「俺のヒーローアカデミア」はじまります! 作:ばうえもん
昨日からリカバリーガールさんの元で修行を開始しました。
厳密には中間試験の後に行う試験で合格したら弟子入りを認めて貰えるのですが、時間は限られていますから弟子入り出来た前提で押しかけてお仕事のお手伝いをしています。
これには流石のリカバリーガールさんも呆れた様子でしたが、追い出す事無く仕事を教えてくれます。
しかし保健室って忙しいんですね、皆さん軽い怪我でも治療に来るのでなかなか仕事を覚えるどころでは在りません。
「えっ?私は未だ弟子未満なので治療は出来ませんよ」
「出来れば君に治療して貰いたいかなぁ、なんて」
「いいよ、実際どんなモノか見たかったからね、別に悪化しても本望だろうからやってごらん」
「流石に悪化はしませんよ、『
はい、終わりました」
「えっ?コレだけ?リカバリーガールの弟子だよね、"チュー"は?」
「ちゃんと"治癒"しましたよ?
先ほども言いましたが私は未だ弟子ではありません」
「なるほど、自己のエネルギーのみで完結する点は私の治療よりも優秀かね、しかしその分消耗するのだから治療出来る回数が問題だね。ほら、治ったんだからさっさと出ておいき!」
「さっ、詐欺だー!!」
「失礼しちゃいますね!ちゃんと治療しました!!」
「あんた、天然だね」
インターミッション「【保健室の天使】リカバリーガールの弟子【治癒詐欺】」
ただいま私はB組の自主練にお邪魔しています。
目の前には地面に直接正座してリカバリーガールさんからお説教を受けるブラドキング先生、背後には10名近い人間が倒れ伏しそれを介抱する数名の生徒、そして荒れ果てた訓練施設。ここは何時から災害現場になったんでしょうか?
「で、何がどうなったら死屍累々の状況になるのかい?B組は怪我が多いからやり過ぎない様に見ているハズだよね。
それなのに何でアンタが率先して生徒を伸しているのかい?」
「それはですね……
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開始の合図と同時にタイミングをずらして接近する生徒達、一見して波状攻撃に見える愚策だがおそらくは個々のスピード差を考えてほぼ同時に到達するタイミングなのだろう。これだけでも練度の高さが垣間見えて思わず笑みが零れる。更にはその背後から角取が自身の角に乗り空中から
先ずは遠距離から援護を潰すべくスナイパーポジションから全力で
飛来する残りの角を跳躍で回避して生徒達に接近、此方から間を詰めたので個々の到達タイミングがズレた結果個別撃破を許してしまう。おそらくは角取の援護は俺を前に出させない為の物であったのだろう。
「
此方の動きに反応して横嶋がタイミングを修正して鎌切と同時に接敵、対応の早さに浮かぶ笑みを噛み殺し心を鬼にして横嶋に一撃を加える。生徒の中でも反射神経が優れている横嶋だけにしっかりと防御したが分断は出来た。そのまま鎌切に空中からの
「
連打を加えて撃破。着地したと同時に接近した回原と拳藤を
一瞬安堵の表情を浮かべる横嶋だが気を抜くのは早い、貴様が出来る事を他人が出来るとは考えんのか?ましてや
通常の体術と
未だ練度が低い技故に回避されるのも想定していたが当の横嶋には普段のキレがなかった。先ほどの一瞬の気の緩みといい話を聞くに実習がハードだったのか若干疲れが出たのだろう
一度は耐えた横嶋が鈍い音と供に崩れ落ちるのを見た生徒達の動揺が感じられる。入学当初は半数のクラスメイトと壁があった横嶋が信頼を勝ち取りB組の精神的な支柱の1人となった事に喜びを感じる。
動揺は一瞬、引きずる事なく動き出す生徒達に応えるべく更なる力を開示する
「
血流を加速して運動能力を高める技法、普通は血管や心肺機能に負担が掛かるが俺なら血に関する事ならリスクを減らせる。
俺が何かしたのに気が付いても臆せずに挑んでくる生徒達を心を鬼にして蹂躙する。
貴様らの勇気は認めるが時には引く事も必要だ。些か勇敢過ぎる生徒たちを諫める為にもここで完膚なきまでに打倒する!!
