「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
「……」
「うっっ」
「……」
「……」
「……横嶋さんって……真ん中の足も……速いんですね」
「うわ~~~~~~~~~~っっっ!!!!!!!!
・
・
~~~~~ぁあぁぁあああ!!」
「はっ、はぁはぁはぁ、ゆ、夢か……お、俺ってやつは」
酷い夢をみた、途中までは良い…いや、そっちはそっちで罪悪感がハンパないんだが、最後のヤツで色々とぶっ飛んだ
朝から洗濯するのも憂鬱だったので(浄)ですますくらい精神にキタ。俺の中のイマジナリーYOKOSHIMAも何人かダメージを受けていたが俺は戦場を知らない新兵だからノーカンだよな!!
……虚しい自己弁護は止そう、なんでか知らんが榛葉のやつは俺の事を怖いくらい信頼している。普通脱げって言われて素直に脱ぐか?恥ずかしいのに素直に治療を受けるし、俺が嘘を言ってるとか考えんのか?
そんな関係なものだから榛葉でいたすのは気が咎めて昨夜は大人しく寝たのだが、男って…、いや俺って奴は……
男の世界 2時限目
夜中に目が覚めたが寝直す気にもなれないので工房にしている部屋へ向かい霊具の製作をする。
淫夢を見た為か妙に霊力が張っているのでちょうど良いかと思い素材に霊力を流して定着させる作業に入ったが直ぐに諦めた。
何しろ桃色になる思考と自己嫌悪の繰り返しで雑念が酷い、こんな雑念混じりで霊力を込めた素材で式神を組んだらどんな影響があるかわからないからだ。
諦めて重金属をふんだんに使用した合金製の棍を持ってマンションの屋上へ上がる。今時屋上等は安全の為に立入禁止が普通なのだが、お袋が交渉して特別に許可を取ってくれた。
親父にしろお袋にしろ俺の我侭を全面的に支援してくれるのでホントに頭が上がらない、ちゃんとヒーローに成るのが親孝行かね。この辺りがGS原作の横島との差異かな?二次設定だと頼もしい味方のパターンが多いけどそんなの関係なく良い両親に恵まれたのだろう。
マコラ in YOKOSHIMA(ペルソナ)とかもう俺いらねんじゃね!?って体術の化け物を相手に棍を振るうがいいようにあしらわれる。
因みにYOKOSHIMAは降魔とかいってサイキックソーサを長く伸ばした光の棒を使用している、銀色の宇宙刑事みたいなくっそカッコいい出し方しやがって羨ましいじゃねーか、そのうち真似しちゃる
『いや、その棍は随分とお前の霊力に馴染んでいる。そのままそれを使い続ける方が絶対にいいぞ』
「ならばなんかカッチョいい名前を付けるべきか?」
汗をかいて少しは雑念が祓えたので何時ものノリで馬鹿な事を始める。俺の場合はテンションの影響が以外と馬鹿に出来ないからな
『そうしろそうしろ、名付けは霊的な行為だからやっといて損はしないぞ』
軽い気持ちだったが的を得た考えだったらしい、ひとまず型を繰り返しながら名前を考え続けた……
身体を動かし雑念を祓えたのでシャワーで身を清めて作業に戻る。
元々は小学時代に紙製の式神を作れるようになり、学校でまたがってクラスメイトに見せびらかしていた所、モブが自分よりも目立つのが気に入らない爆豪に爆破され喧嘩になったのが奴との因縁の始まりだ。もっとも奴は覚えてなさそうだがな…
爆豪は当時から強個性で教師からも贔屓されていたので俺の方が怒られて酷く悔しい思いをしたものだ、その時に弾兄ちゃんに会ったんだっけ?
そんなこんなで小学生時代からコツコツと材料を集め試作を繰り返し最終的に行き着いたのは人形を作りそれを器物式神にする案だ。多分頭にからくりとかのジュビロネタが有ったんだろうな。
最近目覚めたイマジナリーYOKOSHIMAの中に開発力(笑)持ちが居たのでここに来て急激に進歩したのだが、つーかこいつら本当に人間なのか?アシュ継承系統じゃねーの?
