「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
ある日の昼休みの校舎裏、取蔭に呼びだされた俺は彼女と対面していた。
「え~と、その、ね」
「おう」
なんだこのしおらしい取蔭は、おかげで妙な雰囲気になってるぞ
これはもしや俺にもついに!!
「横嶋っていろんな奴から個性の相談されてるじゃん」
ですよねー、知ってた。
「なんで、校舎裏なんだ?
別に教室でも訓練場でもいいじゃないか……」
あとブラド先生が寂しそうにしているから俺ばかりじゃなくてブラド先生にも頼って下さい。
「ほら、私って一応は推薦組じゃない。だからね、分かってよ!!」
そういや推薦組(笑)だったな。なんつーか推薦組は轟以外攻勢能力じゃないからメイン張りにくい連中だよな
「あー、なんだ。俺に相談するって事は戦闘力が欠けているから何かアイデアが欲しいってことだな」
割りと攻撃力低いタイプとこの手の話をしてるよな。
「サポートアイテムに頼るのは駄目なんか?
お前みたいなタイプはアイテム使いになるのも一つの手だぞ」
飛び道具持たせた腕を分離とかオールレンジ攻撃出来て何気にヤバイよな
「もちろんそちらも考えているけども、個性を強化したいのよ。たとえば黒色は潜るだけじゃなくて動かせるようになったじゃない、私も成長したいのよ!!」
こいつの個性は"トカゲのしっぽ切り"なんだけどちょっと気になる事があったんだよな。ちょうどいいか
「今からやる事を秘密に出来るなら見てやる」
「解った。誓えば良いの?念書でも書く?」
「具体的な事をしゃべんなきゃいいだけだ」
人が来なさそうな更に奥の方に移動しつつ霊波を薄く放って反応から周囲に人影が無いのを確認、念の為人払いの結界札を使用する。
改めて取蔭と向かい合った状態で目をつむりクビラと憑依合体から左目を触媒にオーバーソウルを構築する。ついでに文珠(解)(析)を使用。
「あんた、その目……」
瞼を開けた俺を見て驚いている、ぱっと見左目だけ写輪眼擬きになっているからな
「俺のことは良いから個性を使ってみせろ」
さてと、いったい何が見えるかね。俺の予想では……
ヒーローとして軸がぶれている 2時限目
個性対応特殊警棒「GS-01」通称「ストライク1」
中学時代に俺が作った偽精霊石振動子と呪術回路を解析した情報から個性エネルギーの誘導技術を構築、特殊警棒に組み込んだ物だ。
そんなこんなでクラスメイトに試してもらったんだが、異形型や凡戸のような体内で物質を精製するタイプには只の警棒だが……
「二重の極み!!」「ブラッディースクライド!!」
庄田の一撃で標的が粉々に吹っ飛び、回原の突きで大穴を開けられた!
以前ネタでやらせた所手を痛めたのでお蔵入りしていたのだが、素手で使いにくい技術もストライク1でなら使えるわけだが…正直やり過ぎた!!
他には吹出の個性もストライク1から放てた。吹出の場合は発声事態は必要だが擬音の効果をストライク1の打撃に乗せる事が出来たので応用出来そうだ。
まあ、一番の問題は……
「
「読んでたよ!ストラッシュ!!」
光と闇、斬撃の形をとった2つのエネルギー波が激突して爆発した。どうしてこうなった…
ブラド先生から模擬戦の中止を告げられてそれぞれ感触を確かめる様に素振りを繰り返す2人、自力でエネルギー供給どころか応用のエネルギー波まで習得しやがった黒色と物間の2人である。これだから才能マンどもは!
ストライク1の本来の仕様は俺みたいなエネルギー操作タイプが個性エネルギーを打撃力に変換する物だ。俺が自作したものと違いプロが使用する前提で作られたそれは非常に頑丈で、遠慮なく標的を叩きまくった。汎用性を求めた結果多少効率は落ちていたが、なかなかの威力に調子に乗った俺はYOKOSHIMAストラッシュを使用した…ちょうどいい長さの棒を手にしたらだれだってアバンストラッシュやるよな!!俺は悪くねぇ!!
