『戦い』というのものは、決して実弾を必要とはしない。互いに対立している国家や組織などの団体同士が弁舌という言葉の銃弾を以て交渉に当たることも、国家の利を賭けた立派な戦いの一つだ。
そして、そんな戦いというべき発端は、放課後の第一高校のカフェテリアで起きたのだった。
「―――ローテーションを教えてほしいって?」
首を傾げているのは、第一高校3年風紀委員の北山雫。そして、その向かいに座っているのは親友兼クラスメイトにして生徒会会計の光井ほのかだった。二人は家族ぐるみで仲が良く、腐れ縁にも近い幼馴染の関係も持っている。そして、親友から持ち込まれた相談事について、雫は疑問を呈していた。
「う、うん。流石に住んでいる人数の違いもあるけど、どうしてるのかなって。悠元さんに渡しているお弁当のことも有るし」
「成程ね。でも、私が料理できないと早とちりした恨みは忘れない」
「その一言って必要かなあ!?」
現在、悠元は学校に来る頻度も減っているが、学校に来た際は必ず婚約者が用意した弁当を食している。元々は深雪、雫、姫梨、セリアの四人だったが、そこに泉美、真由美、愛梨も加わっている。
それ以外の面子については、現在神坂グループ系列の調理師育成専門学校に在籍する教員の指導によって勉強中。いずれは一条茜もその面子に加わることとなるだろう。
「使用人の人たちが基本的に家事をやってるけど、悠元のお弁当作りは基本的に私たちの仕事。というか、私たちが作らないと悠元が作ってしまう。前例はほのかも良く知ってるはず」
「……あー、あったね。懐かしいね」
雫が述べた“前例”というのは、中学2年の時に都心郊外で学校のキャンプ行事があり、その際に悠元が調理したカレーが人気を博してしまったこと。同じ材料と調理器具を使っている筈なのに、まるで高級料理店で口にするような味わいを覚えた。
同じ班に宛がわれた雫とほのかは悠元の作る料理に驚愕し、雫は不満げに悠元の脇腹を抓り、終いには雫が悠元の寝ている寝袋に潜り込んで朝を迎えるということも起きていた……その時点で『それ以上の行為は無かった』のは幸いだが、ほのかもまさか雫がそこまでの行動に移すとは思いもしなかった頃だった。
「本当に驚いたよ……悠元さんも『訳が分からん』と言ってたぐらいだし」
「……あれで手を出さなかったのは不満だったけど」
「あの時はまだ中学生だから」
その件は雫の素性で事なきを得たわけだが、悠元はその後に『療養』という名目で海外に連れ出されてしまった。1年も経たない内に戻ってきたが、度々連絡をしていたので雫が不満に思うことはなかった。
「話を戻すけど、ほのかはどうしたいの? 達也さんに手料理を作ってあげたいの?」
「……うん、そう。だから、料理を教えてほしくて」
「分かった。一応伝手を当たってみる」
この後、ほのかの相談事が他の女性陣にも拡散した。結果として大人数となったため、それを聞いた悠元がグループの専門学校に相談したところ、翌日に料理教室を開く段取りを組むこととなった。
そして、その先生というのは……誰しもが驚いていた。
「三矢詩歩と申します。既に上泉家や神楽坂家に移った息子たちの母でございます」
「……はは、おや?」
詩歩の風貌に一番驚愕していたのは、他ならぬエフィアだった。無論、他の参加者も驚きを隠せない。そんな風景を見て笑みを零す詩歩に対し、隣で笑顔のまま溜息を吐いたのは助手役の女性こと矢車詩鶴(旧姓:三矢詩鶴)だった。
「母様、あまり放置していると話が進みませんよ」
「そうでしたね。さて、今日はまず手始めに……野菜炒めでも作ってもらいます」
まず最初に課題として選択されたのは、野菜炒め。調理の基本である“切る”と“炒める”の習熟度合いを見るためのもの。その上で、詩歩はこう付け加える。
