「俺のヒーローアカデミア」はじまります!   作:ばうえもん

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クンフーハッスル 補講


 

期末考査直前の6月末の教室、登校してくるなり教卓に飛び乗った横嶋はこれ見よがしに手にするカード状のソレを誇らしげに掲げた

 

 ねんがんの メンキョショウをてにいれたぞ!   

 

 

 

「そう、関係無いね」

「免許っても原付じゃん」

「お前の場合走った方が速いだろ?」

 

「違うんだよ!そーゆんじゃないんだよ!!

 例え50ccでもバイクはバイクなの!! 自分で操縦するメカなの!! ヒーローならバイクだろ!! 男の子ならわかれよ!!」

 

四天王−1が冷たい

 

「いやでもお前下手な車より速いし飛べるしぶっちゃけ乗り物要らんだろ」

 

「個性使って公道走ったら警察に怒られるだろうが!!」

 

「そりゃそうだが、でも原付じゃなぁ」

 

だが原付と言ってもバイクには違いない、20人も居れば興味を持つ人間も何人かは出てくる

 

「横嶋はいいなぁ、僕は2月生まれだから来年までお預けだよ」

 

「おお、話が分かる奴が居てくれた!!」

 

「原付だろ、そこまでいいか?」

 

「自分で使える足が有るのは羨ましいよ」

 

「私も羨ましいかな、9月までお預けだし」

 

そうだろそうだろ、吹出と拳藤は後で乗せてやろう

なお一口に原付と言ってもスクーターだけではない、中には跨るタイプも存在する。

俺の所有するバイクはオフロードタイプの系列で更に不整地での走行を意識したカスタマイズ済みだ。金なら有るぞ(最低)

 

「バイクかぁ、原付じゃタンデム出来ないよね。かといって私は未だ免許取れないからツーリングも無理か」

 

切奈のこの一言で教室の空気が変わった。そう、タンデムだ。つまりは合法的に女子と密着出来るのだ!!(正し相手が居る方に限ります)

原付と馬鹿にしていた人間の頭に浮かぶは「将来的には中型取るのも有りか?」といった内容、その様子を見ていた女子達には彼らの考えなど筒抜けだった。

 

「それじゃ吹出と拳藤は放課後演習場で乗って見るか?」

 

「おっ、いいの?」

 

「やった!!」

 

 


 

クンフーハッスル 補講

 


 

『黒色!! 縛れるかっ!』

 

『任せろ、邪影縛布(シャドゥ・バインド)

 

黒色君が自分の足元に手を着くと影が伸び、そこから這い上がるように黒い帯がブラドキング先生に纏わり着き拘束する

 

『ぬう、動きを封じれば何も出来んと思ったのか?

 甘いぞ! 吸血破壊光線(アッサー・シーン)!!』

 

だけどブラドキング先生の目から出た紅い光線が足元の影を撃ち抜くと束縛が解けた。あれは!黒い布か何かを影に重ねて操って影の様に見せていたのか!!

 

『…なん、だと…』

 

『くそっ、視線だけで黒色の新技破壊するとかどんだけだよ!!』

 

『むっ、これはっ』

 

ビデオでは何が起きたのか分からないがブラドキング先生が一瞬足を取られた瞬間に物間君がフィンガースナップで光を放つ、カメラが焼き付いたので何が起きたか見えなかったが画面が回復したら2人の姿がなかった。あの一瞬で何が起きたのだろうか?

 

『見失ったか、逃がさないように光源を意識して立ち回ったがあの一瞬の光で新たな影を作り逃げたのか。流石に引くタイミングが上手いな』

 

 

演習試験の翌日、僕たちは2日前に行われたB組の試験のビデオを見ている。だが二組だけ見せて貰えなかった。

 

「全員のビデオは観れないのですか?」

 

「一組は極端な力押しなので観ても参考にならないから省いた、観るだけ時間の無駄だ。

 もう一組は他の先生方が色々と問題が多いので見せない方が良いと言い出してな。個人的には内容はともかく考え方自体は見るべき点は有ると思ったのだが…」

 