それを見た2人はネーミングがダサいとか散々文句言いつつもいつのまにか習得してやがった。いやお前らの個性って本来そういう方向性じゃないだろ。
なんというか、俺の霊力を体に流し続けた2人はこの世界の制限の為か霊力にこそ目覚めなかったが経絡系を刺激されたのか氣に目覚めたようだ。
最近聞いた鉄哲の話と2人の現状から推測するには氣も個性の影響を受けるのか素の状態でも属性の偏りがあるようだ。その点物間は個性の性質上フラットで尚且つ変化し易いようで、俺同様に意図的に属性を与える事が出来そうで面白い。
順番が滅茶苦茶になったがしょうがない。職場体験前に突貫で基礎技術や身体強化と瞬動も教えとくか。
ん、今度は円場か
「横嶋、少し「却下」てをおおいい!」
どうして俺んとこばかり来る。
「いいからちょっとこっちこい」
円場と肩を組みブラド先生から死角になる場所へ移動し真意を伝える。常識人枠のこいつなら上手くやるだろ
「他の先生からの情報なんだが、最近の飲み会でブラド先生が生徒自慢から始まり最後は愚痴で終わるそうだ」
「それが?」
「生徒の自主性が高いのが嬉しいが、何でも自分達で解決して自分に頼ってくれない。自分は果たして良い先生をやれているのだろうか?」
「解った、行ってくる」
「頼むぜ!!」
お互い笑顔のサムズアップで別れる。流石は円場、そのうちポニーを交えてライダー上映会をするか。
それはそうと、お袋には霊波感応素材の人工筋肉とか霊視ゴーグルとか他にも色々と見つかってしまったからなぁ、今後も何が出てくるやらと思った翌々日
職場体験の前日にも関わらず人工筋肉によるパワーアシストを搭載した最新型メックスーツの試作品とかが届いた。
職場体験に持って行けってか?行けるか!!つーか学生に試作品渡すな!!
へー、兄ちゃん達も契約してる?先方にもお邪魔しますから大丈夫って……何から何までお袋の仕込みかい!!
そんなこんなで学生なのに企業所属になってしまった
ついでに黒色と物間もストライク1のモニター契約させて巻き込んでやったぜ。専用品を組んで貰えるんだから文句は無いよな!!
つーわけで職場体験当日、やってきました「オフィスG&L」
『兄ちゃんなんだか』『トランプとか武器にして戦いそうな格好だよね』
「私はマジシャンではなくて紳士なのだよ、そこの所間違えないように」
「痛い痛い、頭割れる」
妙な緊張感に包まれていたからちょっとたジョークで場を和ますつもりがアイアンクローを食らってしまった。括弧付けた喋り方が不味かったのか?
つーか全然反応出来んかった。プロとの差がここまであるとは、ちょっとばかり天狗になっていたようだ。
「まったく、久しぶりに会っての第一声がこれとは……」
「ふふっ、ごめんなさい。
ジェントルったらこのあいだ"マジックヒーロー・イリュージョン"と間違えられたのを気にしているのよ」
「その、弾兄ちゃん、なんかごめんなさい」
愛美さんにバラされて気まずいのか憮然とした表情の弾兄ちゃんの背後に人影が…
「仲がよろしいのですね」
しれっと登場する黒咲さん、全然気付かなかったぜ。実はこの人も強いんか?
「それでは早速ですがスーツに着替えていただけますか」
「いや、なんでアナタが仕切っているんですか? あと愛美さんもこの人止めて下さい」
諦め顔の弾兄ちゃんに困った顔の愛美さん、いや貴方たちの事務所でしょうが
抵抗むなしくパワーアシスト付きのメックスーツに着替えさせられそうになったが慣らしも無しにいきなり普通の室内で強化服なぞ着れるかと断固拒否してパワーアシスト無しのスーツにしてもらった。つーかヒーロースーツのスーツじゃなくって背広のスーツなんすね。あんたら背広にパワーアシスト組み込むとか何処目指してるんだよ!企業戦士か!!YAMAZAKIか!!!