「なお、調理に直接影響する魔法を一切使ってはいけません。よろしいですね?」
「……だってさ、お姉ちゃん」
「何故ワタシなのよ!?」
そんな風に料理教室が進行している中、肝心の男性陣はというと、海の上にいた。正確には、大型の漁船に乗って相模湾に来ていた。漁船に船を出してもらい、沖合で海釣りをすることとなった。
「正直、新ソ連のゴタゴタがあるというのに、こんな暢気に釣りをしていいのかとは思うけどね」
「それは確かにそうなんだが……達也や悠元はいいのか?」
「今すぐ動けるような状況じゃないからな」
「右に同じく」
どうせ、USNAからの迎えが来る7月13日までは日本から無理に出る必要が無い。元を辿れば、USNAが引き起こしたことに日本を巻き込んだ以上は責任を取ってもらう必要がある。
「それに、俺はあくまでも差し迫った事態で表立った行動をすることはあっても、形振り構わず敵を作りたいとは思わん」
「……そのスタンスは決して変えないんだね」
すると、男性陣の垂らした釣り糸が引っ張られたため、各々引っ張り上げる。それなりの大きさの魚を釣り上げる中、悠元だけが異様な重さに顔を顰めた。
「……糸を張り直すのは面倒だから、やるか」
悠元は釣竿に[
そして、一連の流れを終えた悠元が見たものは、周囲からの驚愕の表情だった。
「……すげえな、悠元」
「うん、凄いという言葉しか出てこないよ」
「全くだ」
「お前ら……」
その後、釣竿で耐えられないはずの大物を大量に釣り上げた悠元は、昼前の段階で切り上げて不貞寝を敢行した。釣果が明らかに飛び抜けた格好となったため、達也らはそれを咎めるどころか気遣うほどだった。
◇ ◇ ◇
クルーザーは昼過ぎに横須賀港へ到着し、釣果は各々の家に送られることとなった。なお、悠元の釣果の一部は達也らにも分配された。理由は『いくら養える人間がいても限度はある』とのことで、吉田家は確実に驚きの声が上がることだろう。
悠元がマンションに帰宅すると珍しく出迎えは無かったが、奥から漂ってくる匂いで大方の事情を察しつつ自室で着替えた。
そうしてリビングに降りてきたところでタイミングよく着信音が鳴り、悠元がパネルを操作すると、モニターには四葉家当主・四葉真夜の姿があった。流石にセーラー服姿ではなかったが、お洒落に気を遣ってのものなのか、カジュアルな私服姿となっていた。
『あら、悠元さん。この場合は神楽坂殿とお呼びすべきでしょうか?』
「そこはご自由に。今は師族会議の場ではございませんので。して、誰かに用事があったのでしょうか?」
『元々は深雪さんあたりに頼む予定でしたが、悠元さん本人がいるのならば、直接お話ししておきます』
悠元はただでさえ多忙の身となったため、深雪あたりに近況報告をさせた上で伝言を頼む予定だったが、本人がいるのならば話が早いと言いたげに真夜が説明する。
『勝成さんのことは御存知でしょうけど、彼から調布にある四葉のビルに出向いていただきたい、と頼まれまして。日時は明日ですが、その際にたっくんも同席させるつもりです』
「……こちらとしては問題ありませんが、会って欲しい人がいるという解釈で宜しいのですね?」
『その通りです』
この時期に会ってほしい人間で、尚且つ新発田勝成が関与しているとなると、選択肢は大分限られる。流石に父親との面談で頼み込むとは思えないため、そうなると勝成の職務である防衛省関連の客人とみられる。
そして、ここ数日の内に来日している要人となると、大分絞られてくる。
「もしかして、IPUのチャンドラセカール博士でしょうか?」
『流石ですね。ただ、私としてはもう少し的外れの冗談が欲しかったのですが』
「余りに脱線し過ぎると、周りに迷惑が掛かるじゃないですか……」
悠元の的確な回答に笑顔を見せた後、どこか不満げに頬を軽く膨らませるような素振りを見せた。これには流石の悠元も深い溜息を漏らした。
