「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
『加速の世界2』
「うっ…」
「目ぇ覚めたか。もう少し横になってた方がいいぞ」
「鉄哲君か、俺はいったい?」
「記憶が混乱してるのか?」
「ああ、いや、思い出した。ハイキックが入ったところまでは覚えている。蹴られたのに横嶋君は笑ってた」
「そのまま気絶して落下した所を横嶋が受け止めた」
「そうか、彼は何処に? 礼を言わねば…彼は…何をしているのかな?」
「あー、やり過ぎだってハウンドドッグ先生に怒られて反省中だ」
訓練施設の中央に創られた何かの儀式でも始まりそうな祭壇?に縛りあげられ、首から看板を掛けて正座する横嶋君の姿があった。
「やり過ぎって思うか?」
「ああ、流石にあれは」
「あれでいいんだよ、本人も受け入れているから」
「しかし!」
「さっき横嶋と向かい合ってどうだった? 当事者じゃない俺らもビビるスゲー迫力だったぜ」
「ああ、ヒーロー殺しが温く感じる程の圧力だった」
「そうか、それでな、そんな横嶋を見た奴がどう思ったかわかるか?」
「…恐れたのか」
「そうだ、だから先生方は横嶋の事を大袈裟に叱って横嶋もあの情けない姿を晒しているんだ。
そしてちょかい掛けてる連中は横嶋は怖くないってアピールしてるんだろうよ。それが分かるから先生方もそんな奴らに注意はしないんだろうさ」
「そうか、ならば俺も一緒に反省してくるとしよう」
「起きたばかりだから無理すんなよ」
「ありがとう」
彼氏彼女の自乗 2時限目
今の俺は先ほどまで試練に使っていた個性封じの糸で縛りあげられている。なにしろ原理が霊能力を封じる式がベースなので俺にも効く。
本来ならば式神に命令すれば糸は効力を失い解放されるのだが、糸で縛られた時点で霊波の放出が封じられて命令出来なくなってしまったのだ。これは想定外の事態だ
まあ、いざとなったら氣か魔力で焼き切るなりなんなりするのだが。おっ?流石はYOKOSHIMAボディだ、普通に縄抜け出来そうだわ
「あー、ポニーさんや、足を突くの辞めてくんない」
「今度ショーツをプレゼントしてくれたら許すヨ」
「ぶっっ、何を言い出すんだ」
「さっきのタダオがベリー怖くてショーツが汚れたよ」
何言ってんのコノ娘は!ちょっとオープン過ぎやしませんかねェ!!想像しちゃうだろ!!
「ちょっ、おまっ、後で金額教えてくれたら出すからそれ以上は…」
「タダオはダメダメね、プレゼントだから意味があるのです」
「ちょとそれは日本の男子高校生には難易度高すぎるプレゼントだぞ」
「しょうがないから帰りにショッピングに付き合うので許してあげるヨ」
「それは良いですね、私もお願いしますね」
頬を染める塩崎、まさかこいつも!?
「想像しないで下さい!!」
「自分から話し振って無茶言うなや!!」
否定しないから余計に……イカン、顔に出てたのか睨まれた
「セツナも誘うです」
「そうですね、他の方々にはバレないようにしましょう」
俺は何も聞こえて無いゾ
座禅やヨガなど精神修行の経験を駆使して瞑想し無心を貫く俺に2人が掛けるちょかいは飯田が起きるまで続いた
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2人のちょっかいが止んだと思えば飯田が隣に正座した。真面目な奴だ
「起きたか」
「ああ、一人だけ説教を受けさせてしまって申し訳無い」
「真面目君が、加減を間違えたのは俺のミスだ」
「しかし俺が頼んだせいで」
「いいから、せっかくだからこのまま瞑想してみろ。姿勢を正して、心を鎮めて気を落ち着けて、意識を自分の心の底へ沈めていくんだ。
さっきので何か掴めていればそう難しくは無いはずだ」
素直な奴だからか、こちらの言う通りにしている。感じる氣が穏やかだから出来ている様だな。
「どうだ、少しは周りが見えるようになったか?」
「済まない、俺の焦りのせいで大事になるところだった」
「そーだな、B組でもここまでの騒ぎはそうないな」
「「そうないな」という事は稀にはあるのかい?」
「初日に俺が両足骨折した」
「なるほど、A組なら緑谷君がよく怪我するな」
「俺のは不可抗力だ、積極的に身体壊しながら戦うアイツと一緒にしないでくれ」
「君は友人以外には辛辣だな」
「周りが見えるようになったのなら少し走ってこい。こんだけの事をして何も効果なかったら泣くからな」
「おーい!今から飯田が走るから障害になってやってくれ!!」
「そんなわけだからブチ抜いて魅せろ」
「ああ、行ってくる」
呼び掛けに答えてくれた男衆が8人、セメントス先生が即興で設定してくれた訓練場を横断する直線コースに散る
ルールは簡単、兎に角妨害を抜けてゴールするだけ。セメントス先生の合図でスタート!
