求め、欲したモノ   作:彩たか

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ついに、八幡専属の鍛冶師登場。


第四話 専属鍛冶師

『青の薬舗』に行きミアハ様達と軽く談笑をした後(二人はいつも通り商品を買うよう勧めて来たが、遠征前ということもありまた今度という形で収まった)、俺達は摩天楼(バベル)の中に支店を出す、「超」が付くほどの程のブランド力を有する鍛冶師(スミス)系ファミリア、【ヘファイストス・ファミリア】バベル支店へ足を進めていた。しかし、俺達の目的地は【ヘファイストス・ファミリア】ではない。厳密に言えば、【ヘファイストス・ファミリア】はあくまで待ち合わせ場所であり、そこで何か武器や防具を買う訳ではない、ということだ。

摩天楼に着いた俺達は階段で三階まで上がった(のち)、広間の中心に存在する魔石昇降機(エレベーター)を使って四階へ上がる。このフロアから八階まで、【ヘファイストス・ファミリア】バベル支店が貸しきっており、辺りには割りと高値な武器や防具が陳列窓(ショーウィンドウ)の中に飾られている。こういう場所に馴れていない小町は、値札を見ては目を丸くしていた。

 

 

近くにいた店員に目的の人物の居場所を訊くと、商品を買う際に使用される応客室に通された。そして中には、会いたかった人物が椅子に座っており、こちらに気付くと吸っていた煙草の火を消し、こちらに笑顔を浮かべてきた。

「お待たせしました。ヒラツカ先生」

「……ヒキガヤ、『先生』は止めろと言っただろう?」

ヒラツカ・静。極東出身のヒューマンであり、前までは特注品(オーダーメイド)の依頼はは完全紹介制(笑)を謳っていたが、現在は俺と直接契約を結んでいる鍛冶師(スミス)である。昔、何故依頼を完全紹介制にしていたのか訊いたところ、「『うちは紹介制なんだ。帰りな』って台詞(セリフ)、カッコよくないか?」と、まるで神みたいなことを(のたま)っていた。ついでに、なぜ俺がこの女性を『先生』と呼んだのかと言うと、ヒラツカさんはまだ入りたての団員に武器や防具の鍛錬の仕方を教えているのだ。そしてその団員達がヒラツカさんを『先生』と呼んでいたのを見かけたのがキッカケなのである。

「わざわざ摩天楼まで来てもらってすまないな。店に出すための武器を持ってこなくてはいけなくてね」

「別にいいですよ。そこまで遠い訳じゃありませんし」

ヒラツカさんの工房は、他の鍛冶師達と同じく北東のメインストリートに存在する。本来はその工房を訪ねる予定だったのだが、生憎武器の納期がその日まで。つまり今日までだったらしく、摩天楼で武器を渡すことになった、という旨の手紙が、昨日届けられたのだ。

「じゃあヒラツカさん、頼んでたものを」

ヒラツカさんは「ああ」と頷きつつ、後ろにある荷物から一振りの刀の入った刀袋と、小箱に入った軽装と()()を小箱ごと取り出し、机の上に置いた。俺は刀袋から刀を取り出し、刀を抜いてみる。

蛙口(かわずぐち)』。58階層に出現する蠍型のモンスター、『巨大蠍(ヴェノム・スコーピオン)』のドロップアイテムである『巨大蠍の甲殻』を使用した刀身は黒紅(くろべに)色をしており、刃渡り80C(セルチ)におよぶ太刀である。そして、俺がメインで使用する武器である。そして、軽装と共に入っていた三つの苦無の名は、『蛙鳥(かわずどり)』。『蛙口』と同じ素材で作られたそれは、同じく黒紅色をしており、全長30C(セルチ)の投擲用の武器だ。

「……よしっ」

俺は刀の重さや握った感触、刃の鋭さを確認すると思わず口角が上がってしまった。

「満足そうで何よりだよ。お金は前もって受け取ってるから、そのまま持って帰ってもらって構わないよ。遠征、頑頑張りたまえ」

「色々、ありがとうございます。」

俺は刀を刀袋に戻した後、軽装などの入った小箱に布を巻いた。刀袋を肩に掛け、布を巻いた小箱を小脇に抱え応接室を出る。出るときに「これからも宜しくお願いします」と、軽く頭を下げる。するとヒラツカさんは「ああ」と、目を伏せたまま片手を挙げて返事をした。……まったく、かっこいいよなぁ、あの人は。

 

 

「ヒラツカさん、やっぱりカッコよかったね。お兄ちゃんよりもカッコよかった」

「そうだな」

「え、否定しないの?」

「事実だからな」

空が朱く染まり始めている帰り道、「たっく、これだからごみいちゃんは」と半目でこちらを見る我が妹に少し心を折られながら歩いていると、不意に小町が俺の顔を覗き込んできた。()()()()()

「あ、そうだお兄ちゃん。忘れてないよね?ちゃんと()()()()()()()()()()()()()()をすること」

そう、()()()ではないのだ。むしろこれからが大変なのだ。考えて欲しい。足りなくなった分の材料だけと言っても、【ロキ・ファミリア】の買い出しだ。並の量では足らないのは誰が聞いても明らかである。

「……どれくらい持つんだ?」

「んー………、簡単に言うと普通は荷台を用意するくらい?」

「は?お前それどうやって俺に持てと?只でさえ防具で片手を塞がってんのに」

「大丈夫だって。……ほらっ、これだけ大きな風呂敷なら荷物全部入るでしょ?」

「お前ポーチにそんなもの入れてたのか……」

我が妹に、驚愕が止まらない。

「よーしっ。まずは八百屋に行こーっ!」

俺は溜め息を吐きつつ、小町に付いて行くのだった……。




元々比企谷兄妹以外の『俺ガイル』キャラも出す予定でした。その中の『平塚静』というキャラクター。好きなキャラなので、例の奉仕部メンバーと新生徒会長様と同じく本作品に登場させようと思い立った訳です。平塚先生をどんな立ち位置にするかなのですが、案外すんなりと決まりました。他のメンバーの役職も既に決まっています。ただ、八幡に平塚先生を「さん」と呼ばせるのにすごい違和感を感じました。本作品の俺ガイルメンバーは基本的に全員30代ということも違和感に拍車を掛けている要因の一つのでしょうね。


直々読み返しては、今まで投稿したものに手直しを加えているので、再び読んでみると「あ、ここ変わってる」というのが発見できるかもしれません。(作者としては、恥ずかしいものですが)思いつき故に、そういった間違いが度々生まれてしまいますが、これからもそんな作品を読んでもらえたら光栄です。
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