「にしても、チャンドラセカール博士ですか。直接対面するのは4年ぶりになりますかね」
『もしかして、剛三さんの付き添いですか?』
「ええ」
インド・ペルシア連邦では、正当な方法で入国した後に反魔法主義のテロ被害を受け、結果的に無傷ではあったが、剛三が容赦なく組織のアジトにいた構成員全員をプラズマで蒸発させる事態に至り、悠元が関わった部分は全員を眠らせた上でIPU軍に引き渡している。
その後、政府から勲章と報酬を受け取ることとなり、首相官邸に出向いた際にアーシャ・チャンドラセカールと対面する機会を得たことがあった。
「正直、一番穏便に終わったのはその国とSSAだけですよ。チャンドラセカール博士もこちらの事情を把握した上で、『あなたに害が及ばないよう配慮する進言を政府に対して行います』と確約してくれたので」
世界各地でトラブルと婚姻に関する話まで持ち込まれ続けた身としては、インド・ペルシア連邦と南アメリカ連邦共和国ぐらいが婚約の話を持ち出さなかった。偶々歳の近い女子がいなかったこともそうだが、ここでは剛三の異名が抑止力として働いてくれた格好だ。
『千姫さんから話は聞きましたが、愛人も含めると20人になるそうですね』
「……受け入れることに関して異論は唱えませんが、真夜さんはそれでよろしいので?」
『いいのですよ。だって、今更まともに結婚できるとは限らないし、そもそも年齢が年齢だから難しいもの。それに、悠元さんが私を女にしたのだから、尽くすのは当然でしょう?』
「何か論理が飛躍し過ぎている気がするんですが」
愛人だけを見ても、司波深夜、安宿怜美、桜井水波、ヴィルヘルミナ・バランス、四葉真夜、そして先日の騒動で加わった伊庭ダリヤの六人。それでいて14人の婚約者がいるのだ。普通の男性ならば精力が枯れて死んでしまうのがオチだろう。
その一般的な範疇に自分も入りたかったが、どうやらそれは転生した時点で許されなかったようだ。転生できたことについて今更どうこう文句を述べるのはどうかと思うが、もう少し加減というものを覚えて欲しかった。
前世譲りの価値観は、この先も一生変わることが無いのだろうと思う。
『あらあら、悠元さんとしてはもう少し絞りたかったのかしら?』
「単純に他の男子からの僻みを減らしたかった、というのが本音です。当初は『三人でも足りない』などと言われてましたが……同年代の他の男子にそれを求めるのは酷なことかもしれませんけど」
いくら魔法資質があれども、極端な例で言えば達也のような過酷な環境に置かれていた事例自体がレアケースそのもの。それに、悠元の友人絡みで燈也、レオ、幹比古の三人に焦点を当てても、各々苦労しているからこその性分が強い。
「それに、彼女らとの対面では変に色目を使わないことで避けようとしたわけですが、何故か逆に詰めよられる羽目になったんですよ。まるで意味が分かりません、としか言えないです」
『そうやって礼儀として振舞った一線が、彼女たちの琴線に触れたのでしょうね。無論、私もですが』
「……」
当時は恋愛感情のことを深く考えず、変な絡みで婚約に持ち込まれることを忌避するように立ち回っていた。深雪と交友を持ったのは、もしもの時のストッパーをお願いする繋がりを持つためだった。
結果として、深雪のストッパーという原作とは逆の現象を発生させてしまった訳だが。
なお、真夜の通話を終えた後に物陰から覗き込んでいた深雪が悠元の腕に抱き着いてきたのは……当然の流れであった。
◇ ◇ ◇
同じ頃、金沢の高級料亭で一条家当主・一条剛毅は向かい側にいる女性こと第三高校の学校長・前田千鶴との会談を行っていた。剛毅としては、自分の息子に対する配慮の件だけでなく、本来親としてせねばならないことを代行してくれた。
