「俺のヒーローアカデミア」はじまります!   作:ばうえもん

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かりそめのきゃく
榛葉亜里沙の溜息



 

「♪~」

 

中間テスト初日の教室、私は最後の確認をしようとノートの見返しをしています。

昨日は横嶋さんスキル以外にも様々な技能を習いましたのですが、速読と高速思考と組み合わせは便利です。傍目にはパラパラと捲っているだけですが確りと頭に入ります。更に元々持っていたスキルによる補正のお陰か確りと意識して読めばちゃんと覚えています。勝ったなガハハ!

 

「亜里沙ちゃんはテストなのにご機嫌なのね」

 

「昨日は久しぶりにビタミンYを補給出来ましたから」

 

「そんなビタミン有ったかしら?」

 

「わかってないなぁ、つまりは彼氏分を補給したって事だよ」

 

「流石は恋バナマスター葉隠さんですね、正解です」

 

「……彼氏?」

 

「そこは冷静に突っ込まないで下さい。何れはそうなるのだからいいんです」

 

「みんな余裕だ……ワタシ全然勉強してない……どうしよぅ

 

テスト前にも拘らず雑談で余裕を見せる私達を絶望で濁った目で見据える芦戸さんの視線が心地良いのです。決してエロダンスで横嶋さんとイチャイチャ(私視点)が羨ましかったわけでは有りません。

と、そこへ登校するなり飯田さんに駆け寄るボンバーマン

 

「ゴラァ!眼鏡ッ、テメェどう言う事だ!! ソロダンスしてんじゃねーか!!」

 

「うん? ああ、結果が気になって動画で見たのかい? 当日急に変更になったんだ。俺達も寝耳に水だった」

 

「気になっとらんわクソが!!

 とにかくもう一度ヤレ!! 今度こそ俺が踊り殺す!!」

 

「流石に自分ではあの規模の行事は無理だな。だが幸い好評だったようだから次回の可能性もあるようだし君の方からプレゼント・マイク先生に進言して見たらどうだい?」

 

会話が成り立っては居ますが凄い温度差ですね、飯田さんもボンバーマンの扱いに慣れたという事ですか?

 

「あっ、葉隠さん、髪が跳ねてますよ。そう、その辺りです」

 

「ホントだ、ありがとう。直してくるね」

 

「…?………ッケロ!?」

 

 


 

榛葉亜里沙の溜息

 


 

そんなスタートで幕を開けた中間テストも先程終了しました。

……それにしてもここ数日は蛙吹さんの視線が気になりますが何だったのでしょうか?

 

 

しかしこのメニューシステムは危険ですね、しませんけどカンニングし放題ではありませんか。

元々ストレージ内の本を読める事は知っていましたのですが、電子妖精とリンクする事で計算や翻訳も可能になりました。ヒーローを目指す身ですので不正はしませんが、それを証明する術が有りませんのでメニューシステムに関しては秘密しないといけませんね。横嶋さんが念入りに秘密にする様に言うわけです。

 

それにしても先日はオールマイトを見て変な声を出してしまいました。正体が八木さんだったのも驚きましたがバッドステ-タス山盛りじゃないですか……

本名から社会的なステータス等の個人情報まで視れるなんてもう個性申告出来る機能ですよ。果たして情報収集系統の個性でも短時間でここ迄調べられるのでしょうか?

 

廊下で緑谷さんに声を掛けている場面を見かけてつい好奇心で詳しくみたら…

思わず声が出てしまったので、誤魔化す為に「どういう事ですか横嶋さん!」と怒鳴りながらB組に駆け込みました。いえ、その後は「知ってたのなら教えて下さい!」と演技じゃなく怒る羽目になりましたが。ほんと知っていたのなら事前に情報共有をして下さい、誤魔化すのが大変ですから。

 

情報を制する者は戦いを制すではないですが、少なくとも情報と物理の両方で大概の隠匿に対応出来るのではないでしょうか。

例えばクラスの葉隠さんが相手の場合はマップで居場所は把握出来ますのでマーキングから魔法の射手(サギタ・マギカ)で対応できます。横嶋さんが教えてくれました可視光以外も視る術式で直接目視も出来ましたので接近されても問題はありません。更にはメニューシステムとリンクさせる電子妖精用のリアルタイム画像処理フィルターのアプリもいただきましたので処理された映像を視界に重ねたウインドウに表示出来ます。見易さでは此方ですね。もっとも横嶋さんの速度だと遅延が無視出来ないレベルなので戦闘では使い物にならないそうなので『円』一択だそうですが。

 

