つという状況を国防三軍ひいては政府が認めた。そして、彼の管理下には大黒竜也特尉もとい達也がいるため、達也と風間は実質的に対等の立場となった。

 

「悠元もとうとう非常任職ではなく、常任職の階級に置かれたようだな。尤も、彼からすれば国防軍の派閥争いなど『時間と労力の無駄』だと切り捨てるだろうが」

「ですが、周辺の大国の存在を鑑みれば、彼の言い分は正しく正論でもあります」

「確かにな……」

 

 これまで表立った常任の役職を有さなかった悠元が常任の軍人将校となる―――それは、来年2月の誕生日を迎えれば、彼も国防軍としての軍籍を隠す必要が無くなるため。なお、これまで上条達三として通していた軍籍の氏名は、紆余曲折あって“三矢悠元”に落ち着くのが決まった。

 今名乗っている姓ではない理由は、過去神楽坂家において軍人になった当主はいるものの、そのいずれも神楽坂の名を出さずに所縁のある姓を名乗るのが仕来りだった。その為、悠元も元実家である三矢の姓を名乗ることにした。

 なお、その許可を取りに三矢家へ赴いたところ、現当主・三矢元が苦笑を滲ませていたことは蘇我に同行していた風間もよく憶えていた。

 

「むしろ、『給料の使い道に困る』とぼやいていたほどです。これは達也君から聞いた話ですが、USNAや欧州大手の航空機メーカーのライセンスを買収した挙句、その技術を元手に日本で国産の航空機メーカーを立ち上げるそうです。噂では早速欧州から問い合わせを受けているそうで」

「……剛三殿も大概と思っていたが、悠元はその血を見事に受け継いでいたようだな」

 

 現状では不明だが、将来的には[恒星炉]で得た水素燃料をベースとした旅客機や輸送機まで見据えての国産飛行機メーカーの設立。国家予算クラスを捻出できる悠元だからこその“力業”だった。

 話が脱線したため、風間がわざとらしく咳払いをする。

 

「コホン。それで藤林、達也のほうに話は出来たのか?」

「はい。彼も『悠元の指揮下ならば異存はない』と述べていまして」

「成程、そうか……」

 

 大黒竜也特尉―――達也も“司波達也”の名で国防陸軍に正式登録されることとなり、本来曹長や軍曹以下の階級を挟むところだが、彼の戦略級魔法を鑑みて開始時の階級は“少佐”からスタートとなる。奇しくもリーナと同じ階級に宛がわれることとなるわけだが、その事実を風間はおろか響子も知らない。

 四葉の名を使わない理由だが、徒に名を振り翳して恐怖を煽るのは達也の本意ではないことを示す為。それと、四葉の名を大義名分にして増長させないようにするための措置でもあった。これがどこまでの効力を発揮するかは不明だが、その兆候が出た時点で悠元の視界内に入る。その時点で終わることは風間や響子にも理解できていた。

 

「一個人で大軍を滅ぼす存在……だが、彼らが望むものを与えてやれば、敵対することも無い。尤も、それを理解できている人間が少なすぎた……佐伯少将もそうだった」

 

 昨年の九校戦後、佐伯の様子が変わったと明確に気付いたのは先月のイーゴリ・アンドレイビッチ・ベゾブラゾフによる魔法攻撃。本来、日本として新ソ連の攻撃を許容することは許されず、積極的自衛権の行使によって達也の魔法攻撃で牽制することも十分考えられた。

 だが、佐伯の取った手段は風間に監視させるというもの。当時は[トゥマーン・ボンバ]の観測だけだと思っていたが、得られた魔法データを引き渡した時点で、風間は佐伯の目的に達也も含まれていることを感じた。

 

「達也だけならば、まだ知らぬ存ぜぬでいい部分はあったし、互いに利用価値を認め合った上で行動していただろう」

 

 達也の気質からすれば、こちらから対立や不利益を与えるようなことをしなければ、国防軍ひいては国家にとって利のある協力が出来ていたことだろう。だが、そんな風間の想いをぶち壊すかのように佐伯は動いてしまった。

 そして、その彼に不利益を与えるという行為が、悠元を怒らせるに至った。

 

