かばんちゃんで1期ラストから再構成してみる「けものフレンズ2」   作:米ビーバー

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しんざきお兄さんみたいなコメントをアドリブで用意とか無理なので初投稿です()



******


「うぅぅ……うみは塩辛くて美味しくないのだぁ……」
「大丈夫ー?アライさーん」

 “ばすてき”を器用に動かし、アライさんをロープで救出したフェネック。救出されたアライさんは海の水を飲んでしまい、ケフケフと咳をする。

「はい、お水だよー」
「うぅ……ありがとうなのだフェネックゥ……」

 ハカセが用意して“ばすてき”に積み込んだ、透明なビンに入った「きれいなお水」を手渡すと、アライさんはそれをゴクゴクと飲み干して「ぷはぁ」と息を吐く。

「―――それにしてもアライさん。かばんさんとはぐれてしまったねぇ」

 フェネックの言葉にアライさんが状況を確認する。“ばすてき”を回り込ませてアライさんの救助を行った結果、マルカに連れられていったジャパリバスはもうどこにも見えなくなっていた。

「―――だ、大丈夫なのだ!アライさんにかかればかばんさんの居場所を見つけるくらい楽勝なのだ!!」
「―――だといいけどー」

 フェネックを心配させまいと虚勢を張るアライさんと、それにやや否定的なフェネック。状況は海のど真ん中にぽつんと“ばすてき”がある。水平線の向こうに島が見えているが、どちらにも島の姿が在り―――アライさんを救助するために“ばすてき”をぐるりと旋回させてしまったため、『どちらがやってきた島なのか』ということすらわからなくなっていた―――。

「ぐぬぬぬぬぅ――――」

うんうんと唸るアライさんに、フェネックは一息吐いて―――

「アライさん。とりあえず、かばんさんが向かった方の島に向かおうかー?」
「フェネック!?」

驚いて目を瞬かせるアライさんに、ふふっと口元を綻ばせるフェネック。

「前にも言ったけどさー?太陽の位置で、大体の方角はねー?ここに来るまで太陽の位置は覚えながらやってきたから、どっちが来たほうかってくらいは分かるよー」
「フェネックはやっぱりすごいのだ!!」

アライさんにはフェネックの言葉がよくわからなかったが、『フェネックはどっちに行けばいいのかがわかる』という事だけは理解できた。毎度突っ走るアライさんが何かしら迷ったり困ったりするたびに、フェネックはいつも助けてくれる。やっぱりフェネックはすごい。アライさんは改めてフェネックに尊敬の目を向けるのだった―――。

「それじゃあ、しゅっぱつなのだ!!」
「はーいよー」

ペダルを漕いで、漕いで、漕いで、ゆっくりと再始動する“ばすてき”
すると―――

「―――おい。誰か中に居るのか?これは何だ?」

すぐ横の海面から声が響いた。

「誰なのだ?アライさんはアライグマのアライさんなのだ」

 “ばすてき”の窓から顔をのぞかせたアライさんに、海の上に上半身だけを覗かせる姿が在った。
先ほどのマルカと似たような頭部だが、髪の色に斑点模様が混じっている。なにより目を引くのがその手に持った―――槍だ。

「私はイッカククジラのイッカク。この辺りは私やマイルカたちのナワバリなのだが―――迷い込んだのか?」
「違うのだ!りくちをめざしているのだ!!」
「あっちの方に見える陸地にねー、仲間が先に行っちゃったんだー」

 イッカクと名乗るフレンズの言葉に強い勢いだけの言葉で返すアライさんと、それを補正して大体の状況を伝えるフェネックのコンビに、イッカクはふむふむと事情を聞き入ると―――

「成程マルカが……それならば、私が向こうまで連れて行ってやろう」
「おぉっ!!やったのだ!!」
「やったねぇアライさーん」

全身で喜びを表すアライさんに、ニコニコと微笑みかけるフェネック。そんな二人にイッカクが問いかける。

「―――それで、どっちに向かうんだ?」
「アライさんにおまかせなのだ!あっちなのだ!!」

イッカクの問いに自信満々に答えるアライさんの様子に、「まかせておけ」と応えて後ろに回ったイッカクが、野生解放で“ばすてき”を押していく。グングンと波をかき分けて進む風景に、アライさんが歓声を上げた。

