魔法科高校の『触れ得ざる者』   作:那珂之川

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遠近の将来設計

 転生して数か月が経過した。

 現状はイヤーマフ型CAD無しに外出どころか部屋の外まで出るのが難しいわけだが、日常生活を送れるほどに快復した。魔法への感覚を鈍らせることなく聴覚の制御をあれこれ試みているわけだが、すぐ下の妹である詩奈も同様のことで悩んでいる為、一緒にいることが多くなった。

 ただ、中身が変わったとはいえ肉体的な血縁関係は不変であるために彼女を娶る気はないし、それをやってしまったら九島家の“彼”みたいな人間を生み出すことに繋がりかねない。そもそも倫理的にアウトな事項は慎みたいのだから。

 その絡みで矢車家次男の侍郎に睨まれることがある。どないしろと言うのだ。

 

 CAD弄りや筋力トレーニングは積極的に行っているし、魔法の制御訓練も試行錯誤しながらやっているが、ここで前世に学んでいた工学知識が生きてくるとは思いもしなかった。CAD自体は工業的要素と生物学的要素を含むため、小学生の身分で大学レベルの専門書を読む羽目になった。

 書物は十師族の一角だけあって十二分に揃っていたし、家の近くにある第三研―――魔法技能師開発第三研究所に出向いて鍛錬や研究を積み重ねていた。体は小学生なのに、やっていることは前世の年齢に引っ張られている。どこかの高校生探偵みたいな有様だ。

 

 自分の身体に関して自覚があろうとも、前世の自己価値観によって形成された精神に引っ張られるのは仕方がないことだろう。それでも、周りに違和感を持たれない程度の振舞いはしている。幸いにも、この体の元の持ち主も自身の寿命を弁えて子供らしい振舞いを極力捨て去っていたようで、それを喜ぶべきか悲しむべきかは判断できなかった。

 

 そんな中、第三研でトレーニング中に声を掛けてきた女性がいた。彼女は“遠山つかさ”と名乗っており、聞けば父親の部下に連れてもらって来たと話していた。当然、原作知識で彼女のことを知っていたので、適当に話を流していた。

 

 その際、彼女の眼がどうにも自分を“駒”としてしか見つめていないことに気付いた。三矢家と()()家のことを考えれば、そんな風に考えるのも無理はない話だ。

 国防軍関連で斟酌しなければならない事情があるとしても、十山家が偉ぶれる意味自体“根拠不十分”だと思う。同じ研究所に属する『十』の家に対してならばまだ分からなくもないが、家業の関係で便宜を図れということ自体に無理がある。

 広義的に見れば、裏方で国防軍の利になる行動という点では一致するのに、国防軍に属しているという理由で十山家に分があるという現実。しかも、あんな家を平気で看過している他の師族にも問題があると思う……必要以上に関わる気なんて毛頭ないけれど、自分が動けば自ずと目立ってしまうのは避けられないだろう、とは思っている。

 

 自分個人としては、彼女に対する配慮なんて知った事ではない。いくら十山家の都合があろうとも、向こうの都合で実家を不都合に巻き込むことは許さない……そうなると、自分が三矢家を出ていくことも考慮せねばならない。

 将来達也や深雪に敵対しない道を考えるとしても、実家にいたままでは確実に疑われかねない可能性もある。三矢家単独で達也らへの妨害があることも含めて、自分の将来への道筋を立てる必要が出てきた。

 現時点で将来のことは不明だが、詩奈をそのまま巻き込んだ場合は十山家を合法の如何に問わず潰す……こうやって発言しているだけでシスコンの台詞そのままなことに落ち込んだのは、ここだけの話。

 

 明らかに利己的な思考だが、今現在の年齢を考慮すれば達也や深雪との関与は避けられない。仮に自分から避けたとしても、回りまわって関わる気がしてしまうのは……彼らの主人公&ヒロイン気質によるものだと思わなくもない。

 それに、いくら能力的に優れたとしても、能力を笠に着て馬鹿を見るのは避けたい。その意味でも聴覚の完全制御は課題とも言えるし、自分が克服できれば詩奈の問題も解決することになる。

