アイドルマスターミリオンライブの二次創作SSです。

765シアターのアイドル七尾百合子は、ある日ナナオ古書店という古本屋に出会う。

下町にある寂れた古書店とその店主と、そして七尾百合子。
出会いとほんの一歩の成長を描くショートストーリーです。

※男性Pやオリジナルキャラが出て来ます。

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ナナオ古書店

 「噂のアイドルがお店をリフォーム!」とは、

 アイドルがお店に依頼して自分で考えたリフォームのアイディアで改装しちゃおうという番組で

 ある。

 

 

百合子  うーん…

     …今回の番組で依頼する場所が決まってないのが、ついに私だけに…

     昴さんはバッティングセンター、朋花さんは教会のリフォームに決まったみたい。

百合子  ……、教会のリフォームって何するんだろう…。

 

 プルルルル…

 

百合子  あ、はい! こんにちはプロデーサーさん!

P     …えっと、お店のことですよね…、それがまだ…

百合子  せっかくプロデーサーさんのアドバイスで商店街の方まで来ているんですが…

P     まあ、探すのは大変だろうからあんまり焦らなくていいぞ。

百合子  はい。 あ、あんな所に古本屋が…  もしかして、ちょうどいいかも…?

     えーっと、名前は……えぇ!!

P     …百合子、どうした?

百合子  プロデーサーさん! 私、決めました!!

P     …え?

 

 

 

  ――こうして、リフォーム交渉の為に急いで事務所から駆け付けてくれるプロデーサーさんを

    私は待つことにした。

 

百合子  それにしても…、「ナナオ古書店」かぁ、本当に運命みたい。

       …、ちょっと寂れた古本屋だけど…

       …ついでにお客さんもほとんど来ないみたいだけど…

百合子  あ、一人来たみたい…。 …ドレスのような服…、白い肌…、綺麗な化粧の女性…

       って、…結局店頭を少し覗いて帰っちゃった…。

 

P       おーい、百合子ー。

百合子  プロデーサーさん! こっちです!

 

P         ナナオ古書店…、確かに運命的な出会いかもな…。

百合子  やっぱり、そうですよね…、それにこの古い本の香り、絶対いいお店ですよ!

 

 

―――

 

百合子  失礼します! あの…、お店の方はいらっしゃいますか?

 

 

  ――60を過ぎた白髪まじりの男が、いらっしゃいませ と静かな声で応えた。

百合子  あ、あの私! 765プロでアイドルをしている七尾百合子という者なのですが…

P     突然ですいません。詳しくはこちらから話をさせていただきます。

 

……

 

店主   つまり、この店の改装をこの子に手伝ってもらうって事でいいのか?

百合子  はい! 是非、私にこの古本屋の物語をお手伝いさせて下さい!

店主   うん、断る…。

百合子  はい! 私も一目見たときからこのお店しかないとおm…え? 今何て言いましたか?

 

店主   だから、断るって…。

百合子  な…、な…、な…、何でですかー!?

店主   うちは改装する予定もないし、アイドルにも興味ないからねぇ…。

     折角のお誘いで有難いけど、他をあたって欲しいかな。

百合子  そ、そんなー。

 

P     いえ、こちらこそ、急なお話でお騒がせしてしまって申し訳ありませんでした。

百合子  あ、待って下さい! プロデーサーさん!

P     断られたんじゃ、仕方ないだろ? 百合子。

百合子  あ、あの…、一冊だけ買っていってもいいですか?

 

P     …あぁ、別に大丈夫だけど…。

百合子  ありがとうございます。

 

  ――古書店を見渡すと、丁寧なようで雑多に並べられた本に何冊かの高価な値札が見える。

 

P     結構高価な物もあるんだな…珍しい本なのか?

百合子  …ただの文庫本のように見えますけど…。

店主   あぁ、その本はただの…

百合子  いや、きっと高価なものに高価な訳があると思います。

     私の推理によると、この本屋に縁があった有名作家がかつて読んだ本!

百合子  これです! どうですか!?

 

店主   …この本はね、      

百合子  この本は…!

店主   そんなお嬢ちゃんみたいな名探偵が間違って買ってくれるのを待ってる普通の文庫本だよ。

百合子  …え?

店主   普通の文庫本だよ。

百合子  じゃ、じゃあこの三万円の値札は…?

