「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
貴様はなんなんだ
ヒーローさ、
「歴史に名を残す偉大な人物になる」などという誇大妄想に憑かれた哀れな中年ヒーローさ
貴様の様な俗物に価値は無い。死ぬがいい
嫌だね、そんな頼みはお断りだよ。
なにより私の価値は君程度で測れる物ではないさ。私の価値を知りたければ私の周りの人達を知ることから始めるがいい。
他人の威を借るか。正に自身に価値が無い事を認める行為だ
私は困った時にどれだけの人が力になってくれるかがその人の価値だと思うよ。
どこまでも平行線だね、だから私は彼らを護り切る事で彼らに守るだけの価値があったと証明しよう。
意味が解らん
意味はあるさ、君が無価値とする命を救う事は君の凶行を止める事でもある。護れた事と止めた事、そこに二つの価値が生まれる
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「気分はどうだい?悪党の先輩」
「最悪の目覚めだ。ここは何処だ」
「それについては未だ教えられないな。アンタが仲間になるのなら教えてやる。」
「しかし正直先生の指示でなければ俺とは相容れないアンタを迎え入れる気にはならない。あんな人格破棄者を崇拝している時点でアンタは俺の破壊対象だからだ。」
「…それで」
「……未熟な俺には先生の考えは解らないが、そんな俺でも解る事が一つある。」
「アンタの草の根活動が無駄じゃなかった証拠に社会が揺らいでいやがる。もっとも今日名も知れない三流ヒーローに捕まった事で今度はアンタが築き上げモノが揺らいでいるがな」
「さて、それを理解出来たのなら提案だ、このまま草の根運動を続けるというのならまあ、それも良いだろう。このクソッタレな社会が揺らぐ様はそれはそれで楽しめる。出て行きたい時に出て行けばいい。」
「だが今以上の何かを望むのなら俺の下に就け、なに、オマエに本当に用があるのは先生だ、先生が声を掛けるということはオマエにも何か意味があるのだろう。オマエにとっても悪い事にはならないさ」
隣り合わせの炎上と青春
職場体験4日目、今現在俺は羞恥心と闘っている!!
「
「凄いわね~、"オーダーを!!"と"執事"
この2つがヒーロー殺し関係と同じくらいバズってるわね」
「いっそ殺せぇぇぇぇ!!!」
そうだよな、原作でヒーロー殺しの発言が漏れている節があったのは目撃者が居たと考えるのが自然だよな。つーか撮影すんなよ、拡散すんなよ
「特にここが良いわね」
愛美さんがご満悦なのは「我が英雄よ!!」からの流れ
ぶっちゃけこの人ジェントルがカッコ良ければ何でもいいようだ。
「あら、このシーンは忠雄くんもカッコ良くてお気に入りよ。悔しいけど私より忠雄くんと並ぶ方が絵になるわね」
「ふ~ん、"お髭が素敵な紳士と眼鏡を取るとガラが悪い素が出る少年執事"ね……」
「早速注文しなきゃ」
「うが~~~~~~っつ!!
腐女子共の仕事速過ぎんぞ!!」
さて、一昨日もニュースになったが昨日はバリバリ映像が残ったので身元が特定されました。
体育祭は被害者枠でしたが今回は自分から首突っ込んだ形なのでクラスメイトからは炎上男と有難くない呼び名をされている。心配は?と聞けば映像見る限り元気じゃんと返される始末
いや、マジでカンベン。なんで犯罪者のステインにフォロワーがこんなにいんだよこの社会おかしいだろ
原作ではここから暫らくはステインの話題で持ち切りになるところだが俺の勢いまかせの行動が功を奏したのかステインの行動を疑問視する声が多い
その分信者は意固地になっているようだからプラスかマイナスか判らん
そんなわけでステイン否定派には一連のやり取りが持ち出されたわけだが、そこにマイトファンもまざる
そりゃオールマイトにしてみれば自分に心酔した挙げ句に他のヒーロー否定とか良い迷惑だわな。当然ファンもオールマイトを犯罪の理由にするな、巻き込むなと怒る。
そして俺は火元の一人。ステインを除けば炎上の中心に居る男だ。嬉しくねぇ。
まぁ、なんだ、エンデヴァーとか警察は俺の味方をしてくれているのが救いか、ジェントルにも気を使っているしな。
別に飯田達の事はジェントルが納得したのなら俺は何も言わんつーの、見損なうなよな。
ん~、センサーに反応、マスコミじゃないし客か?