 傍から聞けば『シスコンの気がある』と言われても否定は出来ない。せめて侍郎が詩奈の捌け口として機能してくれればいいが、その為にやることは山積みだ。

 

  ◇ ◇ ◇

 

 つかさとの出会いで自身の将来について考慮し始めた翌日、悠元は元に呼び出された。書斎には元と悠元の二人のみだったが、扉が閉められたところで元は立ち上がって[スピードローダー]を展開していた。

 

 正直、ここまでの自分の行動で訝しむ要素があったのは落ち度である。何せ、使用人からも必要以上に心配されて外出すらままならなかった時期があった。受け継いだ記憶の中で“まともに部屋の外へ出れなかった”事に今更ながら気づき、この肉体と血縁関係を持つ父親が疑っても致し方が無い。

 

「悠元。私が何故こうしているのか、分かっているな?」

「ええ」

 

 純粋な敵意というよりは、色々抱いた疑念に対する戸惑いも含んだ表情。それを見た悠元は両手を挙げて降参の意を示した。これには元も躊躇うような素振りを見せた。

 

「自分がこんなことを言う資格があるのかどうかは分かりませんが、父さんの疑念にお答えします。今の自分は、貴方が知っている三矢悠元の精神ではありません。この世界とは異なる現実世界から飛ばされ、この体に刻まれた三矢悠元の記憶を受け継いだ者です」

「……」

 

 元がこのまま魔法を放つならば、三矢家を飛び出す覚悟はあった。だが、悠元の言葉に対して元は魔法の発動を中断し、椅子に深く腰掛けて頭を抱えた。悠元は何も言わずに両手を下ろし、元の言葉を待った。

 

「実は、古式魔法使いの知り合いに頼んでお前が[デーモン]なのではないかと疑ったが、それに関してはシロだった……嘘はついていないのだな?」

「ここで嘘を吐くメリットがありません。それに、仮に自分が家を飛び出した場合、どの道迷惑を掛けることになりますし」

 

 十師族直系の小学生の男子が家を飛び出したとなれば、魔法協会どころか児童相談所、下手すれば家庭裁判所行きの案件になる為、どう足掻いても三矢家に不利益が生じる。それぐらいならば元だけでも本当のことを知ってもらうことで、三矢家での居場所を確保したい思いがあった。

 

「それもそうだな……記憶を受け継いだとは述べていたが、どこまでだ?」

「謎の高熱で意識を失う直前まではハッキリと。半年前に父さんと母さんが隠れていちゃついていたところも覚えています」

「……あの時、誰かの視線はあったが、悠元だったのか」

 

 半年前となれば、確実に自分が三矢悠元として転生する前のことなので、その話題を出せば納得してもらえると思った。なお、聞かされた元は恥ずかしそうに頬をポリポリと掻いていた。

 

「仮に、お前の話を信じるとしよう。お前はこの先どうするつもりだ?」

「それに先んじる形ですが、この家で暮らすことの代わりに自分を三矢家の家督と家業の継承権から排除してほしいのです」

「なっ……!?」

 

 悠元の口から出た言葉に、元は思わず驚きの言葉を口にした。十師族と言えども長子継承に拘っているわけではないものの、兄弟姉妹で能力の優劣差が生じるのは無理からぬこと。元の目の前にいる人物がどれほどの潜在能力を有しているか分からないが、自ら三矢を継ぐことに対して拒否の姿勢を見せた。

 

「その考えに至ったというのは、何かあったのか?」

「理由は二つ。一つ目は十山家のことです。昨日、第三研で十山家の令嬢に会いました。彼女と色々話した際、自分に彼女に下げる頭など持ち合わせる気が無いと悟り、面倒事の回避の為です」

「成程。もう一つは?」

「先程も言った通り、自分は前世の記憶を持つ人間です。自分の身内が優秀だった余り、凡人だった自分に人間の闇をこれでもかと見せつけられました。家督や家業の総領という椅子は一つしかない以上、御家騒動など相手の思う壺にしかなりません」