「はやいのだ!らくちんなのだ!フェネックー!!」
「……そーだねぇー……」

アライさんの言葉に相槌を打ちながら、フェネックは空にある太陽と、島の位置関係をジッと見つめて―――

「―――ちょっとズレてる気がするなぁー……これはー、またやってしまったかもしれないねぇアライさーん……」

そんな風に、小さく呟いた。



#0 『じょうりく』 Bパート

 

 

 

「―――はぁ」

 

 海岸に打ち寄せる波音をBGMに、かばんは何度目かのため息を吐いた。

マルカたちが無事で戻って来ることを祈ること。ただそれだけしかできないということがかばんの内心の焦りを強く煽っていた。

 

「みゃっ!――――みゃっ!」

 

サーバルは段々と飽き始めてきたのか、波打ち際に寄せる波を相手に猫の手でパンチを繰り返している。

 そこへ―――

 

「ただいまぁー!」

 

ざっぱーんと打ち寄せる波と一緒に、疲れた様子のナルカと、あちこちに汚れを残すマルカが戻ってきた。

 

「―――よかったぁ……無事だったんですね」

「大丈夫だった?」

 

ほっと一安心するかばんに、サーバルの方もマルカたちに気付いたようだった。猫の手を作ってお出迎えするサーバルに、そこかしこに薄汚れを残したままの顔でニコッと笑うマルカ

 

「大丈夫ー!あんまり大きくないやつだったし、あたしの尾びれでやっつけたよー!」

「そうなんだ!?すごーい!つよいんだね!!」

 

荷物から新しく取り出したじゃぱりまんを片手に笑顔で盛り上がるサーバルとマルカの横で、ナルカが少し心配そうにため息を吐く。

 

「……最近は海も大人しかったのですけど……やっぱり、この間お空が震えた時かしら?」

「お空が――――震える?」

 

かばんの問いかけに「ええ」と答えるナルカ。

 

「大きな音がしてお空が震えると、海が荒れ模様になって、セルリアンが湧き出て来るんですの。でも、お空が震えた後は空からサンドスターが降って来るので、フレンズが新しく生まれることもあるのですわ」

「―――それって……」

 

大きな音、サンドスター、セルリアン。

 

いくつもの単語がかばんの脳内で浮かび上がり、繋がる。

 キョウシュウエリアを巡ったかばんの旅。その旅の最後の場面ともいうべき場所。火山の火口に広がっていた薄いモノ。そしてそれを修復した記憶―――。

『この間』とナルカが言っていたのはその時のことを言っているのかもしれない、かばんはそう考えをまとめた。

 

「―――ナルカさん。こっちにも、サバンナとか、いろんな『ちほー』があるんですか?」

「ええ、私たちは陸に上がることはめったにありませんので、良くは知らないのですけど、様々な場所があって、いろんなフレンズが住んでいると聞いています」

「わたしたち、かばんちゃんとおんなじ「ヒト」の住んでる場所を探しに来たの!マルカもナルカも、何か知らないー?」

 

 サーバルがそう尋ねると、マルカとナルカは「そういえば」と前置きをして

 

「ドルカは昔、ヒトっていう動物が住んでたところを遊び場にしてるって言ってたよー」

「……あっ、ドルカちゃんはバンドウイルカのフレンズですわ」

 

マルカの言葉にナルカが補足を加えて説明する。

 

「そのドルカっていうフレンズはどこに住んでるの?」

「ドルカはねー、ずーっとむこうの、おっきなたてものがあるところにいるのー」

 

海岸線からずっと向こうという意図で斜め上の方を指さす先は、陸地を越えて遥か先に在るように見える。

 

「―――あっ、そういえば、アライさんとフェネックさんは!?」

「あっ!そうだよ!マルカ?アライグマとフェネックたちの乗ったばすてきはどこ?」

 

