「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
アリサ・スプリングフィールドの記憶には時々男性の影が見える。
彼女がとても大事にしている思いなのだろう、私には彼の姿は見えないのだが確かにその存在を感じる
9歳の彼女と出会った彼は、怪我の後遺症で苦しんでいた彼女を治療した。
彼女の魔法の師でもあったのだが、彼の本分は彼女達魔法使いからは東洋魔法使いと呼ばれる「陰陽師」であった……
私の目の前でヒーロー殺しに数羽のスズメが切り裂かれたのだが、切り裂かれた瞬間にスズメの姿は紙切れに変わった。
それを目撃したヒーロー殺しの動きが止まったタイミングでヒーロー殺しに纏わり付いていたスズメ達が一塊になり破裂して紙吹雪が舞った
その正体を私は識っていた、アレはアノ世界の日本の術者が使う式神というゴーレムではないだろうか?
「横嶋…忠雄…」
紙吹雪の中に人影が現れたときにふと、口をついた名前
やはり彼は私と同じ世界の知識を持つ私とは別の系統の術者なのだろうか……
「申し訳ないのだが、私は彼では無いのだよ」
「えっ、あのっ、すみませんでした」
ところが現われた人影は彼とは似ても似つかないおじ様だったのだ。
「クラスメイトなのかい?
忠雄くんもこちらに向かっているから直ぐに……ああ、到着したようだ」
おじ様とヒーロー殺しの視線の先、ビルの壁に……執事だろうか?……男性が立っていた。
目の錯覚だろうか、彼はビルの壁に地面と平行に立ち、歩いて降りてきたのだ。ニンジャ!?ニンジャナンデ!?
「貴方は誰ですか!!」
「君たち知り合いじゃ無いのかい?」
「いや、知らない娘だけど」
「えっ、えっ、あっ!バンダナしていない!!」
その執事服の男性は横嶋忠雄さんだったようだ、そういえば今までは遠目でしか見た事がなかったわ。
ヒーローとして軸がぶれている 完結編2
「話は後だ、ストライプ、怪我人の処置を済ませたら彼女と一緒に彼を表に運び出してくれ」
「了解、ジェントル」
兄ちゃんからの指示で怪我人の元へ向かう、結構な出血なので急いで処置をした方がいいな。
「ふん、こちらを一切見もせずに怪我人の元へ向かうか、世に蔓延る偽物共よりは見所が有るようだな」
「ああ、彼は私の様な三流ヒーローと違い雄英出身の将来有望な若者だ、ここでやるべき事を間違えたりはしないさ」
なんか評価してくれているようだが、周囲に配置した式神で視界は確保しているので見る必要が無いだけです。
だから大袈裟な身振り手振りで芝居がかった仕草を交え会話するジェントルの様子もバッチリだ!そして愛美さんキャーキャーうるさいです。どんだけジェントル好きなんですか…
彼女が庇っていた怪我人は以前兄ちゃんが間違われたという「マジックヒーロー・イリュージョン」だった。どんな偶然だよ……
GS美神で治療といえば犬型の式神「ショウトラ」なのだが、傷口を犬に舐めさせるのは多分嫌がられそうだな。ここは憑依合体して手でヒーリングが妥当であろうか、霊視して見た所ぴくりとも動かんのは怪我ではなく個性の影響下にある為だった。この類いの個性は俺の感覚では呪いになるので文珠でさくっと(浄)化する、消毒も兼ねるのでお得だ。
ヒーロー殺しの個性から解放されて動けるようになったイリュージョンさんが彼女を連れて逃げる様に促すがそんな頼みは聞けないよ。ジェントルのオーダーは貴方を助ける事だ。
「大丈夫ですよ、俺のヒーローはあんな奴に負けやしない」
「えっと、あの、あの人凄く強いんです。一人じゃ危ないんです!」
「本当に奴は危険なんだ、幸い身体が動く様になったから俺の事はいい、自分の面倒は自分で見るから君達は応援を呼びに行くんだ!!」
「大丈夫ですよ、自分達の事は事務所の方で絶えずモニターしていますので既に各所に連絡済みです。」
「それに、大層なお題目をぶち上げても結局は周りに当たり散らすだけのアホに、茨の道を往く覚悟を決めているジェントルが負けるわけがない」
先ほどまでの大げさな身振りから一転して、手にするステッキを巧みに操り、最小の動きでヒーロー殺しの攻撃を捌くジェントル
ヒーロー殺しが距離を取ろうとすれば周囲を飛び回るスズメが邪魔をして動きを制限されている。
ジェントルの巧みな立ち回りにイリュージョンさんはひとまず納得したのか警戒は怠らないが回復に努める為におとなしくしてくれるようだ。多分イザと言う時に動けるように身体を休めているのだろうな、この人も凄いな、これがプロヒーローなのか。
「あの、貴方は東洋魔法使いですか?
杖を、発動体を持っていませんか」
なんの事だ?手に持っている物だろうか?
ヒーリングを掛けつつ受け答えをする。このレベルのながら作業が可能になるとはマルチタスク様々である。
「それ、診せてもらっても?」
杖の残骸らしき物を受け取り霊力を流しこみ霊視で確認する。この構造ならストライク1で行けそうか?