黒咲さんかな?
いや、あの人はセキュリティー普通に躱して入ってくるか。普段なにやってるんだ?
「あの、先日ジェントルさんに助けて頂いた榛葉亜里沙と申します」
あ~、押し掛けて来やがったか。学校で会うまで大人しく待てんのかね。
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昨日イリュージョンさんをお見舞いに行った際に同じくイリュージョンさんをお見舞いしていた彼女と再開した。
厳密には担任の相澤先生を交えて残りの日程をどうするかの話し合いの最中だったのだが…担任?…、1年…、A組…、えっ!?
というわけで改めて自己紹介、へーそーですか、隣のクラスだったんですねぇ。特に交流もない隣クラスとか態々覗かないので俺は知りませんでした。
「私は横嶋さんを知ってるのに、横嶋さんは私の事を知らないのですね」
「物間みたいに特に敵視してないから、いちいち動向とか調べたりとかせんよ」
「そういう意味では無いのですが……、そうですね、私もB組全員の名前を知っている訳ではありませんから」
「そうだね、忠雄くんは今年の雄英1年で真っ先に名前が挙がる有名人だからね」
愛美さん、あんまり嬉しくないフォローをどうも、弾兄ちゃんなににやけていますか!!
「体育祭の事もあるからこの際ぶっちゃけるけど、A組で好感持ってるのライバルの飯田君だけで後は特に興味ない」
暗にA組でライバル足り得るのは飯田だけだとの意思を込めたが気付いたかね?
相澤先生が一瞬不快な顔をしたか?気付いたのか?それとも体育祭のA組の問題(主に爆豪)についちゃ俺は悪くぬぇ!!
「あの、えっと、爆豪くんとかどう思っているんですか?」
申し訳なさそうな顔しても敢えて切り込んできますか、そうですか
「いや、目指す方向性が違うから興味ないし。絡んでこないならどうでもいいって感じ?」
敢えて本人が聞いたら切れそうな返しをする。実際本心だし忙しくて構ってる暇無いしな
しかしイリュージョンさんをお見舞いに来たのに本人そっちのけとかどうなんだろう?
ちょっと気まずいのでイリュージョンさんに軽く謝る。周りも気付いてバツの悪い顔をした所で本題を切り出す。
「雑談は後にして昨日貸したストライク1を返してくれ、アレは借りてる物で管理が厳しいんだよ。今回は非常時って事で誤魔化してもらったけどこれ以上は俺の管理問題になる」
「あの、これを私に譲って貰えませんか?」
「借りてるって言っただろ。無茶言うなよ」
そこで相澤先生が割り込んで来た。
「確かお前はB組の物間と黒色には渡してなかったか?」
「本当ですか!でしたら私にも!!」
余計な事を……
「馬鹿な事を言わないで下さい。
物間と黒色についてはそれなりの付き合いがあるので信用出来ると判断して「枝村サポート」に紹介しましたが、自分は彼女の事を何も知らない。そんな相手を紹介は出来ません。どうしてもと言うなら学校経由でコンタクト取ればいいじゃないですか、それこそ担任のお仕事ですよ」
そこまで話したところで愛美さんから
「残念ながら枝村サポートは"雄英"では動かない、無理な相談よ」
「なんにしてもお見舞いに来て話す内容じゃないわ。ここらで失礼しましょうか」
確かにこれ以上関係ない話を続けるのなら場所を変えるべきだな、お暇しよう。
何か言いたそうなA組コンビを視界から外しイリュージョンさんにお大事にと伝えて退出した……
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その翌日に担任付きで押し掛けて来やがった。
「本日はアポイントメントを取られていないようですがどういったご用件でしょうか?
いくら我が事務所が三流とはいえ時間が取れるとは限りませんよ」
アポ取ってないんかい!!社会人としての常識を疑うぞ」
苦い顔の相澤先生
「忠雄くん、その考えが声に出る癖は早く直したほうが良いわよ」
「失礼しました。学生の俺が解る社会的常識をご存じ無いとは意外だったもので」
「違うの、私が言い出した事なのよ」
このタイミングで割り込むとかお前はザマーされる空気読めないヒロインかい!!