 そこで漸くアライさんとフェネックのことを思い出し、声を上げるかばんとサーバルに、マルカもあっと気づいたようだった。

 

「―――ごめんなさーい。セルリアンをやっつけるのに夢中で忘れてたぁ……今から行ってくるね?」

「待って待って!あちこちケガしてるみたいだし、無茶だよ!!」

 

海に再び潜ろうとするマルカを止めたのは、かばんだった。マルカの手を掴んで、その目線に自分の目線を合わせる。

 

「―――アライさんとフェネックさんのことは心配だけど……マルカさんはさっきまでセルリアンと戦ってて、ケガもしてるみたいだし、もしもまた襲われたら危ないよ?」

「うん―――わかったー」

 

諭すように、区切り区切り伝えるかばんの言葉に、マルカは大人しく頷いた。そして、はっと顔を上げる。

 

「あっ!じゃあ、イッカクとかおかあさんにおはなししてみる!そしたらきっと様子を見に行ってくれるよ!」

「―――それなら心配いらないわ。さっきイッカクさんがこことは別の海岸に連れて行ったみたいですの」

 

「セルリアンを警戒して安全な場所に送ったのかもしれませんわ」と付け加えるナルカを他所に、かばんはサーバルと顔を見合わせ、「よかったー」と安堵の息を吐いた。まずは何よりアライさんとフェネックの無事を確認できただけで、かばんもサーバルも安心だった。

 

「―――私たちは、しばらく海の見回りを続けますわ。大きなセルリアンが出てきたら、おかあさんにお願いしないといけませんし―――」

「バイバイ!また遊ぼうー!!」

「色々、ありがとうございました!!」

 

 ぺこりとお辞儀をして去っていくナルカと、元気に手を振るマルカを見送って、かばんは少しだけ胸にわだかまるものを感じていた。

結局今回、かばんは何の役にも立てなかった。それがどうにも自身にかかる影のようなものを感じさせる。

 

「―――かばんちゃん!まずはバスのじゅうでんからだね!その後は、アライグマとフェネックをさがそ!」

「サーバルちゃん……」

 

 サーバルの言葉に、頭の中に詰まった不安や不信を追い払い、かばんは笑顔を返す。目の前の友達の前で、暗い顔をしてなどいられないという、空元気のようなものだったが、目の前の問題を片づけることに頭の中身は切り替えられた。

 そんな二人の耳に、ガサガサと草いきれをかき分ける音が聞こえた。周囲を見回すかばんとサーバルの目の前で、砂浜の向こう、生い茂る草むらの中から小さな影が飛び出した。

 

「ひゃぁ?!たっ――――たゔぇっ!?」

「かばんちゃんちがうよ、ボスだよ!」

 

思わず「食べないでください!」と叫び声を上げそうになるかばんの前に立ち、庇う様に身構えていたサーバルの毒気を抜かれた様な声に、かばんも小さな影をもう一度よく確認する。

 

 現れたのはキョウシュウエリアで見慣れた姿の、青と白のカラーリングに独特な首輪をつけた生物(?)ラッキービーストだった。

 

「ハジメマシテ。ボクハラッキービーストダヨ。君ノ名前ヲ教エテ?」

 

こてん、と首をかしげる仕草もキョウシュウエリアで見たラッキービーストと同じ動き。その動きがピタリと止まる。その目に当たる部分の縁取りが虹色に輝いて、あまり聞き覚えのない音を響かせている。―――それは現代では、電子音と呼ばれるものであったが、かばんたちはそれを知りえない―――。

 かばんが腕に嵌ったラッキービーストのコアを見ると、こちらのラッキービーストも液晶部分を激しく明滅させていた。

 

『―――カバン。スコシマッテテ』

「えっ?ラッキーさん……?」

 

チカチカと光が明滅する腕のラッキービーストに併せて、新しく現れたラッキービーストのコアも共鳴するように緑色の点灯を繰り返す。

 やがて光が収まったあと、新しく現れたほうのラッキービーストはぴょんぴょんと飛び跳ねて草むらに消えて行った。

 