「だが、悠元は違う。国家にとって害を為すと認めたものは、情け容赦なく叩き潰す。単に魔法ではなく、全ての正論と証拠を突き付けて社会的・法的に抹殺している。無論、彼の異質さもあるのだろうが……戦略級魔法抜きでも恐ろしい人間など、私からすれば数えた方が早いレベルの話だ」

「大概は政治家や財界の重鎮レベルの話ですから……祖父から聞いたときは、思わず驚きの声を上げてしまいました」

「それが普通なのだ、藤林」

 

 普通ならば長いこと政財界に君臨している人間が成す様な所業。それを悠元はまだ十代の身で成している。達也なら出自故に分からなくもないが、悠元の元実家である三矢家は()()裏側の人間というには優しい部分も存在する。

 

「師匠も態々『君らに死ぬ覚悟があるというのなら、僕は決して止めないからね』と釘を刺したほどだ。私も彼に『敵対したくない』と公言はしていたが……あの時ほど、死の覚悟を痛感したことはなかった」

「ですが、隊長はこうして生きておられます」

「彼によって()()()()()に過ぎないのだ、藤林」

 

 風間はこれまで国防軍を通して悠元の為人を見てきた。

 味方に対しては優しく、敵に対しては一切の容赦をしない―――それは5年前の沖縄の件で一番分かっていたこと。先日の一件では、彼から殺気を一切感じなかったにせよ、彼の一撃は風間を動けなくするに十分すぎた。

 流石に肉体的なダメージは回復しているし、部下の一人である山中の診断も信用している。だが、風間としては思い出すだけで撃ち込まれた脇腹に再び痛みが走りそうな錯覚がどうにも拭えなかった。

 

「彼を怒らせれば、たとえ相手が大国であろうとも滅ぶだろう。これは佐伯少将にも話さなかったことだが、数年前のアフリカにおける大亜連合軍の壊滅劇や、一時期国防軍内で出回った新ソ連首都方面軍の壊滅の噂は剛三殿と二人で成したことだそうだ」

「……地形すら変えてしまう達也君の戦略級魔法(マテリアル・バースト)がまだ優しく聞こえてしまいますね」

「確かにな」

 

 しかも、別に悠元の側から喧嘩を売った訳ではない。向こうからトラブルを持ち込んで巻き込まれた側として行ったことであり、聞かされた側の風間は「聞かなかったことにしておく」と半ば現実逃避気味に流すことを決意したほど。

 当時はまだ中学生でそのような所業を成したのだ。この時点で新たに戦略級魔法師となった一条将輝とは比較にならないほどのレベルの格差が生じていた。

 

「その彼が今度は民間警備会社―――実質的に民間軍事会社を立ち上げる。国防軍の軍人としては複雑だが、一個人としては歓迎している部分もある」

 

 風間は悠元が提出した民間軍事会社『ヘキサライン・マーセナリーズ』(表向きは民間警備会社の体裁を取り、トライローズ・エレクトロニクスの傘下企業として名を連ねる)の詳細は風間も目を通した。

 従来の魔法師を雇っている企業のやり方だけではなく、魔法資質の優れた人間を中学生の段階から専門的な教育によって育てることも主眼に置かれていた。これは開設されている国立魔法医療大学付属高校からスカウトすることが主体だが、魔法科高校九校の現代魔法の評価に乏しい生徒も雇い入れることも視野に入れている。

 

「私も書類は拝見しましたが、そこまでの見込みがあると?」

「寧ろ、その勝算があったからこそ我々や師族二十八家内での競争を避ける方法を採用したのだろうな」

 

 人的資源を育てるのは時間と金が掛かる。だが、決して疎かにしてはいけない要素。ここで躓けば、将来の国家が滅亡する未来を避けられなくなる。ただでさえ優秀な魔法師を十師族・師補十八家と国防軍で取り合っているような状況を改善するべく、悠元が撃ち込んだ一手は確かに十分効果を発揮し得るものと言えた。

 

「つまり、これまでの魔法力の概念を覆す何かを掴んだ……そう考えている。その一端は第一高校で既に出ているようだからな」

 