店主    間違って付けちゃったんだね。 多分、本当の価格なら三百円くらいかな…。

百合子  失礼かもしれませんが、すっごく紛らわしいです…、

P     折角だし、その本にしてみたらどうだ? これも何かの運命って事でさ。

百合子  …運命ですか? …そうかもしれません、この本にしますね!

P     値段は…、三百円でいいですか?

店主   うん、毎度あり。 うちの本が売れるなんて何年ぶりかな?

 

百合子  …あの、さすがにそれも何かの間違いですよね…。

 

 

 

 

  ――ナナオ古書店を後にした私たちは、残念会と今後の対策を練るべく

    この近くの和菓子屋に寄ることにした。何でも創業百年以上の老舗らしい。

 

P     少しは落ち着いたか? 百合子?

百合子  はい。…断られてしまったのなら、諦めるしかないですよね…。

百合子  でも、ああいう古本屋さんって、最近めっきり減ってしまって…。

     私、古本屋の空間って大好きで…、いつかああいう場所に暮らせたらって考えていたんです。

     はぁーあ…

 

P     …なぁ、百合子? もしも百合子があのお店をプロデュース出来たらどうしてたんだ?

百合子  えっと、そうですね…。確か…、この辺りってもう少ししたら新しい電波塔が建つんですよね?

P     あぁ。最近ではこの町の近くも活気が出てきてるからな。

 

百合子  だとしたら、その電波塔にちなんだコーナーを…、

     いや、そうしたらあの空間に合わないかも…、うーん…。

     だったら、逆にあの町の昔の景色が残っているようなレトロな内装にして、

     それに合わせてこの地域の歴史書や古地図なんかも商品に追加して…

 

P     さすが、本屋の話をさせたら百合子は止まらないな。

百合子  あ! すいません…。 一刻も早く新しい場所を探さないと…ですよね…。

P     その事なんだけど、諦めるのは、今の思いを伝えてからでも遅くないんじゃないかな?

百合子  え…! いいんですか…、でも…?

P     百合子も納得いく形で諦められた方がいいだろ? それに…

     勇気を出して前に進んでみたらいい事が起きるかもしれないだろ?

百合子  勇気を持って…、

     そうですね。 私の思い、ちゃんと伝えてみます!

     それに、仕事だけじゃなく、私自身もうナナオ古書店のファンになっちゃったみたいです。

 

P     そっか。悔いのないように頑張ってくれ!

     …あ、でもあんまりお店に迷惑はかけないようにな…。

百合子  わ、分かってますよ。 もう。

     あ、見て下さい! 頼んでたあんみつが来たみたいです!

 

 

 

 

  ――その日の帰り、私は早速買った本を読み始めた。

    普通の文庫本というのは実は嘘でその正体は、

    前の持ち主による書き込みが多く残された本だった。

    そして、何よりも驚いたのが…

 

百合子  ん? あれ裏表紙のところに何か違和感が…、なんか挟まってる?

     …手紙?見ていいのかな?

  ――広げた手紙は可愛いリボンのレターセットに丁寧な字体で書かれたものだった。

    「和菓子屋にもっとも合うのは、この小説の時代もあんみつだったんですね。

     私も和菓子と言えばあのお店のあんみつ以外ありえません。もう懐かしい味になっちゃった。

     今度、そっちにいったらお腹一杯奢らせてあげますね、先生! From Nanao」

 

百合子  …フロム…、ナナオ…?

 

百合子  え…!! 七尾…!! 私…!?

     …って、さすがに違うか…。 そうすると「ナナオ古書店」の名前になった七尾さんって事?

 

百合子  プロデーサーさん、私の推理も案外捨てたものではないかもしれません…。

 

百合子  それにしても、もう一人の七尾さんも本が好きだったんだなぁ…。

     それに、私より頭が良さそう…。

     一体、どんな人なんだろう

 

 

 

 

  ――次の日、私は早速ナナオ古書店へと訪れることにした。

 

百合子  …でも、いざ目の前にすると…勇気が湧かない…。

百合子  断られた次の日に来るなんて、未練がましく見られるかも…。

     でも、うーん…

 

  うろうろ…  うろうろ…

 

  ――ピシャッ!っと、突然本屋のドアが開けられる。

 

百合子  ひっ!?