 

 悠元の言葉に、元はとても小学生が経験したとは思えない発言だと頭を抱えた。彼が話し始めた時点で小学生離れしているものの、ここまで思考が成熟しているとなれば、兄や姉たちよりも遥かに大人になってしまったのだ、と認めざるを得なかった。

 

「それは、仮にお前が三矢家当主に足る力を有するとしてもか?」

「はい。誰かの居場所を奪って逆恨みを買うよりは、自分が退いて別の幸せを見つける方が建設的だと思っています。自分を含めた七人の中では、間違いなく元治兄さんが割を食いかねません。血の繋がった兄弟姉妹で争うなんて中世時代の様な事態が起きれば、益々十山家につけ込まれるだけです」

「そこまで考えていたのか……私からすれば、一気に子離れしたような気分だよ」

 

 悠元の言葉にショックを受けつつも、元は色々と思慮を巡らせた。そうやって一分ほど考え込んだ後、元は悠元に視線を向けた。

 

「分かった。悠元の望み通り、三矢の家督と家業はお前に継がせない。だが、どんな形であれ悠元を生き永らえさせてくれたことに対して、私と詩歩の子であることは変わりない。お前が何をしようとも、十山家には何も言わせない……悠元の父親として、お前の我儘ぐらいは聞かんと面目ないからな」

「住まわせてもらえるだけで十分我儘ではありますが」

「なに、それこそ『家族と一緒に暮らしたい』と言っているだけのものだ。それに、お前を下手に追い出したら、詩歩や詩奈に何を言われるか分かったものではない」

「……辛辣かも知れませんが、詩奈の嫁ぎ先を確保する意味でも兄離れはさせてください」

 

 詩奈に関しての釘差しに関して、元は驚きを隠せなかった。曰く『妻にも言われていたが、お前から言われるとはな』とのこと。同じ父母から生まれた人間同士で結婚なんて御法度すぎるため、彼女の将来に暗雲を落とさないことも兄としての務めだと割り切ることにした。

 こうやって言い訳を積み重ねていくと、転生して数か月しか経過していないのに、詩奈の兄としての自覚を持っていたことに驚かされてしまう。これは前世での経験もあるのだろうとは思うが。

 

「それは考えておこう。それで悠元、何か要望があれば遠慮なく言ってほしい。その対価というわけではないが、武術を習う気はないか?」

「武術? 軍人系統のマーシャルアーツの類ですか?」

「いや、元は上泉信綱公を端に発する剣術と武術を組み合わせたものでな。私は中伝程度の実力しか修めていないが、元継や詩鶴は母方の実家に住み込む形で修行している」

 

 剣術と格闘技自体相容れないものだが、剣を持たずに敵と相対した際の護身という意味で格闘技を取り入れているのだろう、と推察した。話を聞いていくと、詩歩の実家が道場の総本山であり、元継と詩鶴は住み込みで修行しているらしい。

 

「その気があれば妻に頼み込む形となるが、どうだ?」

「是非お願いします」

「……いいのか?」

「魔法師の如何に関わらず、身体は資本そのものです。それに、魔法が使えなかった時の防衛策として武術を嗜むことは自己防衛の一環だと考えています。色々迷惑を掛けることになるかと思いますが、よろしくお願いします」

「その思い切りの良さを元治にも見習ってほしいと思うのは、私の我儘だな……」

 

 互いに腹を割って話したことから、元と悠元の仲は良くなった。

 将来、悠元が三矢家を出て神楽坂家当主となる未来こそ予想はしていたが、悠元の婚姻関係を聞いて驚く羽目になった三矢元であった。

 

  ◇ ◇ ◇

 

 九校戦が終わり、元は書斎の机に座って一息吐いていた。悠元が生まれ変わって10年という年月に、まるで駆け抜けたかのような心境を感じていると、ノックの音と外から聞こえる声に表情を正して入室を促すと、三矢家の使用人筆頭である矢車仕郎が姿を見せていた。

 