それに対する恩義を示す意味もあるが、それ以上に将輝の扱いを学校はどう見ているのかという思いもあった。
「いきなりの呼び出しになってすまないね、お前も忙しいというのに」
「いえ、神楽坂殿のお陰と国外情勢によって幾分か小康状態になりましたので」
「彼か……あたしは師から聞いた話や九校戦の結果ぐらいだが、息子に圧勝しているという事実ぐらいしか把握していない。お前から見た神楽坂悠元の評価は?」
「正直に申し上げれば、超一流の評価を与えても過分ではないと感じております」
何せ、ルールという制限内でも悠元は将輝を2年連続で下している。今年の九校戦が再開催される見込みは聞いているが、もし開催された場合、今度は将輝の戦略級魔法師としての実力を試されることとなる。
それに悠元が勝った場合、彼も戦略級魔法師としての表明を余儀なくされる可能性も出てくることになる。師族会議において悠元が戦略級魔法師であることを告白している為、政府の方針としては有り得なくもない。
「先日の新ソ連艦隊南下では、能登沖の艦隊全てをたった一人で掌握し、佐渡で息子が撃破した艦艇を除いた新ソ連艦隊を無傷で拿捕していたと伺っております」
「そこまでとはな……九島退役少将が後継者に指名したというのも、事実か?」
「はい。他の師族二十八家の前でそう公言した以上、疑う余地もないでしょう……それで、そのことに何か関係が?」
剛毅は前田が悠元の功績に関して興味を持ったことに疑問を抱いた。悠元から前田が新陰流剣武術の門下生の一人ということは聞いていたが、それならば同門の誼で尋ねることぐらいしてもおかしくはない。
そんな剛毅の疑問に対し、前田は静かに口を開く。
「お前のご子息に対して直に説教をしたわけだが、先日の件で再び増長しないとも限らない。それはお前も危惧しているのだろう?」
「ええ、もしもの際はお手を煩わす様なことはしないと考えておりますが」
「あたしも色々考えた。ご子息が本気で諦める方法となると……神楽坂悠元に本気を出させるしかない」
「……あれで本気ではないとお考えなのですか?」
前田が述べたこと―――神楽坂悠元の本気を一条将輝に味わわせるという究極の荒療治。下手をすれば将輝の心が折れて再起不能になる可能性がある諸刃の剣。剛毅が驚愕の表情を見せる中、彼女が説明を始める。
「これまで一定のルールの範囲内で戦ってきたわけだが、それを全て取っ払った場合、間違いなく神楽坂悠元はご子息を瞬殺できると睨んでいる。無論、殺し合いをさせろと言うつもりはないがな」
「では、一体どうすると?」
「これは一つの提案なんだが、九校戦に“個人戦”を採用できないか相談してもらえるか?」
前田の提案とは、九校戦の個人競技による個人戦の導入。ここ最近では、スピード・シューティング、バトル・ボード、シールド・ダウン、ロアー・アンド・ガンナー、クラウド・ボール、アイス・ピラーズ・ブレイクがソロでも出来る個人競技に該当するが、ここから何競技かを通算して総合ポイントで競うというもの。
「無論、個人戦の成績を団体戦に反映させるかという議論も出るだろうが、まずは独立した成績で競わせる。この提案はどうだ?」
「複数の競技に亘って優劣を競うことで、選手個人の実力を見る……確かに理に適ってはいますが」
剛毅が懸念したのは、悠元は戦略級魔法師であるのと同時に元[トーラス・シルバー]の一人。“戦略級魔法師”兼“世界屈指の魔工技師”という事実だけでも、剛毅からしたら心を折られそうな相手でしかない。
だが、息子の将輝に対して現実を見せるという意味では、前田の提案は理に適っているものと言えた。
「分かりました。神楽坂殿との伝手がありますので、相談してみます」
「そうか。正直、学校として不純異性交遊を認めるわけにはいかないが、ご子息が新たな恋に振り切ってくれればこちらとしても助かるよ」