最初は宍田、デカい速い強いとB組でもフィジカル上位の男、因みに試験会場が同じだった縁で最初に仲良くなった。
宍田の影になるように立ち回る円場がまた厭らしい配置だな。あいつの個性は視認し難いから妨害に最適だ
「視認し難いって、普通エアーは見えないヨ」
「この人の基準が狂ってるのは何時もの事ですよ」
塩崎が酷い、確かに
だからこんな〔●〕〔●〕目で見んな……っ「ほら見ろ!飯田もきっちり円場の奇襲を躱したぞ!!」
「あの動きは見えていたのでしょうか?あのスピードで反応出来るとは凄いですね」
続いては鱗が立ちはだかり正面から
と思いきや障害物の影に庄田が潜んでいた!庄田の奇襲はなんとかジャンプで回避したが、そこを再び鱗の
流石にこれは無理かと思いきや空中でエンジン出力を上げたのかマフラーから排気の反動と回転で体勢を強引に変化させた。
その勢いのまま回原と鎌切と泡瀬の近接チーム+1を正面から抜き去り…つーか泡瀬は動きは良いけど正面戦闘向きじゃないからなぁ
元々飯田はそれだけのスペックを持った奴だからちゃんと発揮出来ればこれくらいは出来て当然だが、最後は鉄哲か…「ヲォォイイイ!!」
最後の立ちはだかる鉄哲を飯田が躱そうとした瞬間間合いを詰めた鉄哲に飯田が投げられた
幸い飯田は空中で姿勢を立て直して着地してそのまま走りきったのだが
「横嶋君、まだ立っちゃ駄目だよって倒れてるね。痺れた足で立ち上がるから」
「すみません、セメントス先生。しかしちょっとツッコミ入れさせて下さい」
「しょうがないか、終わったらまた正座だよ」
「あざっす」
「よろしいのですか?」
「元々反省はしてたからね、ポーズでやらせてただけだから」
「オイコラ!鉄哲てめえ合気は性に合わんとか吐かしてやがったじゃねーか。なんだよ今の歩法と投げは!!」
「おう!職場体験でA組の切島って奴と一緒になってな。一見して同じような個性でも俺は金属化だから硬度に限界があるってのを思い知らされた!
だから個性を過信せず、きちんとした防御を覚える為に前に話した道場に本格的に入門した!」
「職場体験終わってからその仕上がりはおかしいだろ」
「何言ってやがる!体育祭前から通ってたぜ!
防御覚える為に散々投げられたからな、なんとなく投げ方も解ってきたぜ!」
こいつ、性に合わんとか言いつつも通ってやがったのか。しかも縮地のような歩法を仕込まれてやがる
「っと、飯田は無事か!!」
「ああ、問題無い」
「問題無いって結構な勢いでぶっ飛んでたじゃないか!」
「こんな個性だからな、転び慣れているから大丈夫だ。もっともここまで派手に飛んだのは久しぶりだったが、集中力が上がったからか上手く着地できたよ」
「そうか」
安心して座り込む俺を塩崎がツルで縛りあげた。あっ、思わず縄抜けしてたわ
そんな感じで今日の俺はさらし者になっただけの放課後だった
…で終わっていれば良かったのだが、ポニー達との約束させられた買い物に付き合って、それから愛美さんから昨日エンデヴァーさんに会った件で呼び出し受けたから事務所にも行かなければいけない。ちょと忙しいぞ
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ランジェリーショップなう
買い物先は女性下着専門店でした。謀ったな!!
「ちょっ、おま、彼女でもない相手と入るには敷居が高い…じゃなくてせーふく!俺達制服!! 男子高校生が入店出来る店じゃねー!!