そこはかとなく不安が増したのでそのうち霊界ポイントとかアシュ陣営の地上基地とかの地点も確認しておこう。座標の記憶が在る時点で確実に何かありそうなのだが、藪の中に
そんな感じで図面から引き直しになったがその分性能アップが期待出来る。黒咲さんに追加の材料調達お願いしなきゃならんな。
なんとか合宿までに仮称「長飛丸」を完成させたいものだ。
東の空が明るくなってきたので作業を切り上げ走りに出る。
普段訓練に使ってる海岸を往復するコースの途中で飯田と合流した。昨日雑談で朝のトレーニングについて話したので興味を持ったのか俺のコース付近を軽く流していたらしいのだが、こいつ軽くと言ってるが俺のハイペースくらいだから洒落にならんな。
海岸に着いたので砂浜でダッシュを繰り返すが、流石の飯田も足場の悪い場所はキツいようだな。
「君は何時もここでトレーニングしているのかい?」
砂浜で座り込む飯田を他所に軽く型を流して身体の切れを確かめる。
「ああ、格闘するなら足腰が強いに越したことはないからな。スプリンターでランナーな飯田と拳法家の俺では考えかたが違うかもしれないが」
「いや、今後の為にも足場が悪い状況での走りも強化しておきたい。明日からも一緒に良いだろうか?」
「正直飯田のペースは強化無しの俺にはキツいんだが。まあ何時も同じ時間とは限らないからその辺は勘弁な」
「むっ、それは残念だ。だが逢えた時はよろしく頼む」
「おう、自分のペースってのがあるからな、それくらいがいいんだよ」
会話の終わりを合図に仮想敵として昨日の飯田をイメージして無呼吸の連打から電装脚に繋げる
昨日のイメージなので全て躱わされるがここからだ、焼結脚を回避してからのカウンターより速く4手目の蹴りを放ち妨害、畳み掛ける5手、6手、7手目で限界が来て神速が解除されバランスを崩して転倒した
まだ3秒には届かないが確実に時間が伸びている
飯田の方から息を呑む音が聞こえたが、身体に異常がないか確認すべく柔軟体操でトレーニングを閉めた
マルチタスクの件で気付いたのだが、クロス系統のYOKOSHIMAの中には御神流使い手や、ハンター世界で念の修行をした奴が居た。
異能は霊能限定の制限があるのでリンカーコアとか念の様な作品限定の異能は使用出来ないが、体術などの異能に依存しない技能は問題無く使用出来るので自力さえ付ければ飛躍的に強化されていくのだ。
榛葉にチート呼ばわりされるのも無理ないな
帰りは始終無言の飯田だった、昨日の今日で動きが良くなった俺に思う所があったようだ。行けそうだったから試したが未だ4手目からは手探り状態だと話したが表情は硬いままだった。
「いや、ホント3連続が型になってるから咄嗟に4手目は出ないんだが」
「昨日の君はどこか足踏みしているように見えてたが、ただ足踏みして居たわけじゃなかったんだな。あんな精神状態でも自身を高める努力はしていたのか」
真剣な飯田に買かぶりとは言えず、また学校でと別れ帰路に着いた。
さて、もう一つ向き合わないといけない問題があったな。今までは対岸の火事状態だったから考えなかったのだが、俺はある程度の未来を知っていても特に何もしなかった。
俺が原作ブレイクだーってやってる裏でステインとインゲニウムの事件が起きていたわけだが、正直知っていても接点が無いインゲニウムを助ける方法なんて体育祭をぶっちする覚悟がいる。
仮に助けるとして、相手はプロヒーローの上位で俺はただの学生、正直俺は何様だよって感じだ
知っていて見捨てるのはヒーロー失格か?
だからといって原作で知ったから助けるなどと観測者視点で他人の運命に干渉する行為自体がこの世界を創作の世界だと見る傲慢ではないか?
昨日迄は自分の事で手いっぱいとして考えなかった事柄が飯田と友人となった途端に押しかかってきた。
これはちょと飯田に言える内容では無い、仮に話したとすれば兄の事を何故教えてくれないと責められるだろうが、それを認めるなら自分達は創作物の登場人物だと認めないとフェアじゃあない。それが出来ないのなら俺が話す事は無いだろう。
自分達が自由意志のないシナリオ通りに動く人形だと認める以前に理解を拒否するかもしれないし、そもそも事が起こるまで原作知識自体も信じないだろうしな。
…俺の場合は創作でも現実でもどっちでもいいかと事前情報として利用してた。
もっとも実際にヒーロー殺しと対峙してその醜悪さに軽く考えていた事を後悔したのだが。
それにしてもこのまま友達面するのも罪悪感がある、落とし何処は俺が治療するかな、それも結局は俺の罪悪感を減らす為の偽善ですらない行為だがな。
後で飯田に病院の場所を聞いて夜中に忍び込むか。しかし数多のA組オリ主サン達はこの辺の事はどう折り合い付けているのだろうか?付き合い浅い俺が結構クルのだからA組だったらそうとうきつくないか?