店主   ん? 確か昨日のアイドルさんじゃないか…。こんな店先でどうしたの?

     勧誘なら断ったはずだけど…。

百合子  あ…、えっと今日は普通の客として来たのですが…。

店主   だったら、うろうろしてないで店の中に入りなよ、寒いでしょ?

百合子  うっ…、 うろうろしてたのバレてる…。

 

百合子  えっと、じゃ、じゃあ…、お、お邪魔しまーす…。

 

  ――店の中は相変わらずの並びの本であふれている。

 

百合子  文庫本が中心なんですね。それに結構古い作品も多いです。

     あっ、この本って最近二度目のドラマ化が決まったやつですよね。

     原作は…たしか、二十年くらい前の作品でしたよね。

     こっちも二十年くらい前に流行った本ですよね。

     この作品の二人のラストは感動したなぁ…

 

店主   お嬢ちゃんは結構、本は結構読むのかい?

 

百合子  はい!中学では図書委員もやっていて…、

     私、本を読んでいるとその世界に入り込めるみたいで大好きなんです。

     ヒロインの窮地にさっそうと現れる勇者や、名推理をみせる探偵に憧れて、

     二人の悲しい恋に涙したり、宇宙の危機を打開するスリルを味わったり、

     どの作品も冒険みたいに新しいことの連続で、いろんな世界が私の中に広がっていくんです。

 

店主   凄く楽しそうに話すんだね。

百合子  へ…? あ、すいません! つい…嬉しくって

百合子  私、こういう空間の本屋って大好きで…、

     まるで、古い本を掘り起こしていくみたいじゃないですか?

店主   こんな古びた本屋を好きな人が他にもいるなんて奇遇だね。

     そうだ、折角だったらオジさんの好きな本でも読んでくかい?

百合子  いいんですか? あ、でも今日はあんまりお金持ってなくて

店主   返してくれるんだったら、お金はいいよ。

百合子  え、いいんですか!  えっと、お店的にも…。

 

店主   うーん、まぁ平気なんじゃない?

百合子  じゃあ、お言葉に甘えて…、ありがとうございます!

     そうだ! 今度は私のお勧めの小説を持ってきますね?

店主   へぇ…、いいかもしれないね。 どうせ四六時中暇な本屋だし。

 

百合子  それは平気なんですか…。  えっと、お店的に…。

 

 

 

  ――それから私は何度もナナオ古書店に通うようになった。

    そして、どの日に行っても店の中にお客さんがいた事はなかった。

    ただ、前に見た綺麗な化粧の女性が何日かに一回毎回違うドレスをまとって、

    何度か店先の棚を覗き込み去っていくのだった。

 

  ――そんな古本屋で私は、店主といろんな話をした。

    好きな本の話、老舗の和菓子屋の話、そして「なんで私がアイドルになったのか」という話。

 

百合子  気づいたら、アイドルになってたんです…って変な話ですが…。

     ただ、成りたい自分へと進んで行ったらその先アイドルだったというか…。

     プロデーサーが導いてくれた毎日は、すっごく輝いてて

百合子  この前も、タワーの展望階でコンサートをやったんです。

     周りの景色が綺麗で…空を飛んでいるような景色でした!

店主   空を飛ぶかぁ…、じゃあ、今度できる電波塔のライブなら宇宙を飛ぶってことだな。

 

百合子  わぁ! そうですね、あの電波塔ならもっと高い景色ですね。

     いいなぁ、歌ってみたいです。 早く出来ないかなぁ…、そしたら私もそこで歌えるかも。

百合子  あ、もちろん実現したら真っ先にこの本屋に報せに来ますね!

店主   …ん? ああ、まあ、そうだね…。今年中には完成するって騒いでるからねぇ…。

百合子  …?

 

  ――ちょっと曇った店主の瞳の先には、奥のレジに飾られた額縁入りの本があった。

 

百合子  そういえば、あの本って何ですか?

店主   んー、あれは昔の知り合いの書いた本でさ。

 

  ――不意に最初に買った本にあった手紙を思い出した。

百合子  「From Nanao」  …もしかして、もう一人の七尾さん…?

店主   あぁ。 良く分かったね。確かにこの小説はナナオが書いたものだよ。

     この古書店の名前になった「七緒」っていう名前の子の小説だよ。

店主   でもお嬢ちゃんがなんでそんな事を…?

