「俺のヒーローアカデミア」はじまります!   作:ばうえもん

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男の世界 3時限目


『加速の世界』


 

空骸(うつむくろ)(いと)

 

横嶋君が知る限り抜けたものが4人しかいないとある宗派の修行法

本来は生きるか死ぬかの荒行だが、流石に今の時代にそぐわないので試しの相手は横嶋君が勤めるので死ぬ事は無い。

横嶋君が無理だと思ったら中断するように念を押すのでそれなりに厳しいモノであろうと予想はしていたが、厳しいなどと甘い認識で挑むようなモノではなかった

本来なら死を覚悟して挑む修行、生半可な気持ちで挑んだ自分はその付けを払う事になった。

 

 

ロープ程の糸の上で木製の棒を構えた横嶋君と相対する。昨日の教室とは比較にならない圧、ヒーロー殺しの殺気すら生温いと思わせる圧力は相対するだけで精神と体力を削っていく。

構えた木製の棒は此方に害意を向けていないにも拘らず、明確な殺意を持って向けられたヒーロー殺しの刃以上の脅威を感じる。たとえ自分が切島君のような硬化の個性を持っていたとしても、一撃でも耐えられると思えない。

 

集中しろと言われてもこの状態では無理だ、頭を過る敗北のイメージに気を取られ、摩耗していく体力が焦りを生み、恐怖に押しつぶされそうな心に気が遠くなる。

 

横嶋君は無理だと思ったら中断するように何度も言っていた。事実自分には未だ早かったのだろう

死ぬ事が無いのなら…一歩踏み出せば…楽に…なれる

 

『ヒーローに成るんだろ。ピンチの時こそ口の端を、こう持ち上げて笑って、魅せるんだ』

 

諦めた心に穏やかな声が染みる、友の期待に消えていた灯が再び燈るのを感じた、今度こそこの灯を見失わないようにするんだ!!

 

 


 

男の世界 3時限目

 


 

 

今日も今日とて放課後自主練クラブ

本日はA組から特別ゲストをお迎えしておおくりします。

 

「凄いな、いつもこの様に集まっているのかい」

 

「いや、全員は早々無いな。お前に興味があるんじゃないか」

 

「いや、横嶋が必殺技の指導をすると話したら集まったんだ」

 

代表して物間から説明された。どうやら違ったらしい

しっかし勉強熱心なのは良いが、修行も割とチート頼みで時間短縮する事が多い俺のは余り参考にならんと思うのだが。

 

「おいおい、一朝一夕で出来るもんじゃないぞ」

 

「それでも知りたいんだよ」

 

「まあ、無理矢理リミットブレイクさせる事も可能だが最悪入院モノの怪我するぞ」

 

「それは穏やかじゃないね」

 

「正直肉体の強化と考えると俺の"神速"は欠陥品だよ」

 

「"神速"?必殺技の"電装脚"じゃ無かったのかい?」

 

「電装脚に必要な速度を生み出す肉体のリミッターカットが"神速"だ。飯田が必要としてるモノは技じゃなくて速度だからな」

 

「そう言えばそんな話だったね」

 

ここまで話したが全員興味はあるらしい。

 

「それで肉体強化としては問題がある技法だが、思考速度が上がる利点がある。ただ俺はとにかく壊れ難い身体を作るようにしてきたからある程度は耐えられるが普通はそうはいかんぞ」

 

「それなのに彼には教えるのかい?」

 

「いや、先ずはその前段階だな。飯田はまだ伸び代があるから限界まで追い込む予定だったんだが…」

 

「俺にはまだ可能性があったのか?」

 

「みたところ速度はまだ伸ばす余裕がある。だから普通に個性を伸ばしつつ今以上の速度に対応出来るように思考速度を上げる方法を覚えて貰うつもりだった」

「とはいえ物事には順番があるからな、先ずは極度の集中状態「ゾーン」に入る訓練を行なう」

 

「集中状態にそれはどれほどの効果が望めるのかい?」

 

骨抜も加わってきた、インテリ組のコイツなら知ってそうだが、柔軟なコイツの事だから確認を兼ねて解説を求めたのかな?