「榛葉、アンタ何やらかしたのよ」

 

「失礼ですね、ちょっと教師からセクハラ受けたから見かねた忠雄さんが訴えようとしただけですよ」

 

「セクハラ!?」

 

「それはヒーローとして断固戦うべきだわ」

 

「その件はあくまでも不幸な事故だ」

 

「そんな! 先生は榛葉さんに泣き寝入りするように仰るのですか!!」

 

「だから事故だと言っている、不幸にも榛葉の目の前で試験官のヒーロースーツが破損してしまったんだ。オールマイトにも悪気があったわけではない」

 

「ケロ、それはなんとも言えない事態だわ」

 

「とにかくだ、榛葉達の試験だが正直試験官によってはあっさりと終わりかねない罠と正攻法を織り交ぜた戦術は参考に出来ないまでも見ておいて損ではない。

 ただ表面的な物しか見えない場合は悪影響が大きいと判断した他の先生方の言い分も正しい内容だった」

 

「それは余計に気になるわ」

 

蛙吹さんの言う通り、そんなふうに言われれば皆余計に見たくなる。

 

「そうだな、俺の独断になるが抜粋して見せよう」

 

そうして相澤先生の解説付きで見せられたのがクラスの榛葉さんとB組の横嶋君の試験。女子は知っていたようだけどまさか違うクラスどうしで組んで受けていたとは。てっきり治療行為が試験だと思っていた。

 

「スピーカーなら音の攻撃かしら?」

 

「衝撃波による攻撃だ、集中力を削ぐ為に耳障りな高周波による嫌がらせを交えている」

 

「アイテムだよりの攻撃は狡くない?」

 

「そういう表面的な部分は一旦置いておけ。それともお前達は俺の捕縛布もそんなふうに考えているのか?」

 

「うっ、分かりました」

 

「でもズル~イ、飛べる乗り物有ったら私達も合格出来たのにぃ!!」」

 

確かに芦戸さんと上鳴君にはズルく見えるかも、でも榛葉さんも横嶋君も普通に飛べるから関係ないんだよね。

 

「その場合は試験の内容が変わるだけだ。確かに横嶋のアイテム類は多いから不公平に思えるがそれらは全て自分で準備している。それも一つの努力だ」

 

そうなんだよね、横嶋君が凄いのはヒーローに関係ない一般家庭の人間なのに企業と契約してプロヒーロー並みの準備をしている事だ。それだって将来に向けての準備なんだ

 

「攻撃と妨害を同時に行えるわけね、嫌らしいくらに効果的だわ」

 

「そういう事だ。自分が使うにしろ敵が使うにしろそういった考え方がある事を覚えておけ」

 

 

 

「オールマイトがバランスを崩した?」

 

「視線と意識の誘導で気付かせてはいないが、攻撃の直前に足場を崩している」

 

 

 

「目潰しとか男らしくねぇ!!」

 

切島君はそんなふうに言うけど、かっちゃんも閃光は使うんだよね。ちょっと不機嫌になったみたい。それよりも気になるのは相澤先生の様に布を操る技?でも武器として扱っているのか!?

 

「捕縛布? でも鞭の様な…」

 

「布槍術だそうだ、布で攻撃する技と説明されたがこいつの場合は個性のエネルギーを乗せて威力を上げる事も出来る。実際に目の前でコンクリートを切られたから真実だろう」

 

((((((凄く悔しそう!!))))))

 

 

 

 

「あっ、壁に叩き付けられた」

 

「ざまァー」

 

「怒らせ過ぎたのね」

 

「なんといいますか、細かい嫌がらせが多いのでは?」

 

「そうだ、相手の冷静さを奪い集中力を削ぐ目的で行われた。加減を間違えてキツい反撃を受けたがそれも囮役として仕事を果たした結果だ」

 

「あれで忠雄さん肋骨に罅が入ったんですけどね」

 

「ハッ、ざまァ!!」

 

「なに? それは聞いてないぞ!」

 

「忠雄さんも自己治療出来ますから」

 