 

百合子  実は、最初に買った本に手紙が挟まってて…、コレです。

店主   …へぇ、こんな物が…、二十年以上見てきたけど気づかなかったなぁ…。

     懐かしい字だ。まだ高校の時くらいかな…

 

百合子  じゃあ、この手紙の先生っていうのは店主さんのことなんですか!?

店主   うん。もう昔の話だけどね…。

百合子  つまり、この店は引退した作家先生が経営している隠れたスポットなんですか!?

店主   …、えっと、言いづらいんだけど…僕は中学の先生だったんだよね。

百合子  …あっ、すいません…。

 

店主   ここの地元の中学校でね、もう電波塔が建つ関係で廃校してしまったけど。

     七緒はその中学生の卒業生で、有名作家になって必ず僕に報告するなんて言ってたな…

 

百合子  今はどんな方なんですか…?

店主   今?  もう長い間音信不通でね。今は生きているかどうか?

     彼女のことが忘れられなくて、こんな古書店を立ち上げてしまって、ダメな大人だよねぇ…。

 

百合子  そ、そんなことないです!

     きっといつか有名作家になった七緒さんがきっと来てくれます。絶対に…!

 

店主   もう、諦めはついているんだけど…。

百合子  あ、諦めたりしたら駄目ですよ…、明日…、一年後…、いつかはきっと…!

 

店主   んー…、まぁ、そうかもね。 それより、こんな個人的な古書店にいつもありがとうね。

     なんにも無い古書店だけど、そうだね…、甘い物でも食べるかい?

 

 

 

  ――私が勝手に改装しようとしていたのは、先生と七緒さんの想いを繋ぐ古本屋だった。

    もしかしたら、最初から私なんかが関わっていいモノでは無かったのかもしれない…

    私は、二人の思い出に土足で入っていただけなのかもしれない…。

 

百合子  明日、最初に買った本を返そう…。

     そして、きっちり諦めて、新しいお店を探そう…。 うん。

 

 

 

  ――次の日。私は本を手提げ鞄に入れ、出かけた。

    多分、今日でナナオ古書店に入るのは最後だ。

 

百合子  あれ、お店の前にあの女性がいる…。

     そういえば、結局最後まで話さなかったな…。

 

女性   あの…、そこの方…

百合子  え…?はい、私ですか…!

 

女性   あ、つい…、懐かしい作品が見えて…、でも勘違いでした…、ごめんなさい。

     失礼します

百合子  あ、ちょっと待ってください…。

 

貴音   七尾百合子ではないですか? 奇遇ですねこんな所で。

百合子  え!? 貴音さん…!

 

  ――私には、貴音さんの声に女性が一瞬振り返ったように見えた…。

    それって…、どういう…、

 

百合子  貴音さん、どうしたんですかこんな所で…。

貴音   この商店街に有名ならぁめんのお店が有りまして、

     潰れる前にもう一度あの味をと思いまして

 

百合子  …潰れちゃうんですか?

貴    真、残念な話ですが…、なんとかたわぁ?とやらの影響で閉店だと聞きました。

     完成に伴って、ここの商店街一帯も閉店すると聞きましたが…

 

百合子  え…? 本当…ですか…?

 

  ――その後の私は、店主さんに事実の確認をした。

    それが事実であると聞いた。

    そして、その事実が私を悲しませると思い、言わなかったという事を聞いた。

 

  ――その後の事はあんまり覚えてない。

    でも、私の中に一つの感情が渦巻いている。

  

   それは…、

 

---------------------

      From 七尾百合子

      To プロデーサー

      突然のメールですいません。

      明日の15時にナナオ古書店に来てくれませんか?

      何を言ってるのか分かりませんよね…。

      実は自分でもうまく整理出来てません。

      でも、この気持ちだけは本物で…、

      えっと…、とにかく私の背中を押してくれる勇気がほしいんです

      お願いします!!!

 

      Y.Nanao

---------------------

 

 

百合子  プロデーサーさん! こっちです!

     今日はすいません、無茶言っちゃって…。

 

P     なんとか予定が開けられて良かったよ。

     …で、何をすればいいんだ?

百合子  えーっと、見守ってて下さい!

     …あと、笑わないで下さい…。

 

P     う、うん、えっと…、それだけで大丈夫なのか…?