 将来の軍人魔法師を確保する意味でも、風間は佐伯を通す形で第一高校に関する情報を聞いていたわけだが、先日の定期考査では驚くべき結果が飛び込んで来た。

 二科生―――入試時に下位100人となった生徒を中心に魔法実技・魔法理論の科目で大幅に点数を伸ばし、総合結果が上位10人を除く11位から110位までを二科生が全て独占するという結果になったと聞いたときは、これまでの常識に対していきなり滝の如き水を頭上から掛けられたような驚きを顔に出したほどだった。

 

「それを教えたのは悠元の姉の一人だが、悠元も大いに関与しているだろう。将来の人材を確保する意味では歓迎したい部分もあるが……こうなると、誰も悠元に対して頭を上げられんだろうな。その意味で九島閣下を超えたとみるべきだろう」

「……」

 

 彼の非常識さをこれまでも味わってきたのは確かだった。だが、こうやって国の利益に直結し得る功績を打ち立てられてしまっては、響子であっても驚きを禁じ得なかったのだった。

 

  ◇ ◇ ◇

 

 そんな話をされているとはいざ知らず、悠元は学校にいた。とはいえ、武道場や図書館ではなく、彼がいたのはカウンセリング室だった。彼と向き合う形で使用人兼愛人であり、第一高校の学校医である安宿(あすか)怜美(さとみ)がタブレットを持ちながら話した後、タブレットを机の上に置いた。

 

「これで定期カウンセリングは終わり。にしても、二人きりならここで迫っても私は受け入れるのに」

「それをやったら歯止めが確実に効かなくなる未来しか見えないんですが?」

 

 ただでさえ、それを平気で言いだしそうな輩が婚約者の中にいるというのに、彼女らを差し置いて愛人を学校の中で抱く行為は御法度すぎる。その噂が広まって婚約者や愛人が増えてしまう未来を抑制する意味でも、悠元は頑なに学校での誘惑を拒否していた。

 

「学校外でも十分すぎますし、こないだまた増えた愛人のことを考えると、肉体的な心配よりも精神的な疲労がマッハで加速しかねません」

「律儀ねえ……言葉遣いも別に丁寧じゃなくてもいいのに。誰も聞いていないのだし」

「物好きな誰かが耳を澄ませている可能性も無くはないので」

 

 学校外(主にマンションや一条家)でのことは、もう諦めた。だが、それでも無責任なことはしないと心に決めており、婚約者たちが成人や社会的立場を確立してからでも遅くはないと思っていた。

 三矢家に限った話で言えば、次期当主の元治が生まれたのは元が28歳頃の話なので、最短でも23歳で父親になるのは師族会議に範囲を広げても割と早い部類に入る。だから、深雪らの同年代組が卒業してから家族設計が本格化しても問題が無いと判断された。

 

 尤も、婚約者たちどころかその親・祖父母世代にまでせがまれているのは色々複雑だが。

 

「そういえば、中止した九校戦を開催する噂が立っているけど、本当にやるの?」

「やりますよ。ただ、時期はずれ込みますが」

 

 元々の予定は8月初めからだったが、情勢の整理に掛かる時間を考慮して10日ほどずれこむこととなる。これでも1週間ぐらい工程を早めているが、これでも安泰とは言えない。更なる保険を掛ける必要は出てくるが、ここについては対策を講じるつもりだ。

 

「昨年と色々立場は違いますが、自分や達也も出ます。というか、出場を認めさせます」

「色々文句を言う人が出てきそうだけれど?」

「努力を尽くさずして喚く人間に魔法師を目指してもらおうとは思いませんので」

 

 辛辣な言い方だが、悠元も達也も人並み以上の努力を重ねて今に至る。いくら十師族の血族と言えども、努力なしに才能が開花することなどない。それは、先日の考査で1位を取った詩奈も同じことが言える。

 大体、これまで表面化していなかっただけで、過去の十師族直系の人間が九校戦に出場して並外れた成績を叩き出していることにも触れなければならない。そうなると、単に四葉家のみならず師族二十八家や護人二家にまで話が波及する。

 

「環境が恵まれていた部分は否定しませんが、その環境を使って努力した結果まで否定される謂れはないので。尤も、新人戦のみの参加となる湘海高等学院の生徒相手に同じことが言えるのかと問いかけたいですが」

 

 その湘海高等学院だが、男女クラウド・ボールだけではあるが他の魔法科高校と遠征試合を組んで悉く打ち負かしている。なお、一高は詩奈が助っ人に入ったことで勝ち、四高は亜夜子によって何とか勝ち、三高は敗北したらしい。流石に三高は愛梨抜きで善戦した方だと思うような結果だと聞いたが。