「旦那様、お茶をお持ちしました」

「ありがとう。全く、迷惑を掛けて済まないな」

「いえ、私の倅共がお世話になっている身ですので」

 

 元と仕郎は家ぐるみの付き合いに加え、二人は同級生の間柄。加えて、仕郎の妻は元の妻と従姉妹の関係にある。元は仕郎が生真面目な性格かつ頑固者だと知っている為、三矢家と矢車家の関係は一定の秩序を保っている。

 給仕を終えた仕郎は下がろうとしたが、元が引き留めて『話がしたい』と告げたので、仕郎は予備として備えていたカップにコーヒーを注いでソファーに座り、元は向かい合う形でソファーに移動した。

 

「あれから、かれこれ10年か。侍郎はお前のお眼鏡に適う男になったか?」

「魔法の資質ならば長男よりも上ですね。ただ、あの様子ですと詩奈様の尻に敷かれそうですが……悠元様のように振舞えないかと思ってしまうことはありますよ」

「勘弁してくれ。あの子だって私や詩歩がそうしたわけではないのだから」

 

 仕郎は元から内密に相談を受けていた。彼が転生した存在ということには驚きこそしたものの、実際に料理などを教える時は以前の彼と何ら変わりなかった。しかも、悠元は仕郎を『料理や菓子作りの師匠』と仰いで尊敬している。

 悠元が神楽坂家当主となっても、度々学びに来ている。世界で名を馳せたフレンチのシェフにスカウトされたという腕前を見せてもらった時、『私に教えることがあるのか?』と訝しむことはあった。

 悠元は『腕前の問題ではなく、初心を忘れないためにも仕郎さんへ教わりに来ているのです』と述べており、これには仕郎も苦笑を禁じえなかった。

 

「彼は本当に師匠泣かせの愛弟子です。彼の作った菓子を妻に食べてもらったら、妻に連日寝かせてもらえませんでした」

「……一応尋ねるが、法に触れるものは使っていないよな?」

「材料は全てこちらにあったものしか使ってません。それでいて女性を惚れさせてしまう彼は罪作りの料理人ですよ」

 

 悠元本人の話では、FLTツインタワーマンションに移ってから時折料理や菓子を作ったりする機会は増えたが、その反面女性陣に襲われる回数も増えたと愚痴を聞く羽目になった。元としては節度ある付き合いをしてくれればいい訳だが、詩歩や母方の実家は孫(曾孫)が欲しいとせがんでいる。

 当人は『大学卒業して社会的立場を確立できるまで子どもはつくらない』と明言しており、自分自身だけでなく婚約者たちの立場を気遣っている。だからこそ、彼女たちの実家も快く送り出している形に収まっている。

 

「その意味だと、元治はいかんせん優しすぎる……贅沢なのかもしれんがな」

「そう言えば、元治様はどちらに?」

「家業の仕事が終わり次第、奥さんを見舞ってくるそうだ。出産予定も近いからな。ちなみに、出産したら知らせてほしいと四葉家から連絡を貰ったよ」

 

 四葉家からすれば、当主の実姉の元護衛が渡辺家の養女となって三矢家に嫁いでいる。しかも、その実姉の娘が悠元に嫁ぐし、佳奈は当主の実子と婚約している為、三矢家と四葉家は三重の親戚関係となる。

 

「元治、元継、詩鶴、佳奈、美嘉、悠元、詩奈……嫁を迎えた元治もそうだが、他も名立たる家に嫁いだり、養子に迎えられたのは、間違いなく悠元のお陰だ。それを考えれば、ラウラやアリサを養子に迎えるのは苦でもないと思えるよ」

「まるで、当主としての仕事を終えられたような台詞ですが」

「アリサのことはあるが、もうじき家業については元治に引き継ぎが終わる。四年後の十師族選定会議前に私は当主の座を降りて、詩歩と一緒に元治の補佐へ回る」

 

 悠元の転生は、元にも大きな影響を与えた。それまでは抑え気味だった家督や家業に関する仕事を元治に教え始めた。十代からいきなり当主としての勉強はきつかっただろうが、悠元をきっかけとして兄弟姉妹が奮起しているのを見て、元治自身も覚悟を決めていた。