「試しにコレを使ってみてくれ」
ストライク1を渡した所、思っていたものと違うのか不満そうな表情をしながらも試してみるようだ
「凄い、魔力の通りが私の杖よりいい。これなら!」
納得したのか表情を引き締めイリュージョンさんに向かって詠唱を始めた
おいおい、俺の治療の上から別の術理の式を掛けるのか!変な干渉したらどうする気だよ!
慌ててヒーリングを中断して彼女の術式行使を見守る、どうもこれは個性では無く、かといって氣や霊力でもなさそうだ。敢えていえば精神力寄りか?一気に胡散臭くなったな、彼女は転生者か?
「……駄目、これだけの傷を治療するには魔力が足りない…どうして私はもっと治療呪文の練習しなかったの…」
あー、ここで辞めさせるのはイカン流れだわ。しょーがねーなー
不可視で発現した
『
こんな状況でネタを振ったのは彼女に転生者疑惑が有るからなのだが…
「欲しいです。助けて!!」
普通に返された、違うのか?女性だし元ネタを知らないだけか?
「
つーわけで割と本気で流し込んであげました。
決して男ばかり相手して嫌気がさしていたからでは無いヨ
「すっ、凄い…こっ…れなら…」
こんな状況でなければもう少し楽しめたのだけどな。負担にならない辺りを見極めて流し込む量を調整する。
疚しい理由では無く純粋に知らない術理なので後で記録している映像でじっくりと調べる事にしよう。ホントダヨ
っと、ヒーロー殺しがこちらの治療の様子を見て邪魔をしようとナイフを投擲してきた、当然ジェントルはこちらを庇う為にナイフの迎撃を強いられる。その隙にジェントル躱し壁を駆け上がり飛び込んで来た
立ち上がろうとするイリュージョンさんを(押)さえ彼女の肩に置いた手に力を込めるが不要だったようだ。自分がやると決めた役目を全うしようと治療に専念する彼女の覚悟には感心した。
ヒーロー殺しは冷めた目で自分見るだけで何もしようとしない俺に失望したのか標的であるイリュージョンさんに視線を向けるが既に詰みだよ
何故なら自分達の周囲の空気にはジェントルが個性を使っていたのだから。会話中に芝居がかった動作をとっていたのはキャラ作りではなくステッキを介して個性を使用していたからだ。そう、ジェントルのステッキはGS-01のカスタマイズ品なのだから。
空中でジェントルが設置したジェントリーリバウンドにめり込み愕然とするヒーロー殺し!!
俺が態々壁を歩いたのもジェントルに合わせてスズメ式神で牽制したのもジェントルが体術のみで戦ったのも個性を誤認させる為だ。俺が壁歩きを見せたので消去法でスズメ式神をジェントルの個性と思い込んでしまい、ジェントルの大げさな身振りを疑問に思わず無警戒にこちらに飛び込んでしまったのだ!!
「ジェントリーサンドイッチ」
"その歩みは時空を渡るが如く…"四次元流格闘術の特殊な歩法でヒーロー殺しの上に一瞬で回り込んだジェントルがジェントリーリバウンドが反発してヒーロー殺しを弾き出す前に蓋をするようにもう1枚設置して挟み込んだ!
ピッタリと隙間無く設置したジェントリーリバウンド挟みこまれ拘束されたヒーロー殺しの呆然とした顔
「どういう事だ!!」
「スズメは俺の仕業、その拘束がジェントルの個性。あんたは俺の仕掛たブラフにまんまと引っかかった。俺の仕込みに即興で合わせてくれたジェントルと俺のコンビネーションに負けたんだよ」
「君こそ私の仕込みを隠す為に態々壁を歩いてジェントリーリバウンドを避けてくれただろう」
「そうだ!壁を歩いたのが個性じゃないのか!!」
「ヒーロー目指して頑張って修行した」
「なっ、なんだ、それは」
「幕引きだよ、ヒーロー殺し」
空中に拘束されて身動きの取れないヒーロー殺しの頭部にジェントルの鋭い蹴りが炸裂し、意識を奪ったところで他のヒーロー達と警察が到着したのであった。
ヤバい、今日の兄ちゃんはカッコ良過ぎる。お陰でさっきから通信機越しに聞こえる愛美さんの歓声が酷い事になっている。あっ、兄ちゃんも少しげんなりしてるわ。
病院に搬送されるイリュージョンさんと付き添う彼女。そういえば結局彼女は何処の何方だったのか?
『今日のトムラさん3』
「消えた後は背後立つなんてワンパターンなんだ「フン!」ぐはっっっ!!」
「反撃しないとは言ってない。
だが、今のは悪くなかったぞ」
「クソ、このバグ豚が!!そのうち叩き出してやる!!」
「オラッッツ!!」
「ゴハッッ」
「
壮絶な追いかけっこの末に死柄木弔は地に付した
その騒動を諦め顔で眺めつつもニュース番組に耳を傾けていた黒霧は愕然とした
『……の保須市の繁華街から……』
「…っ!!」
「フン、どうした?」
「それが、貴方の次に迎え入れるべく探していた相手が捕まってしまったようで…」
「ヒーロー殺しか……ん、奴はまさかジジイの弟子か!!」
「ふん、ちょうど居場所が判明したのだから迎えに行けばいい」
「死柄木弔、目覚めたのですか」
「最初から起きてたさ、クソッ、馬鹿力で殴りやがって……
そいつを迎え入れるのは先生の指示なんだな。迎えに行くぞ」
「まて、俺も連れて行け。
ジジイの弟子が絡むのなら嫌がらせにちょうどいい」