「雄英の校風である"自由"が通用するのは雄英の中だけだ。
外に出たら雄英が守ってくれるとは限らないぜ、外で自由な振る舞いをするのなら自身の言動と行動に責任を取れるようになってからにするんだな」
「横嶋、そこまでにしてくれ。お前が学生の割に社会常識に通じていることは分かった。
お前はヒーローよりサラリーマンになった方が良くないか?」
自分に対する皮肉も混ざってると理解して皮肉で返してきたか。アホが、命取りだぞ
「相澤先生も俺がヒーローに成るのを否定するクチですか、A組だったら除籍されていましたかね、俺?」
「えっ!?
除籍って合理的虚偽じゃ」
「えー、なんでA組の人間が知らんの?
去年の1年で担当したクラスまるまる除籍してるんだぜ、嘘だと思うなら2年の先輩に聞いてみなよ」
「除籍まではしない、未知数であるというだけでは弱い。ましてやサイドキックとしてなら期待が持てる、ならば鍛え上げる価値はある」
「そうですか、この様子じゃ多分アンタも同じ扱いだぜ「榛葉亜里沙」
大人は俺達が思ってる以上に俺達の事を見ている。相手は一人を除いて教師のプロだ。学生が舐めて掛かれる相手じゃ無い」
「えっ!?それは……」
「お前が言うか」
「相澤先生でしたか、ここは私達の事務所です。彼は雄英の生徒ではありますが、今この場では当事務所でお預かりしている職員です。
私共の同僚に余り失礼な態度を取られるようでしたらこちらも相応な準備がございますよ」
「大変失礼しました」
スーツも着てるし、頭も下げられる。なのにどーして当日でもいいからアポ取って来なかったんだろう?
マジで榛葉に押し切られたのか?あんたは転生者ヒロインに篭絡されて行動がおかしくなる攻略対象か!?
嫌だぜ、俺がバトル漫画世界に転生で四苦八苦してたら隣のクラスで乙女ゲーム世界に転生して逆ハーする女が居るとか
「お前……、逆ハー狙いの転生者とかじゃねーだろうな」
だからつい口に出てしまった。いや、ホントこの癖何時か命取りになるわ
「ひっ、人を素人小説の頭おかしいキャラみたいに言わないで下さい!!」
通じはするんだな。愛美さんも吹いてる
「た、忠雄くんも…そういうの読むんだ……」
通じて無いのは相澤先生だけか、なおジェントルは朝から師匠に呼び出し食らって出かけているらしい。
「すみません、榛葉が原因でこのような事態になったようですので。つい益体も無い突飛な想像をしてしまいました」
「想像ですか、横嶋さんは私の魔力に合わせてくれましたよね」
ここは誤魔化しに入るか、話すことを選ぶだけで嘘は言わんよ
「ん~、アレか、最近黒色や物間と合体技で「合気法大極波」ってやってたから他人と合わせるのが上手くなってたからな」
「えぇっっ!!
私や横嶋さん以外にもいるんですか!?」
「何を言い出すかと思えば、なんか特殊な体術使う連中は個性とは別の謎エネルギー、感覚的に生命力だと思うんだが使うぞ」
「榛葉のも個性じゃなくて精神よりの謎エネルギーだろ、俺の個性は両方の中間だからどっちにも合わせられるんだが」
「個性じゃ無い、それで榛葉に抹消が通用しなかったのか。つまりお前にも抹消は効かないのか?」
「俺の個性は謎エネルギーの操作だから抹消は通用しますよ。もっとも個性消えても生命エネルギーを自力で操作出来ますから威力落ちますけど電装脚くらいなら行けますが」
「お前なら榛葉を伸ばせるのか?」
「それは教師の仕事では」
「生憎だがそのノウハウが無い。お前はクラスの人間には教えたのだろう。榛葉には教えられない理由は」
「それはクラスの皆が自分の意志で行った自主練の成果だからです。俺達がお互いに切磋琢磨した努力の結果です」
「こいつらも努力はしている」
「とある漫画のセリフですが、与えられた課題をこなすのは努力とは言いませんよ」
「……そうだな、俺はA組が
「私は
「あの恥ずかしい動画を見たんだな……、だったら分かるだろ、気迫凄くても思想が聞くに堪えない物だったから聞き流しただけだ」
「そんな、それは最後まで話を聞いたから判断出来る事、最初から平気だった理由にならない」
「嘘は言ってない、言葉と同じで気迫もまともに受けるのが無理なら受け流せばいい」
「私には学生の忠雄くんがその域に居ること自体が不思議なんだけどね」
ふっ、愛美さんなら解るハズだ、何故なら
「おかんの社会常識スパルタ授業に比べればな…ヒーロー殺しなぞ小者に見えたわ」
「ああ、なるほど、そうよね」
2人で遠い目をしてしまった。
戦友同士でしか通じない理由に不可解な視線を向ける客人の2人、埒が明かないと思ったのか標的を愛美さんに変えてきた
「そちらの榛葉さんをうちで研修させて欲しいと。失礼ですがイリュージョンさんには?