 

「体育祭の頃は未だ思考加速が出来ないのでゾーンを駆使してた。地味で目に見える効果はないが確実にパフォーマンス上がっている、僅かな差でも有ると無いでは大違いだぞ」

 

納得してるのはある程度知識持ちかね、集中のルーティン化辺りは実践している奴も居るだろうしな。

 

「とにかく先ずは自分に合った集中方法を探る事から初めてくれ」

 

「横嶋はどーしてるんだ?」

 

「俺のは参考にならんぞ、昔からヨガやら座禅やら色々と手をだしてたから何が有効かわからん。更にゾーンを自覚出来てからはその状態を個性で覚えて、特定の動作にあわせて再現を繰り返す事でスイッチを作った。」

 

「とにかくこれに関しては気長にやってくれ。飯田の場合は走禅とかいいかもな、ランナーズハイって分かるか?」

 

「知ってはいるが、時間が掛かる方法だな」

 

思っていたのと違って不満かな、なまじ一度体験したものだから理解しているが気は急いてるってところか。しゃーねーな

 

「焦る気持ちも分かるから別の方法も考えてある。少々過激だから途中で無理だと思ったら直ぐに降りろよ」

 

と言いつつ影経由で亜空間から木製の棍「エレザールの杖」を取り出す。一見白木の棒だが芯に亜鉛の合金を通してありそれなりの重量だ。元ネタはうしとらの鎌だな

続けてポケットから蜘蛛を型取った式神符を取り出しこっそり(強)化して発動。突然現れた巨大蜘蛛にざわめくなか訓練施設の壁へ向けてロープくらいの太さの糸を飛ばした。

 

「『空骸(うつむくろ)(いと)』、とある宗派に伝わる荒行、抜けた者は僅か4人の死法だ。流石に今の時代に生きるか死ぬかはそぐわないので俺が骸の代役をするが、生半可な覚悟なら容赦しないぞ」

 

こちらもうしとらネタだが、この世界は召喚系が全滅なので蜘蛛は自作式神で代用している。元は「3×3 EYES」の獣魔術、縛妖蜘蛛(フーヤオチチウ)擬きを作れないかと研究していた物で、対象を捕縛し個性封じの糸で縛り上げる。開発力(笑)で個性封じが実用化出来たので完成した簡易式神の傑作だ

 

「貴方の口から宗派などと聞くとは思いませんでした」

 

別に宗教の話ってわけじゃないが疑問に思ったのか塩崎が話しかけてきた

 

「塩崎は誤解しているが、俺程信心深い人間はそうは居ないぞ」

 

「とてもそうは思えませんが」

 

「俺には遠すぎて神も仏も感じられないんだよ」

 

神が居るのはわかってるからな、ただ俺が絡んだのは魔王だから微妙な立場故に信頼はできんがな

 

「それは悲しい事ですね」

 

「さーな、案外そろそろ親離れしろって事かもしれんぞ」

 

「なんですかそれは、…いえ、それこそが貴方の強さですか」

 

「親に泣きつけない分は友達に泣きつくけどな」

 

「貴方はいちいちオチを付けて…、まあ、友人に頼られるのは吝かではありませんからどうぞ泣きついて下さい」

 

「そんときゃ頼むわ。さて、友情を確認した所で話しを戻すがコレは追い込む事が目的だからかなりキツイ。無理だと思ったら直ぐにギブアップしろよ」

 

「問題無い、よろしく頼む」

 

「そうか、じゃあ挑むに当たって伝える事がある。これはその宗派に伝わる口伝だから心して聞いてくれ」

 

 

「『穿心(せんしん)』口伝

 己の心を細くせよ

 川は板を破壊できぬ

 水滴のみが板に穴を穿つ」

 

 

「それだけかい?」

 

飯田の問いももっともだ、短いからな。ただな、俺的には心構えだけじゃなくて、収束に特化したYOKOSHIMA的にもドンピシャな概念なんだよ

 

「それだけだ、それこそが基本だ

 だが勘違いするなよ、ただ闇雲に一点集中って意味じゃないからな」

「それと言っとくが個性は無しだからな、まあ使いたくても使わせんが」

 