しかも俺達有名人!特に俺は悪目立ちしてんだから勘弁してくれ!!」
「ムゥ~!ここはタダオが選んでくれる場面だよ」
「ステイツではどうか知らんが日本のハイスクールスチューデントでそれは無い!!」
「えー、漫画で見たシュチュエーションだよ」
「アレは漫画だから許されるんだ!リアルは俺らの年齢でそういうのは厳しいの!! 雄英卒業した後ならなんぼでも見繕ってやるから勘弁してくれ」
「約束だよ」
そう言って指切りをねだるポニー、ここがランジェリーショップの前で下着の話しでなければさぞかし絵になるシーンだっただろう
しかし現実は非情だ、傍から見ればただのコントだ、いや、「レベル高い女を3人もかよ、男の敵め!」とか言う学生や「ランジェリーショップの前で
そこのおねーさん、微笑ましそうな表情で写真とらないで下さい。SNSとか勘弁して下さい。
取蔭に財布ごと預け営業妨害になるからと3人を店に押し込み自分は近くのコーヒーショップで時間を潰す。
「彼女さんは外国の方ですか? 文化の違いか大胆ですね」
店員さんに大変ですねって笑われた。店内からも騒ぎの様子が見えていたらしい
ポニー達が直ぐに分かるようにって向かいの店に入ったのは失敗か
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「おまたせ、タダオ」
「おう、いい買い物できたか?」
「今度見せるよ」
「だから何を言ってるのかと…どーした?取蔭ってオイオイ、結構入ってたハズなんだがなぁ」
取蔭から返された財布は非常に軽かった。まぁ遣り過ぎた罰だと素直に思っとくか
「御免、ちゃんと返すから」
「いや、そこはいいんだ。3人分とはいえ結構な金額が飛ぶんだから女子のオシャレは大変なんだな」
「それが、つい、普段は手が出ないような物を手に取ってしまいまして、店員の方にも似合いますよ薦められましてつい。ちゃんとお返ししますから」
引き継ぐように塩崎が非常に申し訳なさそうに理由を話した
「あー、店の前で騒いだからな、営業妨害とか言われなかっただけマシと思うか。金額は気にするな」
店員さんにしてみれば迷惑料替わりにって心境だったのかもな
「お詫びになるか分かりませんが購入した物はお見せしますから」
「塩崎まで混乱してるのか?落ち着け、自分が何を言ってるか考えてからしゃべれ!」
ちょっと想像して唾飲み込んでしまった。目をグルグルさせてる塩崎は気付いていないがむ~って感じでポニーが見てる。気付かれたか
「それじゃ今度はタダオの家に行こうよ」
ちょっとカートゥーンっぽくプンスカしてから一転、気を取り直すように提案してきたのだが…下着ファッションショーとか周囲から聞こえてきた。不味い!
「あー、すまん、ちょと今日はラブラバさんから呼び出されてるからこの後は事務所に行かなきゃならんのだ。この埋め合わせはちゃんとするから勘弁してくれ」
その場凌ぎの嘘では無くちゃんとした予定だ。すまんがポニーよ、俺の心の平和の為に諦めてくれ!
「横嶋さんの職場体験先ですか、興味がありますので私もお邪魔したらいけないでしょうか?」
…が、ここで多少ズレてても常識人だと思っていた塩崎からのポニーへの援護が入った
「横嶋ってあんまりヒーローの話しをしないから、横嶋が尊敬しているジェントルさんって私も興味あるな」
取蔭もかよ、出来れば抑え役になって欲しかった
「お前らジェントルの過去を知らないわけじゃないよな?」
「もちろんワイドショーなどで知っています。それでもジェントルさんへのあなたの信頼が揺るんだ様子がないから会ってみて自分で判断したいのです」
正直迷いがあるが考え無しってわけじゃなさそうだから連れて行くか
「じゃ、行くか」
「確認取らないで良いのですか?」
「もう取ってある。連れて来て良いってさ」
「いつの間に…」
周囲をわざとらしく見渡して
「この会話、SNSに挙がってて筒抜けだとさ。車呼んであるらしいから出るぞ」
店を出て大通りに移動し、愛美さんが手配してくれたタクシーに乗って事務所まで向かった。
『彼女達の世界』
「あの娘は所謂天然と言われる性格でしょうか?」
「いや、ポニーは見た目草食型だけど中身はガッツリ肉食だから」
「2人ともナイショ話もいいけど早く選ぶ」
「ポニーはまた随分とかわいい物を選んでますね」
「タダオは私がセクシーなのを着て見せても喜ばないから」
「見せる気ですか!!」
「そのつもりで選ぶのが楽しいんだよ!! 2人だってタダオが喜びそうなセクシー持ってます」
「これは、その、」
「まあ、確かに楽しそうだけど使う予定も無い勝負下着って考えると虚しいかな」
「タダオに見せればいいよ」
「だから私は違います!
…ですが、将来的には誰かに見られると考えた方が張り合いは有りますね」
彼女達は気付いていない、店の前でイチャ付かれて、今また目の前で1人の男の話題で盛り上がる彼女達にキレた女性店員達にロックオンされている事を