そもそもイリュージョンさんからウチでは大分格が落ちると思いますが。」
「そもそもウチは受け入れ先候補に上がらない弱小三流事務所です。親御さんも納得されますか?他を当たられた方が賢明では」
「ご謙遜を、昨日からこの事務所は日本で今一番注目されている事務所です。
それに加えて横嶋忠雄がこの事務所を選んでいた、ここが只の弱小事務所と侮る人間はもう居ませんよ」
「実体はただ知り合いで集まっただけの家族経営に近い事務所なんですけどねぇ……」
「助けられたイリュージョンさんも納得されています。ご迷惑でしょうがどうかよろしくお願いします」
愛美さん基本善人だからなぁ、雄英に思うところがあるようだから相澤先生には当たりが辛いが榛葉には同情的か?
「よろしいのでは。あちらが来たいと言って来たのですから、ただこの後何が起きても苦情を受け付けないと契約は必要でしょうが」
ここで黒咲さん登場、だからなんで貴方が……
「ご存じないのですか?
私も事務所の出資者でして、お母様の代理人も兼ねていますのである程度の口出しは出来る立場なんですよ」
おかん絡みかよ!!どうりで愛美さんも弾兄ちゃんも強く出れないわけだ……
「黒咲さん、枝村サポートとして彼女の受け入れは構わないと?」
「まぁ、雄英に対する不信感が払拭された訳ではありませんので全面的な協力は出来ませんが、事務所の管理下でデータ取りの協力程度なら」
「頂けるのですか!!」
ぱっと顔を輝かせる榛葉、自分に都合よく解釈する辺りやっぱこいつ乙女ゲー転生してんじゃねーか?
「業務の一つで装備品のデータ取りをするだけです」
「そんなぁ~」
「そもそも元々使っていた物があるのでしょう。備品の使用程度は黙認しますから忠雄さんに協力して頂いて修理と改良をすればいかがですか?」
「ノウハウさえ習得すれば後日雄英のサポートを受ければそれなりの物は作れるでしょう」
「それって有りなんですか?」
「本来なら無しです。ただ権利者の忠雄さんが監督する限り技術開発の範囲にします」
「結局全部俺に投げるんかい」
「はい、ですから……
頑張って忠雄さんから信頼を勝ち取って下さい」
榛葉に向かってうさん臭い笑顔でこう宣う黒咲さん。
「はい、頑張ります!!」
良い笑顔で返事する榛葉だが、悪いが俺はお前には不信感しかないんだが…とはいえこれを言っとかないとフェアじゃないか
「今話題のヒーロー事務所くらいの軽い気持ちで来たんなら止めとけ、後で後悔するぞ」
『今日のトムラさん4』
とある薄暗いバーの中、相も変わらずピアノを弾く白服の肉塊男
カウンターでは二人の男が会話をしていた
「横嶋忠雄か、余計な事をしてくれた」
「オールマイトのファンがステインを否定してる事か、それは奴が言わなくても誰かが言い出す事でないか?」
ピアノを弾くのを止めて会話に加わる肉塊男
「顔も見えない何処かの誰かと、奴の前で直接言い放ったのでは重さが違う。
しかも横嶋忠雄はファンでは無いと言った上で奴を否定して見せた。本来熱心なファンは外野を歓迎しない、だからといってステインを肯定は出来ない以上この流れに乗り味方するしかない。偶然みたいだが奴にとって悪くない流れを作った」
「お陰で世間のステイン熱が少し引いてしまった」
「この程度で引くのは所詮社会に不満を持てど自分では何もしない上澄みでは?」
「確かに半端者は淘汰されて悪意の純度は上がったが良し悪しだ」
「自分では何もしない上澄みだからこそ影響を受ける。流されるだけの大多数のそいつらに方向性を与えるのが奴の役目の一つだったんだろう」
「ふん、最初会った時は随分と鬱屈した顔だったが、良い顔で嗤うようになったではないか」
「誰のせいだと思っている!!」
「知らんな」
(何だかんだで仲良いですね。普段の苛立った様子とは違う顔ですよ、死柄木弔)