・
・
そして通学して昼休み、榛葉から連絡があり飯田を交えての昼食
今回はB組からも拳藤、宍田、塩崎、物間、取蔭、鉄哲と大人数だ、朝から色々あって憂鬱だったのに学校に来ると普通に楽しいから困る
「それで飯田の用はなんとなく想像がつくが、治療絡みだろ。教師にも相談した方がいいぞ」
「それは校外で個性使用するからだろうか」
「それもだが未だお兄さん入院中だろ、病院で医療関係者でも無い人間が好き勝手するのは不味いだろ」
実は俺が忍び込もうと考えたのはここら辺がネックの為に表立って治療が出来ないからだ
「ああ、気が急いていたようだ。確かにそれは問題だな」
「つーわけだから交渉係として担任を巻き込む事を勧める。それと榛葉は多分問題は無いと思うが念の為に後で治療術式を見せてくれ」
「はい、つきましてはまた横嶋さんの魔力をお借り出来ないかと。自力では使えない大出力術式の使用も考えています」
今の榛葉が魔力不足で使えないレベルなら効果が期待出来そうだな
ただ俺も出張るとなると話がややこしくなるな
「まじか、この際ブラド先生とリカバリーガールも巻き込むか」
「しかし医師が治せないものを治せるものなのか?」
ここで黙って話を聞いていた鉄哲から疑問が上がる。他の奴らも気になるようだ
「それは、医療知識が無いのでなんとも」
「あー、今ここで式を書き出せるか?」
「あんちょこ有りますのでどーぞ」
榛葉が何処からともなくノートを取り出して渡してきたのだが……余りにも自然に取り出したから皆スルーしてるが今コイツ何処から出した?空間収納かなんかか?後で追及しちゃ「っぅ」
榛葉の奴はきょとんとして可愛いじゃ…なくてノート受けとった際に指が触れ動揺してしまった。くそ、物間と宍田めニヤツキやがって
とにかく調息で氣を落ち着けて「横嶋なんでそんな呼吸を?氣を整えるやつだよね?」だから物間五月蠅いわ!あれだよ!俺のマグナム(誇張)がハンマーコックしないようにしてるんだよ!!
とにかく物間を無視してノートを読む
「古代ギリシャ語かよ、これはまた古い式を使うな」
「読めるんですか?」
すまし顔の榛葉の奴が身を乗り出してきた
「俺の場合は使える言語が多いとその分出来る事が増えるからな」
「だからといって普通に詠唱しないで下さい。私の立場が無くなります」
指先をちょっと切って実際に治療していると榛葉が情けなく呟いた
「専門でやってる奴よりは数段落ちるから榛葉の出番は取らんよ。ある程度の組織再生も可能のようだな。詠唱者の知識にも影響受けそうだから榛葉次第だな」
「医療関係とかさっぱりなんですが」
「となると長期戦だな、担当医に詳しく話が聴ければ可能性が上がるが、果たして何の実績も無い素人の治療を許してもらえるものか、無理だろうな」
ここで再び鉄哲からの疑問の声
「人助けだろ、なんで駄目なんだ」
「応急手当とかならまだしも本格的な治療行為を行うなら医療関連の免許がいるのは当然だ。常識だろ!
それに実績が無い、信頼性が無い、安全性の保障が無い、そもそも俺と榛葉以外に理解出来ないの無いない尽くしだ
無難な方法は退院後に行う事だな。それまでにリカバリーガールに見て貰って最低限安全性の保障だけでも欲しい」
「歯がゆいな」
心底悔しそうな飯田の声、だがここは譲れない場面だ
「確実に治るのなら無理する意味もあるかもしれんが、未知数である以上は事前に不安要素は潰しておきたい。失敗は榛葉の将来に影を落とすからな」
「わかっている。兄さんの未来の為に誰かの未来を閉ざしていては本末転倒だ。ターボヒーローインゲニウムはそんな未来を望まない!!」
ここまで話しておいてなんだが、当初の予定を完遂するべく動く
「それはそうと、お兄さんのお見舞いに行ってもいいか?ファンなんだ」
「是非とも来てくれたまえ、ライバルの君の事を紹介すれば兄も喜ぶだろう」
「なにを考えているんですか…」
急に砕けた俺と飯田に塩崎のツッコミが入るが俺の顔、正確には赤く染まった目を見て言葉を止める
「何って、情報収集」
「横嶋!あんたそれ秘密でしょ!見せて良いの!?」
ちょっと前に散々秘密だと念押しした取蔭にしてみればこんな衆人観衆の中で使うとは思わなかっただろう。すまんな、俺も色々あるんだよ
「いいんだよ、飯田、お前腕を治療していないな、何故だ?」
「……分かるのかい、戒めだよ。それはそうとその目の力なのかい?見舞いというのは口実で兄さんの怪我の確認に来るのかい」
「見るだけなら問題無いだろ」
「違いない。未だ面会出来ないので先の話になるがその時はよろしく頼むよ」
『鉄血の鼓動』
「よう、ブラド。何を熱心に見ているんだ?