百合子  は、はい…! お願いします…!

 

 

 

 

百合子  お邪魔します…。

     えっと、今日は店主さんに会って欲しい人がいるんです!

店主   どうしたの?怖い顔して…。

 

  

 

  ――百合子からの指示を受けて店の外でとある女性を待っていた。

    そして、しばらくするとその女性が訪れたため、百合子へ連絡をした。

    高価そうなドレスにリップ、それに化粧とブランドバックで着飾った姿。

    多分、水商売の仕事なのだろう…。ここから繁華街は1時間くらいの距離にある。

    毎日、夕方にここを訪れていたと聞いたのも納得がいく。

 

百合子  あ、あのすいません! …七緒さん…ですよね?

女性   えっと誰でしょうか?

百合子  自己紹介が遅れてすいません。 私は…、ううん、 私も七尾…七尾百合子と申します。

百合子  あの、改めて…、貴方はこの近くの中学に通っていた七緒…さんですよね?

女性   え…。

店主   お嬢ちゃん、会わせたい人って…  ん…、君は…?

 

女性   あっ…

百合子  店主さん! 彼女こそ七緒さんに違いないです!

     だって、ずっと前からこの本屋を訪ねようとしてたんです!

店主   君が…?

 

女性   ……。

     いえ、それは、彼女の…、七尾さんの勘違いです。私はそのような名前ではないので…。

 

百合子  え…、な、なんで…!

百合子  ずっとずっと店先まで来てたじゃないですか…、

     それにこの本だって懐かしいって…!

     七尾と呼ばれて反応したことも…、全部…、全部勘違いなんですか…。

百合子  …違いますよね、きっと私の勘違いなんかじゃないです。

百合子  …私は…、二人に何があったか…、全く知りません…。

百合子  だけど、私は勇気が出なかった事に挑戦して前を見て良かったと思ってて!

     だから、だれかに勇気を出してもらいたい…、

     うまく伝えられないけど…、そんな人間になりたいんです…!

百合子  私の言ってることは自分勝手です! 身勝手です!

     でも…どうか…! お願いします!

 

女性   ……。

女性   先生の知っている七緒は今頃…、有名な小説家です。

     私のような汚れた人間では…、ありません。

 

店主   そうですか…。

     …でも、安心しました。

     貴方のその言葉は…、私にとっては多分、この上ない吉報ですから。

店主   ありがとう…そして、もし今度七緒にあったら こう伝えてください。

     どんな人生を歩もうと、貴方は貴方です。こんな場所でよければいつでもお越しください…と

 

女性   …えぇ、必ず伝えておきます…。

 

店主   それから、これも何かの運命だと思って少し寄って行きませんか?

     何もない古書店ですが…、甘い物くらいは用意出来ますよ。

 

女    …では、お邪魔します…。

 

 

 

  ――これで、私が出会ったナナオ古書店の物語はこれで幕を閉じました。

    ここから先はきっと二人の物語だと思います。

 

    ところで…私の番組はというと…

 

P     百合子、悪い知らせと良い知らせが一つづつあるぞ!

百合子  えぇ…、じゃ、じゃあ悪い知らせからお願いします…。

 

P     今回の放送では、昴と朋花の担当のみの放送となった。

百合子  うぇぇ…、結構頑張ったんだけどなぁ…

P     そして、良い知らせだ。

     なんと特別番組で百合子の担当のお店を組んでくれるそうだ!

 

百合子  うぇぇぇ! 良いんですか!?

P     何でも番組側が言うには、もうあれは改装ではなく移転になっちゃったから使えないそうだが、

     内容が良かったから、特別に特番での放送に決定したそうだ。

 

百合子  わ、わぁ…! ありがとうございます…!

P     さぁ、と言うわけで、今度追加でインタビュー撮影するみたいだぞ!

百合子  はい!

 

 

 

 

 

 

店員    …もう、店長ったら、またその額縁ばっかり見て…、

      テレビの放送、そんなに待ちきれないんですか?

店長    ははは、何せ新しい名前になった時の記念サインが入った額縁だからね。

店員    ふふふ、移転してからそればっかり…、

      「ナナオ書店」なんて、ほとんど変わってないじゃないですか

      それに、あんまりアイドルのサインばっかり見てると誤解されますよ?  先生…?

 

 

 

 

ナナオ古書店(終)


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