以前は鬱陶しいので必要な時にしか表示させなかったウインドウもマルチタスクのお陰でサブの思考に割り振る事で視界と分けて処理出来る様になりました。案外これが一番大きな変化でしょうか? 今までは禄に使わなかったお陰で幾つかの機能を見逃していましたので、応用するにも先ずは使わないと気付けませんからね。

 

そんなこんなで横嶋さんのお陰で新たなパワーに覚醒めた私ですが、テスト期間だったので実習が無かったのが残念です。

では今日からまた保健室に詰めましょう。

テスト期間中も顔こそ出しましたがリカバリーガールから個人的な試験を受けるだけでした。内容は貸して戴いた医療関係の教科書からの出題でちゃんと読み込んでいればなんとかなる内容でして、呪文を覚える為に取った幾つかのスキルのお陰で暗記は得意なんですよね。カンニングしているわけでは無いのでズルではナイデスヨ

 

 

そんな感じでテストも終わり保健室へ移動しようとしたところで相澤先生から声が掛かりました。

 

「榛葉、例のサポートアイテムの件だがこの後時間は取れるか」

 

「はい、大丈夫です」

 

「そうか、ならばこの後開発工房で確認を行う。先に行っていろ」

 

「はい」

 

そうでした、先日『ジャック・オー・ランターン』を授業で使えるかは確認が必要だろうと考えて相澤先生に確認を取った所、テスト終了後に関係者を集めて確認する事になりました。

 

「先生、サポートアイテムに興味が有るので見学出来ますか?」

 

ここで意外な事に峰田さんから声が上がりました。個人的には授業で使う物なので見られても問題は無いと思いますが……横嶋さんにメニュー経由でショートメールを…今時文字のみで短文ってなんでだろ?…OKですか。

 

「榛葉は問題無いか?」

 

「授業で使う物なので問題無いと思いますよ。一応秘匿する様な技術は使って無いそうですし」

 

「道理だな、わかった。見学は許可するが向こうで横嶋が駄目だと言えば席を外してもらうぞ」

 

 

開発工房に到着しましたところ横嶋さんが出迎えてくれましたのですが

 

「なんだ?峰田君の事は聞いてたけどえらく大所帯だな」

 

峰田さんに便乗してダンスチーム+飯田さんが付いて来てしまいました。芦戸さんのテスト勉強も見ていましたし何気にこの人達は最近仲いいですね。

 

「すみません横嶋さん、ダンス効果で仲良くなったらしいです」

 

「まあ訓練場に移動するから多少増えてもいいけど」

 

峰田さん達はB組の漫画の人と3人だけど四天王さん達と挨拶を交わしています。何気に交友関係が広がっていますね。

 

「B組の皆さんも見学ですか?」

 

「いや、回原はサポートアイテム、他の3人はコスチュームのベーススーツの変更だな」

 

 

さて、ヒーロー科の両担任にパワーローダー先生を交えて(何故かリカバリーガールも居ますが)私が横嶋さんの真似をして影から取り出したジャコを前に横嶋さんからスペックの説明です。それと何故か同席しているのは発目さんでしたか?先程までは緑谷さんに絡んでいた彼女が今度はギラギラした目で横嶋さんを見ています。ソレは私のだ!!

 

「以上がジャック・オー・ランターンのスペックですね。実際の運用時には榛葉の契約術式により出力と強度が上乗せされますのでその辺りの差異で単なるロボットではなく榛葉の力を有効活用する為のサポートアイテムだと解釈していただければ幸いです」

 

「ひとまず出力を実際に測定して確認して見ようか。その契約術式の効果が実際に数字に出れば俺は認めていいと思うよ」

 

「単純に手が増えるから授業に於いては状況次第だろうか」

 

「しかし人形か何かを操作する個性ならともかく、そのままでも充分な力が有るロボットでは優遇し過ぎではないか?」

 

「横嶋、お前の見立てではそのロボットにはどの程度力がある」

 

「装備と状況次第ですが、素の状態ではウチのクラスメイトの前衛組の相手はキツイですかね。飽くまで榛葉のガード用ですから」

 

その後は一先ず魔力供給有り無しで出力や強度測定をしまして、相澤先生の指示で演習場でロボ相手の模擬戦をする事になりました。

 

 

「オイラが思ってたのと違う……」

 

「そうだね、サポートアイテムと聞いていたのにまさかロボットだったなんて」

 

「榛葉が治療とかに集中せにゃならん時のボディーガードだ。立派なサポートだろ」

 

「なかなかいいね、これで弟子は前線でも治療に集中出来るわけだ。とはいえ出来ればアンタが守ってやんな」

 

「そーだよ、守ってあげなよ」

 

