「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
男の世界
いつからだ?何もかもが上手く行かなくなったのは
入学して最初の授業で敵わないと思ってしまった。取るに足らないと思っていた奴に負けた。
だが、それは納得出来なくても未だ理解の範疇だった
奴が来なくて(自分の手で矯正できないのが)残念だ
ベストジーニストの野郎はそう言った
ふざけるな!俺が奴に劣るって言うのか!俺は奴のオマケか!
体育祭では確かに負けたさ、だがそれはルールの上の負けだ!トーナメントで戦えば俺が勝つ!
奴の基本は格闘だ、速い飛び道具もあるが一度見たから対応出来ないものではないし、半分野郎のような範囲は無い。俺なら回避して奴の間合いの外から攻撃が出来る!戦えば次は俺が勝つ!
そう思っていたのに俺は奴に屈しそうになった。奴のまるで興味は無いとくだらない物を見る視線に気圧されて屈しそうになった。あのムカつくフワフワ女が割って入らなかったら膝を着いていた。
クラスの連中も気圧される中デクの野郎は動けていやがった、半分野郎やクソメガネだけじゃなくデクまでもだ!
俺がくだらない時間を過ごしていた間に奴らに差をつけられていたって言うのか!
クソッタレ、奴のせいか?俺の人生が上手く行かないのは奴が邪魔しているからか?
お前は俺の邪魔をしておいて俺を見下すのか!!
奴さえ居なければ俺は再び輝けるんだ
男の世界
「よく来たな……とでも言うと思ったか。焦凍が会ってくれと言うからしかたなく会ったんだ」
エンデヴァーの先制ツンデレムーブに表情を引き締め耐える。
流石はナンバー1にもっとも近い男、何気にオールマイトとは違う方向性でコチラのペースを乱し奪いに来た!!
なんとか耐えて挨拶をと思ったのだが、敵は身内にも居た!
「この人にも横嶋流の特効入りそう…」
ちょ、おま、恋愛ゲームの次はRPGかSLGかよ!
さり気なくエンデヴァーをマダオ認定するな!
榛葉のつぶやきがツボって吹きそうになり、耐えられないと判断して待機していたマルチタスクのサブに肉体の制御を渡しファトム経由での完全制御に切り替えメイン思考の感情から切り離し素知らぬ顔を維持してなんとかその場を乗り切る。
この間高速思考を駆使して0.4540秒、我ながら何という技術の無駄遣い!
元々は読心や洗脳系の個性対策として漸く実用化して準備して置いたモノだったのだが、まさかの身内の裏切りで使う羽目になるとは!榛葉め、後で虐めちゃる
「お忙しいところお時間を割いて頂いて「おい、そんな言い方はないだろう」ありがとうございます」
とにかく会って貰えたのだから文句など無い。と俺は思うのだが周りは違うようなので少しフォローに入る。
「まあ、落ち着いてくれ。エンデヴァーさんはファンサービスをしない。それは良いか?」
「それがどうした、自分で会うと言っておいて」
「轟と一緒ならばと理由付きだけどな、本来ファンサービスをしないエンデヴァーさんが俺達から礼を受ける為に会ったと聞けば自分も礼を言いたいと考える人間は大勢いるだろう。
だからといって俺達だけ特別扱いをすれば今までのファンに対する裏切りになる。それらを鑑みて息子に会うという体裁で俺達と会ってくれたんだ(想像だけどな)」
「そうだったのか、すまねぇ」
「ふんっ」
照れてるのか?当たっていたようだ。やはりエンデヴァーはツンデレ、はっきりわかんだね
ペースも握れた事だしこのまま本題に入ってしまおう
「エンデヴァーさん、ジェントルの為に骨を折って下さってありがとうございます。おかげ周囲がかなり落ち着きました」
「ありがとうございます」
榛葉も合わせて頭を下げる。そこで俺が飯田達に促す。
「エンデヴァーさん、この度は自分達の勝手な行動の後始末をして下さりありがとうございます。そしてご迷惑をお掛けしました。すみませんでした」
飯田が代表でお礼をいい、3人で頭を下げた。
「こちらにもそうする理由があっただけだから本来は不要なのだが、礼と詫びは受け取った」
流石はナンバー1にもっとも近い男、何気ない言葉だが重くて太い!!
