部屋を出て顔を洗い、軽く口をゆすいだ後食堂に向かうのが、俺の一日の始まりだ。食堂に着くと、小町と他数名が厨房に並んでいた。
「あ、お兄ちゃんおはよーっ」
「んぁ、あぁ…おはよーさん」
厨房から聞こえてきた元気いっぱいな朝の挨拶に、俺は未だ抜けきらない眠気を隠そうともせずに返事をする。
「もう少しで出来るから、もうちょっと待っててねー」
「りょーかい。いつもすまないねぇ」
「もー、それは言わない約束でしょ?…………よしっ、お兄ちゃーん、出来たよーっ」
「さいですか」
朝飯ができたらしいので、小町お手製の朝飯を取りにいくと、そこには……
「うげぇ、トマト入ってんじゃん」
赤く、コロコロとした野菜が入ってやがった。
「好き嫌いしないの!子供じゃあるまいし」
「子供大人関係なく苦手なものは苦手なんだよ。お前だって食べられないものくらいあるだろ?」
「無いわけじゃないけど……。でも、お兄ちゃんには好き嫌いせずに食べて欲しいんだ。食べないと、いざって時に大変なことになるかもしれないでしょ?そうなったら...小町、悲しい……」
「小町……」
そうか、小町は俺を心配して……。
「あ、今の小町的にポイント高ーいっ!」
「チッ」
コノヤロウ。
「ああ!今舌打ちしたでしょ!?信じらんない!」
「ヘイヘーイ、スイマセーン」
「チッ」
「あ、お前今舌打ちしたろ?」
そんな下らない会話を交わしながら、朝飯の載ったお盆を受け取り机に座る。いただきます、と手を合わせサンドイッチを食べようとしたら小町がテコテコと小走りにこちらに寄ってきた。可愛い。
「どした?小町」
「どした?はこっちのセリフだよ、お兄ちゃん。何かあったの?」
「何かって何?」
「いや、それを小町は訊いてるんだけど……。何か元気が無いというか、覇気がないというか、目が腐ってるというか……」
「おい、最後の明らかにおかしいだろ」
……ホント、我ながらよくできた妹だよ。こんな風におちゃらけて、表にでないように振る舞ってもバレるなんてな……。
「……
「っ…………!」
「そっか…………」
…………。
「……
沈んだ空気を変えようと、会話の内容を
「どーだうね?あんまり冒険者には向いてないと思うけど。」
「そうだよなぁ……。
俺達とは血の繋がっていない、しかし短い間だったが同じ屋根の下で過ごし、同じ時を過ごした
「小町ちゃーん、そろそろ戻って来てーっ!後十分もしない内に混み始めるから!」
「あっ、はーい!今戻りまーす!じゃあお兄ちゃん、また後でねっ」
「おう、頑張れな」
他の料理係から戻るよう言われ、小町は急いで戻ろうとする。そんな小町に、いつも通りに励ましの言葉を掛ける。小町はにぃ、っと笑うと再びテコテコと厨房へ戻っていった。やはり可愛い。
混み始めると聞いたので、俺は少し慌てつつ朝食を食べた。食堂が賑わいを見せ始めたところで食べ終わり、お盆を返して自室に戻った。ついでにトマトはちゃんと食べました。噛まずに。
「あ、……おはよう…ございます…」
食堂を出ようと、出入口に向かう途中でレフィーヤと鉢合わせてしまった。
「あぁ、おはようさん」
俺は、もう少し早く食べればよかったと後悔した。だが、やってしまったものは仕方がない。出来るだけ
「っ……!」
しかしレフィーヤは顔を伏せ、早歩きで横を通り過ぎて行った。その時のレフィーヤの顔は、なんともまぁ分かりやすいくらいに複雑な顔をしていた。
「…くくくっ、オメェも嫌われたなぁ。なぁ八幡?」
「……いたのか、ベート。別にいいんだよ、嫌われるようなことをしている自覚はある」
いつの間にか目の前にいたベートが小バカにするように笑いながら話しかけてきた。それに対して極々当たり前のことだと言って後ろを向く。
食堂の中はより賑わいを増しており、皆が好き好きに朝食を食べていた。ある者は一人で、ある者はペアで、そしてある者はグループで朝食を摂っている。しかし、一貫して共通していることが一つある。それは、エルフの団員による嫌悪の視線が、俺に向けられていること。
「オメェの考えは嫌いじゃねぇがな。性格と目は嫌いだがな」
「うっせ、ほっとけ」
ベートの悪態を流しつつ、俺は今度こそと自室へ戻った。
眠いです。こんなに早いペースで挙げるとその内失踪しそう。(しませんよ?)感想貰えると喜びます。誤字脱字の報告、アドバイス、批判でもいいです。