「トランプはありませんのでこちらをどうぞ」
と手渡されたのはカッチョイイロゴで俺のヒーロー名だけ入ったカラフルな名刺?まあヒーロー未満の学生なら肩書とか無いし連絡先とかも迂闊に載せられないし名前ぐらいしか書く事ないよな。つーかプラスチック製なのね、名刺というかカードじゃん!武器にしろと!?出来るけどな!!
「どうせなら執事服にしましょうか」
と笑いを堪えたの愛美さんの一言によりその場で脱がされて手直ししてきますと黒咲さんは出ていった。何しに来たんだよ……
一応契約だから試そうかと諦め顔の弾兄ちゃんの案内でパワーアシスト付きのスーツを持ってとある山へ、件の「藤ノ小神社」がある山でその辺一帯が師匠である墨土羅ェ門氏の土地だそうだ。そのうち紹介してくれるという事なので今は置いとこう。
さて、パワーアシスト付きのメックスーツだが力を入れようと意識すると某A・Mスーツのごとくマッチョになるのだが、背広タイプだから上半身のバランスが悪すぎる!ぶっ飛んだり転げたり強制ブリッジしたりと散々な目にあった。室内で試さずに正解だったよ。こんなん使えるか!!
愛美さんは撮影した一連の俺の愉快動画を黒咲さんに送るからと事務所に戻り、俺は兄ちゃんとパトロールをする事になった。
現在俺の格好はライダース-ツにブーツ、ポケット多めのベストにベルトの小物入れとヒーローとしては地味な格好である。蹴りを多用するので普通のライダース-ツよりは動きやすく出来ているがぱっと見只のバイク乗りです。バイク無いけどな。
ちなみにスーツを着た時にバンダナは外して髪は後ろ流し整髪料で固めてある。
昔の様に兄ちゃんからヒーローとしての指導を受けながらのパトロール
あの頃のお遊びと違いちゃんとしたヒーロー活動
それなのにあの頃と同じ空気なのがなんか懐かしくて笑ってしまった
そして俺の方を見た弾兄ちゃんもちょっと笑ってた
事務所で出迎えてくれた愛美さんも笑ってた
今日は散々な目にあったけどなんだか最後はどうでもよくなった一日だった。
ちなみにあれだ、そこら辺のオリ主ならパトロールに出ればファンに囲まれる場面なのだが……
俺の場合はバンダナを取って髪を後ろ流せばあら不思議、誰にも気付かれませんでした。単にそこまで人気が無いともいえるがな!!
『管赤慈郎の憂鬱』
「先生、個性の事で相談が有るのですが」
「円場か、順調に個性を伸ばしているようだが何か問題があったのか?」
「その、漠然とした考えですが周りと差が開くのを感じていて、俺も何か次の段階に進む切っ掛けが無いかと……」
「捕縛に使える様になったばかりではないか、焦るのは分からなくもないがちゃんと成長はしているぞ」
「その捕縛にしても今の俺では複数の対象には対応出来ませんし強度の問題もあります。シンリンカムイのウルシ鎖牢と比べるとあまりにも非力で……」
「あちらはプロヒーローでも上位だ、上昇志向は必要だが余り上ばかり見ているのも善くないぞ。まずは自分に何が出来て何が出来ないか考えてみるといい」
「はい」
「サイキック・ソーサー!!」
「
「エネルギーの盾か!!」
「くそ、ちょこまかと」
「さっきの盾を足場にしているぞ!!」
「霊波拳・サイキック・ナッコォ!!」
「盾で殴るだとぉぉおおお」
「俺の必殺技パート……幾つか忘れた!」
「
「遠隔操作も出来るのか!!」
「……なんかすみません。とりあえず体育祭で横嶋に無茶振りされてから動かせるようにはなったので盾での活用を色々と考えてみます。」
「その、なんだ、奴は普通じゃないからな。お前はああはなってくれるな」