「……今は榛葉の方が強いんだけど」

 

「週明けから生命力に満ちて見えたが気のせいじゃなかったようだね」

 

「ええ、ようやく調整の成果が出まして今の榛葉は本来の力を発揮しています。以前はエネルギー量では俺の方が多かったのですが今は逆転していますね」

 

「横嶋、実際のところはどれ程なのか」

 

「大雑把に数値化すれば最低でも以前の10倍以上ですね。以前は100ちょっとでガス欠だった魔法の射手(サギタ・マギカ)を1009撃ってもケロッとしていましたから」

 

「なんでそんな半端な数字なんだ。計測でそれは合理的では無いぞ」

 

「素数縛りがあるんですよ。交感式に合理的処理を求めすぎると破棄します」

 

 

「なんだよあのロボ無双は!!入試にアレ連れて行けば本人遊んでても合格するじゃねーか!!

 榛葉は貴重な回復キャラだからまだいいけど、オイラがアレ連れてったら『峰田君要らないけどロボだけ置いてって』って言われっぞ!!」

 

「落ち着いて峰田君、戦うだけのロボと違って君の『もぎもぎ』は捕縛に使える良個性だから…『数が多い、ならば足止めを! ジャコっ!バブル・ザ・スカーレット!!』

 

「「「「あっ……」」」」

 

「オイラのアイデンティティがぁぁぁ!! ゴラァ横嶋!!なんてもん作るんだよ!!!」

 

「あー、うん、なんかスマン」

 

「謝んじゃねーよ!! チクショオッッッッツツ!!!」

 

「いやぁ、どっちかというとB組の凡戸の方が近いんだがな。

 なんならなんか武器作るか?どういうのが良いのかちょっと思いつかんが……それとも泡瀬達と同じA・Mスーツ使うか?」

 

「あのカッコイイ強化服をか? オイラは格闘はしないぜ」

 

「俺達も基本は近接格闘タイプじゃないけどな、それでも増強系には及ばなくても移動速度とかジャンプ力も上がるし選択としては有りだぜ」

 

「その点回原の手足の大型タービンは攻防一体でカッコイイよな、個性を純粋に強化出来る装備は羨ましいぜ」

 

「……オイラの『もぎもぎ』は強化し難いし、炎とか酸とかには通じない。だから何か別の手段が欲しいんだ」

 

「個性の強化なら投擲技とかかなぁ、尚更筋力は欲しいし……とりあえずA・Mスーツ組むから体型のデータ寄越せや」

 

「ありがとう、頼む」

 

 

ジャコの稼働試験?が終わって戻ってみれば横嶋さんと峰田さんを中心になにやら話し込んでいます。

 

「おおおっ、この小手のワイヤーアンカー便利だな」

 

「こらこら、こんどは俺のアイデンティティのピンチか!?」

 

「マジな話ワイヤーをあまり収納出来ないからビルから降りるとかには使えんがな」

 

「なるほどな、それでもカッコいいし便利そうだな」

 

「人間相手にはアンカーの代わりにもぎもぎを使えばいいかもしれないね」

 

「とすると小手じゃなくて銃かなんかで独立した形がいいか」

 

「そんな貴方にこのベイビーを……」

 

 

 

むぅ、何ですかアノ女性(ひと)は!距離が近いです!!

 

「横嶋さん! ジャコのチェックを手伝って下さい!!」

 

「お、おおう。今行く」

 

「モゲろ」

「ハゼろ」

「ハゲろ」

「足の小指ぶつけりゃいいんだ」

「峰田君、それは流石にエグイよ」

「オメーもぶつけろ」

「なんで!?」

 

羨ましいですか?これがリア充というものです!!

 

 

 

「セルフチェックでは問題なさそうだな、モニターでも異常は出てないし」

 

「そのようですね」

 

「可動部分の摩耗も自己修復で対応出来るレベルに収まっているな」

 

「自己修復とはどういった技術だ?」

 

「その辺りが契約術式の効果なんですよ」

 

「なるほど、そういった部分で運用効率を上げる事が出来るのも評価項目に入れるべきだ」

 

「アドバイスありがとうございます」

 

どうやら使用許可は降りそうですね。

しかし魔力供給で結構魔力を持って行かれたのですが、未だ1割も減ってませんね。

実は先日レベルアップしたお陰で今の私の魔力量は横嶋さんを大きく上回りました。そう、上回ってしまったのです!!