「……ええ、その通りです」
自分の息子の我儘で学校にまで迷惑を掛けている……このことだけでも頭が上がらないというのに、多方面で迷惑を掛けていることに関して、剛毅は深い溜息を漏らしたのだった。
◇ ◇ ◇
翌朝―――夜明け前に悠元は九重寺を訪れた。普段なら悠元がアポなしで出向くわけだが、今回は八雲から『君に会いたい客人がいる』と連絡を受けた。この時間に訪れたのは、先方が指定した時間でもあったし、元々鍛錬の名残で早く起きることは問題なかった。
いつもならば何かしらの試しをしそうなものだが、今日は珍しく何も起きることなく八雲が姿を見せた。
「やあ、こんな時間にすまないね。君の婚約者には悪いことしてしまったかな?」
「別に構いませんよ。それで、九重先生。客人と言うのは?」
「既に到着しているよ。まあ、君が良く知る人だから」
そう言って八雲が案内したのは茶室。そして、そこには元老院四大老の一人である東道青波が座っていた。
「神楽坂殿、こんな時間にすまぬな」
「お気になさらず、東道殿。どうせこちらの予定を把握された上でこの時間を指定したとみるが?」
「……否定はせぬ」
悠元がチャンドラセカールと会談することを織り込んで、この時間を指定したという悠元の問いかけに青波は実質的な肯定をみせた。そうして、八雲が点てたお茶を一杯飲み干した上で青波に尋ねる。
「それで、東道殿。今回は如何なる要件か? 言っておくが、この事態に関して元老院が横槍を入れた場合、私の権限で元老たちを隠居させることも辞さない。まあ、隠居が遅かれ早かれの違いでしかないが」
「……樫和の仕業か?」
「それもある。が、有益なことをせずに座する人間など居てもらう必要が無い」
悠元の脳裏に浮かんだのは前世の某大手自動車メーカーの会長で、元々培った技術を実働的に生かして次の世代への架け橋として担っている。そう言った施策を政財界に提案して未来の日本に繋げるのが元老院の本来あるべき役目なのに、あくまでも現時点の改善を放棄して未来につなげようとする。
保守的な思想に基づけば正しいのだろうが、現代魔法は
残念なことに、それを積極的に指摘しないことが現実の問題だと思う。
「人任せにするのは実に簡単なことだ。だが、その責任を負おうともしない輩に国の未来を託せる事など出来ない」
「……それは、お主の“前世”が強く影響しているのか?」
青波が発した言葉に、悠元の表情が険しくなる。これでも古式の卓越した術者なのだから、悠元に起きた変化を見破ることも不可能ではない。そもそも、自分が転生する前の三矢悠元は先天的に固有魔法を備えていなかったからこそ、そこから推理したとしてもおかしくはない。
「仮にそうだとして、アンタは何を望む? ここで俺を排しようというのなら、お前をこの場で血祭りにあげることは簡単なことだ……尤も、九重和尚が困るのでそのようなことはしないが」
「……私にその意思はない。父が上泉や四葉を殺した以上、ここで其方を殺せば東道家が歴史から完全に消える。其方ほど名誉というものを重視していない若者など……四葉達也ぐらいであろうな」
誰彼構わず殺す気はないし、後片付けが面倒なことはしたくない。悠元の問いかけに対して、青波は相対している人間を若造などと侮るような素振りは見せず、顔を俯かせた。なお、立ち会っている八雲は茶を点てながら笑みを浮かべていた。
「さて、東道殿。そんな問答ではなく用件を伝えて頂きたい。こちらとしても用事が詰まっている身なのでな」
「そうだな……」
なお、悠元が転生者という情報の出所は後で尋ねたが、東道青波が悠元に起きた変化から察したもので、問いかけによって確証を得た形らしい。ただ、このことは誰にも相談していないと公言したため、深く追及することはしなかった。