俺がなんか意味もなく感銘を受けていたらこちらに視線を向けて来た。
「先ほどは落ち着いたと言っていたが、解決したとは言わないのだな」
「はい、この問題は簡単には解決するものではありません。恐らくはジェントルがヒーローを続ける限りは向き合い続ける物でしょう」
「ふん、そこまでわかっていながら何が不満なのだ」
俺がそれを話に来たってのはわかるよな、エンデヴァーさんもそれを聞きたくて会ったんだろうから
「ジェントルは飯田達の問題についてとやかく言う気はありません。ジェントルが言わない以上は俺も何も言いません」
「言いませんが、やはり考えてしまいます」
「ジェントルは自分がした苦労を飯田達には味合わせたくないと考えています」
「でも俺は考えてしまいます。ジェントルが責め続けられて、何故飯田達は守られるのかと」
「横嶋君」「横嶋」「横嶋くん」
「コネとか大人の都合とか黒い考えが沸いてきます」
口に出したが最後黒い考えが溢れてくる、あいつら今の俺をどう見てる。息を飲む様子は伝わって来たが顔を見る気にはなれない
「…………っ」
「それで、そのまま腐っていくつもりか」
「……」
「上着を脱いで中央へ行け」
「うっす」
ああ、やっぱこの人は男の中の男だわ。殴り合いに付き合ってくれるらしい
「焦凍、お前もだ」
えっ?
「なんで俺が……」
「また負けるのが怖いか」
「っく、ふざけんな」
「個性は使用禁止、体術のみでの勝負だ」
どういうつもりだと顔を上げエンデヴァーを見上げれば巌の様な表情で俺達を見下ろしていた。
「言いたい事は全て吐き出してしまえ、お互いにだ」
ああ、そうか、抱えてるのは俺だけじゃないってことだよな
轟を見れば少し後ろめたそうな顔で俺を見ていた
「なんだよ、その面は。悲劇のヒーローのつもりか?」
だから、今日友達になったばかりの男と喧嘩をしようと思った
「違う!お前こそ自分の事でも無いのに悲劇のヒーローを気取るつもりか?」
「手加減はできねーぞ、お前は強いからな」
「優しくしてもらえるなんて考えるなよ」
そこからはお互い言いたい放題の言い掛かり、暴言、愚痴、弱音、吐き出しながらの喧嘩だ、頭はぐちゃぐちゃのくせ体は染みついた動きをするからかなかなか勝負は着かない
それでもいつかは決着は着く、立っていたのは俺の方だった。
「強ぇ、あの時はここまで差はなかったハズだぞ」
「俺は格闘は個性無しの方が上手いんだよ」
「なんだよ、それは……」
「次だ!」
轟の奴を榛葉が運びだして代わりに飯田が入って来た。
そうとう良いのが入ったと思うが榛葉がいりゃ大丈夫か
「俺には君に掛ける言葉が無い」
「なんだ、サンドバックになるつもりか」
「いいや、君の全てを受け止める為に俺も全力で行く」
「そうかよっ!!」
返事を返しながら先制で電装脚を繰り出すが全て回避された。そんな俺に卑怯とも言わずに反撃する飯田、口先だけじゃないらしい。歪んだ笑いが浮かぶのを自覚しつつ軋む体を無理やり動かし続けた……
流石に同格と二連戦はきつい、今度は俺がぶっ倒れる破目になった。だが、なんもかんも吐き出して少しはマシになった気がする
「ありがとよ」
「ああ」
八つ当たり気味の大喧嘩してこんだけで済むんだからいい奴過ぎるだろうが、顔に出ていたのか苦笑で返された
榛葉の元に向かい治療を受ける飯田、そして代わりに入ってくる緑谷、いやなんで?」
「なんでって僕の番じゃないの!?」
あっ、口に出ていたわ
「いや、おめー別にダチじゃねーから喧嘩する気になれん」
「酷くない!横嶋くん僕には辛辣だよね」
「お互い様だろうが、だいたい俺の事覚えてなかった癖に今更友達面されても困る」
そしてエンデヴァーもこの流れは予想外だったようで困った顔をしていた