その結果指輪のリンクを切られて横嶋さんからの魔力供給を受けられなくなってしまいました。むぅ

 

 


中間試験前日 香港:太平山地下


 

「香港って、洞窟みたいな所なんですね」

 

「そのまんま洞窟だからな、不法入国だからホントは良くないけど作業の前に外に出てレストランで中華でも食ってくか?」

 

「いえ、観光したいわけではありませんから」

 

「そっか、んじゃ俺は準備に入るから榛葉はメニューに説明を送るから読んでいてくれ」

 

「はい、なんというかコンピュータ要らずで便利ですね」

 

「その辺りは電子妖精がやってくれてるが、作業用の演算装置はあった方が速いぞ。ジャコ搭載のコンピューターでもいいが専用演算鬼をアイテムボックスに入れておくと色々と便利だから、今からメールで送るわ」

 

「なんでメールでこんなおっきな機械が送れるんですか!?」

 

「実態はメニューシステムのストレージ間の移動だからな、どうもストレージは実体ではなくデータ化して収納している節があるな」

 

「私には横嶋さんが何を言っているのかわかりませんよぉ」

 

「安心しろ、俺も半分も理解していないから」

 

「そんなので大丈夫なんですか!!」

 

「今の世の中『個性』がどういった理屈か理解して使っている人間は居るのか? 何が出来るか知っていても何故そうなるか理解している人間なんていないよな。世の中そんなもんなんだよ」

 

「そういう意味では私の魔法も変わりませんね」

 

「そういうこった。結局は何が起きているかを理解するので精一杯なんだよっと。それと注意だがストレージ内は擬似的な時間停止状態なので機械も動かせないから演算鬼はアイテムボックスの方に移動しておけよ」

 

「便利なのはわかりますが、横嶋さんはどんな事に使用しているんですか?」

 

「魔法陣とか図形化出来る物をベクター画像で保管して置くと自動書記の術式で書けるから便利だぞ」

 

「えっと、すみません。わかりません」

 

「後で時間がある時にメニューシステムのデータ入出力の応用を教えるわ、準備は出来たな」

 

「これが……」

 

「その昔、魔王の部下が世界の法則を書き換える実験を行った跡地に放置された遺跡、『元始風水盤』だ。これを使って一時的に洞窟内をこのメニューシステムが生まれた世界に可能な限り近づける」

 

「はい、お願いします」

 

横嶋さんが何かをすると遺跡が発光を初め、それと同時に説明できない何かが変わったのを感じる。

理解はできないが確かに場の質の変化を感じ、同時に自身と世界の接続が強まったのを感じて、それはメニューシステムの状態からも理解出来た

 

「俺は未だ日が浅いから経験値はさほど溜まってないから数レベルしか上がらんが、それでも数字的にも体感でも倍以上の強化だな」

 

「ちょっと、キツイで す」

 

「気分が悪いのか? 強化の幅が大きいから負担も大きいようだな。一先ずマットを出すから横になれ」

 

「膝枕も希望しますぅ」

 

「そんだけ言えるなら大丈夫だな。貸してやるから暫らく寝てろ……

 

 

 

 ……はっ!!

 目が覚めました。身だしなみ確認……OK!

 服は乱れていませんし特に痛みも無し、残念ながら何もなかったようです。

 

 そこそこの見た目な私が無防備に寝ているのに、この人はほんと少しくらい、こう、なにかないのでしょうか?

 今も私が起きたのに気付いていますがのほほんと漫画を読んでいます。オイコラ

 

 横嶋さんの側には可愛い人も綺麗な人もいますので自信を無くしますね。

 

 

 

 


まれびと


 

白スーツ、白いハット、白のストール、白い靴の白尽くめに丸サングラス

極め付けが太い腹に語尾のアル

ステレオタイプの胡散臭い中国人

 

なんであんなのが見逃されてんだよ、世界の防衛機構はどうした!!

ひょっとして俺らが上手く立ち回っているから無事なんじゃなくて、この世界はとっくに見捨てられていて既に監視など無くなっているのか?

 

どうする?

幸いここの封印を抜けるのは無理のようだから姿は見られてはいないが……

遺産関連の場所に出入りが出来なくても、コイツに日本に来られたら痕跡から本体に辿り着く可能性も有る。

 

だからといって俺の考えたとおりの人物ならコチラから仕掛けるのは論外だ。取っ捕まって殭屍(キョウシ)にされるとかぞっとせんぞ。

逆十字(アンチクロス)や十傑衆に混ざっていても違和感が沸かないような化け物相手に立ち回れるなんて微塵も思えない。いや、俺にそれが可能かどうかは別として殺せば死ぬだけ逆十字(アンチクロス)(ティベリウス除く)や十傑衆の方がまだましだ。

 

この閉じた世界に紛れ込むなんて旅の途中で銀の鍵でも手に入れやがったのか……

 

 

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