そう言って地面から斜めに張られた糸が3メートルくらいの高さになった辺りに飛び乗る。蜘蛛は式神で代用、ならば骸役は肉体の制御を譲渡された俺 in スレ島さん(ペルソナ)が勤める。俺じゃ迫力が足らんから是非も無いね。

 

『覚悟を決めたら登ってこい』

 

この糸は個性を封じる力がある。飯田がこちらの間合いに入った所で棍を構えるスレ島さんが全力で錬をしてプレッシャーを掛ける。自分でやっといて何だがスレ島さんのプレッシャーはやり過ぎだったか?つーか俺も最近マコラ in YOKOSHIMA(ペルソナ)に絞られているからそのヤバさは実感している。ほんとスレ島系でも特に世界(運命)を敵に回すような連中はヤバみが半端ないのだ!!

 

相対した飯田も必死で耐えてるが、…寧ろとばっちりを受けた下の連中がえらいことになってる。円場とか柳とか腰が引けてるのが数人、おや、塩崎は敢えて前に出るか?釣られてか引けてた連中が持ち直したな。

入口からは血相変えたセメントス先生とハウンドドッグ先生が駆けつけてきた、(ヴィラン)とか聞こえるが勘違いされたか?途中で止めるのは却って危険と物間と黒色が留めてくれているが、こりゃ後で絞られるな。ちくせう

 

 

まだ1分も経たないが飯田は限界か?息が荒いし汗も凄い、集中しようとしてるがそれは普通の集中だな、耐えられなくて楽になる為に前に踏み出そうとしている。ここらが限界だ『ヒーローに成るんだろ。ピンチの時こそ口の端を、こう持ち上げて笑って、魅せるんだ』

プレッシャーこそそのままだが酷く優しい声でスレ島さんが飯田にハッパを掛けた。驚いた、まさかスレ島さんが手助けするなんて

…でもよく考えたら人間不信なスレ島さんはなんだかんだで友情は大切にするよな。スレ島さんの言葉が届いたのか飯田の目に力が戻ってきて、引きつりながらもニヤリと笑ってみせた。

 

プレッシャーに対抗出来る様になったところを見ると集中が出来てるか?

 

俺の思考を読んだわけじゃなかろうが飯田が前に出て、ほぼ同時にスレ島さんが放った突きを躱して間合いを詰めハイキックを放ってきた。スレ島さんなら躱せたろうに蹴りを喰らうギリギリでペルソナアウトしやがった。をぉぉい!土壇場で制御返されても反応出来んわ

辛うじて血装で防御が間に合ったが糸からは蹴り落とされてしまった。最後の最後で閉まらんわ~

 

飯田は力尽きて落下したが俺は足を糸に張り付けて逆さ吊り、飯田を引き寄せ捕まえたのだが、糸の下には落下した飯田を受け止めようとハウンドドッグ先生が滑りこんでいた。

「なんかすみません」と謝りつつ飯田を預けて、自分もハウンドドッグ先生から離れた位置に着地した。

 

何か言いたげな先生方を視界から外して周囲を見渡して「他に希望者はいるか?」と問うと

 

「私はお昼に貴方が増長していると言いましたが、あわよくば貴方の修練の成果を掠め取ろうなどと私達の方が余程増長していました。これからは地道に努力して行こうと思います」

 

代表してか塩崎が返事した。他の奴も概ね同じらしいが、例外は物間と黒色か、2人は最初の話で自分達は今の修行を続けるのが近道と理解している様子だったからな。

そして肩を叩く手

 

「もういいか、いいよな、横しマァゥルルルルルウウウ

 

あっ、これ、あかんやつだ

 

バウバウガウガウウウウガゥルルウア゛ア゛ア゛ア゛!!

 

 


[第11回 YOKOSHIMA会議]


 

「罪悪感から安請け合いしてしまったのだが、神速を習得するにあたって何か良い修行方法はあるのだろうか?」

 

5限と6限の間の休み時間、昨夜深夜に目が覚めて寝付けなかったので眠いから寝ると言って机に突っ伏した

ポニーが膝枕するよと言っていたが丁重にお断りした。教室で膝枕とかなんだその羞恥プレイは

 

『ケッ、して貰えばいいじゃねーか』

 

『何の話だっけ?同級生ハーレムの作り方とか誰か知ってるか?』

 

『いや、俺らって基本学校行かないから同業者か関係者(神魔妖)だろ、普通に恋愛した奴って居たっけ?』

 

「違うわーーーー!!」

 

コイツ等知っててやってるだろ!!

