「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
特に落ちもフラグも無い事務所の一幕
「愛美さん、執事服だと俺のクラスの物間と被るんだけど」
「何か譲れない点とか拘りが有るのならしょうがないけど、出来ればウチに居る間はジェントルと合わせてフォーマルな格好でいてくれると嬉しいのだけど」
「あー、事務所のカラーってのも有りますよね。わかりました」
ヒーローとして軸がぶれている 下
事務所に顔を出すとパソコンの前で苦笑いの愛美さん
何でもヒーロー関連の掲示板でヒーローが雄英生をパトロールに同行させているのを見て職場体験の話題となったのだが、大手事務所はファンも多くて見ている人間は多いから直ぐに情報が出回った。情報をまとめた結果体育祭2位の俺が大手事務所には居ない、では何処に行ったのかと様々な憶測が入り乱れているそうだ。
飛行能力持ちなので海上や山中など人目が少ない場所で活動するヒーローの元に居るのか、単に初日だからパトロール等の表に出る活動をしていないのが有力らしい。
「ウチみたいな弱小はノーマークですものね」
それで兄ちゃんは黄昏ているんだ。なんかゴメン
事務所で軽い座学の後に午前のティータイムと洒落込んでいる所に黒咲さんが登場、平穏な時間はここまでのようだ。
昨日のスーツに文句を言いつつ受けとった新たなスーツはインナーとして着込める薄手のドライスーツの様な物だった。
搭載する人工筋肉の量が減り出力は落ちるが、薄手なのに防刃・防弾・耐衝撃・耐熱・耐寒・絶縁に加えて関節の保護などで必要に応じて硬化とこれだけでも十分な装備であり、その上に装甲や端末にあたるスーツを着込む仕様だそうだ。最初からこっち出せや!
今回はアウターの執事服はヒーロースーツとしては一般的な素材を採用したので加工自体は短時間で済み、端末関係は元のスーツの物を移植したので一晩で出来たそうだ。
技術的な再現度を無視して仕様だけみればスプリガンのA・Mスーツにエイリアンシリーズのメックスーツとダディフェイスのメックコートの良いとこ取りをしたまさしくボクの考えた最強の戦闘服だ。行方不明だった俺の黒歴史ノートの行方がわかったぜ(震え声)
「忠雄さんのアイデアノートですが、個性関係は理解不能な点が多くて神通棍の様に試作品が存在する物のみ辛うじて実用化出来た次第です。
ですが装備関係では様々なアイデアにインスパイアされた開発課の面々が実用化に尽力しておりますのでご期待ください」
この人わかっててやってんじゃねーだろうな
「あれは人に見せるつもりは無い子供の頃の空想ノートなので返して下さい!!」
「お母様から許可を頂いておりますので」
をおおいい!それで引き下がると思ったのか!!そーだよ、引き下がるしかないんだよ。
しょーが無いので気を取り直して動作テストに入る
「しかしこれ収納多い割にシルエットが崩れないのが凄いっすね」
「ええ、この手の服は需要が大きいので技術的な蓄積が豊富ですから」
さて、パワーアシストについては昨日のテストである程度の感触は掴んだので今日は素直に着込んだ。昨日よりは出力は落ちているが今度は全体を覆われている為にバランス良くアシストが入り実際の効果は高い。いやマジ昨日のスーツはなんだったのか?
軽くシャドーをこなしてみるが非常に動き易く出来ていて流石はプロの仕事と感心したのだが、とある問題が発覚した。
普通に動く分には問題無くても全速力で動くと人工筋肉の微妙な反応の遅れや人体工学を元に配置されていても服という性質上起こるズレが原因で動作に影響が出て動きが悪くなった。パワーが上がったが精密動作に難有りといった所だろうか。終盤は御神苗優もスーツ脱いだからな、強化装備は中の人のレベルが上がると逆に枷になるのはしょうがないのかね。
「機械式と違って追従性の高さが精神感応型人工筋肉の売りだったはずですが…」
酷く残念そうな黒咲さんには悪いが俺や弾兄ちゃんには不向きな装備となった。スーツの膨張で上着を破ったり、腕で顔を庇いなが銃弾の雨の中に飛び込んだりするスプリガンごっこが出来なくて非常に残念である。
結論としては普通に重機が入れないような現場などは重宝するし、普通の人間でも防御力とパワーアシストのお陰で並みの増強系位には動けるので強化服としても完成度は非常に高い。ただし速度が増す増強系の個性持ちの場合は枷になりうる場合があるといった所か。これはこれで売り込み方さえ間違わなければ行けると思うから良いんじゃない?