入学当初と違いこちらを注意深く観察する鉄哲の成長を喜ぶも心を鬼にして接近、攻撃に備え防御姿勢と何らかの強化らしき物を行った様だが
アサルトポジションから踏み込み更なる加速で一気に飛び込み撃ち抜く
「
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「遣り過ぎだよ、馬鹿垂れが」
「面目有りません」
話半分に聞いても酷い蹂躙劇だった様です。生徒の成長が嬉しくて本気出したって理由でいいいんでしょうか?
「ウチの担任もですが、雄英の教師ってどうしてこう、極端に振り切れているんでしょうか?」
「まったくだよ」
「むっ、待てセメントス!それはなんだ?」
セメントス先生が[猛人注意!!]と赤い文字で書かれた板を持って来ました。
「コレかい?昨日横嶋君が遣り過ぎたから反省で正座させた時に首から掛けてたものだよ。まさか翌日また使う羽目になるなんてね」
「おい!まさか…」
「そのまさかだよ。1Bはほぼ毎日ここを利用しているからね、僕は担任の君の次に付き合いが長いんだ。だから僕も頑張ってる生徒達の事はかわいいんだよ」
「いやしかし、リカバリーガール、生徒の前でこのまま正座とか許してくれませんか」
「せっかくだから横嶋君の時と同じ様にステージも作ろうか」
「いいね、ブラドキング先生、是非ともそうして貰いな」
「このままでお願いします」
なんですかねぇ、このコントは。見てても意味が無さそうなのでさっさと横嶋さんを治療しますか。
「ふん、全員の状況確認せずに男を真っ先に治療かい、見る目が鈍ったかね」
「ちゃんと理由は有りますよ。人数が多いですから一人では回らないんですよ」
鑑定呪文で診察します。鑑定系の呪文を使うと結果がメニューシステムのログに残るので重宝しますね、鑑定内容は私の知識に依存するので勉強が必要ですが知識ですので丸暗記である程度は解決するので助かります。
「なるほど、その彼も使えるのかい?」
「使えるそうですが私よりは効果が劣るそうです。ですので別の事をお願いします」
ちちんぷいぷいっと、結構なダメージですが私の手に負えるレベルで幸いでした
「……つぅ、榛葉か、保健室ではなさそうだな。来てくれたのか」
「はいっ!あなたの亜里沙ですよ❤」
「状況は?」
「つれないですね。では手短に…魔力下さい❤」
「リカバリーガールが睨んでっぞ、人数多いから大変そうだな……そうだな、指輪を渡してくれ」
指輪をとは一体何をするのでしょうか?
「不安そうな顔をするな。ちょっと弄るだけだ、済んだら返すさ」
なにか手が光っていると思えば指輪が変形して男物のゴツイ感じから女性向けの繊細な感じのデザインになりました。
「可愛い!!ってなんでもう一個出して自分に嵌めるんですか!!デザイン変えたのは自分が嵌めるからですか!!却下です!戻して下さい!!ペアリングに戻して下さい!!!!」
「やかましいわ、俺の『土行の指輪』と榛葉の『木行の指輪』をリンクして指輪経由で魔力を引き出せるようにした。これで俺が指輪をしていれば自由に魔力を使えるから」
そう言って指輪を返してくれました。私の為にしてくれた事なんですがモヤモヤしますね。むぅ
「……なるほど、天然じゃなくて眼中に無かったのかい」
「なんですか、リカバリーガール?」
「いやね、昨日から保健室が大繁盛って話さ」
「……あ~、こいつ見た目だけは一級品の美少女ですからね」
「やった!美少女って言われた!!」
「ほんと馬鹿な奴ですみません。どうか見捨てないでやって下さい」
「なんで横嶋さんが保護者みたいなこと言うんですか?」
「飯田の件は俺が言い出した事だろ」
「私が自分で決めた事です。それだけは横嶋さんでも譲りませんよ」
「そうか、俺の魔力なら好きに使っていいからクラスメイトの治療を頼むわ」
「はい!」
「まあ、見所あるようだから面倒はみるよ。所であんたも使えるそうだね、私でも使えるようになるかい?」
「調べてみましょうか」
「頼むよ」
それにしてもこれは治療のし甲斐が有りますね。せっかくですから怪我が酷い人は高位の呪文を試しましょう
「こら!いきなり持って行き過ぎだ!!