「その場で治したのか、申告のみでは判断出来ないから困ったな」

 

「その代わり私がきっちり〆ましたので」

 

「あの3連撃か…

 話しが脇道に逸れたが、この後は事故が有るので見せられないが集中力を欠いたオールマイトが榛葉の仕掛けた罠に掛かかり錘を剥ぎ取られるまでが前半だ」

 

「なんか強い癖に男らしくなかったな」

 

「格上相手ですから妥当ではないでしょうか?」

 

「凄いな、防がれる前提で何手も準備している。オールマイトじゃなかったら何処かで終わってる」

 

「その通りだ、特に最初の酸欠は何をされたか解らないから対応が遅れたら終わりだ」

 

「ええっと、一応説明しますけど試験なのでオールマイトが受け身だったからここまで上手くいったんですよ。

 忠雄さんの話しでは最初からこちらの攻撃を潰す気で動かれたらあっさり終わりかねないって言ってました」

 

「調子に乗らずに実力差をきちんと自覚が出来ている様で何よりだ。後半を見ればお前達もその様な反省が出る理由を理解出来るだろうが…見せて良い物か……」

 

相澤先生にしては珍しく即決出来ない。なにか問題が有ったのだろうか?

 

『酔舞・再現江湖!!』

 

オールマイトと殴り合う光の猿?

 

「拳法で戦う中華風の鎧を着た猿、まるで孫悟空だね。だけど…」

 

尾白君の呟きから猿のモチーフは分かったけど…

 

「孫悟空…まるで異形型のような…体育祭の鳥は20人の人間を乗せて音速近い速度を出して…おそらくは同種の力…あのパワーが3メートル程の人型に圧縮…中国拳法」

 

後半のビデオは衝撃的だった。1分に満たない僅かな時間だったが桁外れなパワーから生まれる圧倒的な速度で攻撃するオールマイトとそれを捌いてカウンターを入れる猿の横嶋君。ビデオをスローにしなければ確認出来ない高速の戦闘に僕等の試験は手加減されていた事を嫌でも理解してしまった。

誰かの歯軋りが聞こえる…かっちゃんだろう。僕だって握りしめた拳に力が入る、僕達が最初からこのスピードで積極的に攻められたら何も出来ずに終わりかねない。横嶋君は一人でオールマイトをそれ位本気にさせたんだ

 

「忠雄さんは30秒抑えるって言ってましたが多分まだまだ余裕はあるようですね」

 

榛葉さんの解説から先日の開発工房でのやり取りを思い出す。僕と同様にそれに思いたった峰田君が思わず声に出す

 

「前に言ってた新型スーツの負担軽減ってこれの事かよ!! 30秒でも大抵の奴は倒しそうなのに更に伸びるとかどんなインチキだよ!!」

 

「オールマイトと正面から戦える圧倒的なパワー、制限時間以外の弱点が見当たらない…」

 

そして考察を続ける僕に尾白君と峰田君がそれぞれの見解を述べてくれた。

 

「そうでもないかも、違和感があったんだが正体が分かった。実体が無いんだ、アレは空っぽなんだ!」

 

「えっ、いや殴り合っているのに実体が無いわけないだろ?」

 

「それが殴り合って無いんだ、基本的に攻撃は受けないように回避か捌いている、受けたら軽いから踏ん張りが効かないんだ」

 

「じゃああの巨体はコケ脅しってことか?」

 

「木村さんの意拳みたいに攻撃の力場なのかな? 巨体はリーチとイコールだから意味は有ると思う。多分本来は大型の(ヴィラン)と戦う為の技なんだろう」

 

「そもそも軽いからってどうなんだ? 重さに関係無く攻撃力は高いし防御も上手い。範囲攻撃みたいな躱せない攻撃位しか通用しないだろ!!」

 

「うん、そうなんだよね。僕じゃアレに勝つビジョンが浮かばない…」

 

自分とは違う視点は参考になる。自然とこういった会話が出来る位に仲良くなれたのは嬉しいが…

 