ついでに情けなさそうな轟の声とそれを慰める飯田がいた
「俺、小学校どころか中学も覚えてねぇ」「ならば高校から始めようじゃないか、今日横嶋くんと友達になったじゃないか!」
そちらの会話は聞こえない振りしつつ緑谷に止めをさす
「だいたいお前は全然鍛えてないじゃん、個性無しじゃ勝負にならんぞ」
「そっ、そんな事は無い!僕だってちゃんと鍛えてるから!!」
「ほう、じゃ揉んでやるよ。ボロボロの今なら勝てるとか考えてるのなら止めとけ」
上がる息を整え痛む身体を起こして立ち上がる。ぶっ倒れてた間にダメージの確認は済んでいる、なんの問題も無い
・
・
……初手電装脚で瞬殺でした
「不満を吐き出して少しはマシな顔になったか。
あのままだったら行きつく先はお前も見ただろう、奴のように成りたくはあるまい」
「はい、ご指導有難うございました」
先ずはエンデヴァーさんに頭を下げて、
「飯田、轟、後ついでに緑谷も俺の八つ当たりに付き合わせて悪かった」
そう言って3人に頭を下げる
「次は負けねぇ」「ああ、俺も横嶋くんの本音を聞けて良かった」「うん、自分達のした事を見つめ直す機会になったよ」
「ダメージが大きい君はもう帰るがいい。3人はもう少し体を動かして行け」
「はい。お世話になりました」
榛葉と2人、もう一度頭を下げてエンデヴァーさんの事務所を後にした
榛葉と2人の帰り道、正直散々愚痴やら弱音やら吐いてみっともないところを見られて恥ずかしい
「男の子って凄いですね」
「なんだよ、急に」
「大喧嘩しても笑って別れられるんですから」
「あいつ等の人間が出来てるのとエンデヴァーさんの執り成しがあったからだろ」
それ以上余計な事を言わない榛葉に感謝しつつ2人で夜の街を歩いた
未だジェントルの周りは何も解決していないけど、それはジェントルが向き合う問題だ
それなのに俺は勝手に憤っていた。俺がやるべき事はそんな事じゃ無いのにな。
エンデヴァーさんはジェントルと俺の動向を知りたいから俺に会っただけなのに、そんな俺の鬱屈を見抜いて俺に付き合ってくれた。飯田と轟もだ。
どいつもこいつも俺とは男の太さが違いやがる。ヒーロー目指す前に先ずは男を上げる必要がありそうだ、ほんと先は長いぜ
……それと本人には絶対言わんが黙って付き合ってくれた榛葉にも感謝している。ほんのちょっとだけな……
「っなんの音だ?」
「乙女エンジンの
横嶋さんが弱音を吐くところを見て私の母性に火が着きましたっ!」
今のは気の迷いだ、コイツにはぜってーに感謝しねぇ
『初期エロイン2』
職場体験が終了した翌日、登校した俺は取蔭に声を掛けた
取蔭には職場体験前から「辰」の式神である「アジラ」を憑依させてある。
物間や黒色と同様に霊力を流しても良かったのだが、霊媒体質を利用して式神を憑依させることによりその体を霊力で満たすことにした。
その為に取蔭には十二神将の事まで話したのだが、まあ、黒くて硬いモノが自分の中に入ると聞くと「せめて最初は普通にして」とか錯乱しやがった。お前ちゃんと話聞いてたのか?
それと別に分離した体の一部を爬虫類に変化させられないか試させてもいる。職場体験前日までで特に進展はなかったが果たしてどうなったか
「それで、修行はどうだ?進展はあったか?」
「うん、横嶋の黒くて硬いの受け入れてからちょっと体の調子が良くなったかな?全体的にパフォーマンスは上がった気がする。残念ながら以前試したアレとかは未だ無理だけど」
うん、周囲で聞き耳立ててた奴らが凍り付いたね、空気が軋んだ音も聞こえたよ
「いくら秘密にしろと言ったからって人聞きの悪いボカシ方をするな!!!」
「痛いイタイいたい頭蓋骨が軋んでる!あたし女の子暴力反対ぃぃ」
だから真面目な話にふざけた返しをしたこの女に全力でアイアンクロー仕掛けてもいいよな