この件は茶化せないから真剣にやるつもりなんだが

 

『女の子の相手も真剣にやれよ』

 

「うっせーわ!!中学まで特に何もなかったのに高校入って急にモテ出して混乱しとるんじゃ!!」

 

『ケッ、雄英高校ヒーロー科ったらエリート中のエリートだろうが、モテて当然だ!!』

 

「いや相手も同級生だからなんちゃってエリートの俺と違って本物のエリートだぞ」

 

『難関だからなぁ、灰色の青春送ってきた反動じゃね?』

 

いいからその件はもう少し考える時間くれ

 

「とにかく時間が無いからマジで頼みます」

 

『飯田は堅物でエリートとか一見俺達と相性が悪そうだが、何だかんだと熱い奴だから嫌いにはなれんよな』

 

『だな、なんつーかピートとかジーク枠?』

 

良かった、なんとか軌道修正出来たか

 

『いきなり神速は無理があるから前段階でゾーンに入る訓練が妥当じゃないか?』

 

『そうだな、ある程度の効果が望めて尚且つ習得出来そうなモノはその辺りか』

 

『流石にスキル付与は行き過ぎだろうな』

 

「まて、スキル付与とかなんだよ!!」

 

『亜里沙ちゃんの治療の時の解析データあるからな、彼女のスキルとかいう概念を取り込めたぞ』

 

「マテやコラ!何しとんねん!!あとしれっと名前呼びかよ!!!」

 

榛葉の奴が妙に物覚えがいいのはそのスキルとやらのおかげか?

 

『どうも亜里沙ちゃんって改変前世界の横島の直系っぽいぞ、だから霊基情報から取り込めた。ついでに言いうとアダムが横島ならイブはルシオラだから必然的に主神アシュタロスの関係者になるな』

 

なんでここへ来てぽっと出(スゴイシツレイ)の榛葉がそんな特大の地雷を抱えてるんだよ!伏線も無しでそれはねーだろ!!

 

『言いたい事はわからんでもないが、別にお前はこの世界の中心でも主人公でもなんでもないんだから伏線なくても当然だろ』

 

『そーそー、魔王共から変な属性盛られたからって主人公気取りは痛いぜ』

 

「あー、そーだな、色々あったからいつの間にか負の感情から暗い優越感に浸ってたのかもな。塩崎に増長してるって言われるわけだ」

 

やべーな、転生者の暗黒面に堕ちるところだったんか

 

『気を付けろよ、お前は魔王共の思惑でこんな特別な状態だが、だからといってお前自身は特別でもなんでもないからな。堕ちる時は簡単に堕ちるぞ』

 

ちなみに俺の体は教室で机に突っ伏して寝ている。どー考えても物語の主役が真実を知り精神的に成長する場面では無い

 

『そーゆーこった。お前に世界の運命に関わるようなシリアスは似合わんよ』

 

『いや待て、こーなんというか亜里沙ちゃんと切奈ちゃん、2人とも特大の地雷持ちとか俺らが覚醒する為のヒロインの条件満たしてねーか?』

 

『考え過ぎじゃね?そもそもその2人の価値を理解出来る奴はコイツだけだぞ』

 

『いや、コイツの側ってのが果たして偶然なのか。コイツという目印の側に降臨の為の器がとかヤバくね!?』

 

『まて!ジョースター卿も言っていただろう、逆に考えるんだ!!亜里沙ちゃんが横島直系なのだから彼女こそがヒーローで、魔王サイドのコイツがヒロインだったんだよ!!』

 

『『『Ω ΩΩな、なんだってー!』』』

 

オイコラ、散々人の不安煽った癖に遊ぶなよ!

確かにGS原作のヒロインからして本人の意思とは関係無く特大の厄介事を抱えているが……なんのフラグだよ!!

 

「今考えてもしょうがない事は置いておいてマジ修行を頼んます」

 

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