相澤先生が見せるか迷ったのも分かる、これを見せられたら誰もが焦らずには居られない。同じ時間を過ごして何故ここまでの差が出来たのだろうか。いや、そこから間違っている。

横嶋君だけじゃなくてB組の方が全体的に個性が強い気がする。それは強個性という意味ではなくて力強い?粘り強い?上手く言えないがタフなんだ。

時間にして3ヶ月間、個性を鍛え続けて居たのだろう。決して同じ時間を過ごしたわけじゃないんだ……

 

 

個性が無くてもヒーローに成れますか

そうは言っても個性は欲しかったし、結果的に最高のヒーローの個性を手に入れた

でも僕が以前弱個性と思った彼は最高のヒーローと同じ個性を持つ僕よりも、彼よりも凄かったハズのかっちゃんよりもオールマイトを本気にさせた

あの時から十年近く、個性だけじゃなくて出来る事をなんでもやっていたんだ。3ヶ月だけじゃないんだ

 

 


金なら有る!!(最低)


 

時は放課後、毎度の如く自主訓練のお時間だが

持ち込んだバイクをサポートアイテムと言い張って乗り回して遊ぶのだ!!

将来的には普段は移動の足として法律遵守、ヒーロー活動中は個性で強化してサポートアイテムとして使用すれば原付きの制限速度も無視出来るだろう。

 

「えっ? 原付じゃなかったのか」

 

「原付だぞ、実は結構な速度が出せるけど公道じゃ時速30キロ制限だ」

 

俺の影から浮かび上がってくるバイクを見た泡瀬は疑問に思ったようだが、こういう50ccも有ると知ってる奴は知っている。

 

「オフロードタイプか、ひょっとしてヒーローとしても使うつもり?」

 

「まあな、拳藤はロード派か?」

 

運転は分かるからお先に乗るねっと跨る吹出、だが直ぐにはエンジンを掛けずに

 

「思った通りだ、このバイク個性通るね」

 

「気付くの早過ぎだろ」

 

「ヒーローならバイクって言ってたから想像付くさ。これってサポートアイテムでもあるなら強度も有るんだよね」

 

「くそっ、まだ俺は試してねーんだぞ。出力は40%に抑えてくれよ」

 

「承知した!トランザム!」

 

ネタにネタで返しつつも実際はいきなりフルスロットルとは行かずに最初は確認するようにおっかなびっくり走らせるが一周して戻ってくる頃には速度にも慣れたようで個性を使用し始めた

 

『ぎゅう~ん!』

 

吹出が個性を使うとホイールに文字が浮かび回転数が上がって急加速する。おお、さっそく使いこなしてやがる。メニューシステムで計測したところ80キロ近くは出てるな

スクーターと違って見た目は普通にオフロードバイクに見えるし、公道じゃないので50キロ位は出せる。そうすると馬鹿にしていた男供も現金な物で乗りたそうに見ている。挙句只のバイクでは無くて個性を使えるサポートアイテムときたら手のひらクルクルし始めた。

とりまロードタイプも取り出して吹出に早く変われと騒いでいる拳藤に貸す

 

「もう一台持ってるの!!」

 

「金なら有る!!」

 

割と最低な自慢をするがバイクをキラキラとした目で見る拳藤はスルーしてくれた。気持ちは分かるがボケ殺しは辛い…

 

「イッテイーヨ!」

 

「ホント!? やった!!」

 

ウズウズしてるから影からヘルメットを取り出して渡しOK出すやいなやさっさと跨り演習場内の舗装された道路を走り出した。こりゃ運転経験あるな、いいけど

んで、一周して戻ってきたら車輪がサイズアップしていた。大拳はそう作用したのか、馬力も上がるのか50ccの速度じゃねーな。

 

一人置いてけぼりは辛いので猿の名を冠するミニバイクを取り出す。

 

「「「「「三台目だと!!」」」」」

 

「こいつは普通に足替わりだから無改造だけどな」

 

もっともYOKOSHIMA'Sが寄って集ってチューンしてたからキモイ位キビキビ走ってこれはこれで楽しいんだがな。

 

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