個人的には中二力が高い装備は大好きなので残念なのだがインナーは返却してヒーロースーツは執事服タイプのアウターのみ使用することになった。
よし、これは斬糸系の技を再現するために作成したオートで動く式神糸の出番だな
「ちなみに今日はこのような物もお持ちしました」
えっ?これはワイヤーアンカー付きの小手っ!剣も出るのかっ!!ヤクイ!!!
くそっ、実用性は置いておいて使いたいが執事服では……
「使うかどうか別にして一応テストしましょうか」
愛美さんあざっす。
この後滅茶苦茶テストした
モニター契約とか言いつつ、ちょろっと使う程度で良いのかと黒咲さんに疑問に思った点を聞いてみれば、本格的にテストをするとなると職場体験を潰しても足りないのであくまで軽いモニターとの事。
さらに企業専属を希望するなら受け入れる準備はあるが勧誘はしない契約であり、また権利の保持者である俺に完成品を届け感想を聞くのもそう可笑しな話では無いとの事。
それではこの際だからと、インナーを防御専用にして更にパワーアシストスーツを着こむ型を提案した。要は普段はパワータイプで強敵相手ならキャストオフしてウエイトになる装備を捨てればよいのだ。出来れば俺本来のライダースーツスタイルで、可能ならバイクもたのんます。
「忠雄さんの年齢で取れる免許で乗れる乗り物は扱っていませんから」
と、苦笑いをしつつ黒咲さんは帰っていった。
さて、午後になりパトロールに出るかと話していると愛美さんが2人の師匠から連絡があったとの事
要約すると「ちょっと最近きな臭くなってきた。兄ちゃんを近く有るだろう大捕り物に同行させたいから実績を作れ。最近ヒーロー殺しとか調子こいてる奴が居る。ちょうどいいから捕まえて名を上げろ」
犯罪者を捕まえる事自体は良い事なのだが実績作りに利用しろとは少しもにゃる。
まぁなんだ、兄ちゃんも微妙な表情をしていたがヒーロー活動としては間違いでは無いので計画を立てる事になった。
……ヒーロー殺しってなんか回帰主義ってか原理主義だっけ?
俺みたいなのは粛清対象になるんかねぇ、ヒーローなるのが目標みたいな感じでここまできたから。正直あんまり関わりたくは無い相手だわな。
確か飯田達が関わるんだったかな?確か3日目だったから明日には解決か…
「……傾向として保須市にまた現れる可能性が高いわね。ここまでで質問は?」
っと、いかんいかん。
「特には」
「それでは私は裏路地を重点的に巡回するコースを検討するから先に保須市へ向かって」
ん~、2日目だし遭うことはないかな?
「すみません、提案ですが個性使用の許可を頂けるなら探査用式神を使用したいのですが」
「式神というとラブラバの電子妖精みたいなモノかね?」
「あれとは違い使い捨ての簡易型です」
「何体位使えるのかしら?」
「自分は動けなくなりますが108鬼まで行けます」
「情報の共有は可能?」
「俺の電子式神から愛美さんの電子妖精へデータを送ります」
「ストライプ、ヒーロー活動中はヒーローネームだ」
「すみません、ジェントル」
「オーケー、それでは先ずは2人は保須市へ向かって、現地で拠点に出来そうな場所を幾つかピックアップして連絡するわ。移動中に細かい条件を詰めるわよ」
「では行こうか、ストライプ」
「了解、ジェントル」
『今日のトムラさん』
「普通に上手いのが腹が立つ」
とある薄暗いバーの中、カウンター席の方からその声は聞こえた。
重苦しい雰囲気のバーの中で、ピアノを弾く白服の肉塊男
ウィンナーソーセージのような指先が、フライパンの熱い油に跳ねているのかと見紛うほど、忙しく鍵盤の上を踊っている。
「聞こう」コンロの火を…いや、鍵盤を叩く指を止め、その男はカウンターの席へと座る。彼の巨体を受け止めた椅子が、ぎぎぎ…と小さな悲鳴を上げた。
「「聞こう」じゃねーよ
黒霧!狭いんだからコイツとピアノを放り出せ!!」