いくら俺がお前より多いってもそのレベルの連続使用は無理だぞ!!」
ふ~んだ、私の側で他の女性(リカバリーガール)とイチャイチャするのが悪いんです!横嶋さんなんか魔力不足で倒れてしまえばいいんです!!
「安心して倒れて下さい!ちゃんと膝枕して回復薬飲ませて差し上げますから❤」
「出来るかっ!!つーかそんなんあるなら先ず自分で使え!!」
んっ、何を言っているのか良く聞こえません❤
私は流れ込んでくる横嶋さんの魔力で高揚しつつ怪我人の治療に励んだ
『緑谷出久の焦燥』
僕たちは相澤先生に連れられて訓練場を後にした
「緑谷君、俺が言えた立場ではないが余り横嶋君に無理を言わないほうがいい、麗日君もだ」
「納得出来ていないようだから少し話そう。俺が受けたのは訓練ではなく修行というものだった」
「そや、飯田君に方法を聴けば解決するやん。でも修行?」
「そう、修行だ。元々が宗教的な物だったそうで本来なら生きるか死ぬかという代物らしい」
「訓練で命賭けるだなんて大げさやわ」
「そういう考えなら受けない方がいい、横嶋君も命までは取らないが失敗すれば確実に大事な物を失う」
「大事な物って?」
「先日教室で威圧を受けただろう、アレの数倍はキツイ物を受ける。正直気絶して楽になりたいと思った」
「……それは確かにキツイかな」
「まぁ実感しないと分からないだろうが確実に心が折れるぞ、そして肝心な時に踏ん張れない人間になる。ヒーローとして致命的だ」
「そんなんがなんで効果あるん?」
そうだ、相澤先生も結果に繋がらないと言っていた
「結局は自分を見つめ直す事と極限状態で集中するのが目的だったようだ」
「そして修行の後に横島君とこんな話をした。『思い付きや勘といったものはそれまでの積み重ねから生まれる』『人間はコンピュータと違って考えないで行動する事が出来る』」
「う~ん、それがどういう意味があるん?でも集中力ならデク君も凄いから大丈夫ちゃうん」
「彼は先ほど『今までの積み重ねを形にした』と言っただろう。そうだな、敢えて言葉にすれば俺が得た"ゾーン"とは経験を元に常に最適解を出し続ける集中状態といった所か。だから緑谷君のような考え込む集中では無く、状況に対応する為の集中だ」
「緑谷君、失礼を承知で言うが君にはそれだけの経験の蓄積があるのかい?」
「それは……無いかも」
「そうだな、緑谷は準備が足りない」
相澤先生がそう言葉を継いだ。
だったら僕はどうすればいいんだ!!
「今は体作りに専念しろ、あいつらの様になれとまでは言わんが最低限個性に耐えられる様にならなければ先は無い」
「相澤先生、デク君に効果的な訓練メニューはありませんか?」
「体については地道に鍛えるしかないだろう。戦いを有利にする為の小技を覚える事自体は合理的だから否定はしないが」
「体は時間が掛かります。だからこそそれ以外の方法が欲しいんです」
「時間の問題だけはどうにもならないからな。後はサポートアイテムだな、武器を使う事も視野に入れるのも考えろ」
少し考え込んでいた飯田君が提案をしてきた
「どうだろう、明日もう一度横嶋君に会いにいくのは。彼は自分の言葉には責任を持つから君に体を鍛える様に言った以上はその為の相談なら乗ってくれるハズだ」
「止めて置け、昨日の事が問題になっている。交流を持つのは構わんが相手に負担を掛け過ぎだ、相談ならクラスの人間か教師にしろ」
「そうですか、俺のせいで迷惑を」
「横嶋が自身の判断で行った事だからお前を責めるわけではない。だが切っ掛けである以上は無関係で無い。暫らく自重しろ」
そういえば小学生の時に確かに同じクラスだった。
もしあの時から付き合いがあれば僕らの関係はもう少し違った形だったのだろうか……確かかっちゃんが…
「……そうだ、あの時僕は誘われていたんだ」
「えっ?なに?デク君」
「何でもないよっっっ」
でもあの時の僕は断わった
子供心にも弱い強化や動く人形よりもかっちゃんの爆発の方がずっと凄くて
かっちゃんに負けた彼よりも何でも出来るかっちゃんの方が眩しく見えたから。