 年齢を考えれば、まだ働けるのは確かだ。しかし、この先の時代を担うためには親として厳しくしなければならない。次期当主の跡継ぎが生まれるとなれば、この先の人生に見通しを立てる必要があると感じていた。

 その結果、五十代で元治に全てを継がせる段取りが整った。これまで主だった地方を管轄していなかった三矢家だが、七草家の配置換えによって関東地方を十文字家と共に守護・監視する役目を負った。十文字家には美嘉が現当主夫人として嫁ぐため、自ずと協力体制が整うこととなる。

 

「ならば、私も同じタイミングで三矢家の執事長としての任を降り、長男に全ての仕事を託したいのですが、宜しいですか?」

「……どうせお前のことだ。どう説得しても変える気はないのだろう? 好きにしてくれ」

「ええ、お好きにさせていただきます」

 

 これで、十師族の現体制に元治(三矢家)、元継(上泉家)、悠元(神楽坂家)と元の息子全員が同じ立場に座ることとなる。かと言って、元はそれを偉ぶるつもりなどない。『出来過ぎにも程がある』とは言うものの、自分の子たちが全員立派に育ったのは奇跡を目の当たりにしているような気分だった。

 

「そこから5年ほど様子を見て、石垣島にいる父の面倒でも見ながら老後の生活を迎えることにする。九島閣下のように長く貢献することも考えたが、どう見ても私の性分ではないと思ってな。妻も了承してくれたよ」

「悠元様の影響ですか?」

「否定はしない。あいつは50歳手前で魔法界の一線を退き、その後は妻たちと何処かに移住すると述べていた。元継も似たような考えらしい……私はおろか、話を聞いた元治も絶句していたからな」

 

 元から理由を聞かれた悠元は、以下の理由を述べた。

 

―――九島閣下の長きにわたる師族会議議長の任期と、悪名として知れ渡った四葉の復讐劇。日本が表向き薄氷の独立を保てたのは、大きく言えばその二つが原因です。そんな危ない綱渡りをしなくてもいいように確固たる力を確立するのが自分の役目であり、それが済めば俺は自分の人生を自由に過ごさせていただきます。

 

 細かく言えば元老院などの影響もあるのだろうが、悪名が一種の抑止力として機能した挙句、その悪名を証明する形で台頭してしまった達也の存在。人間の寿命という問題がある以上、縋り続けるにも限界はある。

 ならば、次代へと続けられる持続的な力の保有という意味で、魔法師の育成システムの確立は急務であった。その為の方法や手段を悠元は作り上げた。後は、ここから合法的かつ持続的に戦略級魔法師クラスの人間を輩出できるかが勝負となってくる。

 

「誰かに頼り切ること……それを悪とは断じていなかったが、“怠慢”だと言いたげであった。全くその通りだと思ってしまうよ。私も十師族当主として九島閣下が長年議長職を務めたことに異議を唱えなかった。他の十師族当主達も含めて、甘え過ぎていたことを痛感した」

 

 烈が一線を退く決定機となったのは、悠元の存在と彼が成した功績。そして、十師族の推薦を受けて最年少で師族会議議長を務めることとなった。十代で日本魔法界の重鎮を務めるということは、悠元が議長足り得る能力と実績を持ったも同義。

 

「悠元が生まれ変わって、現実を突き付けられた時……私は愕然とした。私はここまで弱かったのだと痛感した。彼の方がこの世界の現実と誰よりも向き合っていた。だからこそ、私は元治に次の三矢を託す」

 

 幸か不幸か、元治は沖縄防衛戦を―――“戦争”を最前線で目撃した。その経験がどう生きるかは分からないが、少なくとも自分のような決断は下さない……と、元はカップに入った紅茶に映る自身の表情を見つめていたのだった。

 




 ふと書きたくなった追憶編あたりのエピソードと、三矢家の代替わりのお話。反省はするが、後悔はしていない。
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