なんだ、子供の落書きか?懐かしいな、子供の頃に必殺技とかやっぱり考えたよな!」
職員室の机で枝村サポートの人間から書類と供に渡された研究ノートのコピーを読み進める俺にイレイザーとマイクのコンビが話しかけてきた
「ただの落書きではない、横嶋の研鑽の証だ」
「はっ?いや、子供の…なんだこりゃ、横のは解説か?」
「ああ、専門家が分類、考察したものだ」
「なんでまた子供の落書きを」
「古いのは小学校低学年だからな、進んでいくと必殺技にはどのような個性が必要かに変わる。
そして最後は必殺技を構成する要素に対してどのような能力が必要か、代用案はあるか、科学的な代用が可能か、等の考察になる。
なかなか興味深いな」
「それは考えかたが逆ではないか?普通は自身の個性で何が出来るか考えるものだろう。自身で出来ない事を考えるなど効率的ではない」
「そうだな、これは複数の個性を指導する俺達教師でも取らない考えだ。
だが、これこそが横嶋の応用に優れた個性を支える源泉なのだろう。子供の発想を現実に落とし込むという過程を経て様々な応用技術を身に着けたのだろう」
「はー、だから研鑽か。しかしなんでまたそれを専門家が研究しているんだ?」
「ストライク1、横嶋君が基礎を作り枝村サポートが完成させたサポートアイテムだよ」
枝村サポートの人間と込み入った話をする為に先ほど別れたパワーローダーが職員室に戻ってきた
「もう、これだけで枝村サポートは元をとってるね。横嶋君を高待遇でサポートしてもお釣りがくるよ!
これの特性を知ってるかい?これは手の延長として作用する。これで個性を使えるんだよ」
「ああ、なるほど、手で触れない物に替わりのこれで触るわけか。確かに便利だな」
「ああ、健常者ではその程度の認識でもしょうがないか」
「健常者?手の延長、…そうか、義手か」
「そう、手足を失い個性を満足に使えなくなった人間に再び個性を使える体を与えるかもしれないんだよ。この技術は可能性なんだよ!!希望の光なんだよ!!
この技術が発表されれば枝村サポートの名前は多くの人々にとっての希望になる。もちろん基礎理論を構築した横嶋くんの名もだ」
「そしてもう1つ、精神感応金属とそれを使用した人工筋肉によるパワーアシストシステムも見せて貰えた。機械式のような複雑な機構を持たず追従性も高い物でこれも義手義足への転用が期待出来る。
枝村サポートは単なるサポートアイテムの範疇に収まらない技術を手に入れた。他にも無いか調べるのは当然だろう」
「アイツ進路間違えてるんじゃないか?サポート科ならもう就職内定だろ」
「ああ、だからだろう、体育祭での横嶋くんの扱いに対して不審感を持つからか随分と当たりがキツかったよ
ブラドキングが同席していたから見せて貰えたのだろうさ」
「いや、そもそもそこからが思い違いかもしれん」
「何がだ?」
「いや、今のは忘れてくれ」
(枝村サポートにはご両親が関わっている。普通はその伝で横嶋の技術を売り込んだと考えるのだが、技術が手に入ったからこそ子会社を立ち上げた可能性がある。或いはご両親が横嶋を補佐する為に起業したとは考え過ぎか?)
「それで結局ブラドは熱心に何を見ていたんだ?」
「ブラックヒストリー、この横嶋の研究ノートの事だが、俺の意見が欲しいと血液に関連する事項を中心に編纂された物を預けられた」
「ヒュー、黒歴史とはまた洒落が効いているな」
「枝村サポートにとっては黄金以上の価値だがな」
「しかし、アイテムは分かるが個性に関する考察は今更役に立つのか?」
「魔術等理解出来ない概念も多いが朧気ながら形が見える物もある」
「魔術だと?」
「またそんな眉唾なもんも研究しているのか?」
「A組の榛葉の個性が魔法だったな、ひょっとしたら横嶋と同じような性質の個性なのかもしれないな。二人を引き合わせるのも刺激になっていいかもしれん」
「なんにしろ方向性は見えた、アイツらが戻るまでの1週間で鍛え直しだな」