「あれっ?ボス??どこいくの!?」

「ラッキーさん!?」

 

どこかへ行ってしまったラッキービーストの代わりとばかりに、腕のラッキービーストが点滅する。

 

『カバン、サッキノラッキービーストトドウキシテ、データヲモラッタヨ。コノアタリノチズヲ、ヒョウジスルヨ』

 

 緑色の点滅が収まると液晶画面内にゴコクエリアの地図が表示され、現在地が赤い光点で示された。

 

『コノチカクニアル、ジュウデンシセツマデノルートヲ、テイジスルヨ。トホデノイドウナラ、4ジカンホドダヨ』

「やったね!かばんちゃん!“でんち”、充電できそうだよ!」

「うん。そうだね!サーバルちゃん。……アライさんたちも心配だけど、準備はしっかりしてから進もう」

 

 サーバルの言葉に頷き、かばんはバスの荷台代わりにつないでいたタライから、水と食料をリュックサックに詰め込み、最後にロープでバスのバッテリーをリュックに繋いで旅支度を整えるのだった。

 

「―――それじゃ、しゅっぱーつ!!」

 

 率先してうきうきとした足取りで歩き出すサーバルの後ろから追いかけるかばんは、最後にもう一度海を振り返る。

海に棲むフレンズのマルカ、ナルカと、姿は見ていないがドルカ、イッカクといった仲良くなれそうなフレンズたちが、次にまた会うときまで元気でいて欲しいと祈り――――

 

「――――あれ?」

 

 ふと、違和感に気付いた。

セルリアンとはそもそも『水を嫌い、海に落ちたら固まってしまう』のではなかっただろうか?

ゴコクエリアのセルリアンは、そういった特性をもたないセルリアンなのだろうか?

 まだ見ぬ外敵の存在にうっすらとした不安を感じたかばんは、アライさんとフェネックが無事にこちらと合流できるように、と願ったのだった―――。

 

 

 

 

******** いっぽうそのころ  ********

 

 

 

 

―――くんくんくん。くんくんくんくん―――――

 

 

地面に這いつくばるような態勢で臭いをかいでいるアライさんと、それを眺めているフェネック。二人はかばんたちとは別の海岸線に送り届けられ、直後にイッカクがセルリアンを迎撃に向かってしまったために再度お願いをする相手もいなくなり、仕方なく匂いでかばんを探そうとしていた。

 

「―――どうー?アライさーん。わかるー?」

「……やっぱりだめなのだぁ……うぅ……あしあととかについたにおいならともかく、何もない場所でにおいだけをたよりにさがすのは難しいのだぁ……」

 

途方に暮れるアライさんに、「まぁまぁ」と近くに歩み寄ったフェネックが、“ばすてき”に積まれていたじゃぱりまんを差し出す。

 

「しかたないねー。気楽に行こうよアライさん。かばんさんたちもきっとこっちを探してるだろうからさー」

「―――そうなのだ!かばんさんたちもこっちを探しているのなら、フレンズがいるところをさがせば、かばんさんの居場所がわかるのだ!!」

 

フェネックの言葉に思い立ったように顔を上げたアライさんが「ふぅはっはー!」と高笑いを上げる。

 

「なにしろすごいかばんさんなのだ!ぜったいに困ってるフレンズを放っておくことなどしないのだ!!もんだいをかいけつして、すごいかばんさんがさらにすごいかばんさんになるのだ!まちがいないのだ!」

「そうだねー。でも……」

 

「かばんさんがそんなに都合よくわたしたちの行く先々のフレンズと出会ってるかなー?」とフェネックが考え、アライさんに言おうとするも、それより先にアライさんは駆けだしていた。

 

「フェネック!急ぐのだ!この辺りに居るフレンズを探して、かばんさんについて聞くのだ!!」

「―――――――はーいよー」

 

色々と言いたいことがないわけではない。けれどアライさんがいつものアライさんに戻ったので、フェネックはそれ以上何も言うことなく、アライさんに付いていくことに決めた。

 

 






PPP予告も無理です(懇願)

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