 

「今はまだ新人戦だけの参加ですが、来年度からは本戦にも参加して総校戦へと体制が変わります。なので、今年が最後の九校戦となります。前人未到の五連覇を果たして有終の美を飾ってやるつもりです」

「ちなみに、一条君と対戦することになった場合は?」

「問答無用で瞬殺します。モノリス・コードで対戦する形になった時は、[攻撃型ファランクス]の雨でも降らせますよ」

 

 なまじ将輝の持つ主要な魔法は威力が“高すぎる”ため、ルールをある程度無視できるアイス・ピラーズ・ブレイクならばまだしも、モノリス・コードでは得意の[爆裂]が使用不可となる。

 威力を落として川などを蒸発させる程度ならばまだしも、フィールド次第では魔法そのものが意味を成さなくなる。そうなると、将輝が使える魔法の選択肢はかなり制限されてしまう。

 『[ファランクス]を使って問題ないのか?』という疑問は生じるだろうが、その術式の根幹技術は三矢家が提供したものであり、それにアリサの件で散々駄々をこねた相手に対しての“意趣返し”も含んでいる。

 

 なお、ダリヤの件について元と詩歩に連絡を取ったが、彼らで色々話し合った結果として『悠元が責任を持って妾として娶る』ということになった。解せぬ。

 アリサが対抗心のように『お兄ちゃんの子どもが欲しい』と主張するようになったことも触れておく。流石に中学生を人妻にしたら倫理的な意味で自分の精神が死ぬ未来しか見えない。

 

 だからこそ、最終ラインの線引きだけは譲れない。意固地だろうが頑固と言われても構わない。そう主張したら茉莉花から『私らをそうやって気遣えるから、どんどんのめり込む気がするな』と言い放ったことと、その後に起きたことは……最早恒例行事と言ってもいいだろう。

 

 決してこの先も慣れるということはないに等しいだろうが。

 

「いっそのこと、大粒の雹を大量に降らせて体力を削る戦法でもいいんですけどね」

「地味に痛い戦法ね……」

 

 余談だが、深雪は達也を今年は“選手”として選出したいという思いがあった。とはいえ、エンジニアの仕事も頼みたい部分もある為、上手く達也の負担を減らす方向にシフトした。その結果、生徒会の準備は今年の九校戦がいつ開催されてもいい様に手はずを整えていたのだった。

 




 実力はあるのに、上司運に恵まれない。功績を出したのに出世は余り望めない。というか、不服な命令を聞けないという時点で軍人としては問題なのに、何故国防軍に入ったのかが全く分からない人物。それが風間玄信。

 大越戦争に介入した時期が大体21~29歳頃(2074年~2082年頃)の話になるのと、長らく留め置かれていた事実を踏まえた場合、二十代で既に尉官クラスの実力を持っていたということになります。ただ、大越戦争で名が売れすぎたことに対し、冷遇という措置を取った。

 そして、対象期間内の2079年に達也が誕生、その翌年に深雪が生まれていることを考えると、大越戦争による日本・大亜連合間の情勢悪化を見越しての対抗策―――という線も考えられなくはないです。その真意を知るのは原作者だけなので、あくまでも可能性の一つでありますが。

 四葉家先代当主の四葉英作は立場的に大越戦争の推移を知る立場にあるでしょうから、彼にとって兄である四葉元造の死を無駄にしないためにも、四葉分家たちの反対を退けてまで、図らずも得た達也の力を四葉家の戦力として鍛える宣言を出した。
 国を護るということは、ひいては四葉家を守ることにも繋がる―――兄が貫いた『人としての尊厳』を無かったことにはできないと思ったが故の苦渋の決断だったかもしれません。

 そんな四葉家の想いを佐伯少将は踏みにじった挙句、あんな条約を持ち出したわけですが、結果的には四葉家の逆襲に遭って左遷させられる“見せしめ”になり果ててしまいました。
 そして、ある意味両者の争いに振り回され続けた風間の構図。表情には出さなかったものの、胃薬を常備していても不思議ではない気がします。

 この辺の考察は自分の主観に基づくものなので、異論は認めます。
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